ACT6.0[約束]01

 <真なるアルカディア>を目指し旅を続けるレプス04小隊。

 突如襲撃してきた黒き鎧の暗殺者──ツェラーとの闘いが、始まろうとしていた。
 

アリア:(ぼそっと)「こんなとこまで刺客が来るなんてね……」



リトナ:戦うなら、人型になるよ。

一同:にょにょにょーん(効果音)。

アリア:あたしも剣を──『剣』を召喚しよう。

ビオ:波動拳!

リトナ:あいーん!(志村けん)

ヴァンダイク:自分、不器用ですから……(高倉健)。

リトナ:さ、どのケンを召喚する?

アリア:普通の、剣タイプの召喚獣でいい……。

ヴァンダイク:ツェラーって、魔界にいるときもこの姿なのかね?

GM:確かに、ツェラーの本体はリューデスという少年であったワケだけど……ツェラー本人とも限らないし。ツェラーの鎧を着ている誰かかもしれない。

ヴァンダイク:なるほど。──ということは、外見に見覚えがあるわけだ。

キュア:そうなの?

ヴァンダイク:昔宮廷にいたから、『六葉』のことは知っておるよ。
 

 『六葉』とは、リースリング姫(フェルチアイアの姉)に仕えていた6人──ラグランジェ・オルディネール・ロートシルト・ミュスカディ・ロゼ・ツェラーのことである(リプレイ第二部参照)
 

ヴァンダイク:……そのうちのひとりは娘であるしな。

キュア:そうなんだ……。

ビオ:(ツェラーに向かって)「まあ待てよ。腹が減ってるなら食い物分けてやっからさ」

キュア:「違う……たぶん違う」

アリア:「──はい気を抜かない、相手はプロです、プロ」

キュア:なぜ分かる?

ビオ:そんなこと知らねえし。

アリア:だから注意を促したんだよ。

キュア:「ということは……心当たりがあるのだな?」

アリア:「ちょっとね。……やらなきゃ、やられちゃうよ」

GM:んじゃ、イニシアティブ振ろうか(みんなでコロコロ)。
 

 10(最高値)を振ったアリアとキュアが一番手となった。
 

キュア:さっきの動きを見るかぎりではまた後ろを取られそうだしな……。アリアの後ろの位置をキープしつつ、間をぬってスライサーを投げる。

ビオ:まるで臆病者のようだな。

アリア:ファンブルしたらあたしに刺さるの?

リトナ:ファンブルしたら全員の頭がアフロになるんだよ。

GM:修正をマイナス20あげよう。

キュア:(コロコロ)それでも当たってる。ダメージは20点。

GM:アリアとビオの間をぬって飛んだスライサーは、ツェラーの仮面に命中した。一部が砕けて、赤紫色の髪がパサリと。

キュア:赤紫……?

ヴァンダイク:ツェラーの中身は空っぽだったはず。あの中には別の誰かが……?

リトナ:そんなことはどうでもいいんだけどね。

アリア:あたしは呪文の集中。

GM:じゃ、イニシアティブで9振った人。

ヴァンダイク:わしか。飯の準備をしていたのだから、まずは武器の準備だろうな。

GM:で……あとはイニシアティブ2か。

ビオ:俺からいこう。接近して、一歩手前で身体を回転させながらアックスハルバートを横に振り抜く。ダメージは……(コロコロ)38点だ。

一同:ぶッ!

GM:うはー、いきなりダメージきたなぁ……。

キュア:化け物じみてるなぁ……。ビオさんとは絶対ケンカしたくない。

GM:(コロコロ)ショック判定(一度に大きなダメージを食らったときに行う判定)は成功している。鎧の胸の部分がボロボロだね。──では反撃に、ビオさんにゼロ距離射撃の炎の魔法を……(コロコロ)あう、失敗してる。

ヴァンダイク:さっきは氷だったのに今度は炎とは……節操がないな。
 

 続いてリトナのアクロバティックな攻撃が当たり、ツェラー(?)の仮面を完全に砕いた。
 

GM:仮面に押し込んでいた髪がばさっと風になびく。赤紫色の髪に紫の瞳。プレイヤーには分かるね、ラグランジェだよ。

リトナ:なつかしー。

GM:ヴァンダイクのホモセンサーにも反応が(笑)。

キュア:ああ、彼ほどの美形になるとそうなるのね。

GM:いや、彼が一番好きだったのはラグランジェ君だったから。

ヴァンダイク:ところでホモセンサーは相手がホモかどうか分かるというものなのだが……それでよいのか?

