とりあえず一行は、教会の外へ出た。
シュリ:「何をどう聞いていこうか? あんまり行方不明ってこと知られない方がいいでしょ?」
エミリー:「そうね……」
シュリ:「じゃ、まず夜中に出歩いていた人を探そう。──レイチェル、リストアップよろしく!」
レイチェル:「え? ――いや、その……」
ユリア:24時間監視衛星が見張ってるんじゃないの?
GM:そんな便利すぎる設定、認めないからね。
シュリ:そりゃそーよね……。じゃ、まずは酒場の聞き込みから。
酒場『デメルング』──
ユリア:「いつも呑みにくる人はだいたい一緒ですよ?」
シュリ:「ま、聞くだけきいてみよう」
ユリア:「はーい。──マスター!」
スティール:「ん?」
シュリ:「髭、似合わなーい! ──それでですね……」
GM:そういうこと言うと、スティールさん傷ついちゃうぞ(笑)。
エミリー:「かくかくしかじかで昨日教会に泥棒が入ったんですけど……怪しい人物見ませんでした?」
スティール:「私は店の中にずっといたから外の様子は分からないが……昨日店にいたのは村長とドッガーさん、それからマーロ君に……ああ、珍しくサデルさんが来ていたな」
シュリ:「村長に武器屋のドッガーさん、それからマーロにきこりのサデルじーさん、か……」
スティール:「閉店の時間を過ぎても呑んでいて……結局店を閉めたのは12時ぐらいだったよ」
シュリ:「なるほど……。ありがとうございました。──……髭、何とかした方がいいですよ」
ユリア:「呼びにいったときに話聞いた方が早いんじゃ?」
シュリ:「ううん、呼び付けて、私生活に支障を来すように仕向けて、お互い疑心暗鬼になるようにすれば、彼らが自分で解決してくれるわよ」
エミリー:「それは自警団の信頼に関わってくるのでは?」
シュリ:「事件が解決さえすればいいのよ」
エミリー:「それはちょっと……」
ユリア:「ひとりずつ、担当を決めましょう」
GM:アミダクジでもするか。
その結果……
シュリ:村長か……一番やっかいなのが来たかも……。でも、いいクセ者対決ができそうね……。
エミリー:マーロさんか。
レイチェル:武器屋のドッガーさん。
ユリア:きこりのおじいさんですぅ。
まずは、エミリーから。
エミリー:今何時ぐらいですか?
GM:もうお昼近いだろうね。──マーロは荷馬車のところで馬車の手入れをしている。
エミリー:「マーロさん、いらっしゃいますか〜?」(媚びッ!)
マーロ=クリンスキー:「おう、いるよ。──エミリーか、珍しいな」
エミリー:「今、お時間よろしいですかァ?」
マーロ:「これから飯食うとこだけど……構わねーよ」
エミリー:「単刀直入にお聞きします〜……昨日、うちの教会に泥棒が入ったみたいで、子供も3人行方不明なんですよォ」
マーロ:「へーえ、大変だな……」
エミリー:「それでですね、夜の間に賊の方侵入したみたいなんですけど……」
マーロ:「賊の方……?(笑)」
エミリー:「マーロさん、昨日お酒呑んでましたよね?」
マーロ:「まあな」
エミリー:「お帰りの際、怪しい人影とか見ませんでしたァ?」
マーロ:「怪しいねぇ……特に見なかったと思うが……何せ酔ってたからなァ……」
エミリー:「そーですかァ……。──何か思い出したことがありましたら、自警団の方までお願いしますねェ」
マーロ:「あいよ」
マーロの店を出たエミリーは、ついでに商店街での聞き込みを行うことにした。
防具屋(服飾店)『ブルーメ』──
アズーレ=ミントクリーム:「子供たち? 少なくとも、お店の方には来てないわよ」
エミリー:「昨日の夜は、どちらに?」
アズーレ:「そ、それは……その……家には……いなかったけど……」
エミリー:男の家か……と心の中で思っておきます。
アズーレ:「そ、それで、なに、子供たちがいないの?」
エミリー:「ええ、朝からちょっと見当たらなくて」
アズーレ:「探すの手伝おうか?」
エミリー:「いえ、こちらで何とかしますから。──それじゃ、失礼しましたー」
加工食品店『ヴォールタート』──
コーラル=サンディエゴ:「ボッツちゃんたち? いや、今日は見てないねえ……」
エミリー:「そうですか。──それで、昨日怪しい物音とか聞いたりしませんでした?」
コーラル:「あはっはは、あたしゃ夜はすーぐ寝ちまうから、嵐が来たって気づきゃしないよ。役に立てなくて、悪いねえ」
エミリー:「いえ、ありがとうございました」
道具屋(雑貨店)『バウム』──
エミリー:隠し事してるとタメにならんぞー!
GM:態度変わるなぁ……。
エミリー:それは冗談ですけど。
GM:(冗談というより、本性だろうが……)
エミリー:「昨日怪しい人影見ませんでしたァ? あと、アナタはどちらに?」
ラウン=ライトシー:「ぼ……ぼぼぼぼ……ぼくは……ぼ、くは……」(顔を真っ赤にして頭から湯気を噴いている)
シュリ:ぼぼぼ、ぼくは、おに、おに、おにぎりが、だだだ、大好きなんだな、大好きなんだな♪(DJ気分)
エミリー:「ぼくは……何ですか?」
ラウン:「みみ、見て……ないです……」(下を向く)
エミリー:女性慣れしてないからって、限度があるでしょうに。
レイチェル:顔もだけど、態度もいぢめられっこだ……。
そんなラウン君、なぜかプレイヤーには大人気(笑)。
NPC人気投票を行ったら、間違いなく1位だろう。
エミリー:「それじゃ、何か気づいたことがあったら自警団の方までお願いしますね〜」
シュリ:呼び鈴を押すよ。
村長:(中から出てきて)「なんじゃ、シュリか。どうかしたか?」
シュリ:「村長、分かってますね。砦まで御同行願います」
村長:「ひょ?」
シュリ:「よろしいですね。では、行きましょうか」
村長:「……ひょ?」
問答無用で村長を連行したシュリは、砦まで戻ってきた。
シュリ:適当な部屋に閉じ込めて、隠し窓から観察する。
レイチェル:何てことを(笑)。
ユリア:ずっと見とくの?
シュリ:みんなの話を聞くまではね。それで村長が怪しいと思ったら、シメ始める。
一同:(苦笑)
シュリ:それまで、あたしは砦で待機ね。