仮面の執事:「そのような堅苦しいものはお取りになって、どうぞお顔をお見せください」
キュア:「いえ、おかまいなく……」
仮面の執事:「それは残念です。素顔はさぞお美しいだろうと思ったのですが」
キュア:「いえ、そんな……大した顔ではありません」
アリア:「お美しいだってさー、クスクス」
キュア:「……何か?」
アリア:「べっつに〜」
GM:んで、お酒の載ったお盆を持った女性とすれ違う。
キュア:メイドさん、かな……?
GM:そのようだ。ただ普通と少し違うのは、仮面をつけてて……下が素っ裸だというところ。
アリア&キュア:……え?(呆気に取られる)
アリア:「あの……あれは?」
仮面の執事:「ああ、メイドです」
キュア:「いや、そんなあっさり……」
アリア:「あの……ひょっとして、ここではああいうのがフツーなんですか……?」
仮面の執事:「おや、御存じなかった。……これは大変だ」(口元に笑みを浮かべる)
キュア:何が大変なんだろう……。すさまじくイヤな予感がする……。
アリア:うん、何かゾワゾワとくるものがあるんだけど……。……ちょっと恐ろしくなってきた。
仮面の執事:「それでは、こちらのお部屋にどうぞ」
GM:通されたのは、巨大な鏡がある部屋。窓はない。
仮面の執事:「こちらにお召し物をご用意してますので、どうぞお着替えください」
アリア:「いえッ、あたしは、この格好で十分ですッ!」
GM:アリアの言葉を聞かず、執事は部屋から出ていく。で、ガチャリと施錠する音が。
アリア:「あうー!」
キュア:「閉じこめられた……?」
アリア:あの……お召し物って、何ざましょ?
GM:目を隠す、きらびやかな仮面――
キュア:……だけ?
GM:――だけ。にゃははははは(笑)。
キュア:変な魔法がかかってないか、調べてみる。(コロコロ)魔力感知には成功。
GM:魔法物ではないようだよ。
アリア:なら、付ける。
キュア:あっさり付けちゃったんだ……。……でも、付けないと出さないってことなんだろうな。
アリア:付けたよー。GM−、仮面、付けたよー。
GM:執事が戻ってくる気配はないねー。
キュア:仮面を付けるだけではダメってこと……? てことは……やっぱり……。
GM:はいな、お召し物は、お脱ぎください。
アリア:なんで〜!
GM:おや御存じない? ここは、そういう場所なのです。
ラグランジェ:「……困りましたね」
アリア:「あたしは、ヤだよ?」
キュア:「私もイヤ」
ラグランジェ:「僕だってイヤです」
アリア:「じゃあ、みんなイヤってことで」
ラグランジェ:てことで、キュアさんお願いします。
キュア:……何が?
ラグランジェ:だって、アリアさんを脱がせるわけにはいかないでしょう? でもひとりぐらい脱がないと……ねえ?
キュア:で、アナタが脱ぐってワケね。
ラグランジェ:えっち〜! キュアさんのえっち〜!
アリア:キュアさんのえっち〜!
