FINALACT[ぼくのセカイがおわるとき] 08

GM:フウゲツはどうするの?

フウゲツ:俺は……叫ぼう。「やめるんだ、スノウー!!!」

ユリア:水には入らないのれすね。フンドシ一枚で。

フウゲツ:ん、まだだ。

GM:ママーンは?

マリアルイサ:「オマエにはまだ長の地位は早すぎたようだね」とのたまう。

GM:説教モードか。

レイチェル:長が「マ、ママン」とか言ったりして。

GM:女の子を連れ込んで裸にしてアレコレしてたところを母親に見つかったのかー……。

フウゲツ:気まずいな、とても。

レイチェル:気まずいというより、ヤバイだろう。

GM:長としての威厳も何もかもが一気に吹き飛んでしまったなぁ……(苦笑)。

シュリ:木の根とかはどんなかんじ?

GM:発光してる。

シュリ:発酵? 腐ってるの?

ヴァイス:光る方でしょ。

GM:畑のときと同じパターンだね。光る根、種、蔓が攻撃してくる。

シュリ:あの攻撃なら、何とかしのげるかな。

ヴァイス:大きな木の根をどうにかしたら、攻撃止まるのかな?

GM:それはやってみないことには何とも。でも、湖の中心の巨大樹が全ての原因だろうなー、とは思えるね。

ヴァイス:そしてそこにはスノウがいる!

フウゲツ:もしスノウがこの攻撃をしてるとしたら……ヴァイスは大丈夫か? 集中攻撃されたりして。

シュリ:逆でしょ。絶対攻撃は受けたりしないって──眼中にないんだから。

ヴァイス:いたたたたた。

GM:んじゃ、シュリとユリアね。ふたりでコード引っ張るの?

シュリ:そう。

ユリア:ユリアだけでもOKかもしれないれすが。
 

 ふたりで引っ張ると、コードはあっさりと抜けた。

 だが、レイチェルの様子に変化はない。
 

レイチェル:判定に失敗してしまったので。

GM:なかなか目を覚まさないねえ。

ユリア:「ロボさーん!」

シュリ:「レイチェル、起きて!」──と自分の肩を揺らしながら。

ヴァイス:くっ。

GM:まだそのネタ引っ張りますか……。
 

 その後、更に2回判定に失敗するレイチェル。
 

レイチェル:よほどまずいタイミングでケーブルを切断されたみたいだ。
 

 そしてヴァイスはまだ泳ぎ中。フウゲツは──
 

フウゲツ:「みんな、あの木はスノウだ!」

シュリ:「ますますワケの分かんないことを……」

レイチェル:(コロコロ)08! 今度は完璧に成功。

GM:やっとお目覚めか。

マリアルイサ:裸じゃかわいそうだから、ワタシのマントを貸してやろうか?

レイチェル:いえ、大丈夫です。自分の服がありますから。
 

 ちょっと躊躇した後──レイチェルは地面のローゼンクランツ(レイチェルの鎧)を手に取った。

 一瞬でアンダーウェアが身体を包み、その上を深紅の装甲が覆っていく。

 皆を守り、戦うためには、迷っている暇はない。

 そして、レイチェルの装備が整うのを待って、シュリが話を切り出した。
 

シュリ:「レイチェル……何があったの?」

レイチェル:「それは──」
 

 語ろうとして、レイチェルは動きを止めた。

 あの体験。あの感覚をどう言葉にすればいいのか……分からなかったのだ。

 ただひとつ、言えることは……
 

レイチェル:「スノウだ」

シュリ:「は? レイチェルまでそういうこと言う?」

レイチェル:「『結界』発生装置──湖の底にあった『ウロボロスの円環』とスノウが共鳴し、スノウが取り込まれた。そしてスノウの力が開放された」

シュリ:「スノウの力?」

レイチェル:「『Gシリーズ』の力。『ホフヌング』が造りだした、神を狩る力」
 

 今度は、シュリが固まる番だった。

フウゲツ:レイチェルが無事なことを確かめたところで、俺も水の中に入るぞ。

ユリア:フンドシ一枚で。

フウゲツ:いや、そこまでは脱がないが(笑)。

GM:急がないと、ヴァイスはもう樹の根元にたどり着いて、登り始めたよ。

フウゲツ:負けん!

シュリ:別に競争じゃないでしょ……?

フウゲツ:木の根とかはどんなかんじ?

GM:攻撃の勢いはだんだん弱まってるね。『種』の数も減ったし。光も弱くなってきてる。

フウゲツ:スノウが押さえ込んでくれてるのか……? それとも……。(上着を脱いで)よっし、いくぜぇ!
 

 ヴァイスは節くれた木の根を登っていく。

 水を吸った服は重く、凍るように冷たい。手がガチガチと震え、何度も落ちそうになる。
 

フウゲツ:(下から登ってきて)「ヴァイス、無事か!?」

ヴァイス:「な、何とか……」

ユリア:もう追いついたんだ。

GM:基礎体力が違うからね。

 レイチェルたちの様子を横目に見ながら、マリアルイサは息子の傍に立った。

 エイドシックは肩を落とし、膝をついてしまっている。その背中はとても小さく、弱いものに見えた。
 

マリアルイサ:「やれやれ情けない子だね。──オマエには、やっていいことと悪いことの区別もつかないのかい?」
 

 畑を耕していたときとは違う、凛とした声。人を統べる術を、人を導いていく術を知っている者の声だった。

 エイドシックが、子供のような瞳で母を見上げる。
 

マリアルイサ:「詳しい事情はさっぱりだが……その『門』とやら、ホントはもう開くんだろう?」
 

 その言葉に、皆の視線が集まる。
 

レイチェル:「どういう……ことですか……?」

マリアルイサ:「この子は……その背の高い子と一緒にいたいがために、ずっと『門』が壊れてるように見せかけていたのさね」

レイチェル:「……その行動は、理解不能です」

シュリ:「とんだ茶番ね」

ユリア:それより、農夫のおばさんがなぜそんなことを知ってるのか、とても不思議なのれすが。

シュリ:実は黒幕?

GM:君たちが帰った後にこっそり調べたのだろう。先代だから、いろいろ知ってるワケだし。

シュリ:そのときついでに『門』を開けてくれたらよかったのに。

マリアルイサ:そこはほら、複雑な母心というか乙女心というか。

レイチェル:とにかく……『ゲート』は開くんだな?

GM:開く。この事態が収拾さえすれば。

シュリ:んじゃ……あとはフウゲツにがんばってもらおうか。

ユリア:そうれすね。緑の髪じゃない方に。



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