定食屋「弁天」――
リューセ:「とりあえず料理ができるまでこれ食べててね」 (どん、とテーブルにデコレーション味噌ケーキを置く)
ユンケ・ガンバ:「「クルックー♪」」
アルバス:「食べてるよ……おい……」(←何度も言うようだが、こいつはここにいない)
サリース:(猫なで声で)「ゼーナー、冷蔵庫の修理、終わったぁ?」
ゼナ:(恐怖にひきつった顔で)「は、はい、終わりました。……ご、ごめんなさい、ボクもう行きます!」
サリース:「こらこら、どこ行くの、どこに」(首根っこをつかむ)
ゼナ:「しくしくしく……」
リューセ:「うーん、この材料で何の料理を作ればいいんだろう……?」
などと皆が漫才(?)をやってる間に、GMは考えた。シナリオからズレてきている話を何とか軌道修正する方法………
GM:(とりあえずリューセを外に出そう)「そういえば飲み物がないことに気づく」
リューセ:「言われてみれば。ここって食べ物屋さんでしょ。ないの?」
サリース:「冷蔵庫壊れてたから」
リューセ:「そっか。じゃあ買ってくるね」
サリース:「あたしが行くわ。あんたはここにいなさい」
ユンケ・ガンバ:「「誰かにぶつかるから(笑)」」
リューセ:「うん。じゃ、よろしくね」
GM:(………………………………………)
仕方がない。多少強引だが……
GM/主人:「『そういえばさっき、リューセちゃんをたずねて来た奴がいたぞ』」
リューセ:「え? 誰ですか?」
GM/主人:「『さあ? 目つきの悪い男だったけどな』」
リューセ:「そうですか……。ま、待っていればまたここに来ますよ、きっと」
GM:(………………………………………)
リューセ:「GMが困った顔してるね。じゃあ通りに出て、どっかに座ってぼーとしてる。そうすれば向こうが見つけてくれると思うから」
GM:「寝ちゃうんじゃないか? 君の場合……」
リューセ:「それでもいいかも(笑)」
GM:(ではお言葉に甘えて……)「君がうとうとしていると、肩をぽんぽんとたたかれる」
リューセ:「うに?」(寝ぼけてる)
GM:「例の目つきの悪い男が立っているよ」
リューセ:「……どうも、初めまして」
アルバス:「前に会ってるだろ……」
GM/目つきの悪い男:「『すまないが――羽根の生えた動物が彫ってあるコインを知らないか?』」
リューセ:(懐から取り出して)「これのことですか?」
GM/目つきの悪い男:「『ああ、それだそれだ。俺のコインなんだけど……返して、もらえないかな?』」
リューセ:「はい、どうぞ。すみません、何か、まぎれこんでたみたいで……」
GM/目つきの悪い男:「『いや、いいんだ。ありがと。(にたりと笑って)じゃあ、俺はこれで』」
足早に去っていく男をぼ〜と見送るリューセ。
ゼナ:「フローラとのことは聞かないの?」
リューセ:「え? フローラって………え? 目つきの悪い男って、髭のおじさんじゃないの?」
ゼナ:「え、フローラさんの恋人じゃないんですか?」
GM:「ゼナが正しい。髭のおじさんは別だよ」
アルバス:「なんだ、オレもてっきり髭の男かと思ってた……」
ユンケ・ガンバ:「「16歳のマント少年かと思ってた」」
サリース:「みんなバラバラじゃない」
アルバス:「……オレは目つき悪くないぞ」
みんな頭がこんがらがってきてるな……。ちょっと整理してみると――
まず昨夜目撃された「髭もじゃの不審な」男。
フローラとホテルに来たのが「目つきの悪い」男。
リューセにぶつかったのが、順に、「目つきの悪い」男、アルバス、「口髭の男」、サリース。
そして、「目つきの悪い」男が、いつの間にかリューセが持っていた奇妙なコインを受け取りにきた、と。
GM:「さて、それじゃパーティーの準備もできたし……」
アルバス:「冒険に旅立ちますか!」
ゼナ:「どこに行くの、どこに(笑)」
サリース:「そんなの、夜の冒険に決まってるじゃなぁい。ね、ゼ・ナ」
アルバス:「それは夜のお墓とかか?」
サリース:「違うわよ。12歳の少年に夜の冒険のすばらしさを教えてあげるの」
ゼナ:「……ごめんなさい、ボク、もう行かなきゃ(笑)」
リューセ:「どこ行くのよ。パーティー始めるよ」
てことで、ユンケとガンバの誕生パーティーである.
