半独立都市アーケイン。
この街で起こった小さな事件は、街に小さな被害を出すにとどまった。
だが、敵の意外な正体は、女たちを困惑させた。
GM:さて、ゴブリン事件の余韻にひたってる間に一週間が過ぎた。
シュリ=W=ホーネット:ひたるような余韻、あったの……?
ユリア=スート:直接顔すら合わせてないですよ?
レイチェル=ローゼンブラット:……仕事したの、私だけ。
エミリー=リーディング:「今日はパワーボムの掛け方と返し方ですよ〜」
シュリ:朝っぱらから。
ユリア:ベッドの上だから安全だと思い込んでるんだね?
レイチェル:ただのマニアだから、準備運動とかもナシ。
エミリー:「起きなさーい!」(と言いながらパワーボム)──首の角度が変な方向に。
GM:をいをい。
エミリー:それで毎年、何人か亡くなっている、と。
シュリ:だけど孤児だから誰も気づかないのね。
エミリー:そうそう。
GM:ヒドイ話だ。──ま、そんなエミリーは後回しにして、と……
レイチェル:いきなり後回し(笑)。最初に発言したのに。
ユリア:ユリアはね、まだ寝てると思う。
レイチェル:噴水の前。いつも通り。
シュリ:男のベッドから、こっそり抜け出す。
エミリー:こっそりなの?
シュリ:こっそりだよ。
GM:そして手ぬぐいをすぱーんすぱーんとさせながら、服も着ないで共同浴場へ。
シュリ:服は着るし、お風呂には行かないって……。
GM:濡れた手ぬぐいを男の顔にのせる、でもいいけど。
レイチェル:いや、きっともう男は冷たくなってると思う。
シュリ:すでに殺った後なのね(笑)。
GM:寝てる、噴水、男の部屋……いつもどーりか。──なら、エミリーに話を戻そう。彼女を一番最後にしたのは、イベントがあったからだよ。
エミリー:イベント?
シュリ:お祭り?
GM:お祭りじゃなくって、事件のこと。子供たちを起こしにいったら──
ユリア:パワーボムしにいったんだね。
GM:ふむ、パワーボムしにいくと(笑)、ボッツ・ヤオ・キリーの3人の姿が見えない。
ユリア:いないと思ったら、上の方から「きぃぃー!」と襲ってきたりして。
エミリー:しまった、死角をつかれた!(笑)
GM:いや、ホントにいないんだってば。
エミリー:これはシルヴァ様に知らせにいかないと。
GM:では、シルヴァもシュリと同じく男のベッドから……
一同:イヤすぎる(笑)。
シュリ:お肌ツヤツヤなのね。
ユリア:実は男でできたベッドだったりして。
レイチェル:肉ベッド……。
GM:恐ろしい教会だな……。生気を吸い取ったり、子供の死体が転がってたり、肉のベッドがあったり……。
エミリー:ああ、全部冗談なのに……。
シュリ:いないのはその3人だけ?
GM:そうだよ。
エミリー:なんだ、じゃあ他の子供たちに三バカの行方を聞いてみます。
子供:「知らないでちゅ〜」
エミリー:でちゅ〜ときやがったか、コノヤロー……。──うーん……こんな朝からどこにいったのかしら……。朝っぱらからどこかに出かけるタチじゃないですよね?
GM:うん。
エミリー:「さて、どうしたものかしら……」
レイチェル:(GMの手元のノートを見て)あ、『真相』という文字が見えてしまった。
GM:見たらダメだって(笑)。
エミリー:昨日寝たのは、確認してますよね?
GM:うん、ひとりひとり絞め落としていったから間違いないだろう。
エミリー:……それ、「寝た」ことになるんですか?(←つーか、否定しろよ)
首をかしげながらキッチンへ向かうエミリー。
エミリー:「朝ごはんも食べずにどこかへ行くとも思え──ああッッ!」
キッチンのガラスが、割られていた。しかも食料が荒らされてしまっている。
エミリー:食料って……お菓子だけがなくなってるとか?
GM:いや、肉も野菜もまんべんなく、というか手当たり次第というか……。
エミリー:「ドロボー! ドロボーよー!」
GM:やってくるのはシルヴァと子供ばかりなんだけど。
エミリー:自警団の砦に、子供をひとり走らせます。
子供:「エミリーねえちゃんがドロボー!」
エミリー:それだと誤解をまねくでしょーがぁッ!
GM:「エミリーねえちゃんが『ドロボーに入られた』って伝えてこいって言ってた」というのを走ってるうちに──
ユリア:転んだりして忘れてしまったんだね。
シュリ:「はい、じゃそこに座って。(書類を取り出し)──まずは今日の日付からね。……被害があったのは、昨日の夜でいいのかな?」
子供:「うん」
シュリ:「ふんふん。──あなたの名前は?」
子供:「ネム」
シュリ:「名前(ネーム)ちゃんね。で、被害は?」
ネム:「食べ物と、子供が3人」
シュリ:「子供3人ってのは結構重要ね……。てことはこっちの紙か」(書類を取り替える)
エミリー:ちゃんと仕事してるんですね。
ユリア:書類は書くけど、誰も見ないんだよ。
シュリ:「食べ物って、具体的に何を盗られたの?」
ネム:「肉とか野菜とか。……あ、お菓子は全然減ってなかったよ」
シュリ:「肉とか野菜って言われてもな……。具体的な料理が分かるといいんだけど……」
エミリー:ネム、とりあえず帰ってきて〜!
シュリ:そう思うなら、最初から自分が来なさいよ。子供にお使いさせようっていう発想が悪い。現場見たかどうかも分かんないのに。
エミリー:だって、現場保存しておかないと……。
シュリ:そんなの、シルヴァばーちゃんでいいじゃない。
エミリー:うー……。
シュリ:「うーん……、じゃあ、誰か話の分かる大人の人を連れてきてくれる? ゴメンね?」
ネム:「はーい!」