ヴァイス:「………………」
フウゲツ:「…………ヴァイス、犯人に心辺りは?」
ヴァイス:「あるわけないでしょう! ……でも、一番怪しいのはタンです」
フウゲツ:「──タンを取り押さえろ! 早くいけ!」
ヴァイス:「スノウをここに残してはいけません!」
フウゲツ:「俺が守る。……いや、俺が連れていくから」
ヴァイス:せめて短剣を抜いてあげよう。それから、瞳を閉じさせる。
エミリー:そして死姦を。
ヴァイス:(エミリーを)……殺していい? 殺していい?
GM:……どーぞ。
フウゲツ:服の乱れを直して……お姫様だっこで、連れていく。
ヴァイス:………………。
フウゲツ:「ヴァイス! 早くいけ! タンを取り押さえろ!」
ヴァイス:それは、ちょっと即答できない。
フウゲツ:即答しろ!
シュリ:戦略的には間違っているよね。
ユリア:でも、ヴァイスにスノウを運べるとも思えないれすが。
フウゲツ:「何回言わせるつもりだ! タンを探せ! ……スノウは俺が連れていく。文句あるか」
ヴァイス:(悔しそうに顔を歪めた後)「……ありません。いきます」
ヴァイスは、走った。
セツ:(スノウの身体にすがって)「スノウ……スノウ……。ああ……スノウ……」
ゲイン:「どうして……こんな……」
フウゲツ:「すみません……。俺がずっと傍にいれば……。二度までもこんなことには……」
GM:まったく、ねえ……。
フウゲツ:まったく、と言いたいのはこっちだ! ノエルに続いてスノウまで……。
エミリー:両親はフウゲツを責めたりはしないの?
シュリ:しないと思うよ。……言葉の外で「お前が悪いお前が悪い」と言ってるかもしれないけど。
GM:こらこら。──教会に運んでお葬式の準備をしましょう、とセツが言い出すよ。
フウゲツ:「俺……ずっとスノウの傍にいたいけど、それ以上にこんなことをした犯人が許せません。だから……これから俺も自警団に合流します。──スノウのこと、お願いします」
シュリ:そりゃ、アーケインの中にはいるでしょうね。大きな密室みたいなもんだから。
ヴァイス:みんなは今どこにいるの?
エミリー:教会。たぶん、もう少ししたらスノウが運ばれてくるんじゃないかと。
レイチェル:『古の民』のところ。
ユリア:『月の民』のところ。
シュリ:(コロコロ)珍しく寮にいる。
エミリー:なぜサイコロを振る?
シュリ:1が出たらどこか男の部屋にいることにしようと思って。
エミリー:こんなときに、そういうとこにいるんだ。
シュリ:うん。そういう場合も、ある。
GM:シアやカーキも寮だね。オーキッドとタンは見回り。スリーアイは食糧庫の見張り(笑)。
ヴァイス:一番人がいるのは寮か。じゃあ、寮にいこう。
自警団の寮──
ヴァイス:みんなをたたき起こすよ。「みんな起きろー!」と言いながら、ドアをドンドンとたたく。
ここにいないレイチェル:そんなことで起きると思っているのか。
GM:そうきたか(苦笑)。
シュリ:さすがにそこまでは言わないけど……ちょっと考えた。はたしてそれで起きるもんかしら。
フウゲツ:起きろよ(怒)。
カーキ:(ドアを開けて)「ンだよ……こんな夜中に」
シュリ:何があったのか分かんないまま、起きてこよう。──ちなみにプレイヤーはこのぐらいでは起きないけどね。
GM:オーキッドとブルーは見回りで、寮にはいない。そのまま食糧庫の見張りをスリーアイと交代することになってる。だから砦にいるのは、シュリ・カーキ・シアだけか。
一同を作戦会議室(という名の食堂)に集めたヴァイスは、口を開いた。
ヴァイス:「いきなりだけど……スノウが殺された」
シュリ&カーキ:「「……は?」」(←言葉の意味が飲み込めてない)
ヴァイス:「だから…………冗談でも何でもなく、スノウが殺された」
カーキ:「いったい……誰がどうしてなんで?」
シュリ:「どういう……こと?」
ヴァイス:「僕にもどういうことなのかはさっぱりだけど……スノウが死んだことだけは確かなんだ」
シア:「………………え。あう……えっと……え? ……そう、なんだ……」
ゆっくりと、その言葉が持つ意味を咀嚼していく。
