MOND REPLAYV

アルバス:さ、誰か操舵やれよ。

ガンバ:わたいが“何か”するだわさ。

アルバス:溶けるとか?

シェオール:“何とか”するんじゃないんだな(笑)。

GM:アルバスたちが去ってしばらくして、『メルカバー』も姿を消す。一応約束は守ったみたいだね。

サリース:虚数空間は?

GM:そのまんま。

サリース:脱出は自分たちでどーにかしろってことか……。

GM:じゃ、トパーズ、いってみようか。まずは『心』マイナス50で判定。

トパーズ:(コロコロ)成功〜!

GM:続いて『技』マイナス20で判定。

トパーズ:しっぱーい!

GM:てことは魔法はうまく発動したけど、剣先がヘロヘロ〜となってしまったんだな。

ガンバ:最近マフィの体重が増えたから。食っちゃ寝食っちゃ寝。

マフィ:ヒドーイ! そんなことないモン!

GM:ちゃんとMP減らしておいてね。

トパーズ:ううう……遊園地でバカスカ使ったのにィ……。

GM:他の人はどうしてるの?

ゼナ:先生たちとエンジンの修理。

オードー:当面の危機は去ったみてェだから、キッチンで料理でも作るだ。

GM:リルルは医務室に逆戻りだね。イリスは母親がいなくなってしまったから、部屋でふざぎこんでる。

シェオール:なら、イリスの部屋の外でブラブラしてる。

ユナ:わたしも部屋にこもろ。

GM:てことは今ブリッジにいるのは、リューセとガンバとサリースだけ?(よしよし、これで何とかなる、かな……)──トパーズ、再トライしてみる?

トパーズ:やる! ハアアアア……(サイコロに念を込める)たああッ!
 

 コロコロコロ……
 

トパーズ:ひゃ、100……大ファンブル……(顔がひきつってる)。

一同:うわ……。

GM:(を、これは思わぬウレシイ誤算)てことは魔力が空になって、パッタリと気絶してしまう。

ガンバ:そして剣を取り落としてしまう、と。グッバイマフィ!

マフィ:イヤだァァァァ!!

GM:冗談だってば。

マフィ:人間の姿に戻って、トパーズおねーちゃんを介抱する。

GM:ファンブルしたからマフィもグッタリしてる。──サリース、ブリッジからその様子が見えるけど。

サリース:(シェオールに連絡して)「トパーズとマフィ連れてきて。どーせ暇でしょ?」

シェオール(GM):「ひとりでふたりも抱えきれるか! お前も来い」

サリース:「あたしよりもオードーとかの方がいいでしょ?」

シェオール(GM):「ならお前が代わりに晩飯作ってろ」

サリース:「いいわよ、そのくらい」

GM:じゃ、サリースはキッチンに移動ね。

GM:ブリッジを出てエレベーターに乗り一階に降りて扉が開いたトコで、『心』で判定してみて。修正はマイナス30。

サリース:(コロコロ)04。クリティカルだね、これは。

GM:クリティカルかァ……。ビンビンに殺気を感じる。

サリース:う……! 武器を構えて辺りを探る。

GM:姿は見えないねー。

サリース:またかァ……。うー……キッツー……。

GM:てことで……そろそろ姿を現してもいいんじゃないかな?

ビッケ:では、姿を現そう。

カー:なんでビッケカウゥ〜!

サリース:……マジ?

GM:マジ。君の目の前に姿を現したのは黒いマントに身を包んだクックルックルーフ、ビッケだ。

サリース:う、わァ……。冗談抜きで?

GM:おう。──考えてみれば分かるでしょ。姿が消せて、通気口から出入りができる。

サリース:新たなNPCじゃなけりゃそうだろうと思ってたけど……。

GM:つながりが分からなかった?

リューセ:私、タナトス系の人かと思ってた。

ゼナ:タナトス系って(笑)。

サリース:しかもあたしは彼とは初対面、だよね。

カー:朝顔組はみんな知らないカウ。

GM:会ったことがあるのはリルルだけか。……エノクが話だけ聞いてたっけ。ま、サリースは初対面ってことで。

サリース:(さりげなく通信機のスイッチを入れながら)「アンタ、何者?」

GM:通信機はブリッジにつながるんだよね。ブリッジにいるのはリューセだけだよ。

サリース:あう……。

リューセ:だいじょーぶ、ガンバ船長もいるから。

サリース:最悪……。

ガンバ:ビッケとは変な次元──クックルックルーフ時空(笑)──でつながってるから、彼のことなら何でも分かるだわさ。

サリース:「で──アンタは何者なの?」

ビッケ:「私は……お前の兄妹だ」

サリース:「はあ?!!」

ゼナ:わー、セルだセルだ♪((C)ドラゴンボール)

マフィ:てことは……サリはクックルックルーフだったのね!!

トパーズ:……そんな短絡的な……(笑)。

マフィ:短絡的すぎた?

