ヴァイスのプレイヤー:はあ。
シュリ:例えばサークルに女の子がいて、誕生日にその子にどんなプレゼントもらったらうれしい? ──あまり好きでない女の子から。
レイチェル:微妙だ(笑)。
ヴァイス:何されてもうれしくないと思うのは気のせいか。
シュリ:それは気のせいよ。それはヴァイスが人の暖かさを知らないからよ。
ヴァイス:それはあるなぁ……って、おい。
フウゲツ:俺はッ! 帝都に買い出しにいきたいぞー! なんならスノウも一緒に。
ユリア:いっそ自警団全員で。
ヴァイス:それはちょっと……。
ユリア:そして街の人たちは自警団たちだけ逃げるんじゃないかと疑うのれす。
シュリ:そのときってもう『門』は開いてるんだから、逃げても何しても関係ないんじゃ。
フウゲツ:むしろ買い出しから帰ってきたら、誰もアーケインにいないかも。
ヴァイス:みんな逃げ出してしまうんだ。
GM:そして手元に残された大量の食料。──さあ宴だ宴だ〜!
レイチェル:──完。
一同:そんなのイヤだー!(笑)
GM:……なんか話まとまらないみたいだから先に進めるよー。
GM:夜になったよ。みんなどこにいる?
フウゲツ:スノウの部屋。……ごめん、ウソです。でもオルドレース家にはいます。
シュリ:あたしは、食糧庫の見張り。
エミリー:教会。
ユリア:たまには家に帰るれす。酒場の上に。
エミリー:そういえば酒場のマスター、スティールさんはどうしてるの?
GM:『紅』襲撃以来姿を見てないよ。
ユリア:死んだれすか。
GM:いや、酒場に帰ってるなら、ユリアは知ってるな(笑)。
ユリア:そうとも言う。
GM:実はスティールさんは魔族の血を引いた魔族ハーフで──街の人を守るために、その力を使ってしまったのだな。で、助けたんだけど、恐れられてしまって。
エミリー:この街じゃ魔族ハーフなんて珍しくないんじゃ?
GM:魔族という存在そのものより、目の当たりにしてしまった魔族の『力』のせい、かな。「魔族は恐ろしい存在」ということを改めて思い知り……そのせいもあって、魔族ハーフたちと一部の住民には、新たな溝ができてしまったりしてる。
フウゲツ:……勝手な話だ。
GM:そしてスティールさんは──飲まず食わずで、ただ酒場のカウンターに座ってじっと動かない。目には何か強い意志が感じられるから、自暴自棄になったワケではなさそうだけど。
ユリア:そうれすか(あっさり)。
GM:ユリアが帰ってきたのに気づくと、スティールは目の光を和らげ微笑むよ。「おかえりユリア」
ユリア:「ただいまれす」
スティール:「ちゃんと、ごはん食べるんだよ」
ユリア:「はーい」
そんなことがありつつ……
GM:さて、ヴァイスはどうしてる?
ヴァイス:そうだなぁ……仕事は昼の間に終わってるだろうから。
シュリ:寮でのんびり。ビール飲んで野球見て。
ヴァイス:それはないけど。書類書き、かな。
GM:そうか。んじゃ、話をオルドレース家に持っていこう。
フウゲツ:おう。
GM:さてフウゲツ。君は今スノウと居間にいる。んで、コンコンとノックする音。
フウゲツ:誰か来た? ──ちょっと警戒しながら、扉を開けよう。
GM:エミリーだよ。
エミリー:は? わたし?
ここにいないユリア:またプレイヤーの意志と関係なく動かされてる(笑)(エミリーのプレイヤーは第三部のときウェンディを演じ、同じような目にあった)。
GM:エミリーは、全速力で走ってきたようで、息を切らしているよ。
フウゲツ:「どうしたエミリー、そんなに慌てて」
エミリー(GM):「子供たちが! 子供たちがぁ!」
フウゲツ:「子供たちがどうした」
エミリー(GM):「いいから早く来てください! 教会へ!」
フウゲツ:「ちょ、ちょっと待ってくれ」
ここにいないシュリ:「子供たちが、わたしを鬼だと言うんです!」「いつものことじゃないですか」
エミリーのプレイヤー:これこれ。
フウゲツ:「スノウ」
スノウ:「何だか分かんないけど、いってあげてください。ここは大丈夫だから」
フウゲツ:「よし、すぐに戻ってくるから。──いこうエミリー殿!」
GM:なぜか教会には明かりがひとつもついていない。
フウゲツ:「何があったというんだ……」
エミリー(GM):「早く中へ!」
GM:中に入ると、真っ暗だよ。
フウゲツ:「エミリー、これは……」
GM:(黙ってエミリーのプレイヤーを指差す)
エミリー:え? え? え?
GM:エミリー、気がつくと君は、なぜか暗い教会の中でフウゲツとふたりきりだ。
フウゲツ:「エミリー……?」
エミリー:「……このシチュエーションは、なに?」
フウゲツ:「は?」
エミリー:「どうしてフウゲツさんがここにいるの?」
フウゲツ:「エミリー、君は自分の……自分が……え……?」
エミリー:「スノウの家にいたんでしょう? なぜこんなところに?」
フウゲツ:「エミリー、お前も疲れたのか? 寝るか?」
エミリー:「そっちこそ疲れてるのでは?」
フウゲツ:うーむ……ついにエミリーも“きた”か。「──子供たちは無事なんだな?」
エミリー:「みんな寝てるわよ。ぐっすりと」
フウゲツ:「……無事か」
エミリー:「用がないなら、さあ帰って帰って。全くもう、わたしはアンタみたいな軟弱なのはお断りよ……(ブツブツ)」
セツ:「あらお帰りなさいフウゲツさん」
フウゲツ:「ただいま。いやー、エミリーもついに“きた”ようで」
セツ:「はあ、エミリーさんが」
フウゲツ:「精神的に錯乱してたみたいで、教会についた途端、ワケの分からないことをほざきだして……」
ここにいないエミリー:ほざきだすって……。
フウゲツ:俺も動揺してる、かな……(笑)。
エミリー:それはきっと、後ろにいる『仮面』のせいよ。
フウゲツ:うひゃあ!
GM:いないいない。
フウゲツ:「あの……スノウは?」
セツ:「出掛けましたよ」
フウゲツ:「出掛けた?!」
セツ:「ええ、自警団の方が事件だとかで呼びにいらして」
フウゲツ:「誰が?」
セツ:「さあ。声だけだったので男性だってことしか……。ヴァイスちゃんなら、私でも分かりますけど」
フウゲツ:「俺も、いってみます。──戸締まりは、しっかりと」
セツ:「ええ。スノウのこと、お願いしますね」