ACT3.0[かえるべきばしょ] 03


 とりあえず一行は、教会の外へ出た。
 

シュリ:「何をどう聞いていこうか? あんまり行方不明ってこと知られない方がいいでしょ?」

エミリー:「そうね……」

シュリ:「じゃ、まず夜中に出歩いていた人を探そう。──レイチェル、リストアップよろしく!」

レイチェル:「え? ――いや、その……」

ユリア:24時間監視衛星が見張ってるんじゃないの?

GM:そんな便利すぎる設定、認めないからね。

シュリ:そりゃそーよね……。じゃ、まずは酒場の聞き込みから。
 

 酒場『デメルング』──

ユリア:「いつも呑みにくる人はだいたい一緒ですよ?」

シュリ:「ま、聞くだけきいてみよう」

ユリア:「はーい。──マスター!」

スティール「ん?」

シュリ:「髭、似合わなーい! ──それでですね……」

GM:そういうこと言うと、スティールさん傷ついちゃうぞ(笑)。

エミリー:「かくかくしかじかで昨日教会に泥棒が入ったんですけど……怪しい人物見ませんでした?」

スティール:「私は店の中にずっといたから外の様子は分からないが……昨日店にいたのは村長とドッガーさん、それからマーロ君に……ああ、珍しくサデルさんが来ていたな」

シュリ:「村長に武器屋のドッガーさん、それからマーロにきこりのサデルじーさん、か……」

スティール:「閉店の時間を過ぎても呑んでいて……結局店を閉めたのは12時ぐらいだったよ」

シュリ:「なるほど……。ありがとうございました。──……髭、何とかした方がいいですよ」

シュリ:「じゃ、ひとりずつ話聞きにいきますか。4人を集めてもいいけど」

ユリア:「呼びにいったときに話聞いた方が早いんじゃ?」

シュリ:「ううん、呼び付けて、私生活に支障を来すように仕向けて、お互い疑心暗鬼になるようにすれば、彼らが自分で解決してくれるわよ」

エミリー:「それは自警団の信頼に関わってくるのでは?」

シュリ:「事件が解決さえすればいいのよ」

エミリー:「それはちょっと……」

ユリア:「ひとりずつ、担当を決めましょう」

GM:アミダクジでもするか。
 

 その結果……
 

シュリ:村長か……一番やっかいなのが来たかも……。でも、いいクセ者対決ができそうね……。

エミリー:マーロさんか。

レイチェル:武器屋のドッガーさん。

ユリア:きこりのおじいさんですぅ。
 

 まずは、エミリーから。
 

エミリー:今何時ぐらいですか?

GM:もうお昼近いだろうね。──マーロは荷馬車のところで馬車の手入れをしている。

エミリー:「マーロさん、いらっしゃいますか〜?」(媚びッ!)

マーロ=クリンスキー「おう、いるよ。──エミリーか、珍しいな」

エミリー:「今、お時間よろしいですかァ?」

マーロ:「これから飯食うとこだけど……構わねーよ」

エミリー:「単刀直入にお聞きします〜……昨日、うちの教会に泥棒が入ったみたいで、子供も3人行方不明なんですよォ」

マーロ:「へーえ、大変だな……」

エミリー:「それでですね、夜の間に賊の方侵入したみたいなんですけど……」

マーロ:「賊の方……?(笑)」

エミリー:「マーロさん、昨日お酒呑んでましたよね?」

マーロ:「まあな」

エミリー:「お帰りの際、怪しい人影とか見ませんでしたァ?」

マーロ:「怪しいねぇ……特に見なかったと思うが……何せ酔ってたからなァ……」

エミリー:「そーですかァ……。──何か思い出したことがありましたら、自警団の方までお願いしますねェ」

マーロ:「あいよ」
 

 マーロの店を出たエミリーは、ついでに商店街での聞き込みを行うことにした。
 

 防具屋(服飾店)『ブルーメ』──

アズーレ=ミントクリーム「子供たち? 少なくとも、お店の方には来てないわよ」

エミリー:「昨日の夜は、どちらに?」

アズーレ:「そ、それは……その……家には……いなかったけど……」

エミリー:男の家か……と心の中で思っておきます。

アズーレ:「そ、それで、なに、子供たちがいないの?」

エミリー:「ええ、朝からちょっと見当たらなくて」

アズーレ:「探すの手伝おうか?」

エミリー:「いえ、こちらで何とかしますから。──それじゃ、失礼しましたー」
 

 加工食品店『ヴォールタート』──

コーラル=サンディエゴ「ボッツちゃんたち? いや、今日は見てないねえ……」

エミリー:「そうですか。──それで、昨日怪しい物音とか聞いたりしませんでした?」

コーラル:「あはっはは、あたしゃ夜はすーぐ寝ちまうから、嵐が来たって気づきゃしないよ。役に立てなくて、悪いねえ」

エミリー:「いえ、ありがとうございました」
 

 道具屋(雑貨店)『バウム』──

エミリー:隠し事してるとタメにならんぞー!

GM:態度変わるなぁ……。

エミリー:それは冗談ですけど。

GM:(冗談というより、本性だろうが……)

エミリー:「昨日怪しい人影見ませんでしたァ? あと、アナタはどちらに?」

ラウン=ライトシー「ぼ……ぼぼぼぼ……ぼくは……ぼ、くは……」(顔を真っ赤にして頭から湯気を噴いている)

シュリ:ぼぼぼ、ぼくは、おに、おに、おにぎりが、だだだ、大好きなんだな、大好きなんだな♪(DJ気分)

エミリー:「ぼくは……何ですか?」

ラウン:「みみ、見て……ないです……」(下を向く)

エミリー:女性慣れしてないからって、限度があるでしょうに。

レイチェル:顔もだけど、態度もいぢめられっこだ……。
 

 そんなラウン君、なぜかプレイヤーには大人気(笑)。

 NPC人気投票を行ったら、間違いなく1位だろう。
 

エミリー:「それじゃ、何か気づいたことがあったら自警団の方までお願いしますね〜」

 村長の家──

シュリ:呼び鈴を押すよ。

村長(中から出てきて)「なんじゃ、シュリか。どうかしたか?」

シュリ:「村長、分かってますね。砦まで御同行願います」

村長:「ひょ?」

シュリ:「よろしいですね。では、行きましょうか」

村長:「……ひょ?」
 

 問答無用で村長を連行したシュリは、砦まで戻ってきた。
 

シュリ:適当な部屋に閉じ込めて、隠し窓から観察する。

レイチェル:何てことを(笑)。

ユリア:ずっと見とくの?

シュリ:みんなの話を聞くまではね。それで村長が怪しいと思ったら、シメ始める。

一同:(苦笑)

シュリ:それまで、あたしは砦で待機ね。



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