prologue[降臨]05


赤の世界『アルカディア』

ここでは、<帝国>と<連合国>の争いが何千年に渡って続いていた。

大陸北部一帯を領土とする<帝国>

その周囲の小国が手を結んだ<連合国>

長きにわたる戦いは、そのおおもとの火種すら人々に忘れさせ、
いたずらに争いと悲劇を反復させるだけだった。
 

だが、あるとき大きな変化があった。

アルカディアの住民が青の世界――『人間界』の存在を知ったのである。

自分たちと違う場所に住む違う存在、人間。

彼らは人間をオゥリンと呼び、近づき、調査した。

人間界との『扉』が開くたび調査団を送り、またこちらへオゥリンを住まわせたりもした。

彼らは敵なのか、友となりうるのか、あるいは……

結論は残酷なものであった。

オゥリンは非常に利用価値の高いものである。

特に『ラーヴ』は"赤い麻薬"であり、戦士の闘争本能を高めるのにとても適している、と。
 

慢性的で惰性的だった争いは更に凄惨さを増すばかりで、未だ終わりは見えていない。

そして今、星そのものも、死に絶えようとしている。
 

それが……『アルカディア』

メーヴェたちの、偽りの楽園。

.be.Continue...
「息子がこの門を通るんです……」
「そこらじゅう死体だらけだ」
「これは……『ラーヴ』か」
「この先に、何があるんだ?」
「意識を取り戻したら、腹を殴れ」
「面倒だ。取っ払ってしまおう」
「ああ、これで通れます……」



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