GM:では秘密の地下室だ。床の石畳が割れたとこから、更にその地下にある水路を見下ろすことができる。──さて、どうやって調べるの?
ヴァイス:メクラメッポウ泳ぎ回って。
レイチェル:きちんとマッピングしていくべきだ。
エミリー:それは確かに。──で、魔法陣なのよね?
ヴァイス:魔法陣?
ここにいないフウゲツ:それはまだ確認してないから分からない。
エミリー:え、でもどう見てもアレは魔法陣でしょ。
フウゲツ:でもそこはほら、な。プレイヤーとしては分かっても、キャラクターとしては分からないワケであって。
ヴァイス:水の流れはある? 速い?
GM:流れはある。スピードは……普通かな。飛び込んですぐ押し流されるようなスピードではない。
ヴァイス:流れがあるんだ。ということはどこか外に通じてる可能性があるんだな……。……──よし、流れに逆らって進もう!
ここにいないシュリ:逆らうんだ(笑)。
ヴァイス:え、だって流れがあるってことは上流がどこかに通じてるってことで……。
エミリー:無理して流れに逆らわなくても、下流もどこかにつながってる可能性あるわよ。……まあ、その場合は帰り道が大変だけど。
フウゲツ:循環機で回ってるだけかもしれないしな。
プレイヤーG:ぐるぐるとね。
レイチェル:(ぼそっと)そうめん流し。──まずは流れに逆らわない方向で。
GM:了解。レイチェルだけが潜るの?
ヴァイス:みんなでいくよ。(コロコロ)『水中呼吸』の魔法は問題なく成功。
エミリー:(コロコロ)……78は失敗というヤツでは。
GM:いつかは成功するだろうけど。精神疲労が大きくなるだけで。
エミリー:(何度かサイコロを振って)へろへろでドボン。
レイチェル:私は普通にざぶざぶと水の中へ。
エミリー:鎧は脱がないんだ。
ヴァイス:むしろ水中用装備が増えてたりして。マブチの水中モーター、とか。
レイチェル:意味がない。
エミリー:「さ、いくわよ」
レイチェル、ヴァイス、エミリーは水の中へ。
GMがマッピングをし、3人は水路の中を進んでいく。
GM:水路はゆるやかにカーブしている。……んで、ここで別れ道。
エミリー:街の中心に続いてる方にいってみよう。
レイチェル:正確には中心の方ではないのだが。
探索は続く。
エミリー:(GMが描く図を見て)やっぱり魔法陣じゃない。六芒星ね。
レイチェル:そしてどうやら水路は閉じた空間のようだ。外へはつながっていない。
ヴァイス:じゃあどうして水の流れが……?
GM:どうしても何も……なぜ思い出さないヴァイス。
ヴァイス:え?
GM:7話で言ったはずだよ。分岐点の天井にある魔法装置で、流れを操ってるようだ、と。
ヴァイス:え、そうだったっけ。……すっかり忘れてた。
フウゲツ:じゃあ……この水の流れを止めれば『結界』が消えるのか?
GM:君たちが地下水路を発見するまでの間は(一部だけとはいえ)流れが止まってたんだから、流れが止まるイコール『結界』が消えるというワケではなさそうだ。
ヴァイス:じゃあ、これは一体……。
GM:ヴァイスの知識として……何かしらの『流れ』によって魔法陣を描くことで、魔法的な力を高める効果がある、というのを聞いたことがある。
ヴァイス:魔法的な力……? 高める……?
エミリー:何にしても、この探索は無駄だったワケね。
ここにいないユリア:もうちょっと寒くないうちに調べておくべきれしたね。
エミリー:調べても何もなかったけど。……体力の無駄遣いだったわ。先に帰って休んでまーす。
GM:レイチェルはまたしても奇妙な電磁波を感じて調子が悪いし。
レイチェル:またか。
ヴァイス:『結界』とは直接関係がなさそうな、あからさまに魔法っぽいコレは……いったい……。
プレイヤーG:悪魔のそうめん流し。
フウゲツ:ぷっ(ひとり反応)。
GM:地下水路の水が流れるようになった──つまり水流による魔法陣の作動。これは7話の終わりだね。それから、どんなことが起こるようになったか……。
フウゲツ:『仮面』を見るようになった。……でも、なぜ俺だけなんだ?
エミリー:アナタの感情の動きをトレースしてるんでしょ、確か。
フウゲツ:それが事実だとしても……なぜほとんど俺ばっかりで、なぜあの『仮面』なのかが……。
GM:(サイコロのせい、な気も)
一同:んー……。
GM:考え込んでしまったようだから、ここで場面を移そう。
GM:では場面を変えて、『古の民』の集落であります。
ユリア:今回はサデルじーちゃん迷わなかったのれすね。
『古の民』の長エイドシック:「おや、今日はレイチェルは来ていないのですね」
フウゲツ:「ええ、まあ、いろいろありまして」
GM:ちっ、と小さく舌打ちを(笑)。
フウゲツ:「それで実はですね、かくかくしかじかというワケで」
エイドシック:「ええ、話は伺っていますよ」
フウゲツ:「それで恥ずかしながら、食料を分けてはもらえないかと……」
エイドシック:「そう言われてましても、我々も自分たちで食べていくだけで精一杯ですから」
フウゲツ:「そこを何とか……」
エイドシック:「争うも飢えるもそちらの勝手ですが……そもそも、こうなったのも『秩序』を保つことができなかったあなたがたにも責任があるのでは」
ここにいないレイチェル:そうだろうか。我々は別に悪くはないと思うのだが。
GM:襲撃を受けたこと、そのものは仕方のないことだけど。残った食料を奪い合い、弱者を傷つけたのだから。
エミリー:んー……。
フウゲツ:「もちろん、お礼はします」
エイドシック:「ほう?」
フウゲツ:「『門』が開いたときは……そのときは、我々の食料をそちらにも──」
シュリ:「倍にして返す」
ここにいないヴァイス:そのぐらいはしないとダメか……。
シュリ:『門』が開きさえすればこっちのものだし。
ユリア:『門』が開かないのはそちらが怠惰なせいだし。
ここにいないエミリー:そこまで言っちゃうんだ。
ユリア:森のものを勝手に採っても怒られるの?
GM:『古の民』は別名『森の民』と言われてるぐらいなので……いろいろゴタゴタがあるだろうね。
ユリア:そこを何とか許可をもらって狩りを。
フウゲツ:こちらも、いざこざは起こしたくない。起こしたくないが……。………………ねえ?
シュリ:こじれると思ったからしゃべるまいと思ってたけど……言わせてもらお。
GM:ん?
シュリ:(ニッコリ笑って)「確かに、仕方がないことですね──弱者が、強者に奪われるのは」
エミリー:言葉の外で「奪いにくるぞ」と言ってるぅ(笑)。
シュリ:そういうことを言うとこじれると思ったからずーっと黙ってたんだけどね。
ヴァイス:話し合いじゃなくて脅迫だもんね。
シュリ:だからさっきの一言はまだ言ってないことにして。
エイドシック:「今日のところはお引き取りください。あなたがたのために解析を続けないといけないので」
シュリ:「それに関しては……ホント、よろしくお願いします。──あなたがたの安全のためにも」
ヴァイス:見えない火花が散ってるなぁ……。
こうして……フウゲツ、シュリ、ユリアの3人は『古の民』の集落を後にした。