ラズリ:…………。
GM:さて、どうするのかな?
ラズリ:あの子は、あたしたちがシャルトルーズの森に行った後に、ここに来たんだよね?
GM:そう……なるかな。
ラズリ:うー、なんて言ったらいいか分かんないよ、こんな状況じゃ……。
だって、自分じゃない人間が自分のふりして生活してたんだよ!?
グレン:なんとも気まずい雰囲気が漂っているな……。じゃ、話題を変えて──「オレはフィーユに会いたいんだが」
ペリダート:「おぬしは以前お会いしたことがあるであろう。あの場所にいらっしゃるぞ」
グレン:「会いにいってもいいんだな?」
ペリダート:「構わんよ。会うかどうかはフィーユ様が決めること」
グレン:「では、失礼する」(外へ出ようとする)
GM:カレンはどうするの?
グレン:「お前はここにいろ。何もするなよ、決してだ、いいな?」
カレン:「………。わ、分かったわよぉ」
カレン:(こそっと)「おトイレ、どこかな。案内してほしいんだけど」
グレン:あ、てめー(笑)。
ラズリ:「こっちよ。外にあるの。案内したげるね」
カレン:(外に出たところで、ラズリの肩をがしっとつかんで)「追うのよ、あの人を!」
ラズリ:「──うん!」
ラズリ:歩み寄るよ。てこてこ。
GM:完全に無視してる。まるで誰もいないような感じで。
ラズリ:「ねえ……」
オニキス:「………」
ラズリ:「ねぇってば……」
オニキス:(顔だけラズリの方に向ける)
ラズリ:「……さっきはゴメン。言い過ぎた……」
オニキス:(冷たい口調で)「お前と話すことは何もない」
ラズリ:「だって……あなたがあたしの立場だったらどうしてたのよ!? ……こんなの……ひどい……」
オニキス:「お前は何も知らないんだよ……」
ラズリ:「そうよ、あたしは何も知らない──だから、教えてよ」
オニキス:「ふん、教えることなんて何もないね」
GM:そこへぱたぱたとトパーズが走ってくる。
トパーズ:「ラズリおねーちゃーん!」
GM:たったったったっがしっとオニキスに抱きつく。
ラズリ:(すごく悲しそうに)「……そういうことなのね」
GM:で、この人誰だろうって顔でラズリの方を見ている。
ラズリ:「そっか……。トパーズ、今何歳だっけ……」
オニキス:「……もうすぐ9つ、かな」
ラズリ:「あたしに似て、きれいになるといいね」(たたたたたとその場から走り去る)
オニキス:(つぶやくように)「……ばーか、あたしに似るんだよ」
グレン:「──どうしたんだ?」
ラズリ:目に涙を溜めて下向いてる。
グレン:(ぽんと肩に手を置いて、かっこよく)「人生、楽ありゃ、苦もあるさ」
GM:涙の後には虹も出る──ってそりゃ水戸黄門だ〜!(笑)
グレン:「何も言わなくても分かる。今は……ただ泣け」
ラズリ:もう胸に飛び込んで泣いちゃう(笑)。
グレン:ありがとう──これはプレイヤーの発言ね(笑)。
ラズリ:うわーんと大泣きする。
グレン:そこでカメラが俯瞰になってフェードアウト──そんなとこかな。
GM:素敵な演出ありがとう。さらにそれを木の陰からからカレンが見てるという(笑)。
グレン:うーん、ラブコメラブコメ(笑)。
GM:そして複雑な表情で走り去っていくカレンなのであった──なんてね。
ラズリ:「……あたし、家族に捨てられちゃったのかな。そのことが胸にわだかまってわだかまって……」
グレン:「………。だから今、泣かしてやってるんじゃねーか」
ラズリ:「そうだね。しばらく泣いとく……。すごく悲しいから……」
GM:さて、夕飯の時間だよ。
ラズリ:家族と食べづらいんだけど、ごはん。──外にいるね。
GM:そーすると、サードニクスお兄様が食事を持ってきてくれる。
ラズリ:背中向けとくからね。
サードニクス:「ここに置いておくよ、ラズリ」
ラズリ:「あたしのこと……ラズリって呼んでくれるの?」
サードニクス:(後ろからすっと抱きしめて)「お前は私の、妹じゃないか」
ラズリ:「あの子は? あの子はどうなのよ!?」
サードニクス:「あの子も……妹なんだろうな、多分。だが、お前はお前、あの子はあの子、そうだろう?」
ラズリ:「あたしは、今までわがままに生きてきた……。これからもそう生きていくよぉ!」
GM:自分で何言ってるか分かってる?(笑) ええとぉ──
サードニクス:「ラズリ、かなしいことを言うもんじゃない……」
ラズリ:「だってトパーズが……さっきのあれはつらかったよぉ……トパーズがぁ……」
サードニクス:「トパーズは、分かってないんだと思う──何が起こっているのかも、君たちが双子だってことも。
