ACT10.0[眩暈]06

GM:では沙夜の部屋の前。

ビオ:2時間、か……。まあ、リトナもいねえし、いいか。

リトナ:そう思って油断してると、猫用扉から出てきたオレがいつの間にかビオさんの傍に(笑)。

GM:それ、採用。

リトナ:ビオさんの首の後ろにはりついていよう。

ビオ:俺はそれに気づかないで、安心してるんだな。

GM:んじゃ、そこにアリアたちが通りかかったことにしよう。

アリア:「あ、ビオたちだ。何やってるの〜?」

ビオ:「お、お前らか。それがよ……」

リトナ:「かくかくしかじかで」

ビオ:「うお、リトナいつの間にッ!」

リトナ:変な人たちがいるから、しゃべれることは隠しておきたいな……。

ビオ:じゃあ。俺が話そう(みんなに、何があったか説明する)。

キュア:「神隠しの少女が、ここに……?」

アリア:「いいよ、2時間待つよ」

ヴァンダイク:(『ノイジィ・フォー』に気づいて)「確認したいのだが……ここは、敵国だな」

キュア:「そうね、<帝国>に敵対しているところで、かつ食料を補給してるという噂のある場所」

ヴァンダイク:「うむ……」(何か考え込む)

GM:廊下で2時間待つのも何だし、ヴェルティナさんは近くの部屋に入るよう言ってくれる。

アリア:じゃあ、その部屋で2時間待たせてもらおう。

GM:『ノイジィ・フォー』と一緒に、時間が経つのをじっと待ってるワケだ。

キュア:この4人も、謎なのよね……。

ビオ:俺は、沙夜の部屋の前にいるから。

GM:ん、分かった。
 

 2時間後──

ビオ:(沙夜の部屋の扉をたたいて)「おい、開けろ! 2時間経ったぞ!」

GM:返事はない。

ビオ:乱暴にドアを開ける。

GM:部屋の中には誰もいない。

ビオ:やっぱりか……。……分かってたんだけどな。

GM:沙夜がいないのに気づいて、『ノイジィ・フォー』も少し慌ててる。

ヴェルティナ:「あなたたち、この部屋にいてね」

ビオ:「え、おい、ちょっと待てよ!」

ヴェルティナ:「必ず助けに戻るから。あたしたちを信じて……待つのよ」

アリア:「ちょっと、『助け』ってなに〜?」

GM:皆まで聞かず、4人は出ていってしまう。

一同:「……………………」

GM:(さて。信じて待っててくれるかどうか……しばらく傍観していよう)

ヴァンダイク:「傭兵ごときに命令される筋合いはないな」

キュア:「でも、命の恩人だし」

アリア:「よくしてもらったしね」

ビオ:「お前らだけな。……何があったんだ?」

アリア:「それがねー、聞いてよ、もー、スケスケ〜で、セクハラ〜ってかんじだったのー」

リトナ:「言ってること、よく分かんないんだけど」

アリア:「館のボス──ボルサオって人にも会ってきたよ」

リトナ:「そこって、この部屋より立体的?」

アリア:「うん」

リトナ:「うあー、楽しそうだなぁー」

ビオ:「そいつってよ……倒さないといけないんじゃねーのか?」

ヴァンダイク:「屋敷を出るときに火を放てばよい」

キュア:「ちょっと、他にも人はいるのよ?」

ヴァンダイク:「これまでやってきたことを振り返ってみて、なぜ今更そんなことを気にする必要がある?」

アリア:「この屋敷にいるのはね、欲望におぼれて食う寝る遊ぶしてる人ばっかりだよ」

ヴァンダイク:「堕落した傭兵もいるようだし、な」

キュア:「あの……その沙夜という少女がこの部屋からいなくなったということは、どこかに抜け道があるのでは?」

ビオ:「そうだな……。探してみるか?」

リトナ:「ヒマだしね」

GM:隠し扉は簡単に見つかる。

リトナ:入ってみるよ。どんなかんじ?

GM:今いた部屋と同じようなかんじ。窓はなく、扉があるだけ。家具もなく、殺風景な部屋だ。

リトナ:「おもしろくなーい」

アリア:「リトナ、戻っておいでー」

ビオ:閉まってるけどな(笑)。

リトナ:猫用の隠し扉から。

GM:そんなものが。

キュア:(部屋の配置図を見て)隠し扉の向こうの部屋──扉と廊下の位置からして、ビオさんに気づかれないで外に出ることは可能みたいね。

ビオ:俺、バカだ……。……なんでこそこそ逃げる必要があるんだよ?

キュア:さあ、そこまでは……。

ビオ:「俺はここから出るぜ」

アリア:「待って。……待とうよ」

ビオ:「沙夜がいねえんだ。アイツはここから出たくないって言ってたのに、いなくなった」

ヴァンダイク:「我々がいるこの部屋から出たがっていなかったようにも見えた。不思議だが……オゥリンのことなどどうでもいい」

アリア:「あたしは待つけど……みんなはどうする?」

キュア:「待つに一票」

ヴァンダイク:(凄腕の傭兵たち……。ひょっとして、この屋敷内で何か<帝国>の作戦が動いているのかもしれん。ならば……放っておこう)「待つ」

ビオ:「俺は……隣の部屋を探索してえ」

アリア:「う、それにはちょっと心動くかも。……隣だし、いいかな」
 

 てことで殺風景な部屋を探索してみるも、何も目を引くモノは見つからなかった。
 

リトナ:飽きてきたなー……キャラクターも、プレイヤーも。

ヴァンダイク:そろそろ老人は眠くなってくるのではないかと。

ビオ:GM、30分待っても何も起こらない?