カーキ:(ヴァイスの胸倉をつかんで)「話せ。……詳しく話せよ、おい!」
ヴァイス:「僕だって詳しいことなんて分かんないんだ!」(カーキを突き飛ばす)
カーキ:「上等だよテメエ。……死体を見たんだろ? 場所ぐらい分かるだろうが! どうやって見つけたのかぐらいは話せるだろうが!」
ヴァイス:「洞窟だ。『魔王の森』の……君たちが『五分厘』の洞窟と呼んでるところだ」
カーキ:「何でこんな時間にそこにいった? まさかお前が殺ったってんじゃないだろうな」
ヴァイス:「違うよ!」
シュリ:あたし……ちょっと部屋に戻る。
カーキ:(再びヴァイスの胸倉をつかんで)「詳しく話せ。全部だ」
ヴァイス:「スノウは……自分の家にいた。フウゲツさんがちょっと家を空けた間に、自警団の人が──たぶんタンが──スノウを呼びに来て、そのまま戻らなかったんだ。それに気づいたフウゲツさんが僕を呼びにきて……ふたりでずっと探して……それで……」
カーキ:「あのときか……。オレらが粥食ってたあのときか……」
鈍い音とともに、カーキの拳がヴァイスの頬にめり込んだ。
胸倉をつかまれていたヴァイスは、倒れることもできない。
そのまま2回、右の拳が更にヴァイスの顔を捕らえ──今度こそ、ヴァイスは床に倒れた。
カーキ:「なんで……もっと早くオレたちに言わなかった。死んじまったら手遅れだろーが!」
まだたどりついてないフウゲツ:おっしゃるとーりです。
ここにいないエミリー:こういうときに素直に殴られるのもいいけど……リーダーのくせに逆ギレもできないの?
GM:(逆ギレするリーダーもどうかと思うぞ……)
ヴァイス:「それはそうかもしれないけど、こんなことになってるなんて思わなかったし、き、君たちだって連日の見張りで疲れてただろ!? あ、頭だって回らなかったよ!」(←……逆ギレ?)
プレイヤーG:舌も回ってないようだけどね。
カーキ:「それは、それは。……お心遣い、感謝するぜ!」
更につかみかかろうとするカーキを、シアが制した。顔が腫れてきたヴァイスの頬に、そっと触れる。
そして……ヴァイスの頬が、パンと鳴った。
シア:(平手打ちをした手を押さえて)「いろいろ考えた結果だと思います。仕方なかったんだと思います。でも……やっぱり、ヒドイですよヴァイスさん」
カーキ:「……スノウは、今どこに?」
ヴァイス:「スノウのことはフウゲツさんに任せてきたから」
レイチェル:オルドレース家に戻ることぐらいは聞いてるだろう。
ヴァイス:それもそうか。じゃあ、そう伝える。
そこに、シュリがやってきた。フル装備で、防寒用のマントを羽織っている。
シュリ:「はいヴァイス立って。いくよ」
ここにいないユリア:え、今度は殴る代わりに銃で……?(笑)
レイチェル:「ヴァイス、逃げな」とか言って、後ろから。
ヴァイス:それはさすがに勘弁してほしい。
シュリ:「ヴァイス、立って。いくよ」
ヴァイス:「いくよ……って?」
シュリ:「どこかなんて知らない。──起こってしまったものは仕方ないでしょ。誰が一番怪しい?」
ヴァイス:「タン」
シュリ:「どこにいそうか、見当つく?」
ユリア:ああいうタイプは、自分の部屋にいるんじゃ。
エミリー:確かにその可能性は高い。
ユリア:でも……これで部屋を覗いてみて、いたらイヤれすね(笑)。
シュリ:「ヴァイス、ユリアとエミリーに連絡取って、タンを探させて。あたしは砦の方にいってみる」
カーキ:「オレはシアを着替えさせて、スノウちに送ってくる」
シュリ:「ん、お願い」(すたすたと出口の方へ歩いていく)
ヴァイス:ああ、この統率力と行動力を見習いたい……。
エミリー:ほーんと、どうしてヴァイスがリーダーなのか未だに不思議。
シュリ:それはね、いざってときに責任を取るため。
ヴァイス:だから始末書機能までついてます。
GM:ショムニに出てくる森本レオみたいなもんか。
レイチェル:あはは。
シュリ:「さすがに分かってると思うけど……みんなに連絡ついたら、砦に来るのよ」
ヴァイス:「それくらいは分かってるよッ!」
それぞれがそれぞれの成すべきことを成すために……行動を開始した。