サリース:(顔を引きつらせつつ)「……兄妹の涙の再会にしては、ずいぶん物騒な雰囲気じゃない?」

ビッケ:「それが運命というものだ」

サリース:……ホントにクックルックルーフ? コイツ……。

リューセ:てゆーか、答えになってない気が。

サリース:「それに……兄妹ってどういうことよ?」

ビッケ:「……少し昔話をしてやろう。──今から8年前のことだ。私はお前を追ってこの地にたどりついた。そして……クックルックルーフ『ビッケ』と融合した」

リューセ:うわー……それはまた……。

カー:それでクックルックルーフにしてはマトモだったカウね。

サリース:「で? アンタがクックルックルーフと人間の融合したモノだってのは分かったけど、それとあたしと何の関係があるの?」

ビッケ:「言ったはずだ、お前を追ってきたと──遠く、北キャンバス大陸からな。つまり……お前もまた、北キャンバス大陸の人間なのだ」

サリース:「そ……うだったの?」

ビッケ:「たぶん知らないだろうが、北キャンバス大陸では遥か昔から『強き人間』を造るための研究が進められてきた」

ガンバ:神を倒せるような人間だね。

ビッケ:「そしてたどりついた答え──それがGシリーズと呼ばれたモノたちだ。彼らは一部の例外を除いて共通の『母』を持つ。よって私とお前は兄妹というわけなのだ、サリース……いや、『G−13』」

マフィ:ゴルゴ13だ(笑)。

リューセ:なるほど、GはゴルゴのGだったのねッ!

ガンバ:13人のゴルゴがいるんだわさ、きっと。

ゼナ:それって、テレサテンが10人いるってのと同じだよ?(笑)

オードー:ビッケは何番なんだベ?

GM:ビッケは強い『力』を持ちながらも制御ができない“欠陥品”だったからナンバーをもらえなかった。だからG−X。

ビッケ:「ここから先は、その身体に聞いた方が早いな」
 

 手をかざすビッケ。サリースの瞳孔がぎゅっとしぼみ、身体がガタガタと震え出す。
 

サリース:「か……はァ……」
 

 そしてサリースの背に、悪魔を思わせる黒い翼が生えていく──
 

サリース:「は……はは……何よこれ、シャレになんないじゃない……」

ビッケ:「10年前、ある事件がもとで組織そのものが壊滅し、Gシリーズも破棄されることになった。私はその後始末をしているというわけだ。……もう何人もの兄弟を殺してきた」

サリース:「壊滅したなら、ほっといてくれたらいいのに」

マフィ:確かに。それにGMもいっっちばん始めに言ってたじゃない、「前回のことは忘れてくれ」って。

ガンバ:それはもう、トパーズが出てきた時点でダメだわさ。

ビッケ:「それは無理だ。南キャンバス大陸にGシリーズの技術を伝えるわけにはいかんし、お前が『母』と同じ能力を持っている可能性もある」

マフィ:ポコポコ子供を産まれたら大変なことになるもんね。

リューセ:えーと……すっごく能力が高い子供を産めるんだったっけ、その『母』は。

GM:そ、“最高の母親”なの。

サリース:でもあたしは子供産めない──って、ビッケは知らないか。

ビッケ:「だから、私はお前を殺す。──お前は存在してはならない存在なのだ

 ……ずっと、聞きたくなかった言葉がある

「お前は存在してはならない存在なのだ」

 それを聞いたら、わかってしまうから……
 

 ─―ズット、アタシガノゾンデイタコト─―
 

 自分でも知らないうちに、待っていた言葉がある

「そっか……つまりあたしは『造られた存在』で、悪用されたらマズイわけだ……。危険な存在は排除するに限るってね……。ハハハ……そっかァ、あたしは、いちゃいけない存在なんだ……」

 それを聞いたら、楽になれるから……
 

 ──アタシハ……アタシハ、アタシハ……──
 

 自分に死をもたらす存在

 それを目の前にしているのに、この奇妙な安らぎはなんだろう……
 

 ──ソウカ、アタシハ……──
 

 だけど

 まだ、受け入れられない まだ、死ねない……

「あの……悪いけどさ、少しだけ、時間くんない? クリシュナさんとアルバスのことが片付くまで、待って欲しい。ちょっと……気になることがあるからさ」

 そう、まだ死ねない

 あのふたりには……ううん、みんなには……笑っていてほしいから……

 だから、それを見届けるまでは……

 だけど……

 その後なら、死ねない理由がないから

「それが済んだら、アンタの好きなようにしてくれていいよ。──どう?」

 そう、あたしには……あたしには、生きていく理由がないから

 だから……あたしは、今までで一番優しい微笑みを浮かべた

 現実と夢の狭間にいるような、奇妙な安堵感とともに……
 

 ──モウ、ツカレチャッタ……──
 

 長い沈黙のあと

「そうか……。──私はいつでもお前を見ているぞ」

 そう言い残して、彼はあたしの前から消えた

   ………………

    ………………

 それからどれぐらいそこに立ち尽くしていたのか……

 通信機の呼び出し音が、あたしを現実に引き戻した

「……あ、スイッチ、ONにしてたんだっけ……リューセに聞かれちゃったなァ……」

 だけど、今のあたしにはどうでもいいことだったから

 スイッチを切って、ブリッジへ向かった

 夢の続きのような、恍惚感の残滓にひたりながら……

 そして『船』は、異次元の海を漂い続ける───

o be Continued…


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