MOND REPLAYV

 激しく揺れる船内。警報のランプが視界を赤く染める。カリストパラスが次々と破損箇所を報告していく。

 バリアはもうもたない。砲撃もイミがない。

 ただ身を寄せ合うことしかできない。ジリジリとした焦り。思った以上に進んでいない時間。

 そして──
 

GM:第三波が来る。──エスペルプレーナのどこに被弾したか、判定してみよっか。

サリース:そういうときって、問答無用であたしの部屋なんじゃないの?

GM:それは被害妄想というもの!(←そうか?) サイコロ振るよー!(コロコロ)──ゼナの部屋、だね。

ゼナ:予想した通りだー! ──なぜか。

ガンバ:てことはこそこそとストックしてたリルルのアレな画像が!

ゼナ:サーバにアップロードしてあるから大丈夫ッ!!

GM:次は……(コロコロ)ルーベルの部屋、だって。

リューセ:い、移動させといてよかったね……。

アルバス:もう少しで粉々だったな。

GM:どんどんいこう!(コロコロ)……アルバスの部屋(笑)。

アルバス:あちゃー……。イッてしまったか。

リューセ:なんだか世界が平和になった気がするわ(笑)。

アルバス:くそー、無事なモノだけでも回収しにいこうかな……。

カリストパラス:『このままでは危険です。何とか脱出の手段を考えないと……』

アルバス:「飛ぼう!」

オードー:「白兵戦に持ち込むだ!」

サリース:「無理だって……。──脱出艇とかないの?」

リューセ:「外に出る方が危険じゃない?」

ユナ:「にゃ、虚数空間から逃げる方法があればいいのでは?」

GM:ではここでもう一回判定を……(コロコロ)……またアルバスの部屋(爆笑)。

アルバス:私物を取りに入ろうとした瞬間、跡形もなく吹き飛んだんだな……。

GM:えーと……全員ブリッジにいるんだよね?

サリース:ケガ人とエノク先生が医務室。だから──ブリッジに17人(ビッケ、サンダユウは除く)、医務室に4人。

ゼナ:それとタモリと加藤チャゲ。

GM:多いなァ……。

ガンバ:縦に積めばいいんだよ、たれぱんだみたいに。

GM:さらに判定……(コロコロ)……レオとアンの部屋が吹き飛んだ。

カー:「何とかしないどんどん攻撃を受け続けるカウ」

サリース:「だからってどうしようもないでしょ!」

ガンバ:沈むのを待つだわさ。体を柱にくくりつけて。

ゼナ:「敵は見えてるんです! 防御ができなくなったなら、攻撃するしかないですよ!」

サリース:「やってるわよ! でも効いてないんだってば!」

カリストパラス:『エンジンルームに被弾! エネルギー伝達部に深刻なダメージ。……このままでは航行不能です』

ゼナ:「ボクが修理にいきます! あと先生と……ゴウも!」

ゴーヴァ:「ギ、ガ……!」

レオ:「僕もいきます」

イリス:「じゃあ医務室にはあたしが」

ニーヴェ:「頼んだわね」

シェオール:ブリッジと医務室、どっちが安全か……。

マフィ:どっちもヤバイんじゃない?

トパーズ:んー……そうかも……。

ニーヴェ:「──さて、何とか脱出の方法を考えねばなりません」

サリース:「それはイヤっていうほど分かってるんですけどね……」

ニーヴェ:「幸か不幸かここは異次元空間です。……つまりこの空間から脱出することができれば、『メルカバー』の砲撃から逃れられるはずです」

ユナ:「うんうん」

ニーヴェ:「方法は──ざっと考えて3つ。ひとつ、この『船』を自爆させ、そのエネルギーで空間に歪みを生じさせる。ふたつ、トパーズとマフィの力で、空間を斬り裂く。みっつ、リルルの『ヒーメル』の力でメルカバーにアクセスし、異次元空間を発生している装置を止める」

サリース:「リルル、そんなことできたの? ……てゆーか、リルルって『ヒーメル』だったんだ……」

GM:ゼナ以外はまだ知らなかったっけ? 『ヒーメル』の能力は、古代超文明の機械の制御だからね。『メルカバー』にアクセスできないことはないと思うよ。……かなり負担がかかるだろうけど。

アルバス:よし、楽な方からいこう。

サリース:いきなり自爆を選びそうよね……。

アルバス:何を言う。まずはアクセスからしてみよう。

ゼナ:リルルにやらせるんですか?

アルバス:そりゃそうだ。

ゼナ:ただでさえ具合が悪いのに……死んじゃいますよ!