GM:うん。

ビオ:「出ようぜ」

リトナ:「出ようか。飽きた」

アリア:「うー……」

ビオ:「待ってるって言うなら、戻ってくるぞ?」

キュア:「ごめん、私も出るに一票。……出て、どうする?」

ヴァンダイク:「屋敷の外へ出るのではないのか?」

リトナ:「それはビオさんがイヤがるんじゃない?」

ビオ:「ああ、沙夜を探さねえと」

アリア:「分かった……出よう」

GM:出るか。……どういう順番で出る?

キュア:ビオさんが先頭で……アリアが最後。

GM:ではしばらく廊下を進んだところで──アリア、マイナス40の修正で『回避』判定。

アリア:そんなのムリ〜! (コロコロ)失敗。

GM:首の後ろにチクリと痛みが。吹き矢の矢が刺さったみたい。

アリア:(引きつった声で)「みんな……誰かいる……」

GM:振り返ると、『ノイジィ・フォー』が立っている。

ヴェルティナ:「あんたたちねー……。部屋から出るなって言ったでしょ」

リトナ:「長い」

ビオ:「だいたい何でお前らの言うこと聞かなきゃならねぇんだよ、ああ?」

ヴェルティナ:「助けてほしくないワケ?」

ビオ:「助けてもらう必要なんかねえよ」

ヴァンダイク:「先程の部屋まで、何の問題もなく来れたわけだしのう」

リトナ:「でもさ、道案内がいた方が、よくない?」

アリア:「あたしは……彼女たちを信じる」

キュア:「私も信じられるかな。ここまで来れたのは、運がよかっただけなのかもしれない」

ビオ:「……意見が分かれたな」

ヴェルティナ:「ボルサオの……ここの人たちのことをあまり知らないようね。館内をうろつくのと外に出るのじゃ、ワケが違うわ」

セーヴル:「殺されるよ」

ビオ:「俺は人を探さないとならねえんだよ」

ミネルヴォワ:「彼女なら……ここにはいないわヨ」

ビオ:「だから、探すって言ってるだろ!」

ヴェルティナ:「だから、ここにはいないんだって」

ビオ:「じゃあどこにいるってんだよ!」

ヴェルティナ:「それは……自分の目で確かめなさい」

ビオ:「まどろっこしいな! だからそうするって言ってるだろ!」

リトナ:「……ちょっと待って、『ここにはいない』って、『この屋敷にはいない』ってこと?」

ヴェルティナ:「さっきからそう言ってるでしょ?」

ビオ:「……………………。本当に、この屋敷にはいないんだな? 絶対絶対絶対だな?」

ヴェルティナ:(うなずいて)「さ、いくわよ」

アリア:「あの……あなたたちはここで何を?」

ヴェルティナ:「ある人の頼みで、ちょっと調べ物をね」

アリア:「それから……さっきの吹き矢なんですけど……」

ヴェルティナ:「ああ、アレは単なる脅しだから大丈夫、毒は塗ってないわ」

GM:『なんとこんなところに隠し扉が!』とか『え、こんなとこ通れるの?』みたいな場所をくぐり抜けていく。

キュア:へー……。

ヴァンダイク:今更だが……。

リトナ:ん?

ヴァンダイク:我々、<帝国>の傭兵であることを少しも隠してないのでは。

一同:あ……。

GM:(やっと気づいたか……)

ビオ:バカだ……俺たち。

キュア:向こうは気づいていて、ワザと……?

GM:執事が出てきたときから、ずっとね。そりゃ、逃げようとしたら殺されますわなー。そうでなくても、あの屋敷で本当に楽しむことができるのはごく一部の金持ちだけで、あとは余興の『道具』と成り果てる場合がほとんどだよ。

アリア:うううー……。

GM:さてさて。30分足らずで、君たちは屋敷の外に出てくるよ。

リトナ:そんな短時間で出てこれるんだ。

アリア:空間的に歪められた屋敷だったのかな……? だったら、やっぱり道案内ナシでは逃げられなかったかも。

ビオ:何なんだ、こいつらは……。

GM:んで──屋敷から十分距離を取った、ちょっとした高台で……君たちを待ってる人がいる。

リトナ:誰?

アリア:「てゆーか……アレって……」
 

 その男は、紫煙をくゆらせながら、レプス04小隊に鋭い目付きを向けた。

 ゆっくりと、タバコの煙を吐き出す。そして、言った。
 

黒炎:「いつまで待たせるつもりだ……阿呆が」

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「彼女たちが01小隊……」
「ここに食料を全て置いていけ」
「<帝国>も見習わねば」
「何やってんだって聞いてんだよォ!」
「真の姿を、その目で確かめてこい」
「ねえビオ……お願いが、あるんだけど」
「ホントに忘れられなくなっちゃった……」



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