GURPS・EDO―薩摩編―(拾参)

GM:(ホントに横一列に並んで歩いてきたのか……?)……鹿児島に着いたよ。

彩:「では早速お城に……」

侍:「いや、今日はもう遅い。移動の疲れもあるだろうし、宿を取っておいたからそこで休みなさい」

GM:といって駕篭を錦江屋に回す。

大内:なるほどな。

彩:ここは一つ、だまされたフリをしておこう。

桂川/彩の代役:「何から何まで申し訳ありませぬぅ」

トン:我々も同じ宿に部屋をとって待機しておこう。……六畳間ひとつでよいかな。

GM:了解。――彩が案内されて行くところは店の結構、奥の方。こないだは入れなかった、特別室とかのあるところだね。

ヤン:あ〜んなことやこ〜んなことをする部屋だね。

レモン:忍んでついて行く?

ヤン:そうだね。(コロコロ)……あっ、失敗してる(笑)。

桂川:突然後ろでガタン! って(笑)。

ヤン:あれッ? どこ行った?

レモン:やれやれ(ちょいちょい、と手招き)。

GM:さて、しばらく行くと主人の部屋とおぼしき部屋に着く。

彩:おや、今日はここに泊まるんですか?

GM:ちっちっちっちっ(舌打ち)。案内の侍が一枚の畳をぺらっとめくると、下へ続く階段が現れる。

大内:そんなとこに入れるのか。

彩:明らかに怪しいんですけど(笑)。

トン:そういう時は『ほえ〜』って言っておけば大丈夫。

侍:「まぁ、我々としても万全を期する必要がありましてね」

彩:「万全、といいますと?」

侍:「実は最近鹿児島城下でかどわかしが頻発してるんですよ。城がらみの仕事をしている娘ばかり」

彩:「なるほど〜、そういうことですかぁ」

大内:まあ当然、納得はせんわな。

GM:どうする? 入る?

彩:もち。てってーてきにだまされなきゃ。

ヤン:下かぁ。天井裏から何とかまわって入れないかな。

GM:無理だろうね。天井裏から出てきた時点で見つかる可能性は特大だね。

ヤン:しょうがない、みんなを呼ぶかな。(レモンに)「行ってきて」

レモン:「またあたし? ……いいけど」

ヤン:「よろしく。その間、部屋の方はしっかり見張っておくから」

レモン:「不安だなぁ……。さっき失敗してたし」

ヤン:「大丈夫だって。ささ、行って行って」

レモン:「はいはい。頼んだよ」

彩:ところで………下(地下)はどんな感じ?

GM:地下室。太い材木でできた一種のオリみたいなのがあると思いねぇ。

大内:地下牢か。

GM:そんなとこ。ただ、牢というにはあまりにも快適。広々した青畳で、フロ・トイレはもちろんセパレート(別室。三点ユニットではないということ)で完備。しかもウチワつき(笑)。

桂川:いい部屋じゃん。

トン:我々のとった六畳間とは大きな違いだな。

桂川:狭いなー(笑)。

レモン:力士もいるのに。

トン:いや、彼は磯の桜岳屋に置いてきたんだよ。

大内:ツケもだいぶたまっていたしな。

桂川:必要に応じて召喚しよう。

GM:話を彩の方に戻そう。

彩:着替えとかは?

GM:錦江屋の浴衣くらいなら。ついたてがあるから覗かれる心配はないね。

彩:お菓子ほしいなぁ。

GM:番人のひとりが走っていってかるかん(鹿児島銘菓。決して九州銘菓ではない。無論、ネコ缶でもない)を取ってきてくれる。

ヤン:いいな、それ。

彩:他に何人かいる?

GM:二人。だから君を入れて三人だね。

彩:このまま居座っちゃおうかなぁ(笑)。

GM:とまあ、下はこんな感じだよ。――六畳間の方は?

桂川:私は別の部屋取るよ。お金持ちだし。

ヤン:……ヤな女(笑)。

GM:で? 何してるの?

