ビオ:それはかなり怖ええぞ……。
アリア:事態は収まったんだ……よね?
リトナ:みんな死んだなら、もう血の雨も降らないだろ。
アリア:そーゆうんじゃなくて……みんな正気に返るとか。ボルサオの呼びかけは、終わったんでしょ?
キュア:呼びかけと<パンとワイン>は別物でしょ。
リトナ:だろうね。例の食料がどれぐらい出回ってるか知らないけど、肉体的変化は起こってしまった後だろうね。
ヴァンダイク:メーヴェが『ラーヴ』を持つ存在に……。わーいわーい。
GM:メーヴェとオゥリンの存在と関係、これから少しずつ変わっていくんだろうね。
リトナ:ところでビオさん。その胸の、なに?
ビオ:おう、実はよ──
雨が、『血』を洗い流していく。
遠雷。
光の竜が、空を駆ける。
幾本もの竜が──集う。
アリア:「なに……?」
キュア:「<ヴリトラ>……?」
異変が起こった。
雲間を縫うように光の竜──<ヴリトラ>が集まってきたのだ。まるで、避雷針に引かれる雷のように。
カラスィータ:(キュアの角を見て)『そうか、<混沌収束点>!』
キュア:「混沌……収束点……?」
カラスィータ:『文字通り、混沌が集まる場所だ。それがまさかこの娘の角だったとは……──って、来るぞ、伏せろー!』
一同:「うわああああー!!!」
閃光。
視界が真っ白に染まり、何も見えなくなる。
キュア:「あ、あああああああああああ……ッ!」
光が、キュアの角に吸い込まれていく。
GM:キュアの角はどんどん大きくなっていき……両手で握れるぐらいの大きさになる。
カラスィータ:『いかん、<混沌>に侵食されるぞ!』
アリア:「え、え、え……。……どうしたらいい?」
カラスィータ:『抜くしかあるまい』
アリア:「抜く? 抜けるの?」
カラスィータ:(どちらにしてももう……いや、今は、抜くしかあるまい)『抜ける。<混沌収束点>とはすなわち<生まれる場所>だ』
アリア:どうしよう……。抜いちゃう……?
リトナ:抜いちゃえ抜いちゃえ。
アリア:……キュア、ちょっとごめん(角に手をかける)。
リトナ:顔に足をかけて。
キュア:痛い痛い(笑)。
ヴァンダイク:しかもピンヒール。
キュア:もっと痛い。
アリア:そんなの履いてないもん。……いくよ?
ゆっくりと、引っ張る。
角が動き……鈍く光ったそれは、ずるずると引き出されていく。
GM:まるでマジックを見ているように、キュアの角は額から伸び……1メートルぐらいになったところで、すっぽり抜ける。
キュア:………………。
GM:そして角は形を変え、先が奇妙な形に曲がった剣になる。
アリア:ふわわ。
カラスィータ:『それは……<ヴリトラの剣>だ。<混沌>の力の結晶だな。そして<混沌>を御するものでもある』
キュア:「そんなものが……私の角だったなんて」
ドモ・ルール:キュアのおでこはどうなってるんだ? 穴が開いているのか?
リトナ:穴が開いてて、そこが鞘になるんだよ。
ヴァンダイク:そして剣を納めたつもりで頭蓋骨をざっくりと。
GM:穴は開いてないよ(笑)。なんか、つるんとしたおでこになってる。
リトナ:じゃあ、別に鞘があるんだね。
ビオ:沙夜が鞘なんだ。
リトナ:なるほど、そこでまた新たな悲劇が。
GM:(それは……没になった設定(笑))
アリア:キュア、何ともないの?
キュア:今のところ……特に何とも。
GM:むしろ、ズキズキ痛んでた親知らずが抜けたようなすがすがしい気分。
キュア:そうなの?
GM:それは冗談だけど。何だかぽっかりした気分。
キュア:虚ろというか、空っぽというか……そういうかんじ?