いつか、あの子も分かってくれる──きっとね」
ラズリ:ふえーん、さっきあれだけ泣いたのに、涸れた涙がまた出てくるぅ(泣き笑い)「ごめんね兄様、迷惑かけて……」
GM:一方、オニキスは──
グレン:オレとばったり出会っている。
GM:あ、そういうシチュエーションなの。それじゃあ──
オニキス:「誰だよ、お前」
グレン:あ、そうくるか(笑)。「──オレには分かっている、お前の正体が……」(それだけ言って背中を向ける)
オニキス:(その背中に向かって)「案外、似た者どうしかもね」
グレン:「ふっ……そうかもな」
ラズリ:うわーうわーなになにぃなんなのぉ!?(笑)
グレン:この辺の事情はオレとGMしか知らないからなぁ(笑)。
──つーことで、オレはこの後、例の森が見下ろせる丘に行って物思いにふける。
GM:了解した。では再びラズリの方ね。
ラズリ:「あたしは、家族にとっていらないものじゃないのね?」
サードニクス:「おじいさまがどういう理由で今まで黙っていたのかは、私にも分からない。
こんなことになってしまった理由もね。でもねラズリ……みんなきっと、君のことを大切に思っているよ。
もちろん私もね」
ラズリ:「……ありがとう、兄様」
サードニクス:「──あ、そうそう、この食事、グレン君に持っていってやってくれないかな。彼もおなかすいてるだろうし」
グレン:ん? 呼びに行くんじゃなくて、持っていくのか?
ラズリ:ああ、そこらへんが家族と会わせないためのお気遣いなわけね。カレンちゃんは?
GM:カレンはもう寝てる(笑)。
ラズリ:もう寝たの? ──したたかだなぁ。
グレン:子供はもう寝る時間だしな(笑)。
GM:まだ夕飯時だよ。
ラズリ:「ん、分かりました兄様。──グレン、どこ行ったのかな」
サードニクス:「それから……一緒に食べたくなったらいつでもおいで」
ラズリ:「……うん」
ラズリ:グレンを探してまわるぅ。「グレン、どこぉ〜?」
オニキス:「──あ」
ラズリ:また会っちゃったワケね。何も言わないで、悲しそうな顔で通り過ぎる。
オニキス:(その背中に向かって)「──おい!」
ラズリ:「……なによ」
オニキス:「あの男なら……丘の上にいたよ」
ラズリ:「あ……ありがと」
グレン:「──すまんな(受け取る)。お前は、もう食べたのか?」
ラズリ:「とてもじゃないけどごはんが喉を通る状態じゃないんだ、あたし」
グレン:「そうか……」
グレン:「あの女……きっとさみしいんだと思う。……オレも昔はそうだった」
ラズリ:「うん……。でもあたしは──今、さみしい」
グレン:「………」
ラズリ:「だってさ……あたしがいなくたって、みんな生活してて……何も変わったことなくて……やっぱりあたし、いらない存在……」
グレン:(さえぎって)「そんなことはない! 家族の絆は、そんなに弱いものじゃないはずだ!
──オレには家族がいないからよく分からんが……そんな気がする」(ふっと笑う)
ラズリ:「グレンは……グレンだったら……こんなとき、どうするの?」
グレン:(しばらく考えて)「──信じる。家族を、そして自分を」
ラズリ:「信じる……信じる……か……」
グレン:(自分に言い聞かせるように)「信じるしかないんだ──信じるしかな」
「ずいぶんと、盛り上がっているじゃないか」
声は──背後からした。
グレン:(振り向いて)「誰だ!」
GM:黒い全身鎧に身を包んだ異様に細身で長身の男だ。あと、全身黒タイツの暗殺者が数人。
グレン:「何者だ、貴様ら!」
ラズリ:(ナレーション調に)その顔には、さっきまでの会話で見せていた表情は消え失せている。
ひとりの戦士としての、獣のような目付きで相手をにらむグレン。
グレン:ご説明、ありがとう(笑)。
男:「ずいぶんなあいさつだな、ゼロよ」
グレン:「ぐっ(頭を押さえて)ゼロ? ゼロだと? オレの名はグレンだ! そんな名前じゃない!」
男:「ほう……、記憶が無いというのは本当のようだな。私の顔も忘れたか、グレンリベット!」
グレン:「し、知らねえって言ってるだろ!」
ラズリ:うわー、なんか熱いねぇ。どきどき。
男:「少しもんでやれば──思い出すかもしれんな」
グレン:「何のことだがさっぱりだ。──だが! 敵だというのなら容赦はしない!
(宝珠をかかげて)開け 冥府の扉ぁぁ!
男:「ひさしぶりに、お前の相手をしてやろう」(すっと構えをとる)
グレン:開け冥界の門 いでよ地獄の炎
『冥界の炎(ホウ・トファー)』!!!
