シェオール:「駄目だ」
リルル:「でも……やっぱり放っておけませんよ!」
シェオール:「心配するな。あいつらは絶対に負けたりしない──とそれっぽいことを言っておく」
リルル:「………………」
闇の中を疾走するバイク。途中、巨大な扉の前に差しかかる──
リルル:「!! 止めてください!」
シェオール:(急ブレーキをかけて)「……どうした?」
リルル:「ここ、見覚えがあります。確か『クーア』があったところ……。──あたし、ここにいますから、みんなを助けにいってください! お願いです!」
シェオール:「駄目だ……行くぞ」
そして再びバイクは走りだす──
トパーズ:「今度はバイクの後を追おうとしてるゾンビ五体を消す!」
GM:「ういっす。──そうすると、天井からボタッと新たにゾンビが降ってくる」
ゴーヴァ:『キリがないな……。でも少しでも時間を稼がないと……』
GM:「今度はこっちの番だね。まずは──」
ヒュプノス:『目障りなバギーだ……』
GM:「そう言ってヒュプノスがバギーに手をかざすと、ボンネットがメコメコッと盛り上がってゾンビが姿を現し、エンジンに引火して大爆発する」
ビッケ:「クッ! 透明化を解除して防御する!」
ボゴォォ……ォン!
ビッケ:「ふうう……。さすがにダメージを食らったか……」
カー:「とんでもないカウね……。下手したらここが崩れちゃうカウ」
ヒュプノス:『ん……?』
爆炎の中に、トパーズの顔が浮かび上がる。それを見てヒュプノスが喉の奥で笑った、ように見えた。
ヒュプノス:(トパーズに近づきながら)『ほう……こいつは……』
トパーズ:「な、なに……? こっち来ないでよ……」
ヒュプノス:『まさかとは思うが……“メファシエル”か……? ク……ククククク……こいつはいい。これはおもしろいものを見つけた……』
トパーズ:「メファ……なに……?」
ヒュプノス:『ククク……“ヒーメル”……そして“メファシエル”か……』
マフィ:「ヒーメルってリルルのこと? まさかそれで『姫』って呼ばれてるの?」
シェオール:「まさかァ……」
ヒュプノス:『ククク……クククククク…………』
笑い声を残し、ヒュプノスは姿を消した──
トパーズ:「何なのよォ! まったく!」
ビッケ:「考えても分かることではないな。それよりさっさとゾンビを始末して、シェオールの後を追おう」
GM:「しばらく進むと、巨大な扉がある。で、中から男の悲鳴が聞こえてくる」
ゴーヴァ:『まさかシェオール……?』
カー:「そんなことはないと思うカウ」
トパーズ:「でもここに急ブレーキを踏んだ跡があるよ」
マフィ:「走り去った跡もね」
トパーズ:「行くだけ行ってみようよ」
GM:「電子ロックがあるけど……ゴーヴァかカーが外せるだろうな。中に入ると、老人がゾンビに襲われている」
トパーズ:「『ターンアンデッド』」
GM:「それで消えるな(笑)」
GM/老人:「『ふぃぃ、助かったわい』」
トパーズ:「今傷を治しますから」
ビッケ:「──それより御老人、『あれ』は何ですか?」
GM/老人:「『ああ、”あれ”か?』」
そこには、巨大な『輝石』があった──
GM:「巨大な──体育館ぐらいはありそうな『輝石』が、ぼんやりと光を放っている」
マフィ:「すごォォい……。欲しいな、これ……」
GM/老人:「『本当は秘密なんだが、助けてもらったから特別に教えてやろう。これはこの街のエネルギーの源なんじゃ』」
ビッケ:「発電所みたいなものか……。一般人はこのことを──」
GM/老人:「『知らんよ。ただ便利だというだけで、得体の知れないエネルギーを利用しているのさ。ここだけではない。どの街にもこの『輝石』はある』」
マフィ:「ふゥゥゥん」
GM/老人:「『我々は……何も知らない愚か者なんじゃよ……』」
GM:「外に出ると、シェオールとリルルが待っている」
シェオール:「遅かったな」
トパーズ:「バギー壊されちゃったから」
ビッケ:「ヒュプノスのことを報告せんといかんな。とりあえず支部へ戻ろう」
コイジィ・ニール イルダーナ支部──
シャナス:「──分かった。後はこちらで処理する。……それから、分かっていると思うが、ヒュプノスのことは他言しないように」
シェオール:「了解」
シャナス:「さてリルル、あなたはどうしたい?」
リルル:「あたしは……エスペルプレーナに戻りたいです」
シャナス:「そうか……。『港』へ行けば合流できるはずだ。何か乗り物を用意させよう」
リルル:「はい、ありがとうございます」
シェオール:「我々が護衛につきましょうか?」
シャナス:「いや、お前たちは工場の方に戻ってゾンビの残りを始末してくれ」
トパーズ:「ふう……。それじゃ、行きますか」
リルル:「みなさん、お世話になりました」
トパーズ:「また、会えたら会おうね」
リルル:「はい!」
こうしてバイクでエスペルプレーナに向かったリルルは、途中でことわざ教徒に拉致されたゼナを助け出す。そして───
[間奏/Interlude]
「リルルか……。あの少女もなかなかやるじゃないか……」
「ハンドル握ると性格変わるってやつですね」
「エスペルプレーナはどうなった?」
「無事『出港』したみたいですよ」
「そうか。……しばらく頼む」
「はい。何かあったら連絡します」
「うむ」
シャナス 自室──
「ふうう、やれやれ……」
「お姉様、入っていい?」
「イリスね。どうぞ、開いてるわ」
「アルバスの居場所が分かったってホント?」
「だーかーら、仮にも兄なんだから呼び捨てはやめなさいって言ってるでしょ」
「はーい……。で、アルバス──お兄様、は今どこ?」
「アガートラームへ向かってるらしいわ」
「ふーん。じゃあルーベルお姉様は?」
「ルーベルは……あの子の居場所はまだ分からないの。お父様は任務がまだ終わっていないのだろうって言ってたけど」
「あたし、早く会ってみたいな。まだ一度も会ったことないんだもん」
「ルーベルは……とってもいい子よ。魔法の実力だってトップクラスだし」
「アルバスと違って?」
「またそういうことを言う……。アルバスだって、潜在的な能力は相当なもののはずよ。私たちの、姉弟なんだもの」
「ルーベルに会いたい! アルバスにも……ちょっと会いたい」
「そうね……いつか会えるわ……きっとね……」