#2 『LONELYPHANTOM』 05


 八重木家近辺06:38 p.m.

GM:こっそり後をつけてる金太郎たちに話を移そう。バスを降りた栞は、自宅の方に向かっている。ではここで『心』判定をするのだ。修正はマイナス10。

金太郎:そんなん、成功するワケないやん。(コロコロ)ほら失敗や。

GM:ならNPCの方も判定を……(コロコロコロ)一真が気づいた。栞は、バスに乗るときには付けてなかったペンダントを、首から下げてる。

チャーリー:ふーん(気のない返事)。

金太郎:家までちゃんと帰るか、尾行しよか。

GM:どのくらい離れて尾行する?

涼:気づかれないけど気づかない、それが2キロという微妙な距離。

金太郎:2キロは離れすぎや(笑)。50メートルぐらいにしよか。

GM:ふむ。……では、家の前まで来た。門を開けて玄関に手を……かけたところで、くるっと振り返り、門の外へ。

金太郎:お? 出てきたで。

浩之介:目はうつろなかんじ?

GM:(お前はここにいないだろ)暗いし遠いから、よく分からない。

金太郎:「よし、追跡するで。……ここからが本番や」

GM:金太郎の『技』と栞の『心』で即決勝負(お互いの判定の成功度で勝敗を決める方法)しようか。

金太郎:(コロコロ)53成功や。

GM:(コロコロ)それは大きく負けてるなぁ。栞は尾行に全く気づかないまま、とあるアパートの前まで来た。で、2階の真ん中ぐらいの部屋に、入っていく。ノックして、中から誰かが開けたみたい。

金太郎:誰かの部屋を訪ねたってことやな。──こっそりドアの前まで行こう。表札には、何て書いてある?

GM:小沢。

金太郎:小沢ぁ? 体育教師の、小沢小次郎かいな。覗きしてた。

GM:さあ、そこまでは分からない。担任でもない先生がどこに住んでるかなんて、普通知らないでしょ。

金太郎:……とりあえず進吾たちのところまで行って、このことを伝えるで。

進吾:「小沢ぁぁぁぁぁぁッ!!!」 (突撃モード)

一真:「おい、やめろ進吾」(必死で止める)

二葉:(同じく進吾を止めながら)「進吾くんはこっちで何とかするから、あとよろしく」

金太郎:「はあ? ……わ、わいひとりで……?」(急に弱気)

一真:(進吾の口を押さえながら)「まかせた」

金太郎:「……よし、わいにまかせときッ! ……まずは涼に電話や」

 梨畑家07:09 p.m.

涼:(携帯を取って)「はいもしもし……おう金太郎か。どうした? 小沢の住所? 名簿に載ってるだろ。今外にいる? なんで小沢の住所なんだ? ……ああ、分かった分かった、ちょっと待ってろ。(受話器を押さえて)澪ちゃん、名簿どこにある?」

澪:(覚えているかどうか判定してみると……ファンブル(笑))「さあ? 電話帳の下にない?」

涼:「そもそもその電話帳はどこにある?」

澪:「えーと……捨てちゃったかも」

涼:「電話帳を捨てるなよ……。──もしもし、名簿、捨てたらしい。悪いけど、分からん。……急いでる? って言われてもないものは……(ふと気づき、自分で判定して)あ、あったあった。小沢だな。住所言うぞ」

 小沢先生のアパート07:16 p.m.

金太郎:(住所を聞いて)「小沢の家に間違いないようやな……。──よし、いくで!」
 

 金太郎はドアの前にまで移動すると、聞き耳をすませた。
 

金太郎:(コロコロ)男と女の声やな(笑)。

涼:小沢って、何歳ぐらい?

GM:んーと……40歳前後かな。未婚だよ。

金太郎:よし、ピンポンピンポンピンポン〜!

GM:玄関に人が来る気配が。

金太郎:せやけど……乗り込んでどないしよ。よく考えたら栞ちゃんて自分からここに来たんやったなぁ。……しばらく様子を見よか。

GM:呼び鈴鳴らして様子見るの?

金太郎:鳴らしてへん。

GM:鳴らしたじゃないか。

金太郎:鳴らしてへん、さっきのは妄想や〜!

GM:分かったよ(苦笑)。──んじゃ、しばらくして小沢先生と栞ちゃんが出てくる。

金太郎:こそこそ(隠れる)。

GM:ふたりはアパートの前に出ると、コクッとうなずきあって、別れるね。

涼:チュウしたりはしないのか。

GM:しないね。栞はぽてぽてと歩いていく。で、小沢はアパートに戻ろうと……

金太郎:(偶然を装って)「あれ、先生やないですか。……さっき一緒にいたの、栞ちゃんでっか?」

小沢先生:「栞とは誰のこと……っタイ」

金太郎:「全部見てましたで〜。フッフッフッ」

小沢先生:「………………」

金太郎:「小沢センセ?」

小沢先生:「それより成瀬、お前最近遅刻が多いそうじゃ──」

金太郎:「話をそらさんといてください」

小沢先生:「な、何を言ってるか分からん……っタイ」

金太郎:「進吾〜、とりあえず栞ちゃん捕まえてこいや」

GM:言われるまでもなく、後を追ってる(笑)。(コロコロ)ファンブルか。小沢先生は明らかに動揺しているぞ。

金太郎:「4人も見てたんでっせ?」

GM:先生は……いきなり、君を突き飛ばして走り出すぞ。

浩之介:ををぅ、あまりに露骨!

GM:でも何だか足元がおぼつかない。鉄ゲタのせいかもしんない(笑)。

金太郎:「待てぇい、『金太郎キーッック!!!』」(コロコロ)あ、あかん、失敗してる。

GM:何やってんだか。先生は逃げるぞ。

金太郎:「くそぉ、待ちや〜!」

GM:金太郎、ちょっと『心』で判定してくれる?

金太郎:(コロコロ)成功してる。

GM:じゃあ、聞こえてるな。

一真:「しょうがない、二葉、やれ!」

二葉:「うんッ!」
 

 次の瞬間──小沢先生が、豪快に転んだ。
 

浩之介:おお、スネアー!

金太郎:何やぁ!? でもチャーンス! 押さえ込むで。

GM:一真も上に乗ろう。

小沢先生:「授業で分からんというとこを教えていただけ……っタイ」

金太郎:「だったら何で逃げたんでっか?」

隆志:……ちょっと待って。授業って……『保健体育』?

一同:うわーッ!(笑)

浩之介:手取り足取りそんなことをッ! こりゃ、兄貴には言えないなぁ。

小沢先生:「ま、まだ未遂だった……っタイ」

金太郎:「コ、コイツ、ほんまもんや……」

GM:そこへ、進吾が戻ってくる。

進吾:「すまん、見失った」

金太郎:「駄目じゃん」

進吾:「う……」

金太郎:(先生の方を見て)「お前……栞ちゃんに何をしたんや」

小沢:「ナニ……。……でも未遂っタイ」

一同:あ、言っちゃった。

GM:金太郎を押しのけて、進吾が小沢先生をボコボコに殴るね。

金太郎:「……これで、アンタの教師生命は終わりや」

GM:その前に人生そのものが終わってるかもしれない。──『心』判定ばかりで申し訳ないが、受動値でちょっと判定してくれる?

金太郎:(コロコロ)成功しとるで。

GM:小沢先生のジャージのポケットから、コロリと青い石が転がり落ちたよ。

金太郎:……何やろ? 気にしな〜い。

GM:(触らないか……。なら判定はなしだね)


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