突如襲撃してきた黒き鎧の暗殺者──ツェラーとの闘いが、始まろうとしていた。
アリア:(ぼそっと)「こんなとこまで刺客が来るなんてね……」
一同:にょにょにょーん(効果音)。
アリア:あたしも剣を──『剣』を召喚しよう。
ビオ:波動拳!
リトナ:あいーん!(志村けん)
ヴァンダイク:自分、不器用ですから……(高倉健)。
リトナ:さ、どのケンを召喚する?
アリア:普通の、剣タイプの召喚獣でいい……。
ヴァンダイク:ツェラーって、魔界にいるときもこの姿なのかね?
GM:確かに、ツェラーの本体はリューデスという少年であったワケだけど……ツェラー本人とも限らないし。ツェラーの鎧を着ている誰かかもしれない。
ヴァンダイク:なるほど。──ということは、外見に見覚えがあるわけだ。
キュア:そうなの?
ヴァンダイク:昔宮廷にいたから、『六葉』のことは知っておるよ。
『六葉』とは、リースリング姫(フェルチアイアの姉)に仕えていた6人──ラグランジェ・オルディネール・ロートシルト・ミュスカディ・ロゼ・ツェラーのことである(リプレイ第二部参照)。
ヴァンダイク:……そのうちのひとりは娘であるしな。
キュア:そうなんだ……。
ビオ:(ツェラーに向かって)「まあ待てよ。腹が減ってるなら食い物分けてやっからさ」
キュア:「違う……たぶん違う」
アリア:「──はい気を抜かない、相手はプロです、プロ」
キュア:なぜ分かる?
ビオ:そんなこと知らねえし。
アリア:だから注意を促したんだよ。
キュア:「ということは……心当たりがあるのだな?」
アリア:「ちょっとね。……やらなきゃ、やられちゃうよ」
GM:んじゃ、イニシアティブ振ろうか(みんなでコロコロ)。
10(最高値)を振ったアリアとキュアが一番手となった。
キュア:さっきの動きを見るかぎりではまた後ろを取られそうだしな……。アリアの後ろの位置をキープしつつ、間をぬってスライサーを投げる。
ビオ:まるで臆病者のようだな。
アリア:ファンブルしたらあたしに刺さるの?
リトナ:ファンブルしたら全員の頭がアフロになるんだよ。
GM:修正をマイナス20あげよう。
キュア:(コロコロ)それでも当たってる。ダメージは20点。
GM:アリアとビオの間をぬって飛んだスライサーは、ツェラーの仮面に命中した。一部が砕けて、赤紫色の髪がパサリと。
キュア:赤紫……?
ヴァンダイク:ツェラーの中身は空っぽだったはず。あの中には別の誰かが……?
リトナ:そんなことはどうでもいいんだけどね。
アリア:あたしは呪文の集中。
GM:じゃ、イニシアティブで9振った人。
ヴァンダイク:わしか。飯の準備をしていたのだから、まずは武器の準備だろうな。
GM:で……あとはイニシアティブ2か。
ビオ:俺からいこう。接近して、一歩手前で身体を回転させながらアックスハルバートを横に振り抜く。ダメージは……(コロコロ)38点だ。
一同:ぶッ!
GM:うはー、いきなりダメージきたなぁ……。
キュア:化け物じみてるなぁ……。ビオさんとは絶対ケンカしたくない。
GM:(コロコロ)ショック判定(一度に大きなダメージを食らったときに行う判定)は成功している。鎧の胸の部分がボロボロだね。──では反撃に、ビオさんにゼロ距離射撃の炎の魔法を……(コロコロ)あう、失敗してる。
ヴァンダイク:さっきは氷だったのに今度は炎とは……節操がないな。
続いてリトナのアクロバティックな攻撃が当たり、ツェラー(?)の仮面を完全に砕いた。
GM:仮面に押し込んでいた髪がばさっと風になびく。赤紫色の髪に紫の瞳。プレイヤーには分かるね、ラグランジェだよ。
リトナ:なつかしー。
GM:ヴァンダイクのホモセンサーにも反応が(笑)。
キュア:ああ、彼ほどの美形になるとそうなるのね。
GM:いや、彼が一番好きだったのはラグランジェ君だったから。
ヴァンダイク:ところでホモセンサーは相手がホモかどうか分かるというものなのだが……それでよいのか?