桂川:食べて、飲んでる(笑)。

GM:またかい……。

 レモンから状況を聞いた一行は、夜中スキをみてその地下室に行ってみることに。

 しかし見張りのヤンの目の前で、宿の一家(主人、女房、幼い子供)が地下入り口の畳の上に布団を敷いて、眠りについてしまう。
 

ヤン:――てな感じだけど。

桂川:そっかぁ、それじゃ助けらんないねー。

トン:しかも今はまだ、決定的な場面ではないからな。

ヤン:そだね、囮なんだから助け出してもしょうがないよ。

大内:動きがあるまで待つか。

彩:(地下室から)あたしはそれでも構わないよ〜。

桂川:はっ、今私の心にテレパシーが(笑)。

ヤン:アタシにも。『私のことは構わないから、飲んでて』って(笑)。

トン:ではそういうことで、飲みながら待つとするか。

 ――翌日。

GM:一日が何事も無く過ぎていく。錦江屋は今日も大繁盛だね。

トン:おや?

桂川:うん?

トン:何でお城に連れて行かれないのかな?

大内:確かに。

彩:「すいませーん」

GM/番人:「はい?」

彩:「今日はお城に行く日じゃないんですかぁ?」

番人:「は?」

彩:「お城の方で働くために来たんですけど……」

番人:「さあ、何も聞いてませんが」

ヤン:(突然)責任者出てこ〜い!!

大内:ま、予想通りだけどね。

彩:しょーがない、あや取りでもしていよう。

 ――そんなこんなで日は暮れる。
 

GM:夜だよ。みんなどこにいる?
 

 彩、ヤンは言うに及ばず。桂川、レモンは二階の客室。大内、トンは店向かいの蕎麦屋(兼飲み屋)。力士は磯でマキ割り。
 

GM:なるほど、では……そうだな、飲み屋の二人。

トン&大内:おう。

GM:宿の正面に立派な駕篭が止まる。で、中から、明らかに日本人でない者が出てくる。

トン(インド人):外人外人、いやぁ、初めて見た(笑)。

大内:おい(笑)。

GM:ついてる侍は四人。計五人が錦江屋の中に入っていく。

トン:少し間を置いてから部屋の方に知らせに行こう。

大内:そうだな。――おやじ、勘定だ。
 

GM:一方宿の中の方。階下で人が歩いてく音が聞こえる。

桂川:覗いてみよう。

GM:見えたのは侍二人。奥の方に向かっているようだ。

桂川:ほうほう。

トン:そろそろそちらに戻ってよいかな?

GM:どうぞ。

トン:実はさっきかくかくしかじか……。

桂川:あの、実はこっちでもかくかくしかじか……。

大内:GM、連中が行ったのは――

GM:例の部屋だ。

桂川:よし、じゃあ行ってみよっか。

GM:ところが残念、部屋には行けない。店の人に止められる。

GM/仲居:「こちらから先は関係者以外立ち入り禁止でございます。お戻りください」

大内:ではしょうがない。いったん退くか。

GM:さてヤン。天井裏の君のところにレモンがやってくる。

ヤン:「お、どうしたの?」

レモン:「……来るわよ」

ヤン:「何が?」

大内:ダメだよそれじゃあ。その一言ですべてを把握しなきゃ(笑)。

GM:例の部屋を見てると、まず、女中がお膳を運んでくる。上座に一つ、下座に一つ。

ヤン:なるほど、例のアレが始まるわけね(笑)。

GM:で、下座に錦江屋の主人が座る。そして上座に外人、白人だね。その横に通訳らしき日本人の武士が座る。

ヤン:なーに? あの人。

彩:ロリータ外人……(笑)。

GM:ところで君ら(二階客室にいるトン・桂川・大内の三人 )はどうすんの?

トン:庭に潜んでおく。

桂川:とーぜん、この辺にあるべき植え込みに(笑)。

大内:いい場面になったら出て行くから。

GM:あいよ。