第六話「翼はもう羽ばたかない」


 

ラズリ:「な、な、な、な、なんであんたがこんなとこにいるのよぉぉぉ〜!?」

マラカイト:「ラズリがふたり……」

サードニクス:「ラズリがふたり……」

家族そろって:「ラズリがふたりぃ〜!?」

ラズリ:「あんた、誰よ!?」

もうひとりのラズリ:「──おめーこそ誰だよ」

グレン:ほう、そういう喋り方をするのか。

ラズリ:「かっ、鏡よ!  きっとこれは鏡だわっっ!(笑)」

マラカイト:「ラズリがふたり──うれしさ2ば〜い!」(ガッツポーズ)

ライム:「おねーさまがふたり──楽しさ2ば〜い!」(くるくると舞う)

フローラ:しかもスタイルが全然違うっっ!  ──特に胸。

ラズリ:お前らいっぺん沈め〜!(笑) ──この中で一番状況を把握してそうなのは……兄様、かな。あとは……グレン?

グレン:「そうだな。オレはずっとこいつと一緒にいたから、こっちが本物だと思うんだが……」

サードニクス:「だが我々はもう何年もこっちのラズリと生活している。
        現に、こっちのラズリはもう立派な24歳だが、そっちのラズリは……どこか幼い顔をしていないか?」

ラズリ:「あたし、5年ほど行方不明だったんだけど」

フローラ:行方不明は年を取らないのか?  うちのラズリは、そんなことも分からないほどおバカさんではないはずっ!

ラズリ:(フローラをどつきながら)何者なのよ、あんたはっ!(笑)

マラカイト:(ひそひそと)「わしはやっぱりポイントは胸だと思うのだよ、ライム君」

ライム:(同じくひそひそと)「そうですわね、おじさま。でも服を脱がせてみないと分かりませんわ」(悪魔のような笑み)

グレン:で、小さい方が本物なのな(笑)。

ライム:「私の知ってるおねーさまは、あーんなことやこーんなことをしてくれるやさしい人だったのよ!」

マラカイト:「わしの知っとるラズリは、よくわしと一緒にお風呂に入っていた……」

ラズリ:(無言でアッパーカット)

グレン:そっちの方は無視して、説明する。かくかくしかじか……。

サードニクス:「うーん、信じられないな……」

グレン:「確かに嘘のような話だが、真実だ」

ラズリ:「偽者のくせにあたしより胸が大きいなんて信じらんない。どーせシリコンなんでしょ!」

もうひとりのラズリ:「シ、シ、シリコンだぁ? これは本物だ!  そーゆーお前こそ「胸も背中」女じゃねーか!」

グレン:(言い合いを無視して)「オレが嘘をつくようなヤツに見えるか?」

サードニクス:「……正直者には見えないんだが(笑)」

グレン:「じゃあ、こいつを見てくれ(カレンを指差す)。
     あんたも会ったことがあるはずだ。成長期の娘が、5年前とちっとも変わってないだろ?」

サードニクス:「確かに……。ちゃんと食べ物を食べさせているのかい?」

ラズリ:「……兄様大ボケ。グレンの話、ホントのことなの。お願い、信じて〜!」

ペリダート:(ぱんぱんと手をたたいて)「みんな、座りなさい。話がある」

一同:(わいわいがやがや)

ペリダート:(大声で)「座りなさい!」
 


フローラ:で、何の話なのかな。

ペリダート:(もう一口茶を飲んで)「──24年前……じゃったな、アメシストがおなごの赤ん坊を産んだのは。
       (目を細めて)かわいい双子じゃった……

一同:ふ、双子ぉ!?

ラズリ:ちゃらり〜ん♪  しょっっくぅぅぅ……。

マラカイト:「そうか……。わしにはこんなかわいい娘がふたりもいたのか……。じーん……」(感動してる)

ラズリ:おやじぃ〜、なんかちょっとズレてるぅ〜(笑)。

ペリダート:「儂は、その子らにオニキスとラズリという名をつけた。
       ──男親は出産に立ち会えんから、マラカイトやサードニクスが知らんかったのは無理もない。
       オニキスは、産まれてすぐに、やむなき事情で里子に出してしまったからな。……すまんことをしたと思っている」

グレン:「『やむなき事情』ね……。(オニキスをちらっと見て)──いつでも人間というのは勝手なものだな」

ガーネット:「うーん、いつの間にか入れ代わっていたのか……。全然気づかなかったぜ」

ラズリ:「気づいてよぉ!  ──だいたい、あんたもラズリなんて名乗ってんじゃないわよ!」

オニキス:「う、うるせえ!」(ラズリを突き飛ばして、外に走っていく)

