#2 『LONELYPHANTOM』 06


 梨畑家10:11 p.m.

GM:涼、日曜の10時頃って何してる?

涼:あ、俺か。日曜は出番ないだろうって油断してた。……そうだな、『世界ウルルン滞在記』でも見ておこう。

GM:そーすると、澪さん家の電話が鳴る。

澪:(電話を取って)「もしもし? はい、そうです。……はい、はい……。え、本当ですか? ……分かりました、すぐそちらへ行きます」

涼:「……何かあった?」

澪:「涼……学校の校舎裏で…………平くんの死体が見つかったそうよ」

一同:なにぃぃぃぃ!?

涼:「平って……あの平?」

澪:「たぶんね。……あたしは今から学校行くけど、あなたどうする?」

涼:「俺もいくよ。車、乗っけてってくれ」

 小沢先生の部屋10:23 p.m.

GM:さて……金太郎たちは、あれからまた暴れたりした小沢先生を何とか取り押さえて、部屋の中を見てみることにした。

金太郎:あんま見たないけどな……。

GM:押し入れを開けてみると……盗撮ビデオの山。

金太郎:これは……シャレにならんで……。

GM:ビデオカメラとかノートパソコンとか、千歳高校の生徒を撮ったヤツとか、あさればあさるだけ出てくる出てくる。

涼:パソコンとか使えたんだ(笑)。

GM:エロパワーのなせる技。……で、何か寮の舎監室で見たことがあるようなテープがあったり(笑)。

浩之介:何ですとーッ!?

金太郎:貴様、いつの間に(笑)。

浩之介:朝の制服チェックのとき受け取ったのか〜?(あせあせ)

GM:ま、それは冗談だ……てことにしておくけど。──で、警察に連絡した方がいいよなぁ〜と思ったとこで、金太郎の携帯が鳴る。

金太郎:「もしもし?」

GM:寮に住んでる友達からだよ。なんか、学校で生徒の死体が見つかったって。

金太郎:「事件かッ! よっしゃ待っときー、わいがすぐ行くからな〜! ダーイジョーブ、わいに全てまかしときッ!(電話を切って)──ちゅーこっちゃ一真、悪いけどここは頼むな。わいは……わいは行かんといかんのや。みんながわいを待っとるんやッ!(燃)」

 千歳高校校舎裏10:54 p.m.

GM:警察と先生たちとやじうま──噂を聞き付けた寮生とか──で大変な騒ぎになってる。

浩之介:寮生から話を聞いて、見にいこう。

GM:チャーリーは? 誰か連絡してくれそうな友達とかいないの?

涼:それ以前に、友達いないし。

チャーリー:ぐさっぐさっ!(笑)

涼:で……やっぱり、あの平なのか?

GM:そうみたいだね。どうやら刺されたらしいよ。

澪:「あたし、いろいろやらなきゃいけないと思うけど……涼はどうする?」

涼:「いや、車で……は狭いから、部室で待っとくよ」

澪:「涼……元気出してね」

涼:「……なにが?」

澪:「んーん、いいの」

金太郎:(自転車でかけつけて)「やっと着いた……あーしんど……」

GM:警官と先生たちが、生徒ややじうまに帰るように言ってるね。

金太郎:「みんな動いたらあかん! 何故なら……犯人はこの中におるからです!(叫)」

隆志:ものすごい人数がいるのに(笑)。

警官:「あー、君、いいから早く帰りなさい」

金太郎:「ちょ、待ってくださいよ。これから高校生探偵、成瀬金太郎の名推理がやねえ……」

警官:「ほらほら、邪魔だから」

涼:「……なにやってんだ、あいつ……」

金太郎:死体とか見れる?

GM:ちらっとね。でもシートがかけられるだろうし……とにかく、死体を調べたりとかはムリだよ。

金太郎:……よし、寮生に話を聞こか。

寮生A:「凶器はナイフじゃないかって話だ」

金太郎:「背中からざくっと?」

寮生A:「前から胸を一突き、だってよ」

金太郎:「てことは、顔見知りの犯行っちゅーことか……」

寮生A:「遺留品があったらしいぞ」

金太郎:「……なんでお前そんなに詳しいねん。──まあええわ、で、遺留品って何や?」

寮生A:「遺留品は……ここから先は、豚キムチ定食」

金太郎:「……セコイやっちゃな〜」

寮生B:「文庫本だろ」

寮生A:「……言うなよ」

寮生B:「『ノルマンディ殺人事件』って本だって。平、ミステリーマニアだったから」

寮生A:「その本の30ページに、白い紙がはさまってたんだってよ。本の中にまで血が飛び散ってて、赤く染まってたらしいけど……な……」

金太郎:「ダイイングメッセージか……? 誰か、その本持ってるヤツおるか?」

寮生A&B:(首を横に振る)

金太郎:「『ノルマンディ』…………あ」

チャーリー:あ。

金太郎:(電話をかけて)「もしもしチャーリーか、お前『ノルマンディ』の本持っとったよな」(人物紹介イラスト参照)

チャーリー:「いつも持ってマスけど……(笑)それがどうかしマシタか?」

金太郎:「その本の30ページに、犯人のヒントがあるんや!」

チャーリー:「でもこれ、登場人物全員外人デスよ」

金太郎:「………………。……いや、きっと何かあんねん。ちょっとそのページ、読んでみ」

チャーリー:読みマスけど……何か分かりマス?

GM:分からないねぇ。第一の殺人が起こったあたりだけど、別に共通点とかも見つからない。

金太郎:「フッフッフッ、この事件もろた、もらいましたで〜。この高校生探偵成瀬金太郎が、きっと事件の謎を解いたるッ! ジッチャンの名にかけて!」

涼:……お前、いろいろ混じりすぎ。
 

 だが……結局有力な手掛かりは得られないまま、その日はみんな家に帰ることになった。
 

金太郎:これでまた10月6日に戻ってたらイヤやなー……。

 浩之介は夢をみた。
 

 私立千歳高校の廊下。

 休み時間らしく、教室では生徒たちが楽しそうに話をしているのが見える。

 そこは……1年F組だ。

 視線の先には……友達と冗談を言い合っている、八重木栞がいる。

 彼女を……見つめている。

 あの人の面影を求めて。

 憎しみと、かなしみと……はちきれそうな、愛情を込めて。

 彼女を……見つめている。

To be Continued
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