GM:よくないです。じゃあ、『ときめきホモセンサー』ということで。
ヴァンダイク:(武器を取り落として)「……ラ、ラグランジェ……」
GM:わしの青春が帰ってきた、と。
ヴァンダイク:(股間を見て)わしの青春が帰ってきた。
GM:老いてなお、盛んなのね(笑)。
キュア:そっちの青春はイヤだなー……。
第2ターン。一番手はラグランジェ。
GM:後ろに飛びのいて距離を取ろう。
リトナ:じゃあその距離を跳躍で一気につめて……上から斜めに爪を振り降ろす。その後はこう、身体を沈めたかんじでポーズ。(コロコロ)あ、外れた。
GM:ラグランジェの前髪すれすれをかすっていったんだな。
キュア:次、私か。この状況じゃスライサー投げてもみんなに当たりそうだし……アリアをかばうようにして立つ。
GM:敵なのにかばうの?
ヴァンダイク:順に首をはねていけばよいではないか(笑)。
ビオ:みんなが死ねば逃げられるかもしれないのに。
キュア:とにかく、かばうから。
ビオ:で、俺の番か。リトナと同じく距離をつめて、今度は縦回転。遠心力を利用してハルバートを振り降ろす。
GM:身軽なトカゲだなー。なんで回転するの?
リトナ:ビジュアル的な問題でしょ?
GM:失敗すると足元にいるリトナが真っ二つだね。
ビオ:(コロコロ)外れてる(笑)。
リトナ:「にゃー!」(あぶねー!)
GM:ふたりとも攻撃外れか。……これは逃げられるかな?
アリア:そこにあたしの魔法が。「これがホントの魔法よ!」
ラグランジェの足元に魔法陣が浮かび、炎が燃え上がる!
GM:(ダメージを計算して)ん、今の攻撃でヒザをつく。
リトナ:にゃー(目線が同じ高さだー)。
GM:じゃ、次のターン。(みんなでサイコロを振る)一番手はヴァンダイクか。
ヴァンダイク:ラグランジェの方にふらふらと歩いていこう。
アリア:もう一度、呪文の集中。
キュア:容赦ないね。
GM:アリアもラグランジェには見覚えがあるんだけど。
アリア:じゃあ気づいて、呪文はやめよう。そして「ラ……」とだけ言う。
ヴァンダイク:気づいたんだが、集中していた魔法は食らわせたのだね?(笑)
アリア:集中してるときは目をつぶってるから気づかないのよ。……そういうことにしといて。
キュア:で、私か。攻撃はできそうにないから「ラ……」と言ったアリアを横目で見る。もちろんかばったまま。
リトナ:そんなことに気づいてないオレは……しゃがんだ状態から身体のバネを使って飛び上がり、顔を引っ掻きながら飛び越える。
GM:イタそうだなー。
リトナ:ガマンしてね。
GM:ラグランジェの額に赤い筋が走り、血が飛び散る。
ビオ:で、俺の番だな。
ヴァンダイク:ビオは驚かないのかね?
ビオ:へ?
ヴァンダイク:『血』が、出ているようだが。
ビオ:あ……。『血』……『血』か……。
キュア:そっか、何となく聞き流したけど魔族には血が流れていないはず……。
ビオ:ハルバートを構えたところで、動きを止める。
GM:コイツはうまそうだー!
ビオ:ちがーう!
リトナ:オレはそんなこと気づいてなーい。
GM:爪に赤い血がついているよ? ペロッとなめたら大興奮だね。
リトナ:やっぱりそうなの? マタタビで興奮するんじゃないの?
GM:んー……両方? ……では、ここで戦闘は終わりにするか。みんな、動きが止まったみたいだし。
リトナ:えー、このあと蹴りを入れようと思ってたのに。
ビオ:ハルバートでリトナをこづく。
リトナ:にゃんッ!
アリア:あたし、見覚えあるの?
GM:遠くからちらっと見たことはある。
キュア:私は、ないよね。
GM:戦ったことがあるかもしれないけどね。
リトナ:オレは?
GM:フェルチアイアに会いに行ってるときに、姉姫様と一緒にいるところを見たことがあるかも。──てことで、ラグランジェは血をポタポタさせながら、ヒザをついている。
ビオ:「『ラーヴ(血)』……お前、『オゥリン(人間)』か!?」
ラグランジェ:(首を横に振る)
ヴァンダイク:首を振るたびに血が飛び散るのだね。……それをペロペロ舐めようかと思ったが、いろいろイヤなのでやめておこう。
ビオ:絵的にも、ものすごくイヤだ。
キュア:いいんじゃない? ロマンスグレーのおじさまとだったら。
GM:ヴァンダイクはロマンスグレーのおじさまだよ……黙っていれば。
ビオ:「わしのホモセンサーが」とか言わなきゃいいんだ。
ヴァンダイク:ラグランジェの方に近づいていこう。
アリア:肩を揺らしながら。
ヴァンダイク:肩を揺らしながら。羽も揺らしながら。違うところも揺らしながら(一同笑い)。