OP.3[夜毎、神話がたどりつくところ]-a tale for you- 11

アルバス:サ○ヤ人だー! スペース・オードーだー!

ドモ・ルール:まさかここで出てくるか。

リューセ:え……? どういうこと……? え……?

GM:混乱するのは分かるけど、確かにあのオードーに見えるね。……そしてもうひとり。『船』から降りてきたのは、エノクだ。

ゼナ:先生まで! ボク、ちょっといってきます。

リューセ:私もー。

GM:では、涙のご対面といきますか。

ゼナ:「あの……エノク先生……ですよね……?」

エノクによく似た男:(しばらく沈黙の後)「……お久しぶり、ゼナ君。本当にまた会えましたね」

ゼナ:「え?」

エノクによく似た男:「言ったでしょう? 『宇宙のどこかで、また会えたら楽しいですね』って。……もう、12000年も前の話ですが」

一同:(絶句)

ゼナ:「12000年……?」

エノクによく似た男:「わたしはエノク・399。エノク=レイズブルークの意志と記憶を継いだ、399代目のクローンです」

リューセ:12000年で399代……確かにそんなもんかも。

ゼナ:オードーさんも、クローン?

アルバス:いや、オリジナルだろ。

ヴァンダイク:いやー、長生きですねーとおだてられて。

アルバス:気がつけば12000歳を超えていた、と。
 

 そんなバカな。
 

オードー:「あれからいろんなことがあっただ」

エノク・399:「星々を旅し、世代を重ね……やっと、この星にたどり着くことができました」

ゼナ:「この星って……」

エノク・399:(両手を広げ)「ここが『ヒーメル』の故郷──惑星エデンです」

ビオ:……ここってアルカディアだよな。

リトナ:そだね。

ビオ:なんだ、バカか。

GM:どっちも正しい。この星は、エデンと呼ばれ、地球と呼ばれ、アルカディアと呼ばれた、星だよ。

リューセ:じゃあ……あたし女神オファニエルだった頃ここに住んでたことあるのかなぁ……。──『ヒーメル』と(地球の)人間って同じ存在なの?

GM:そのへんは今後別の物語で語る機会があるかもしれないから、今は伏せておこう。

ヴァンダイク:しかし……12000年も経っていると、いろいろ事実がねじ曲がって伝わっていそうだ。

アルバス:ん?

ヴァンダイク:アルバスはネロのような暴君で、神リューセはその仕打ちに耐え、世界をお創りになったと。

アルバス:ちょっと待て(笑)。

エノク・399:「ところで……みなさんはなぜこんなところに?」

ゼナ:「実はいろいろとあって……。そうですね、どうせならこの星の人に話してもらいましょうか。……まずはこのスグ後ろにいる人に」

ヴァンダイク:「ほう」

リトナ:そしてビオさんが。

ビオ:んお?

リトナ:ビオさんがオードーと算数対決。

リューセ:なんで算数……?

GM:1+3はなーんだ?

ビオ:………………。

オードー(プレイヤーP):………………。……おら、世間知らずだから。
 

 一同大笑い。
 

アルバス:「むしろおらが世間だ」とまで言っていたのに。

ゼナ:考えること自体を放棄してますよね。
 

 ビオとオードーのことは置いておいて、一行はエノクに事情を説明した。
 

エノク・399:「なるほど……。では我々もお手伝いしましょう。……──さあどうぞ、我らが船、『エスペルプレーナ・インフィニティ』に」

リューセ:おおー、無限大!

GM:──さて、アリア。気がつくと君は清潔なベッドで寝ている。

アリア:何が起こったんだろう……。

リューセ:「あ、気がついた? 今、エノクさんたち呼んでくるね」

アリア:「……ここ、どこ?」

リューセ:「『船』の中だよ」

GM:エノクたちの『船』に乗った後、センサーなり神パワーなりで、塩の砂漠の真ん中で倒れているアリアを発見した。

ドモ・ルール:適当だな、おい。
 

 エスペルプレーナ・インフィニティは今、衛星軌道上に浮かんでいる。

 見下ろせば、アルカディアの星全体を虹色の光が覆っている。
 

アリア:どうなったの……?

ゼナ:分かりません。レイチェルさんたちが関係してるとは思うんだけど、あの光は。

アルバス:星の再生中なんじゃないか?

GM:さてここで、レイチェルから通信が入る。<ウロボロス・システム>の……この星の<統括者>に、アリアが選ばれたと。

アリア:はい?

GM:レイチェルの新しいマスターになったのだ。

レイチェル:ほう。

リトナ:それは大変だ。

GM:そして……この星の、あり方を決めてほしいと。<新生>か。<再生>か。

アリア:どう違うの?

GM:星を一から創りなおすのが、<新生>だね。時間は7日7晩もかからないし、<秩序>と<混沌>の力の流れも全く正常な状態に戻る。ただし……

アルバス:地表のものが全てなくなってしまう?

GM:そう。

アリア:ダメだよ、それじゃイミがない。

GM:でもこのエスペルプレーナ・インフィニティなら、アルカディア中の人を乗せることもできるかもしれない。元々、そこまで多くの人はこの星に生き残っていないし。

アルバス:第三部ラストみたいなことを、もう一回やれってことか。

アリア:………………。

GM:<再生>は、星の状態を少しずつ元に戻していく方法。すぐに効果は出てこないし、また<混沌>が暴走するようなことが起こるとも限らないけど、地上世界に大きく影響することもない。

リトナ:新築か、リフォームか。

一同:うーん……。

GM:どうするか考えて、結論を出してね。

アリア:みんなが努力して、だんだん幸せになっていくのがいいな。

ドモ・ルール:だがそれでまた滅びていくのかもしれないなら、いっそ新しく一からやり直した方がいいかもしれんぞ。

リトナ:どうかなぁ? リフォームして古い骨子を残した方が丈夫だったりするよ?

ドモ・ルール:それは建築の話だろ。

ビオ:俺は……どっちでもいい。星が最終的に助かるなら、それでいい。

リトナ:どっちかと言うと、リフォーム。なんだかんだ言っても、今まで自分が生きてきた世界だからね。

ヴァンダイク:一からやり直すとなると、"国"もなくなりますな。そうなると現在の役職も失うことになる。……まあそれでも構わないのだが。

ビオ:いいのかよ(笑)。

ヴァンダイク:結局は<帝国>の意志に……上司に従うことになるだろう。

GM:となると……最後はやっぱりアリアの決定ってことになりそうだね。

アリア:うん。あたしは──
 

 星々が煌く闇色の宇宙。虹色に輝くアルカディア。そしてその向こうから月が姿を現す。

 ……それはどこか、寂しげに見えた。
 

アリア:「この<世界>がなくなってしまうのはやっぱり寂しいよ。……──アリア・ミリアル・エルズミーアは、緩やかな<再生>を望みます」



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