ぢつはそのとおりだったりする。
GM:「ラズリの形見のイヤリング──『身代わりのイヤリング』が砕けて、ライムが死ぬ……ってこれでいいのか……? いや、よくない……」
ビッケ:「勝手に故郷の人を殺したらまずいだろう……」
話し合いの結果、トパーズは『瀕死』ということに。
ゴーヴァ:『回復役が倒れてしまったな』
GM:「これであとは消耗戦というワケだ。まだ最後のあがきぐらいはできるぞォー!」
マフィ:「……剣化したわたしの立場は……?」
第9ターン──
GM:「よォォしゃイニシアティブ取った! P、頼んだ!」
プレイヤーP:(気合を込めてサイコロを振る)「ゴーヴァにクリティカル!」
ゴーヴァ:『うわ、一気に瀕死──っていうか破壊された。クリティカルに弱いなァ……』
マフィ:「ああ、壁が一枚崩れちゃった……」
シェオール:「安心しろ。まだあと1ターンぐらいはもつ……」
マフィ:「人間の姿に戻るゥ。早く人間になりたーい!」
第10ターン──
マフィ:「イニシアティブわたしが振るね──はいこっちから──魔法攻撃で──ダメージこんだけ」
GM:「それで死んだな……」
トパーズ:「マフィ、えらい!」
GM:「イーグルは倒された瞬間、しゅるしゅるしゅると人間の姿に戻る。白い軍服が赤く染まっているね」
ゴーヴァ:『何だったんだ、こいつ……』
カー:「いやー、みんなぼろぼろカウ」
シェオール:「お前がやったんだろーが(笑)。クリティカル振りやがって」
トパーズ:「早く治療してー! 死んじゃうー!」
ゴーヴァ:『オレも何とかしてほしい……』
GM:「何とか応急処置がすんで、マントを羽織った──ところへアルバス、リューセ、サリース、ユンケの3人と1匹が走り込んでくる」
トパーズ:「なるほど、この場面を目撃したわけね」
シェオール:「このとき実はぼろぼろだったんだな、俺たち……」
ビッケ:「ゴーヴァの陰に隠れて、透明になる」
ゴーヴァ:『ついでに支えておいてくれ(笑)』
サリース:「ここに、女の子がいなかった?」
シェオール:(黙って首を横に振る)
アルバス:(イーグルのポケットを探って)「ちっ!」
そのとき。
近くで爆発が起き、爆風が皆を襲った。
一番近くにいたトパーズのフードがまくれ──
GM:「アルバスたちに顔を見られる」
トパーズ:「あわててフードをかぶり直す。──あたしやマフィはアルバスと顔見知りじゃないの?」
マフィ:「知ってても知らないフリをすると思うな、アルバス兄ちゃんなら」
トパーズ:「ただ単によく見てないだけかも(笑)」
ビッケ:「さ、早くここから脱出しよう。応急処置しただけだから、早く医者に見てもらわんとな」
シェオール:「では爆煙に紛れて──」
マフィ:「ばいばーい♪」
この後、『アイオーン』に続いてエスペルプレーナもパラスアテナを脱出。が、リルルはゲオルグに連れ去られてしまったのだった──
「結局『クーア』は見つからなかったか……」
「しかもあのパラスアテナが半壊……」
「やっぱり疫病神なんですかね……」
「──パラスアテナのデータ、モニターに表示します」
「これが『棺桶』の内情……思った以上に酷いな……」
「イーグルが死んだことで、少しは変わりますかね?」
「いや、この件はまだ裏がありそうだ。イーグルがモトと連絡を取っていた形跡がある」
「じゃああの襲撃は自作自演?」
「モトの裏切りということも考えられる」
「なるほど……」
「それから報告の中に気になる箇所がいくつかある。『ロテュス』の蔓延。キャノン砲の誤作動。イーグルの変貌──」
「キャノンの方はゼナという少年が原因だということですが?」
「それはまあいいんだが、問題はこれだ。イーグルの体が──」
「化け物みたいになっていた、と」
「そう、こんなことができるのはヤツしか──ヒュプノスしかいない……。……何を企んでいる……?」
「『クーア』ですかね……?」
「それともただの愉快犯?」
「『ロテュス』に『クーア』……どちらもモトに──ことわざ教に関係がありそうだな……」
「てことは『アイオーン』の次の指令は──」
「『ロテュス』および『クーア』の探索、だ」
「では『アイオーン』に連絡します」
GM:「というワケで、君たちの次の仕事はモトでの『ロテュス』および『クーア』の探索である」
シェオール:「『クーア』も探さないといけないのか。なかなか多忙だな……」
GM:「ではモトに向かうように」
トパーズ:「はーい!」
GM:「さくさく話を進めよう。──モトに到着した君たちなのであるが、さてどうするかね。アルバスたちがそうだったように君たちもこの街に入ることはできない」
シェオール:「身分の高い人しか入れないんだっけ。……コイジィ・ニールの者ってことで入れないのか?」
GM:「うーん……シャナス直筆の証明書が必要だから……イシュタルから運ぶとだいたい2週間……うん、2週間ぐらいかかる」
