フウゲツ:もう侵入を許してしまっていたか。……ヤツらは、入って何をしている?
GM:そりゃ、暴れてますがな。
ユリア:バタバタと苦しそうに。
GM:そうではなくて(笑)。街の人たちを襲うべく、飛んでいく。
フウゲツ:くそ、明らかに人を襲う意志があるんだな。
エミリー:砦の人たちは何をやっているんだか。
GM:『門』の大きさが高さ4メートル、幅8メートルぐらいあるから、頭上を突破されたのかも。それに、羽のないタイプもいるみたいだし。
ヴァイス:歩兵タイプか。そいつらと戦っている間に、空飛ぶヤツが突破した、と考えられるが……。
GM:中央広場を過ぎた辺りで、『羽なし君』が歩いてきてるのが見えるよ。
シュリ:こんなところまで……。街全体で、何匹ぐらい侵入を許してる?
GM:ダイスを振ってみようか。30+D100で。
シュリ:(コロコロ)57。
GM:てことは……87、約90匹か。随分入ってきたな。
エミリー:大騒動じゃない。
GM:だねー。
シュリ:位置的にはどのくらいまで侵入されてる? ここ(中央広場より少し南)が先頭?
GM:そうだね。……まあ、空飛べるヤツは街全体だし……大小いろんな道があるから、一本の道をふさいでどうにかなるワケではないけど。
フウゲツ:まず、『門』を閉じよう。
エミリー:砦の人たち、そういう処置をしてないの?
シュリ:それだけの余裕がないのかも。
フウゲツ:どうすれば『門』は閉じるんだ?
GM:……『古の民』のところにお願いにいく。
フウゲツ:逆戻りかよ!(笑)
エミリー:普通、開閉装置は『門』の傍にあるものでは?
GM:『門』の開閉には、いろいろややこしい手順があって、簡単にはできない。そうじゃなければ、普段から閉じておけばいいんだし。
フウゲツ:そりゃそうだ。
ヴァイス:そういえばリプレイの最初で誰かがそんなことを言ってたような……。
GM:『門』の開閉の方法を知りその権限があるのは、元々のこの地の住人である『古の民』だけだよ。
フウゲツ:うわー、どうしようもねーッ!
GM:そしてこうやって話してる間にも時間は過ぎていくし、魔物たち──『できそこない』は君たちに襲いかかってくる。
シュリ:『できそこない』……?
フウゲツ:(刀を抜いて)「とにかく! まず『門』を固めよう! そしてそれとは別に街中の掃討隊を組織する」
エミリー:「空を飛んでるのはどうします?」
シュリ:「銃で撃つ。魔法で攻撃。魔法で飛ぶ。──できる人はいるはずよ」
エミリー:「それもそうね……」
シュリ:それと……まずは街の人たちをどこか安全な場所へ避難させるべきだと思う。
GM:避難する場所……どこかある?
フウゲツ:ない。
シュリ:『魔王の森』か、寮の地下。どこに集めるにしろ、一カ所に集めた方が守りやすいわね。
ヴァイス:寮の地下に800人はムリだと思う。
シュリ:あとは……広場とか?
GM:広場なら、噴水のある中央広場か、あとは街外れの畑か。
シュリ:さっきいった地底湖。
レイチェル:あの場所に大勢入るのは、ダメ。それと、『結界』を背にした方が守りやすいかも。
シュリ:それだと……畑?
GM:『二重結界』もあるよ。
シュリ:それもあったね。『二重結界』を発動させて、その内側に逃げ込む。……発動させる方法は、『古の民』辺りが知ってると思う。
エミリー:うーん……。
シュリ:『門』を閉じるにしろ、『二重結界』を張るにしろ、『古の民』のところに誰かひとりいくべきだと思う。
フウゲツ:一番体力あるのは誰だ?
全員、自分のキャラクターシートを見たところ……
ヴァイス:みんなひ弱だ……(苦笑)。
GM:ホントはロボットであるレイチェルは疲れ知らずのはずなんだけどね。
シュリ:(いろいろ考えて)「──街の人たちの避難の誘導は、戦闘力の低いブルーとタンにやらせる」
GM:口下手なふたりが……。
シュリ:そんなこと分かってるけど、場合が場合だし、街が危険な状態なのは見れば分かるし。
エミリー:「いっそオーキッドも一緒にいかせたら?」
シュリ:「戦闘能力の高いオーキッドを入れて、掃討隊としての仕事もさせる、か……。よし、それでいきましょう」
エミリー:「3人で足りる?」
ユリア:「彼ら3人で街中全てを回る必要はないれすよ」
GM:戦える人も、元自警団もいるしね。
フウゲツ:じゃあ、街の中のことは彼らに任せよう。
ヴァイス:「それと、領主──ゲインさんへの連絡も」
フウゲツ:「そうだったーッッ! ……スノウが心配だ、早く様子を見にいかねば……ドキドキ」
シュリ:「………………。ならフウゲツいく?」
フウゲツ:「いや……今は、『門』が先だ。砦へ急ぐぞ!」
オーキッドの振るう剣が肉を裂き、カーキの槍が関節の隙間を貫く。爪によって引き裂かれた体を、シアの魔法が癒していく。
GM:砦と『門』が見えてきたよ。続々と押し寄せてくる『できそこない』の群れ。『門』の隙間から入り込んでくる『できそこない(羽)』たち。
エミリー:「なんて数……」
GM:シア、カーキ、オーキッド、ブルーたちが戦っているようだけど、彼らもいっぱいいっぱいみたいだ。オーキッド以外は実戦は初めてだし。――てとこで君たちは砦の前を過ぎ、『門』へとたどり着いた。
フウゲツ:加勢する!
オーキッド:「お前ら、どこいってたんだ!」
カーキ:「シュリ!」
シア:「シュリさぁん……」(半泣き)
シュリ:(苦笑して)「しばらく下がってて。あとはあたしたちがやる」
カーキ:「悪ィ……」(シアとふたりで後退)
ヴァイス:オーキッドたちに街の方へいくように言ってから、飛んでるヤツを魔法で撃ち落とす。
シュリ:あたしも銃で。
ユリア:ユリアは地上のヤツの方にいくれす。そして前から来るヤツを後ろへ巴投げ。
エミリー:やめんかぁ〜!
フウゲツ:俺も刀を抜くぞ!
GM:アーケインの東の端、畑の外れにある『結界』のヒビのところでは、スリーアイがひとりで戦っている。魔物たちは『結界』に多少干渉されるから、『門』よりかなり侵入は難しいようだ。
レイチェル:それでも入ってはきているのか……。
GM:スリーアイの周りには数体の『できそこない』の死体が転がっている。
フウゲツ:おお、強いぞスリーアイ!
GM:でもスリーアイも無傷ではないよ。疲労もしてる。
フウゲツ:案外そうでもないぞスリーアイ!(笑)
シュリ:あたしらとスリーアイって、どっちが強い?
GM:同レベルぐらいだと思うよ。
レイチェル:そこへ駆けつけよう。ローラーブレードで疾走しながら。
一同:ををッ!
レイチェル:「加勢する」
スリーアイ:「レイチェル……助かるよ……」
フウゲツ:……ここって、ひたすら戦い続けるだけ?
GM:そうだね。黙々と。ひたすらに。
ヴァイス:エンドレス。
レイチェル:寡黙なふたりが。
ヴァイス:不平不満も言わずに。
ユリア:死体の山を築いていくのれすね。
シュリ:ある意味ここが一番怖い戦場かも。
GM:んじゃレイチェル、がんばってね(笑)。