FINALACT[ぼくのセカイがおわるとき] 03

GM:では帰り道。気配察知をしてくだされ。

フウゲツ:(サイコロを振りながら)気配察知と聞く度にドキドキするんだけど。(コロコロ)成功してる。

GM:大変だフウゲツ、背後に……ッ!

フウゲツ:『仮面』かッ!?

GM:──キャベツの気配が。

フウゲツ:そっちかぁ〜!

ユリア:キャベツ人形が。

GM:つーことで、キャべツを背負った謎の農夫おばさんが、君たちの目の前に。

プレイヤーG:(眠い目をこすり)……なに、出番?

GM:出番です。お待たせしました。

プレイヤーG:もう朝の7時半だしね。

ユリア:7時間待ち。芸能界みたい。

農夫のおばさん(プレイヤーG):(ブツブツと小声で)「キャベツの出来はそこそこだけど、これで何とか今年の冬も越せそうだし……」

一同:「………………」

農夫のおばさん:そう言いながら、森の奥へ消えていく。

シュリ:……このおばさんひとりの備蓄があったところで、何の解決にもならないんだけど。

フウゲツ:「……何だったんだ、今のは」

ユリア:(自信満々に)「アレはキャベツの人れす」

シュリ:「それって見たまんま」

農夫のおばさん:──って、誰も追ってきたりはしないのだね。

フウゲツ:いや、消えたって言われたから……。

農夫のおばさん:別にどろんと姿を消したワケではなくてですね、森の奥へと歩いていった、とそういうワケでして。

フウゲツ:「まっ、待ってくれ!!!」

農夫のおばさん:振り返るよ。

フウゲツ:「その……その植物は一体どこで……」

農夫のおばさん:「どこでって……アタシが作ったんだぁよ」

シュリ:「余剰作物があったりはしませんか?」

農夫のおばさん:「余剰って言うか……」

シュリ:実はこの街の8割の野菜は自分が作ってるとか言い出すんじゃ。

農夫のおばさん:「我々の食料のほとんどはアタシが作ってるようなもんだべや」

一同:「おおぉ〜!」

ユリア:「我々」が誰を差すのか微妙れすが(笑)。

農夫のおばさん:「冬を越すぐらいの分は充分あるやぁね」

フウゲツ:「あの、不躾なお願いで大変恐縮なのですが……その食料を我々にお貸し願えないでしょうか」

農夫のおばさん:「それは全く持って不躾なお願いだねぇ。アンタはモノの頼み方ってヤツを知らんのかい?」

ここにいないヴァイス:なーんかどこかで聞いたことがあるような言い方……(笑)。

フウゲツ:「実はかくかくしかじかというワケで……我々は今、食料に関して非常に切迫した状態にあるのです」

農夫のおばさん:「ほう……」

フウゲツ:「だからどうか……その食料を我々に」

農夫のおばさん:「人数はどれくらいだ?」

ヴァイス:今は……600人ぐらいか。

農夫のおばさん:600……10日分、が精一杯かねえ。

ここにいないエミリー:10日も持つんだ。

シュリ:「『門』が開いたら、1.5倍にして返しますから」

農夫のおばさん:「『門』とやらが開く見通しは立っているんかい?」

シュリ:「立ってます(きっぱり)。……いつになるかは分かりませんが」

農夫のおばさん:「……それは見通しが立っていないと言うんでないかい?」

フウゲツ:「お願いしますッ!」

農夫のおばさん:まあいいけど……それなら、3回回ってワンと言え!

シュリ:また?(笑)

農夫のおばさん:切羽詰ってるなら、それぐらいやってもいいと思うけど?

ユリア:シュリが得意れすよ。(銃を)3回回してバン!

エミリー:それ、違う。

農夫のおばさん:アタシを殺して食料を奪う、それもいいだろうさ。だが今の長は7代先のことまで考えてるからね。

ユリア:7代先まで祟る、と。

農夫のおばさん:まあ今のアイツはハナタレだから仕方ないんけどねぇ。

シュリ:7代先までには『門』もきっと開いてますし。……何より、殺す気なんかないですし。

GM:まずそこを否定しておかないとね(笑)。

シュリ:「食料が10日分あれば。『門』もいつか開きますし」──10日以内に開くとは言ってないところがポイントね。

農夫のおばさん:「10日分アンタたちにやるってことは、アタシの食料も10日分しかなくなるってことだ」

シュリ:「だからそれは増やしてお返しするってば」

農夫のおばさん:「………………。お。(何か思いついたらしく)そうだね、じゃあ、とりあえず畑までついてくるべさ。──ちなみにアタシの名前はマリアルイサだよ」

GM:では、農夫のおばさんマリアルイサに着いていった先。森の奥の開けた場所に──広大な畑が広がっている。

フウゲツ:ここ……森の中だよな。

ユリア:明らかに矛盾した広さなんれすけど。

GM:そして冬だというのに新鮮な野菜が盛りだくさん。辺り一面に、キャベツを始めとして──

農夫マリアルイサ:サツマイモ、ブロッコリー、シメジにカイワレ、そしてもちろんモヤシまでッ!

ヴァイス:そんなのばっかりかい。

GM:もちろん普通の(?)野菜もたくさんある。ここはまさに──

シュリ:宝の山ね。

フウゲツ:素晴らしい。

マリアルイサ:「冬を越す分ぐらいの備蓄はあるから、持っていっていいよ。その代わり──お願いがあるべさ」

フウゲツ:「お願い?」

マリアルイサ:「どこのどいつかは分からんのだけど……最近、この畑が何者かに荒らされて困っておってな」

フウゲツ:「そいつを退治しろってことか。……よっし、そういうことなら任せてくだされ! 自警団集合だぁ!」

GM:一度街まで戻るか。……なら、誰か人質を(笑)。

エミリー:……そこまでする?

GM:でもやっぱり、ねえ。

マリアルイサ:そうだねぇ。じゃあ……ごっほごほごほごほっ!(突然咳き込む)

フウゲツ:(背中をさすって)大丈夫かおっかさん!

エミリー:……残るの、決まったわね。

フウゲツ:はぅあ!

マリアルイサ:じゃあ……そこの若いの。肩を揉みな。

フウゲツ:ははッ、揉ませていただきます!

GM:では、フウゲツが肩を揉んでる間に、人を集めてくるのだね。

マリアルイサ:肩の次はチチだよ。

フウゲツ:なぬぅ!?

ユリア:父の肩を揉め、と。

フウゲツ:何でもいいから、急いでくれ〜!



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