ACT13.0[たとえばぼくがしんだら] 09

 自警団の寮──

フウゲツ:「何か事件か?」

カーキ:(薄い粥を食べながら)「はあ? これ以上事件なんて起きるのかよ?」

フウゲツ:「だがさっきスノウがかくかくしかじかで……」

カーキ:「聞いてねーよ、事件なんて」

シア:(食べながらうんうんとうなずく)

フウゲツ:「それは心配だ。こちらに連絡が届いてないというのはどういうことだ……?」

エミリー:今頃は連れ出されてあーんなことやこーんなことを……。

フウゲツ:街を探そう。直感を頼りに。

GM:寮にはヴァイスもいるよね。

フウゲツ:そうだった。話は聞いたなヴァイス。ついでにエミリーもかくかくしかじかで。

ヴァイス:エミリーさんがああなのは昔からでしょ?

フウゲツ:前からああだったが、今夜のは輪をかけてああだった。

ヴァイス:エミリーさんが……。

フウゲツ:何か心当たりでも?

ヴァイス:『紅』──あのグレイウッドという女性に取り憑いていた『もの』が完全に消えたとは限らないから……。

フウゲツ:そう言われてみれば、誰かに操られているようでもあった。

ここにいないシュリ:ヴァイス冴えてる! さすがね!

ヴァイス:でも今は、スノウを探す方が先でしょう。

シュリ:そのとーりね。さすがね! ──何でもかんでもとりあえず誉めてみたり。

フウゲツ:自警団と名乗ってたらしいが……。

ここにいないエミリー:犯人は、アレしかいないでしょ。

GM:お察しの通り、タンは寮にいないようだ。仕事で外に出てるワケでもない。

フウゲツ:タンが怪しい。彼も何かに乗っ取られてるのかも。

シュリ:誰も彼も乗っ取られてるのね(笑)。

フウゲツ:「ヴァイス、手が空いてないとは言わせないぞ!」

ヴァイス:「もちろんです、僕も探しにいきます」

フウゲツ:「よく言った!」

GM:ではおふたりさん、どこから探す?

フウゲツ:タンの家とか探してみたいぞ。タンの家はどこだ!

GM:ここ。

フウゲツ:……そうだった。

ヴァイス:手分けして探しましょう。南の方から僕は東回りで。フウゲツさんは西回りで。

フウゲツ:よし、馬に乗っていくぞ。

ここにいないユリア:え、馬ってまだ残ってるのれすか?

エミリー:食べたのね(笑)。

ユリア:馬肉はうまいれすよ。

フウゲツ:2頭ぐらい残してあるだろ。

GM:(手当たり次第、か……)
 

 ふたりは街の南側をしらみつぶしに探して回った。だが……スノウもタンも見つからない。
 

GM:(コロコロ)3時間が経過したけど、手掛かりは何も見つからない。

ヴァイス:ダメか……。街の北の方も探してみますか?

フウゲツ:食料庫とか……。あとはどこだ?

GM:(なんでこう、正解を見事に避けていくかなぁ……)

フウゲツ:くそ……タンが行きそうな場所とか自閉してる場所とか、ないのか?

シュリ:『五分厘』の洞窟とか?

ヴァイス:報告は受けてるから存在は知ってるけど……僕はいったことない。

フウゲツ:俺もないぞ。

ヴァイス:……サデルじいさんをたたき起こすか。

エミリー:明らかに嫌われてると思っているけど(笑)。

シュリ:「嫌われてると思ってる」じゃなくて、「明らかに嫌われてることが分かってる」だから。

GM:(その話はホントなのかなぁ(笑))

フウゲツ:緊急事態だ、仕方がない。──酒を持って、サデルじーさんのところにいこう。

GM:いや、事情さえ話してくれれば酒はいらないぞ(笑)。
 

 というワケで、ふたりはサデルじいさんの山小屋へ。
 

フウゲツ:「──ということで、『五分厘』の洞窟とやらに案内してもらえると幸せだ」

シュリ:いや、まだ幸せだと決まったわけじゃないから。不幸のズンドコに落とされる可能性もあるから。

ここにいないレイチェル:サデルさんも行ったり来たり大変だ。

ユリア:そろそろ道を覚えたら?

レイチェル:いや、迷うからこそ『魔王の森』なんだ。

GM:では案内してやろう。
 

 ところが……
 

GM:(コロコロ)……ウソだろ……。……道に迷った(笑)。

シュリ:サデルじーさん、相当疲労が溜まってるんじゃ……。

レイチェル:自信喪失。

GM:うーむ……ここんとこずっと一度も成功してないよぉ……。

フウゲツ:くそー、こんなときに迷ってしまうとは! だが前進あるのみ、あきらめない!

GM:ただただ時間が過ぎていく……。──ではここで気配察知の判定を。

フウゲツ:ヤツか!? 『仮面』なのか? (コロコロ)うをー、04とかで成功してるぅー!

GM:ホントに相性がいいねえ(笑)。でも今回は『仮面の人』じゃない。
 

 闇に沈んだ森。目の前に姿を現したのは、白い服に身を包んだ銀髪の少女だった。
 

ヴァイス:あ、久しぶり……。

GM:少女は、とても悲しそうな顔をしている。

ヴァイス:え、一体どうしたんですか?
 

 少女は──沈黙したままある方向を指差した。そして、案内するかのようにその方向へ進んでいく。
 

フウゲツ:「………………。──いこうヴァイス、じーさん!」

ヴァイス:「はい!」
 

 夜の森を進む。枝をかき分け、根に足を取られ、それでも進んでいく。

 そして──更に深い闇をたたえた、洞窟の入り口にたどり着いた。
 

サデル:「おお、あれじゃ」

ヴァイス:お礼を言おう。少女の方を見るけど……。

GM:もう、姿はないね。

ヴァイス:やっぱり。

フウゲツ:(ゴクリ、と唾を飲み込んで)「ヴァイス、明かりの魔法を」
 

 魔法の光が、辺りを青く浮かび上がらせる。

 ヴァイスとフウゲツは、洞窟の中へ足を踏み入れた。
 

GM:(静かに)ヴァイス、フウゲツ──これが、現実だ。
 

 青く彩られた世界の中で。

 光を反射するナイフ。

 乱れた髪。白い顔。乱れた着衣。力の抜けた手足。

   どこで歯車が狂ってしまったのか──

 そこに、スノウがいた。

 彼女はもう、動かなかった。その瞳はもう……何も映していなかった。
 

.be.Continue...
あまりにもあっけなく。
僕たちはスノウを失った。
やわらかな傷痕はまだ癒えない。
傷痕は、血を流し続ける。
心の傷は増えていく。
そして──アーケインの謎が
沈黙を破り始めた。



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