GM:よくないです。じゃあ、『ときめきホモセンサー』ということで。

ヴァンダイク:(武器を取り落として)「……ラ、ラグランジェ……」

GM:わしの青春が帰ってきた、と。

ヴァンダイク:(股間を見て)わしの青春が帰ってきた。

GM:老いてなお、盛んなのね(笑)。

キュア:そっちの青春はイヤだなー……。
 

 第2ターン。一番手はラグランジェ。
 

GM:後ろに飛びのいて距離を取ろう。

リトナ:じゃあその距離を跳躍で一気につめて……上から斜めに爪を振り降ろす。その後はこう、身体を沈めたかんじでポーズ。(コロコロ)あ、外れた。

GM:ラグランジェの前髪すれすれをかすっていったんだな。

キュア:次、私か。この状況じゃスライサー投げてもみんなに当たりそうだし……アリアをかばうようにして立つ。

GM:敵なのにかばうの?

ヴァンダイク:順に首をはねていけばよいではないか(笑)。

ビオ:みんなが死ねば逃げられるかもしれないのに。

キュア:とにかく、かばうから。

ビオ:で、俺の番か。リトナと同じく距離をつめて、今度は縦回転。遠心力を利用してハルバートを振り降ろす。

GM:身軽なトカゲだなー。なんで回転するの?

リトナ:ビジュアル的な問題でしょ?

GM:失敗すると足元にいるリトナが真っ二つだね。

ビオ:(コロコロ)外れてる(笑)。

リトナ:「にゃー!」(あぶねー!)

GM:ふたりとも攻撃外れか。……これは逃げられるかな?

アリア:そこにあたしの魔法が。「これがホントの魔法よ!」
 

 ラグランジェの足元に魔法陣が浮かび、炎が燃え上がる!
 

GM:(ダメージを計算して)ん、今の攻撃でヒザをつく。

リトナ:にゃー(目線が同じ高さだー)。

GM:じゃ、次のターン。(みんなでサイコロを振る)一番手はヴァンダイクか。

ヴァンダイク:ラグランジェの方にふらふらと歩いていこう。

アリア:もう一度、呪文の集中。

キュア:容赦ないね。

GM:アリアもラグランジェには見覚えがあるんだけど。

アリア:じゃあ気づいて、呪文はやめよう。そして「ラ……」とだけ言う。

ヴァンダイク:気づいたんだが、集中していた魔法は食らわせたのだね?(笑)

アリア:集中してるときは目をつぶってるから気づかないのよ。……そういうことにしといて。

キュア:で、私か。攻撃はできそうにないから「ラ……」と言ったアリアを横目で見る。もちろんかばったまま。

リトナ:そんなことに気づいてないオレは……しゃがんだ状態から身体のバネを使って飛び上がり、顔を引っ掻きながら飛び越える。

GM:イタそうだなー。

リトナ:ガマンしてね。

GM:ラグランジェの額に赤い筋が走り、血が飛び散る。

ビオ:で、俺の番だな。

ヴァンダイク:ビオは驚かないのかね?

ビオ:へ?

ヴァンダイク:『血』が、出ているようだが。

ビオ:あ……。『血』……『血』か……。

キュア:そっか、何となく聞き流したけど魔族には血が流れていないはず……。

ビオ:ハルバートを構えたところで、動きを止める。

GM:コイツはうまそうだー!

ビオ:ちがーう!

リトナ:オレはそんなこと気づいてなーい。

GM:爪に赤い血がついているよ? ペロッとなめたら大興奮だね。

リトナ:やっぱりそうなの? マタタビで興奮するんじゃないの?

GM:んー……両方? ……では、ここで戦闘は終わりにするか。みんな、動きが止まったみたいだし。

リトナ:えー、このあと蹴りを入れようと思ってたのに。

ビオ:ハルバートでリトナをこづく。

リトナ:にゃんッ!

アリア:あたし、見覚えあるの?

GM:遠くからちらっと見たことはある。

キュア:私は、ないよね。

GM:戦ったことがあるかもしれないけどね。

リトナ:オレは?

GM:フェルチアイアに会いに行ってるときに、姉姫様と一緒にいるところを見たことがあるかも。──てことで、ラグランジェは血をポタポタさせながら、ヒザをついている。

ビオ:「『ラーヴ(血)』……お前、『オゥリン(人間)』か!?」

ラグランジェ:(首を横に振る)

ヴァンダイク:首を振るたびに血が飛び散るのだね。……それをペロペロ舐めようかと思ったが、いろいろイヤなのでやめておこう。

ビオ:絵的にも、ものすごくイヤだ。

キュア:いいんじゃない? ロマンスグレーのおじさまとだったら。

GM:ヴァンダイクはロマンスグレーのおじさまだよ……黙っていれば。

ビオ:「わしのホモセンサーが」とか言わなきゃいいんだ。

ヴァンダイク:ラグランジェの方に近づいていこう。

アリア:肩を揺らしながら。

ヴァンダイク:肩を揺らしながら。羽も揺らしながら。違うところも揺らしながら(一同笑い)。



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