ビッケ:「そんなに待てないぞ」
GM:「なら自力で何とかするように」
トパーズ:「何とかったって……あたしたちが今行けるところって言ったら──」
GM:「スラム街だね」
トパーズ:「やっぱり?」
ゴーヴァ:『また奴隷として中に入るしかないのか……?』
シェオール:「そういうスマートじゃないやり方は好きじゃないんだがな……」
トパーズ:「じゃあどうするの?」
シェオール:「うーん……」
GM/スラムの若者:「『みんな、こんなことでいいのか! 我々は誇りを取り戻し、貴族たちと戦うべきではないのか!』」
リューセ:「そーだぁ! そのとーり!」
トパーズ:「あ、リューセだ(笑)」
ビッケ:「そういやそんなことを言ってる奴がいたな……」
GM:「そう。でも誰も耳を貸してないんだな(笑)」
そうこうしてるうちに、アルバスたちが奴隷としてモトの中へ連れていかれる。
マフィ:「先越されちゃったね」
シェオール:「無駄に時間が流れていく……。どうしたものか……」
GM:「ではそれからさらに数日(笑)。君たちはどこかで会ったような人(?)を見かける」
トパーズ:「あの仮面は──」
GM:「ヒュプノス、だね。彼は『クーデター演説男』の傍にふわっと舞い降りると、すーっと同化する」
ゴーヴァ:「ギ……?」
GM:「憑依した、ってかんじだ。──で、ヒュプノスが彼に取り憑いたとたん、スラムのみんなが彼の声に耳を傾け始める」
シェオール:「ほう……?」
GM:「そしてみんなの目が異様な光を帯びたかと思うと、手に武器を取り街へ突撃。門番を殺し、門を破壊して中へ突入していく。その動きはスラム中に広がり、大騒ぎになってる」
シェオール:「チャンスだ。この騒ぎに紛れてモトに入ろう」
ビッケ:「そうだな」
ところが人の波に飲みこまれ、流れ流されダイモン主催のパーティー会場へ──
シェオール:「こんなところに用はないのに!」
GM:「プレイヤーたちには見覚えのある場所だ。薄暗い部屋の中、早くも貴族とスラムの人間の殺し合いが始まっている」
トパーズ:「あう……」
ビッケ:「この匂い……麻薬か……?」
GM:「そ。貴族たちはロテュスでトリップ中だ」
辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図と化していく。
痛みも感じず死んでいく者。血の匂いでさらに興奮する者。斬られることに快感すら覚える者。
スラムの人間はその姿に恐怖し、さらに斬りつける。
ゴーヴァ:『すごいことになってきたな。──あ、あれは──』
ゼナ:「ゴウ!」
ゴーヴァ:『ゼナ!』
ゼナ:「また会えたね……」
ゴーヴァ:『ああ、会えてうれしいぞ』
そして触れ合う指と指──
シェオール:「とにかくここから離れよう。──ゴーヴァ、いくぞ!」
ゴーヴァ:『あ、ああ……』
GM:「ここを放っていくんだね」
マフィ:「だってわたしたちじゃどうしょーもないもん」
トパーズ:「ヒュプノスが取り憑いた人を押さえたら何とかなりそう?」
GM:「それはやってみないと分からない」
シェオール:「仕事とは関係ないことだ。いくぞ」
トパーズ:「う、うん……」
カー:「でもヒュプノスは度々ボクらの邪魔をしてきたカウ」
シェオール:「今は関係ない。むしろ役に立ってるぐらいだ」
カー:「姫の居場所を知っては……いないカウね、こいつは」
トパーズ:「あたしたちの目的は麻薬ルートの特定および壊滅。それから『クーア』探しだっけ?」
シェオール:「そういうことだ」
GM:「もう一回確認するぞ。ここを放っていくんだね」
シェオール:「さっきからそう言っている」
GM:「……分かった……」
どんな理由があるにせよ、殺戮の現場を見過ごしてほしくはなかったんだけどなァ……
マフィ:「ねえねえ、このトリップしてるお兄さんからどこで麻薬買ったか聞けないかなァ?」
トパーズ:「どうやって?」
マフィ:「拉致して──しばらく放っておいて──禁断症状が出てきたところで麻薬らしきモノ……小麦粉とか……をちらつかせて──どこで買ったのかなァ? って」
カー:「極悪カウ……」
マフィ:「苦しいよねェ。ほしいよねェ。治療でも少しずつ濃度を薄くして注射してくんだから、急にやめたら死にそうだよねェ……──ってアルバス兄ちゃんが……(笑)」
GM:「……じゃあ1人拉致して、そうやって場所を聞き出すんだね……」
トパーズ:「うん」
GM:「なら総本山の場所を教えてもらえる」
マフィ:「それを聞き出したら注射器をぱかっと開けて、中身を男の頭にたらたらたら〜っと」
シェオール:「わっるゥ〜」
マフィ:「──ってすればいいってアルバス兄ちゃんが(笑)」
トパーズ:「さすが8歳、見てきたことが違う……」
マフィ:「場所が聞けたなら、総本山にいこう!」