ペリダート:(ひげをしごきながら)「ふう……無理もないか……」

ラズリ:「……ちょっと、言い過ぎたかな……。あたし探して──」

グレン;「(その手をつかんで)下手な同情はかえって傷口を広げるだけだ。──今はそっとしておいてやれ」

ラズリ:「グレン……なんか急にいい人になったね(笑)」

グレン:「うるせえ。なんとなく分かるんだよ、あいつの気持ち……」

GM:さて、場面変わってストロンシャン。『ホフヌング』の本部内。

クロヌシ:本部ってストロンシャンにあったのか。

オペリオ:♪で、なんかおれまで連れてこられたんだけど(笑)♪

GM:ロゼが行きたいって言うだからしょうがないよ。君は一応保護者なんだから。

オペリオ:♪そ、そうだったのか……(笑)♪

ナタリー:「──あなた方は『白寿の長老』を御存じですか?」

フローラ:(クロヌシを肘でつつきながら、小声で)「知ってる?」

クロヌシ:(同じく小声で)「いや、知らん」

ナタリー:「『白寿の長老』は、ストロンシャンを治める最高責任者です。
      同時に、「究極魔法」の研究の第一人者でもあります。
      白寿の名のとおり、99歳以上の老人9人で組織されています」

フローラ:「じゃあ合計年齢は──891歳以上!?」

ナタリー:「そうなりますね。そして、彼らが『ホフヌング』の長でもあるんです」

クロヌシ:「……なんか怪しい組織だな(笑)」

GM:そう?「希望」って意味なんだけど。

ナタリー:「で、『白寿の長老』たちに──『ホフヌング』に対抗する組織があるんです。彼らは『裏の賢者』と名乗っています」

GM:略して『裏けん』という。

クロヌシ:本当か?

GM:うそ(笑)。

ナタリー:「その『裏の賢者』たちがある封印を解こうとしているのです。沈黙の森に眠る──『魔獣』を」

フローラ:それってプーさん?

GM:違う違う。ジャドンが2年前──今は7年前か──に解こうとしていた封印だよ。

一同:ああ、あれか(納得)。

フローラ:……で、ジャドンって誰だっけ?  ドラ焼き屋の人?

GM:それはガルカン。

フローラ:カスタさんと親子関係にあった人?

GM:??  なんか混乱してるね。……ひょっとしてセカラシカと勘違いしてる?  セカラシカのおじいさんはオサイジャシター。
   血縁関係はそれだけだよ。で、ドラ焼き屋のガルカンに黒幕のジャドン……若だんな(ヒルガン)のお父さんだ。

フローラ:……セカラシカって誰だっけ?

GM:何もかも忘れてるなぁ。(昔のイラストを見せて)この子。金髪ウェーブの女の子。

フローラ:ああー、はいはいはい(やっと分かった)。

GM:(やれやれ)と、そこへこのふたりが入ってくる。

ジャスティスレンジャー:(のんきな声で)「ただいま〜

クロヌシ:「なぜお前がここにいる〜!?」

ラズリ:もうひとりは知らない人だね──どっかで見たことある気もするけど。

GM/少女:「御無沙汰してます。元気そうで何よりです」

グレン(のプレイヤー):7年ぶりになるのかな。

フローラ:7年もたてば女の子も大きくなってるわよね……。

ラズリ:(ピンときて)ああ、あの人か。

GM:「……ぞい」って話せば分かるかな?

フローラ:………誰?

GM:セカラシカだよ!  今さっき話に出てきたばかりでしょーが!

セカラシカ:今はニーナという名です。

フローラ:結婚したの?

GM:してないよ!  組織でのコードネームみたいなものかな。こいつがジャスティスレンジャーと名乗っているように。

ジャスティスレンジャー:(無言でポーズをきめる)

ラズリ:ずいぶん差があるね。ひとりはジャスティスレンジャーなんてダサい名前なのに。

GM:自分で決めたんじゃないの?(笑)(師匠に無理矢理名付けられたのだ──by ジャスティスレンジャー)

ラズリ:大きくなったねぇ。言葉遣いもすっかり普通になっちゃって……。

GM:いつまでも年寄りくさいとかわいそうだからね。──で、そのニーナなんだけど、ナタリーに何か耳打ちしている。

ナタリー:(うなずいて)「御苦労様でした。これでなんとかなりそうです」

クロヌシ:「何が始まるんだ?」

ナタリー:「沈黙の森に行き、『魔獣』の復活を阻止します──これがあなた方に手伝っていただく『計画』です」

クロヌシ:「……なるほど。分かった、手伝うことにしよう」

ナタリー:「今、準備を進めています。4〜5日中に出発しますので、それまではゆっくりしていてください。では、失礼します」

フローラ:(クロヌシに)「──で、どこになにしにいくワケ?」

クロヌシ;「あ、あのなぁ……」(あきれてる)

GM:さて、それじゃここで、グレンとラズリ以外は退室してもらおうかな。

フローラ:ええ〜、なんで?

GM:ちょっとね、君たちに聞かれたくない話があるのさ。んーとね、30分ぐらいかかりそうだから、買い出しに行ってきてくんない?

クロヌシ:そんなにかかるのか。

ラズリ:え、え、じゃあ、30分もグレンとふたりだけで演技するわけ? うっひゃ〜。

グレン:(……イヤなのか?)

ティンベル:それじゃ、行ってくるね。
 


GM:(シナリオをチェックして)それじゃ、再開しようか。




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