アリアのプレイヤー:明日仕事だから仕方ないね。うるさいかもしれないけど、ごめんね。
ドモ・ルールのプレイヤー:どうせ寝れないと思うし。
リトナのプレイヤー:だったらここへ来い。
ビオのプレイヤー:違う場所で寝ればいいんだ。
ヴァンダイクのプレイヤー:外とか。
アリアのプレイヤー:それはひどい。
ドモ・ルールのプレイヤー:では、おやすみ〜。
一同:おやすみ〜。
ビオ:(スティールの肩に手を置いて)「一体何があるんだろうな、『10食』」
スティール(ここからNPC):「ええい、触るな赤トカゲ」
キュア:「ケンカしないのー」
アリア:「すっかり仲良くなっちゃって」
リトナ:そういえば、『10食』さんはどこまで事情を知ってるの?
キュア:『10食』さん言うな……。
リトナ:いや、オレだって人のことちゃんと『さん』付けで呼ぶよ?
アリア:『10食』って呼ぶのが問題なんだってば。
GM:そうだねー……最初から話すか。──前も言ったけど、今<連合国>は2つに割れている。<夕闇のメネトゥ>が最近急速に力をつけてきているのが原因だ。
キュア:そんな話だったわね。
スティール:「<メネトゥ>が力をつけた原因の一つに……食料や武器の新たな補給ルートを確保した、というのがあります。そしてその物資が、どうやら西南の方から運ばれているらしいのです」
リトナ:「全ての『泉』がそっちにあるってことか……」
ビオ:「よし、いこう! さあ早くいこう!」
キュア:「ビオさん、それは食べ物があるから?」
ビオ:「当然!」
アリア:「その食べ物とか武器とかの生産って、誰かが仕切ってるの? 王様?」
スティール:「噂ですが……それらを牛耳っているのは──ボルサオ。<メネトゥ>で一番の大富豪です」
キュア:「ボルサオ……」
スティール:「昔からあまりいい話を聞かないヤツです。オゥリン狩りをしてるなんて話も聞きますし」
ビオ:(スティールの胸倉をつかんで)「オゥリン狩りだと! どういうことだ、おい!」
スティール:「やめんか赤トカゲ!」
ヴァンダイク:オゥリン刈りって、どんな髪形なのだ?
一同:(脱力)
ビオ:「その話は本当なんだな『10食』!」
スティール:「嘘を言っても仕方ないだろうが。……いいかげん、手を離せ」
ビオ:「………………」(スティールを離す)
スティール:「<真なるアルカディア>については……先程話したことぐらいしか知らないです」
キュア:「そう……。やっぱり、西南へいくしかなさそうね」
ビオ:「おういこうぜ、もたもたしねぇでよ」
アリア:「では、改めて西南へ!」
キュア:「そろそろ残り少なくなってきたわね……」
リトナ:「そうだね……」
アリア:「ヤバイよぉ、あと3日分しかない」
GM:荒野を越えてしばらくいったところで、ぽつんと不自然に建っている屋敷が見えてくる。悪趣味だけど、かなり大きい。
リトナ:「あれってボルサオの屋敷?」
ヴァンダイク:「そのようだ」
リトナ:「あっさりと、ここまで来れてしまったね」
アリア:「うああ〜、おっきいぃ……」
ヴァンダイク:マッチョな人間をかたどっているのが何とも悪趣味だが。
GM:そういう悪趣味ではない(笑)。必要以上に豪華なかんじなだけです。典型的な豪華さ、というか。
アリア:「ねえ、食料分けてもらおうよ」
リトナ:「それと、宿の確保」
ヴァンダイク:お菓子の家の壁をはいで食べれば大丈夫。
GM:お菓子の家でもないって。
アリア:「正面から、堂々といくの?」
スティール:「そう簡単にいくでしょうか……。ボルサオの館は<欲望の館>とも呼ばれてますから」
キュア:業突張りなんだ。
リトナ:残念だね、欲望の専門家(ドモ・ルールのこと)が寝てしまって。
ビオ:そうだな。
リトナ:「とりあえず、いくだけいってみたら?」
アリア:「うんうん、いってみようよ」
キュア:「食料が残り少ないのは確かだしね」
スティール:「そこまでおっしゃるなら……もう何も言いますまい」
キュア:そういうアリアは?
アリア:あたし、この顔では知られてないし。
ビオ:(顔を歪めて)ほうやっれ、るっとへんらかほをひてほけばひひ(こうやって、ずっと変な顔をしてればいい)。
GM:仮面でもかぶる?
アリア:ヒゲメガネを。
GM:にわかせんぺい(福岡名物)のお面でもいいけど。
リトナ:ビオさんに2、3発殴ってもらえばいいよ。
キュア:骨格まで変わっちゃうってば。
リトナ:それなら完璧だ。
キュア:元に戻すのが大変でしょーが。
ヴァンダイク:顔をコールタールづけにすればよい。
一同:死ぬ死ぬ(苦笑)。
GM:で? どうするの?
アリア:やっぱ、正面からいく。
キュア:私とスティールは顔を隠して、ね。
GM:(いいのか……? 敵国内だぞ、ここ……)
持っていたマントなどを使ってキュアとスティールが顔を隠し、アリアが屋敷の呼び鈴を鳴らした。
ややあって、扉が細く開けられる。
GM:顔を出したのは、執事風の男。奇妙なことに、顔の上半分を隠すような仮面をつけている。
キュア:なに……? 仮装大会……?
GM:せめて仮面舞踏会と言おう。
アリア:「あの……あたしたち、旅の者でして……。それで、もしよろしければ、食料を少し分けていただけないかな、と思いまして……」
仮面の執事:(仮面の奥で目を細めて)「………………。……それは大変でございましたね。とりあえず、中へどうぞ」
GM:仮面執事の案内で、君たちは応接室らしき部屋へ通される。
アリア:いえい!
GM:「しばしお待ちを」ってことで待たされるよ。部屋の中は、豪華だけどやっぱり悪趣味。
アリア:(……<帝国>のお城よりお金かかってそー……)
リトナ:「お金って、あるところにはあるんだねー……」
GM:しばらくして、執事が戻ってくる。
仮面の執事:「それでは、そちらのお嬢様」
アリア:「あたし?」
仮面の執事:「そして、そちらの顔を隠されたお嬢様」
キュア:「……はい?」
仮面の執事:「そして、そちらの紫の髪の方。……どうぞこちらへ」
ラグランジェ:「……?」
GM:てことで、アリア・キュア・ラグランジェの3人は、別の部屋に通される。
ビオ:俺たちはどうなるんだ?
GM:もうしばらくこの部屋でお待ちあれ。
アリア:言っちゃ悪いけど……見た目で選んだのかな?
キュア:スティールは?
ヴァンダイク:不審人物と間違われるぐらい顔を隠してるに違いない。
リトナのプレイヤー:……その3人が別行動してる間、お茶買ってきていい?
GM:あ、その方がいいな。……んじゃあ、買い出しよろしく。3人でいっておいでー。
ビオのプレイヤー:待たされてる間、何をしてるか話し合っておこう。