グレン:「そうか……そういうことか……」
ラズリ:「なに? なんなの?」
グレン:「この呪文は魔族には効かないんだ。くそっ、どうするかな……」
(ラズリの方をちらっと見て)知力判定は──(コロコロ)クリティカルで成功してるから、魔族化は思いとどまる。
男:「そんなものか、お前の力は。今度はこちらから行くぞ!」
GM:ぎゅわっと近づいて左手のごっつい爪で「大振り」ね。(コロコロ)当たってる。
グレン:やべえ、「よけ」が5しかない!(コロコロ)ダメだ!
ラズリ:「グレぇぇン!」
GM:ずばっと肩を浅く切り裂く爪。したたる鮮血。
グレン:「!?」
GM:わざと外したんだよ。ダメージはなしね。
グレン:「くそっ、こいつ、遊んでやがる……」
ラズリ:「グ、グレンがダメならあたしが(笑)」
グレン:「やめろ、殺されるぞ! く、仕方ねえ、魔族化するぜぇ!」(パチンと指を鳴らす)
GM:──と君が指を鳴らした瞬間、「それは困ります」という声がしげみの奥から聞こえる。
グレン:「な!?」
GM:「あなたの力をこんなところで使ってもらっては困ります」──そう言って姿を現したのは──
ラズリ:「え……ナタリー……さん……?」
ナタリー:(男に向かって)「勝手なことはしないという約束だったはずです、ツェラー」
ツェラー:「ふん、少し遊んでやってただけだ。記憶が戻った方がお前も都合がよかろう?」
ナタリー:「それはどうでしょうね。(グレンたちの方を向いて)こんばんは、グレンさん。おや、ラズリさんも一緒でしたか」
グレン:「ちぃっ」(魔族化を中断する)
ラズリ:「な、なんであなたがここに?」
ナタリー:「散歩ですよ──ちょっとした、ね」
GM:んで、しげみの奥から、ローブの男たちに口を押さえられ、ナイフを突きつけられたカレンが──
グレン:「カレン!」
カレン:「グレン、たすけ──むぐっっ」(口をふさがれる)
ラズリ:「カレンちゃん!」
グレン:「き、貴様ぁ!!!」
ナタリー:(にこやかに)「まあまあ、そう熱くならないでください。これがどういうことか、お分かりでしょう?」
グレン:「ぐぐぐ……」
ナタリー:「そして、私たちがあなた方にどうしてほしいかも、分かってますよねぇ?」
グレン:「知らん!」
ナタリー:(カレンに歩みよりながら)「我々『ホフヌング』に協力してもらいます、グレン=ディーザー、ラズリ=ルルー。
私たちにはあなた方の力が必要なのです」
ラズリ:「そんな……」
ツェラー:「そんな腰抜け、使えんかもしれんぞ。──行くぞ」(部下とともに姿を消す)
ラズリ:「ナタリーさん、あたしには、何がどうなってるのかまだ……」
ナタリー:「ラズリさん、世の中には知らない方がいいこともあるんですよ。そう例えば──自分の出生の秘密とか、ね」
ラズリ:……なんか今の一言で、この人に対する認識が大きく変わっちゃったんだけど(怒)。
ナタリー:「──協力してもらえますね?」
グレン:(ぺっとつばをはいて)「そうするしかないだろうが」
ナタリー:(平然と)「では、作戦内容を伝えます。──『緑の守り神』は御存じですね?」
ラズリ:「はい」
グレン:「知らん(笑)」
ナタリー:「……後で聞いておいてください。
で、『緑の守り神』が封印してる『魔獣』を目覚めさせようとしている輩がいるのです。
我々はそれを何としても阻止します」
ラズリ:「だからってこんなことしていいと思ってるの?」
ナタリー:「目覚めてからでは遅いんです。万が一目覚めてしまったら──あれを止めることは誰にもできません」
ラズリ:「………」
ナタリー:「数日中に迎えの馬車が来ると思いますので、それまではごゆっくり。──ではカレン、行きましょうか」
グレン:「カレンをどうすつもりだ!」
ナタリー:「まあ、人質ってやつですか。逆らったり、他人にこのことを話したりしたらどうなるか──分かってますね?」
グレン:(何も言わずにラピスの森の方へ歩いていく)
ラズリ:(黙ってその後を追う)
ナタリー:「………。さて、私も戻るとしますか」
フローラ:ただいまぁ〜。
GM:お、グッドタイミングだったね。ちょうど終わったとこだよ。
ラズリ:うーん、熱い30分だったね。
ティンベル:こっちもかなり暑かったよ(←プレイしたのは8月の初めだった)。
ラズリ:なんかかなり大変なことになってきたんだけど、こっち。
クロヌシ:ほう。
GM:ま、それは秘密ってことで。みんな座ってちょーだいな。続きを始めるよ。