アルバス:お前たちの、愛の力あれば大丈夫だ(根拠ナシ)。

マフィ:それとも、オペリオおじちゃんに頼んでオペラ時空を……

一同:却下。

GM:アクセスして砲撃を止めるってのなら、まだ負担は少ないかも。

サリース:じゃあアクセスしてもらって時間稼ぎして──

アルバス:自爆。

サリース:違うってば! 砲撃を止めて時間をかせいでいる間に次元を斬り裂こう。

トパーズ:よーし、がんばろー! ……でも次元斬り裂いたことないんだけど。

GM:南キャンバス大陸に来るときに、(間違って)斬り裂いたんだけど。

トパーズ:あ、そーなんだ。なら楽勝楽勝、余裕余裕♪

ガンバ:では、作戦開始だわさ!

マフィ:『十六夜』に剣化するよー。

トパーズ:ところでどこで斬ればいいの? ここ(ブリッジ)でいいの?

ユナ:にゅ、ここだったらわたしたちしか逃げられないのでは? エスペルプレーナ捨ててくの?

トパーズ:エスペルプレーナごと逃げたいんだけど、あたし。

GM:じゃー……舳先でおーっっきく斬り裂かないとね。

トパーズ:やる! ガンバル!

GM:ではその前に、連絡を受けたリルルがブリッジに来る。

ゼナ:ううう、心配……。

GM:そして羽根を広げて、精神を集中しはじめる。

サリース:羽根を出さないと『力』が使えないのね。

ゼナ:ピンクのふわふわ。

リルル:(コロコロ)「空中要塞『メルカバー』にアクセス──アクセス完了。続いて制御──砲撃中止──(コロコロ)成功。……これでしばらく時間が稼げるはずです」

シェオール:「よしトパーズ、今のうちだ」

トパーズ:……こういうときの判定に限って失敗するんだよねェ……。ちょっと緊張……。

マフィ:だーいじょうぶだってば。

トパーズ:じゃあ攻撃がやんでるうちに、外に行こう。

GM:てことでトパーズが舳先に向かい、さあやるぞってときになって──この人がブリッジにスッと姿を現す。

シェオール:出たなヒュプノス!

オードー:そろそろ来ると思ってただ!

ヒュプノス:『随分と苦労しているようだな……』

サリース:「アンタ、何しに来たのよ!」

ヒュプノス:『メルカバーからちょっと挨拶をしに、な』

リューセ:『メルカバー』にいたんだ……。

アルバス:「それならこちらからも挨拶にいくから、連れていってくれ」

サリース:それって人身御供? あるいは捨て石とか……。

ヒュプノス:『……来るかね? アルバス=ファルバティス』

アルバス:「ああ」

ユナ:「王子!?」

サリース:「ちょっと待って、本気なの?」

ヒュプノス:『本気だ。私は、彼を迎えに来たのだから』

サリース:「そのワリにはバカスカ撃ってきたわよね」

ヒュプノス:『性能を試してみたかっただけだそうだ。それに、ヒトには当たらなかったはずだが?』

サリース:「うー……」

リューセ:なんか大変なことになってきたねー……。──アルバスママはどーしてるの?

GM:じっと見守ってる。

サリース:「アルバス、ホントにいく気?」

アルバス:「もちろん」

サリース:「ちょっとアンタねッ!」

ユナ:「………………」

リューセ:「アルバス……」

アルバス:「じゃ、あとはみんな、ガンバって」

リューセ:「……残された私たちはどうなるの?」

ヒュプノス:『生き延びたいかね?』

リューセ:「トーゼンですゥ」

ヒュプノス:『では、お前たちにこれ以上危害を加えないことを約束しよう』

オードー:……このテの約束って……。

サリース:守られないのが普通なんだけど……。

アルバス:てゆーかお前ら、助けてほしいならそれなりの態度ってモンがあるだろ

ゼナ:「なんでそっちの味方なんですかッ!(笑)」

ニーヴェ:「──アルバス……いくのですか……?」

アルバス:「…………。ええ」

ニーヴェ:「ならば…………私もいきましょう」

サリース:やっぱり〜。そうじゃないかと思った〜。

リューセ:てゆーか、一緒にいっていいの?

ヒュプノス:『そうか……お前も来るか───ネメシス

一同:はァ!?

サリース:今さらっと、スゴイこと言ったね……。

ヒュプノス:『では……諸君の健闘を祈る』

アルバス:「それじゃ、な」
 

 ニッと笑ったアルバスの周りの空間が揺らぎ──ヒュプノス・ニーヴェ・アルバスは姿を消した。
 

リューセ:「アルバス……」

ユナ:「王……子……」



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