ACT9.0[ゆがみのむこう] 09

フウゲツ:「無事に帰ってくるといいですね……」

エミリー:「そうですね……。ぷかぁ〜っと浮かんで帰ってくるかもしれませんけど」

GM:では残った人たち、ここで気配察知。

フウゲツ:それは殺気?

GM:違うねぇ。

ヴァイス:耳で聞こえる?

GM:聞こえないです。

エミリー:ジェシー様ですか?

GM:んなワケあるかーい!

フウゲツ:(コロコロ)02〜! クリティカル〜!

GM:間違いなく、確実に、君の後ろに『ヤツら』がいる。

フウゲツ:ぐああぁぁぁ〜!!!

GM:みんな湖に背を向けてるから、誰も見ることはできないね。

フウゲツ:「あの……間違いなくヤツらが後ろにいるんですけど……。振り返れば……いる」

ヴァイス:振り返ればヤツがいる。

フウゲツ:YAH〜YAH、YAH〜YAH、YAH〜YAH〜YAH〜!(唄って現実逃避)

ヴァイス:振り返ってみるけど?

GM:そーすると、『仮面の人』が4人、君たちのすぐ背後に立っている。

エミリー:襲ってきそう?

GM:いや、ぼぉーっと立ってるだけ。

フウゲツ:それが余計に不気味だ……。

GM:フウゲツ、振り返ったら湖の方を向いちゃうよ?

フウゲツ:いい、それでもいい、この振り返りたい衝動を決して押さえきれることが……ああ、何を口走ってるのか自分でもよく分からん。

エミリー:よっぽど怖いみたいですね……。

フウゲツ:そして振り返ってたらヤツらがいた、やっぱり〜!

ユリア:当たるかどうかはともかく判定を。ユリアは格闘家れすから。

GM:俺の後ろに立つんじゃねえというヤツだな。

ユリア:殴りかかるれす!
 

 飛びかかったユリアの拳は、空しく宙を切った。
 

ユリア:………………。何事もなかったかのように座り直す。湖に背を向けて。

シュリ(水の中):ユリアは別に見ててもいいんだってば。

ヴァイス:そいつらに、魔力感知を。(コロコロ)……失敗。

GM:それなら何も分からない。

エミリー:相変わらず使えないわねー……。(コロコロ)わたしは成功してます。

GM:魔法的な力は……感じられない。

エミリー:何者なの……?

シュリ(寒中水泳中):実は、我々ひとりひとりの心の中に巣食った悪の心かもしれないわよ!

フウゲツ:それならばまずヴァイスを……。

ヴァイス:ぎゃー!!!(滅びるマネ)

シュリ:あ、ヴァイスってこれ(エミリー)より邪悪なんだ……。

エミリー:え〜、わたしってこれ(ヴァイス)より邪悪……?

フウゲツ:そういえば英語でヴァイス(vice)って『邪悪』て意味なんだよな……。

ユリア:つづりが違うれすが(『ヴァイス』はドイツ語の『白』から)

フウゲツ:「ハロハロー、言葉通じないですかぁ〜?」

GM:……フウゲツ、今どんな気分?

フウゲツ:最初はものすごく怖かったんだが……今は、「ひょっとしたら意外といいヤツらかも」と思えてハッピー。

GM:そっか……。じゃあ、フウゲツの頭の中にこんな声が響く。
 

 『私は<喜>である…… 』

 まるで星空のように見える水の中を、シュリは進んでいた。

 小さな輝き──魔力感知を通して見た『孔雀石』──はたくさんあるようだが、『結界石』になりそうな大きさのモノはなかなか見つからない。
 

シュリ:もちょっと中心の方にいってみよっか……。

GM:湖の中心の方には、大きな『孔雀石』がちらほらあるようだね。んで、そんなモノよりも明らかに強い魔力を放っているモノが。

シュリ:それは何かと尋ねたら?

GM:石板だ。円形のレリーフ。円形の鏡のようなスベスベした彫り物を中心にいろいろ凝った模様が彫ってあるんだけど、一際目を引くのは……


 リレーフを縁取るように彫られた『蛇』──自らの口で自らの尾をくわえた、蛇。
 

フウゲツ(地上で脅え中):<ウロボロス>だ……。

GM:ではシュリ、『心』で判定してくれる?

シュリ:(コロコロ)52成功。

GM:それだけ成功していれば十分だ。──視界が歪み……リレーフの中央、鏡みたいな部分が一瞬透けて見えた。

シュリ:何が見えたの……?

GM:――赤ん坊。胎児だ。

ヴァイス(湖の外):単純に考えたら……これが、『魔王』……?

シュリ:………………。レイチェルに、この石板の座標を覚えさせる。

レイチェル:覚えるも何も、ここは噴水の真下だ。

シュリ:石板は石板として、今は『孔雀石』を探そう。

GM:石板の周りには大きいのがごろごろしてるよ。

シュリ:じゃあ大きめのソフトボールぐらいのヤツを。レイチェルとふたりで。

レイチェル:鎧を脱ぐと私は非力だから……。

GM:そのくらいの大きさなら問題ないか。──無事、『孔雀石』を手に入れることができた。

GM:さて、『古の民』の集落に帰ってきたよ。時間はちょうどお昼ぐらい。

一同:ほいほい。

GM:んで、長の話だと、『孔雀石』を『結界石』に精製するには……(コロコロ)6時間かかるらしい。

フウゲツ:6時間かー……。

GM:どうする? このままここで待つ?

エミリー:いや、一回街へ帰りましょう。

シュリ:そうね。『結界石』は使いの人に届けてもらってもいいし。

GM:んじゃ、『古の民』の案内人とともに、街へ帰るってことで。

ユリア:サデルおじいさんが役に立たないから。

GM:んー、まあ、最近迷いやすくなってるのは確からしいから。

フウゲツ:「んじゃー、帰りましょー! ……途中、『ヤツら』に会わないことを祈りつつ」
 

 いい天気だった。木々の間を通して、青い空が見える。

 透明の『結界』を通して見える、空。

 のんびりと、街へ歩を進める。
 

   ──空に赤い『光』がはじけた。
 

一同:「……???」
 

 小さな光が、ひとつ、またひとつ……増えていく。少しずつ。

 空に、赤い火花の群れ。
 

ヴァイス:「『結界』に、何かがぶつかってるんだ……」
 

 テーレ1141 11月20日 12時09分──
 

 それが、崩壊の始まり。
 

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さみしい。
誰かに伝えたい。
心の中に自分がいてほしい。
ここにいていいんだという証が欲しい。
存在理由。自己肯定。
アーケインが、紅に染まる。
孤独の果てに、待っていたのは……



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