MOND REPLAYV


chapter13

[生まれ来る子供たちのために]

トール編:2

その新しき命を、誰もが祝福した。
母はもう一つの命に思いを寄せ、幸せの時を過ごす。
それは夢のとき──
それは悪夢で終わる夢──



『水上都市トール』で起きた妊婦連続変死事件。被害者は以下の8人。
 

1)パーゼ (24)死体は路地裏で発見。普通の夫婦。2年前に結婚。臨月。

2)アリア (22)死体は路地裏で発見。玉の輿。冷めた夫婦仲で、子供はなかった。あと2カ月で出産予定。

3)ターニャ(18)死体は自宅で発見。半年前に結婚。昔は結構遊んでいた。臨月。

4)ミージュ(29)死体は路地裏で発見。バツイチ。子供1人あり。あと2カ月で出産予定。

5)ジーン (28)死体は噴水の傍で発見。酒場の踊り子。3年前に結婚。共働き。出産予定日を過ぎていた。

6)イノス  (22)死体は路地裏で発見。離婚が決まった後、妊娠発覚。離婚後、出産する予定だった。臨月。

7)フーチャ(32)死体は自宅で発見。資産家の娘。見合い結婚。サカナ顔。あと2カ月で出産予定。

8)クーヤン(20)死体は路地裏で発見。父親不明。シングルマザーとして育てるつもりだった。臨月。
 

 果たして犯人は何者なのか──?

アルバス:「オレたち(プレイヤー)の名前をもじったのか……」

サリース:「てことは、次に狙われる人の名前は何となく分かるわね」

リューセ:「プレイヤーGね」

ゼナ:「……カーザさんとか?」

GM:「おしい。カーサさんだ」

ユンケ・ガンバ:「「髭のはえた女性を探すだわさ!」」(←プレイヤーGは立派な髭の持ち主)

オードー:「とにかくカーサという人を探せばいいだな」

GM:「そーゆーのは反則だぞ(笑)」

ゼナ:「……他に情報はないんですか?」

GM:「えーと、ターニャが自宅妊娠……もとい、自宅出産をするつもりだった……」

アルバス:「………………。そりゃ、自宅以外で妊娠することもあるだろうな」

ユンケ・ガンバ:「「水の中とか」」

GM:「間違っただけだよゥ。……残りの人は病院で産む予定だった」

リューセ:「目撃者は?」

GM:「今のところなし」

ユンケ・ガンバ:「「引き裂かれてるんだから、犯人はカギヅメのようなものを持ってる……?」」(と言いつつ、自分の手を見る)

サリース:「ひょっとして、ユンケとガンバが犯人?」

アルバス:「なんだ、そういうオチか」

GM:「違うってば。──んで、そういう事件が多発してるせいで精神的にまいってしまい、流産してしまう女性が増えているという話もある」

リューセ:「キッツイ状況だね……」

ゼナ:「でもアンさんは結構明るかったですよ?」

GM:「あそこは別世界だから(笑)。それに結構まいってるから、こうして調査を頼んだわけで……」

ゼナ:「12歳の少年に、そういうヘビーなこと頼まないでほしい……」

GM:「それはまァ、そうだけど」

アルバス:(サイコロを振って)「……逃げようと思ったけど、この目じゃみつかっちゃうな……」

リューセ:「逃がさないわよォ(笑)」

ゼナ:「情報って、これだけ?」

GM:「おう。──さて共通点は何でしょう?」

オードー:「こんだけで分かれってのは、無理があるんでないかい?」

ユンケ・ガンバ:「「ひょっとして被害者はみんな、惑星の中心からほぼ等距離にいるんじゃ……」」

GM:「それはまァそうだが、だから何だとゆーのだ……」

ゼナ:「ちゃんと産んだ人はいるの?」

GM:「もちろんちゃんと産んだ人もいる。みんながみんなこうなっちゃうワケではないらしい」

オードー:「子供ができない人の犯行とか──」

リューセ:「子供の親が共通してるとか──」

サリース:「最初の夫婦以外は、家庭に問題アリみたいだけど……」

GM:「近所のおばさんなんかは『子供ができて喜んでたのに、残念ねェ』とか言ってる」

ゼナ:「そのへんから、何か分からない?」

GM:「いろんなウワサが飛び交って、逆にワケ分からなくなってる」

サリース:「事件が事件だけに、身近な人に話を聞きづらいしねェ……」

アルバス:「ダンナをおどせば何か分かるかもしれないぞ」

オードー:「そこ、なァにさりげなく恐ろしいこと言ってるだ?」

GM:「こういう人たちのことを一番よく知ってるのは誰?」

アルバス:「ダンナだろ」

GM:「そうかな?」

ユンケ・ガンバ:「「お医者さんとかね」」

アルバス:「……オレ、分かってたんだけど、キャラクターがね……(苦笑)」

GM:「……難儀なキャラだな……」

オードー:「全員が同じ医者にかかってたわけじゃねェべ?」

リューセ:「でも何か共通点があるかもしれないよ?」

サリース:「じゃあ、産婦人科に聞き込み、GO!」

GM:「──ゼナやリルルにはちょっと抵抗ある話だな……ホント……」

リューセ:「私なんて、毎日のようにそういう場面見てたし……」

アルバス:「サリースなんて、毎日そういうコトしてたし……」

サリース:「毎日はしてないわよ(笑)」

ユンケ:「じゃあわたいは今日はマタニティドレスを着るだわさ」

アルバス:「で、おなかにはガンバが入ってる」

ユンケ:「そのとーり」

アルバス:「他の患者の神経逆なでしかねんぞ、それ……」
 

 調べてみると、パーゼ・ジーン・イノス・フーチャが大きな総合病院内の産婦人科で、アリア・ミージュ・クーヤンが小さな産婦人科に通っていたことが分かった。
 

アルバス:「ターニャは?」

GM:「ターニャは自宅出産の予定だった」

ユンケ・ガンバ:「「じゃあみんな、2つに分かれて──」」

サリース:「それができるのはアンタだけ……」

オードー:「ちいせェ方から行くです」
 

 一行は小さい方の病院へ行き、話を聞くことができた。



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