アリア&ラグランジェ:(手拍子して)えっち、えっち、えっち、えっち、わー♪
キュア:……だから?(怒)
ラグランジェ:……ごめんなさい。ちょっと言ってみただけですぅ〜。
アリア:ですぅ〜。
ラグランジェ:「……おかしいですよね、この屋敷」
アリア:「うんうん、悪趣味〜、って思う」
ラグランジェ:「誰がこんなところに入ろうって言ったんでしたっけ?」
アリア:「ごめん、あたし〜! ……でも、みんな反対しなかったじゃないのよぉ〜、食料もらう気満々で〜! ぶぅ〜」(ふくれる)
キュア:「まあ、ただでもらえるとは思ってなかったけど、ここまでとはねー……」
アリア:「今度人が来たら、断って、帰らせてもらおうよ」
キュア:「そうね……食料は、諦めましょう」
GM:ではしばらく待つと……扉が開いて、波打った紫の髪もなまめかしいお姉様が入ってくる。純白の、薄衣のドレスが色っぽい。
色っぽいお姉さん:「あら、やっぱり着替えてなかったの」
アリア&キュア:あ、服着てる。
色っぽいお姉さん:「そうよねー、そりゃ、脱げないわよねー」
アリア:「トーゼンですッ!」
色っぽいお姉さん:「じゃあさ、せめてあたしと同じ、こういう風な服に着替えてくれない? 薄手のドレスだと思えば平気だと思うけど」
キュア:「スケスケ?」
色っぽいお姉さん:「違うわよッ、失礼ねー……」
アリア:「やっぱり、着替えないとダメなのかなー……」
キュア:「ここは、どういう場所なんですか?」
色っぽいお姉さん:「知らないで来たの? ……ここはボルサオの館よ。……別名、<欲望の館>」
キュア:「欲望は欲望でも、そっちの方だったのか……。性欲もアリってことなのね……」
アリア:「そりゃそうでしょ」
色っぽいお姉さん:「アナタには食欲しかないわけ?」
アリア:「ちゃんと睡眠欲もありますよぉ」
ラグランジェ:「……もう性欲ヤだぁ(涙)」
キュア:「ここに別の性欲にさらされて憔悴した人が」
色っぽいお姉さん:「ま、それもOKなんじゃない?」
アリア:「OKOK! ……それより、その服なんですけど……」
色っぽいお姉さん:「しょーがないわねー……。……じゃあ、ちょっと待ってね」
GM:いったん部屋の外に出て、それからちょっとして……お姉さんが更に3人、人を連れてくる。
ひとりは、背の高い女性だった。……女性にしては肩幅が広く、顎や首のラインがごつい気もするが。
もうひとりは──もうふたりは、鏡に映したような、左右対称の双子の少女──少年?──だった。片方が金髪に鳶色の瞳、もう片方が銀髪に蒼い瞳。
3人とも、純白の衣装を着ている。
アリア:人が増えたね……。
色っぽいお姉さん:「えーと……あ、まだ名前言ってなかったわね。あたしはヴェルティナ」
アリア:「あたし、アリア」
キュア:「キュア」
ラグランジェ:「ラグランジェです」
色っぽいお姉さん(ヴェルティナ):「こっちの大きいのがミネルヴォワ。小さい金髪の方がセーヴル、銀髪の方がヴィラージュ」
セーヴル&ヴィラージュ:「「よろしく、おねえちゃんたち」」
ミネルヴォワ:「あーら、なかなかキレイなのがそろったじゃなーい、今回は。ホッホッホ」
ラグランジェ:(ヴェルティナ、ミネルヴォワ、セーヴル、ヴィラージュ……ひょっとして、『ノイジィ・フォー』……?)
ヴェルティナ:「あたしのがイヤなら……あとは、セーヴルたちみたいに丈の短いヤツか、ミネルヴォワみたいなロングスカートタイプしかないけど」
アリア:「その中からだったら……ロングのヤツかな」
ミネルヴォワ:「じゃあはい、これ。わたし以上に着こなしちゃ駄目ヨ。それからそこのお兄さんはこれ着てネ」
アリア:(オ、オカマ……)
ヴェルティナ:「じゃああたしたちは外に出てるから、着替え終わったら呼んで」
アリア:「あの……」
ヴェルティナ:「……まだ何か?」
アリア:「着替えるのはいいんですけど……ホントはイヤだけど……あの、ラグランジェ君がいると、着替えられないっていうか……」
ヴェルティナ:「はあ……(ため息)。いいわ、こっちへいらっしゃいラグランジェ、お姉さんが着替えさせてあ・げ・る」
アリア:「うはぁ、ごめんなさーい! ……着替えます、着替えますから…………ちょっと後ろ向いててね、ごめんね〜」
GM:んじゃ、4人組は部屋から出ていくよ。
アリア:「……じゃ、着替えようかキュア」
キュア:「……仕方ないわねー……」
GM:えーと、その前にちょっと『知識』の判定してくれる? キュアにはマイナス20の修正。
キュア:何だろう? (コロコロ)……成功してるけど?
アリア:(コロコロ)あたしも。
GM:さっきの4人の名前、聞いたことがある。
<帝国>内でも最強ではないかと噂される傭兵集団、『ノイジィ・フォー(騒がしい4人組)』──その4人の名が確か、ヴェルティナ・ミネルヴォワ・セーヴル・ヴィラージュだったはずだ。
アリア:……そういう人たちだったんだ。
キュア:ほほう……<帝国>の傭兵が、こんなところに……。
アリア:ちょっと警戒した方がいいかも……ってことで、ここでやっと警戒モード発動、かな。