リューセ:「ではまずケーキにロウソクを96本立てて――」
ゼナ:「……原型とどめてませんよ、これ………」
サリース:「火事にだけは、しないでよね」
ユンケ・ガンバ:(べちゃっと肉球でケーキをつぶす)
ゼナ:「あー、ダメだよ、そんなことしちゃぁ!」
サリース:「12歳にしてすっかり保護者ね」
アルバス:「『あ、プレゼント忘れた』 『まずいよそれ』 『じゃあ地球寄ってく?』」
一同:「いいねぇ〜」
アルバス:「ラララ、むじ〇くん、ラララむ〇んくん、ララララ♪」
GM/主人:「結局メニューはとんかつになったよ。『さあこれ食って――勝ってこい!!』」
サリース:「勝つって……何に?」
GM:「いや………いろいろ(笑)。――さ、召し上がれ」
サリース:「ちょっとまって。ちゃーんと会費は集めるからね」
ゼナ:「ボクは払います!」(即答)
一同:(爆笑)
サリース:「ちぇっ! 払えなかったらこれをネタにいろんなことしてあげようと思ってたのに……」
アルバス:「『まずいよそれ』 『じゃあ地球寄ってく?』 『いいねぇ〜』」
GM:「またそれ……?」
リューセ:「ところで、お金出したのうちのおじいさんなんだけど……。何でサリが……?」
サリース:「そりゃあれよ、クレリアの遺伝子(笑)」
アルバス:「いいな、みんな楽しそうで……。今頃オレはまだどこかを走ってるんだろな……(笑)。登場時からずっと走りっぱなしだぜ」
サリース:「限界越えてるかもね……」
アルバス:「『まずいよそれ』 『じゃあ地球寄ってく?』 『いいねぇ〜』」
ユンケ・ガンバ:「「さっきからオチが一緒なんだけど……」」
などと盛り上がっていると……
GM:「がらがらっと戸が開いて、男が一人入ってくる」
サリース:「すいません、今日は貸し切りでして……」
GM:「入ってきたのは口髭の男だよ。で、リューセを見つけるとちょいちょいと手招きをする」
サリース:「リューセ、知り合い……?」
リューセ:「昼間ぶつかった人……」
ユンケ・ガンバ:「「じゃあね……2匹そろって手を出して、指名料をもらう」」
リューセ:「ご、ご指名ですか !?(笑)。ま、いいや。てこてこと歩み寄るよ」
GM/口髭の男:「『盛り上がってるところをすまないが………こうこうこういうコインを知らないかね?』」
リューセ:「ああ、それなら持ち主だという方にお返ししましたけど」
GM/口髭の男:「『へ……………?』」
リューセ:「ですから、持ち主だという方に、お渡ししました」
GM/口髭の男:(さぁぁぁぁっと青ざめる)
アルバス:「まずいよそれ」
サリース:「何回やるつもり? そのネタ……」
GM/口髭の男:「『あのコイン………私のなんだが……』」
リューセ:「へ? そうだったんですか……?」
GM/口髭の男:「『うむ……』」
リューセ:「大事なものだったんですか?」
GM/口髭の男:「『ひじょ〜に大事なものだったんだが……』」
リューセ:「名前を書いてていただかないと分かりません、私……」
GM/口髭の男:「『いや…………そ、そういうもんかねぇ……』」
リューセ:「あのコインはフローラの彼氏に渡しました」
GM/口髭の男:「『フローラ?』」
ユンケ・ガンバ:「「いきなり固有名詞を出されても分からないと思うんだけど」」
リューセ:「フローラは、こうこうこういう娘です、と説明する」
ゼナ:「その前に、この男が何者か尋ねないんですか?」
リューセ:「ああ……忘れてました」
ゼナ:「をーーーい」
リューセ:「あなた、お名前は?」
GM/口髭の男:「『私の名はジャッハ』」
一同:「ジャッハ……」
サリース:「ふーん、あんまりよさそうな名前じゃないなぁ。――どんな服装してる?」
GM:「どんなって……あんまり目立たない服装」
アルバス:「それは……服を着ていることが目立たない、という意味か? 肌色の全身タイツか何かを着てるとか……」
GM:「違うって……(笑)。動きやすそうな黒っぽい服を着てる」
リューセ:「で………どうしましょう? 何ならお探ししますけど……」
GM/ジャッハ:「本当かね? そうしてもらえると非常に助かる」
ゼナ:「フローラさんに聞けば何か分かるかもね」
リューセ:「じゃあフローラのところに行ってみようか?」
GM:「さてユンケにガンバ。ジャッハのポケットからおもしろいものがはみ出ているぞ」
ユンケ・ガンバ:「「おもしろいもの? それは攻撃してみよう」」
ユンケとガンバの『技攻撃』炸裂! ポケットの中身を奪うのに、ユンケは失敗するがガンバが成功。
GM:「ポケットに入ってたのは……つけヒゲだよ。顎につけるもじゃもじゃの」
ユンケ・ガンバ:(奪い合いを始める)
ゼナ:(ひげをつけてるガンバを見て)「ガンバ、どうしたのそのヒゲ?」
ガンバ:「ポケットの中に落ちてた」
ゼナ:「それは落ちてたとは言わない。駄目だよ、人のものを盗んじゃ……」
GM:「ジャッハはしまったって顔をしている」
サリース:「つけヒゲ……もじゃもじゃ…… (ピンときて) リューセ! その男から離れなさい!」
リューセ:「えぇ……?」(とってもスローモーション)
サリース:「もう、このにぶちん! その男は昨日の不審人物よ!」(すちゃっとカード(武器)を構える)
ゼナ:「ああ……。そういえば手配書が出回ってたような……」
GM/ジャッハ:「『ちょ、ちょっとまて。話を聞いてくれ!』」
リューセ:「はい。待つのは好きですよ」
サリース:「あんたは黙ってて」
GM/ジャッハ:「『話を……聞いてくれないか……?』」
リューセ:「はい。話を聞くのも好きですよ」
サリース:「あんたは…………。――いいわ、話しなさい」
GM/ジャッハ:「『実は………』」
ジャッハは、ゆっくりと口を開いた……