文句を言いつつも、てくてくとエノクの部屋へ。
エノク「やあアルバス君」
アルバス「ども」
エノク「………………」
アルバス「………………」
ゼナ「話さないと!」
アルバス「あー、もう。だるい! ……えーと、リューセ知らない?」
エノク「いいえ」
アルバス「あ、そ。……だってさ」
ゼナ「元に戻る方法!」
アルバス「あ、それもか……」
残念ながら(今回も)エノクには分からないらしい。
エノク「学者として、非常に残念なのですが……。最近理解不能なことが多すぎます」
じゃあカリストパラスに聞こうってことで、ブリッジへ向かう。
カリストパラス『どうしました?』
アルバス「クシャミをしたら頭の中がうるさくなった」
カリストパラス『それは……。えーとそうですね……』
ゼナ「人間くさいコンピュータだね」
ユンケ「人間の脳を使ってるからしようがないよ」
アルバス「タイタニックとか?」
ユンケ「そう」
アルバス「あれは船がやる気をなくしたから沈んだんだろ?」
ゼナ「『あー、さむ!』とかって?」
アルバス「『こんな寒いとこ進めるかっちゅーてんねん! 俺と同じ思いさせたるわ!』」
カリストパラス『最近マスター(アルバス)の魔法力は非常に不安定になってますね』
アルバス「て言われても……低い魔法力が不安定になったところで、そう変わりはないだろ?」
カリストパラス『ですが……前回の事件も、今回のことも、相当高い魔法力がなければ不可能です』
アルバス「それはまァ、そうか」
カリストパラス『……ひょっとしてマスターにはとんでもない潜在能力があるのでは?』
アルバス「いや〜そうかもしれんなァ〜──っていつからオレはこんなにオヤジくさくなったんだ?」
ゼナ「ははは」
アルバス「おだてられても何もならないからな……。──何かいい手はないか?」
カリストパラス『こちらでも情報を集めてみます。それまでリューセさんでも……』
ゼナ「『でも』扱い?(笑)」
カリストパラス『リューセさんでも探して時間つぶしててください(笑)』
ゼナ「リューセさん、通信機持ってたっけ?」
GM「持ってるでしょ」
ゼナ「なら連絡してみます」
しかし通信機はつながらない。ま、とーぜんですな。
ユンケ「リューセの部屋に行って、匂いをたどってみるだわさ。ガンバ並の嗅覚で」
アルバス「どんな嗅覚だ」
ユンケ「鼻がないから嗅覚ない(笑)」
アルバス「行くだけ行ってみるか」
てことで、リューセの部屋へ。
アルバス(ガンガンガンと足でノックする)
ゼナ「……なんでこうかなァ、アルバスさんて……」
GM「もちろん返事はないし、カギもかかってる」
アルバス「カリストパラス、開けて」
カリストパラス『ですが……一応……一応、一応レディの部屋ですから……』
アルバス「かまわん。レディというようなタマじゃない」
ガンバ「船長命令だ!」
リルル(ぽそっと)「うそォ……信じらんない……」
カギを開けてもらい、部屋の中へ侵入するアルバス。
GM「……リューセの部屋ってどんなんだろ……?」
この一言がキッカケで、部屋の中を考えてみようということになった──
GM「せっかくだから、リューセのプレイヤーに(インターネットで)聞いてみようか」
アルバス「でっかいベッドがあるだろうな。天蓋付きの」(ベッドを描き込む)
ゼナ「おっきいね……」
GM「返事返ってきた。──『フリフリの部屋』だって」
アルバス「やっぱりな。……じゃあここに棚を置いて……」
どんどん描き込んでいくアルバス(のプレイヤー)
アルバス「こんなもんか」
ユンケ「さ、次はアルバスの部屋だわさ」
GM「やっぱ和風なんだろうね」
アルバス「ここに布団(薄いマットレスつき)をひいて……」
ユンケ「前にベッドの上でぽんぽんはねたことがあったよ(笑)」
GM「きっとこういう部屋にする前のことだったんだよ」
アルバス「ここにコタツ……と座椅子……とお茶セット……と座布団……──なんかリューセのと比べて来客用の部屋になってないか?」