リトナ:いつもと一緒じゃん。
キュア:ほっといて。
アリア:「で……この剣って、何なの?」
カラスィータ:『<鍵>さ──この星の最先(いやさき)と最後(いやはて)のな』
キュア:「鍵……。キーブレードか」
カラスィータ:『星は、混沌<カオス>と秩序<コスモス>の力のバランスが保たれることで存在する。そして、今この星の<秩序>の力は失われて久しい』
ゴルディッシモ:ではこれからはコスモス(秋桜)を植えればいいのだね。
リトナ:山田君、座布団全部持ってって。
カラスィータ:『失われているのは<秩序>だけではない。<混沌>の力も<ヴリトラ>に姿を変え、放出され続けている。地震が多いのもそのせいだ』
キュア:「星が涸れてきているのね」
ヴァンダイク:「それは寿命というヤツなのでは」
カラスィータ:『いや、今回に限っては人為的な──いや、今はこの話はやめておこう』
アリア:「で、話は最初に戻るんだけど……何でその<混沌>の結晶が剣で鍵なの?」
カラスィータ:『それはそいつが<鍵>の力──楽園への<扉>を開く力を具現化したものだからだ』
アリア:「楽園! これを使えば<真なるアルカディア>にいけるの?」
リトナ:「そういうことになるね」
アリア:「そうなんだ……これで……」
ドモ・ルール:意外とあっさりしたもんだったな。
キュア:「でも何か……不吉な言葉があったような……」
『それは、はるか西の果てめざす旅人の前にあるだろう。
旅立たねば、たどりつけぬ楽園。
それはあるいは近く、あるいは遠い場所だろう。
西の最果てのむこう。
それは<壁>を越えた旅人の、休息の地となるだろう。
忘却は永遠の休息』
キュア:忘却っていうのが、ちょっとね……。
リトナ:キュアには覚えていたい過去なんてないだろう。忘れ去りたい過去ばかり。
キュア:それはまあ……そうかもしれないけど。
リトナ:壁を越える……どこかに扉があるんじゃないかな。そしてそれを、その鍵で開ける。
キュア:なるほど。
アリア:その<扉>てどこにあるの?
GM:<太極樹>のうろのどこかが鍵穴になってるらしい。
アリア:探そー!
キュア:サイコロ振ればいい? (コロコロ)えっと……
リトナ:(キュアのサイコロの目を見もしないで)31。3失敗。
GM:また適当なことを。
キュア:40以上成功してる。
GM:それならじゅーぶん見つかる。正面の、ちょっと高いところにあるし。
キュア:なんだ。もっと分かりづらいところにあるんだと思ってた。
リトナ:うろ、見つかったんだってば。
ゴルディッシモ:──って、ボクはリーダーか?
リトナ:だから、見つかったんだってば。
ビオ:全然リーダーじゃねえ(笑)。
ゴルディッシモ:いつの間にそんなことに。
アリア:で、鍵穴見つかったんだけど……どうする? 開ける?
リトナ:ここはキュアに決めてもらおう。
アリア:そうだね。
キュア:なんで。
リトナ:ここはキュアの国だしね。
キュア:そんなこと私に言われても……。
GM:確かキュアって初期設定では狂おしいほどに楽園を求める──
キュア:はいはい。開けましょ。……そうしないと、ストーリーが進まない気がするし。
リトナ:それはいらん気遣いだと思うぞ。
アリア:(<鍵穴>の高さまでふわふわ飛んで)GMぅー、鍵穴に、<剣>を差すよー。
GM:うむ。
アリア:「この先に、<楽園>があるんだ……」
ドモ・ルール:後楽園だー。
ビオ:お前はここに残れ(笑)。
キュア:スティール〜!
ドモ・ルール:今はスティールじゃないし。
アリア:「……やるぞッ!」
<鍵穴>に<鍵>が差し込まれる。
世界が姿を変える。
一面の水の世界。水と空気の、境目の世界。
<太極樹>もその姿を消し、<鍵穴>から、光が縦に伸びる。
光は更に横に広がり……<扉>の形となる。
光の扉──<真なるアルカディア>への扉。
ゴルディッシモ:扉って大きいの?
リトナ:大きいよ。冷蔵庫の扉ぐらい。
ゴルディッシモ:ちっさッ!
GM:もっと大きいよ(笑)。見上げるほどの、光の扉だ。
<扉>が開いていく。
その先に見えたのは──満天の星空と……金色のススキ野原だった。