GM「きっとそれが『和』の心なんだよ」
続いてゼナ・オードー・サリース……といったかんじで、延々30分話は脱線していたのだ。
ゼナ「ボクの部屋はパソコンは押し入れの中で、あとはジャンクパーツが散らばってる。んで──」
アルバス「こんなかんじか?」
GM「オードーの部屋には囲炉裏や熊の敷物があるのな……」
アルバス「水瓶もあるだろうな」
GM「トイレは便座が外してあって、穴があるだけ(笑)」
アルバス「サリースの部屋は回転ベッドオンリー」
ユンケ「お風呂はマジックミラー張りだわさ」
GM「『殺風景な部屋でしょう』というサリース(のプレイヤー)の要望通りだね」
ユンケ・ガンバ「「わたいらの部屋はねえ……原子レベルで何も存在してないだわさ」」
アルバス「──よし、こんなもんだろ。……リューセのだけでよかったはずなのに(笑)」
GM「ほいじゃ、話に戻ろうか」
GM「──さ、リューセの部屋に入ったよ」
アルバス「ずいぶん時間がかかったな(笑)」
GM「まったくだ」
アルバス「とりあえずベッドをバッとめくってみる」
GM「誰もいないよ」
ユンケ「ベッドの下を探ってみるだわさ」
GM「エッチな本──は出てこないだろうねェ」
ゼナ「エッチな棒が出てきたりして」
アルバス「他に手掛かりになりそうなものは?」
GM「日記が見つかった。カギはかかってない」
アルバス「別にいいや。興味ないし」
ゼナ「GM、日記の中身を事細かに用意してあったりして……(笑)」
そんなこたァないよ。
GM「じゃー……リューセはいないようだ」
アルバス「他にどんなとこ行くかな、あいつ」
大浴場・ブリッジ・食堂・アンとレオの部屋と回ってみるが、やっぱり見つからない。
ゼナ「ダストシュートの中とか?」
アルバス(さっと指差して)「……いないみたいだな……」
ユンケ「代わりにサリースが出てきたりして」
アルバス「あとはどこだ? ──弾薬庫? そんなとこに何しにいくんだ?」
行くだけ行ってみるも、やっぱりいない。
アルバス「じゃー……あきらめるか」
そのとき──
視界が赤く染まり、緊急事態を告げるサイレンが鳴り始めた。
ゼナ「エマージェンシー!」
ユンケ「危険危険!」
GM「扉という扉がロックされてしまってる。で、スピーカーから『ほえ〜ほえ〜』という声が聞こえてくる」
アルバス「なんだリューセ、そんなところにいたのか。──よし、解決!」
GM「……してないだろ」
ゼナ「ひょっとして……カリストパラスの中に『封印』されてる……?」
アルバス「そうだとしても……どうしようもないだろう」
ユンケ「よし、こよりを作るだわさ」
アルバス「クシャミ頼みか。……しかし自分で自分の鼻をくすぐるのはヒーローとして美しくないな」
GM「……ヒーローだったのか……」
アルバス「主人公といえばヒーローだろ」
ゼナ「今までの行動も十分美しくなかった気が……。……いや、逆なのかな?」
ユンケ「悪の美学?」
『ほえ〜〜ほえ〜〜ほえ〜〜』
アルバス「ほえほえ言ってないで事情をしゃべれよ!(笑)」
ユンケ「こっちから呼びかけてみるだわさ。──ベントラベントラ……」
ゼナ「なにそれ?」
ユンケ「UFOとの交信」
アルバス(突然マイクを持って)「総員退艦! 現時刻より5分後を持って艦を放棄する!」
ユンケ「そういいたいんか?」
アルバス「ちょっと違うぞ」
ユンケ「ところで今わたいらはどこにいるだわさ?」
GM「弾薬庫の外の──廊下かな」
ユンケ「ドアがロックされたってことは、廊下を往復するしかできないんだね?」
ゼナ「あ、そか……。エレベーターも使えないだろうし。これじゃ逃げられませんよ」
アルバス「カリストパラスに呼びかけてみる」
カリストパラス『ほえ〜』
アルバス「だろうね。期待はしてなかったよ」
ユンケ「こういうときは熱いベーゼで……」
GM「ムリムリ(笑)」
ユンケ「じゃあアルバスにクシャミさせるだわさ。たァー!」(こよりを持ってダイブ)
アルバス「へ……へっっくしッ!!」