ACT14.0[深淵]08

リトナ:(みんなに)「遺跡は是非いってみたい」

ドモ・ルール:なぜ?

リトナ:歴史マニアだから。

国王:(アリアに)「それから──同盟については、お前の親父さんとちゃんと話し合うから安心しな」

アリア:「わかりました〜。……それとですね、実は西の方に用事があるので、国の中うろうろさせてほしいんですけど」

国王:「それは構わねーよ」

ビオ:「それからよ、ボルサオってヤツ知らねえっスか?」

国王:「ボルサオ……聞いたことはあるが、会ったことはねえな」

リトナ:「探してください」

アリア:経緯を説明するよ。

国王:(話を聞いて)「なるほどな……。分かった、調べさせよう。見つかったら教えてやるよ」

ビオ:「頼むっス」

アリア:「ありがと〜」

国王:「てーことだ。キュア、細かいことはお前に任す」

キュア:(ため息をついて)「……分かりました」 ──あ、それから角の話。

GM:成長期以外で大きくなることはないらしいよ。

リトナ:やっぱり成長期なんだ。まだまだ大きくなるんじゃない?

キュア:(胸を押さえて)これ以上大きくなったら困る……。

アリア:リトナは遺跡にいくんでしょ? あたしもいくね。

リトナ:胸の話題は軽く無視か(笑)。──遺跡はもちろんいくよ。ビオさんは?

ビオ:俺はいかねえ。

ドモ・ルール:特に興味なし。

キュア:私はいこうかな。……でも、ボルサオの手配が先か。

ヴァンダイク:ワシは知識を深めるためにいこう。それから、途中暗いところがあるだろうから、ラグランジェも連れていくぞ。

GM:んじゃ……リトナ・アリア・ヴァンダイクにラグランジェ、だね。それと、案内役のゴルディッシモ。

 盆地の平野部に建物を作らないのは、岩盤が薄く、その下に巨大な地下空洞が広がっているからだという。
 

アリア:<虚ろの森>の地下空洞みたいなヤツかな……?

GM:あれよりもっと大きくて深い。

キュア:地下空洞多いよね、アルカディアって。

ヴァンダイク:ワシの昔の公国も、地下都市だったしの。

リトナ:早くいこうよー。
 

 岩を削って造られた階段を降りていく。

 岩盤に隙間があるらしく、白い光があちこちから地下空間を貫いている。

 それでもその光は弱く、まばらで、闇に沈んだ場所も多かった。
 

アリア:暗いね……。

キュア:魔法の明かりをつけるから。

ゴルディッシモ:「──そして、<賢者>は、白く、細く、美しいモヤシしかお食べにならなかったのである」

一同:は?

ゴルディッシモ:前振り前振り。──ここからは、カラスの<賢者>様・カラスィータにバトンタッチ。

カラスのカラスィータ(GM):『ふむ……<真なるアルカディア>を目指す前に、この星の真の姿を知っておくのもいいだろう』

アリア:おー、しゃべったしゃべった。

ヴァンダイク:はて。カラスは鳥目なので、暗いところでは目が見えないのでは。

ゴルディッシモ:<賢者>は盲目なのだ。

キュア:じゃあ何も見えないんだ。

ゴルディッシモ:心の目で見ておられるのだ。

GM:勝手なエピソードを作らないように(笑)。

リトナ:奥に進んでみようよ。

アリア:そだね。

GM:建物がぽつんぽつんと残っているのが、魔法の明かりによって照らし出される。そんなに古い遺跡ではないね。ヴァンダイクの公国に、ちょっと雰囲気が似てるかもしれない。

ヴァンダイク:ふむ。

リトナ:(ここは……違うのかな)

GM:やがて遺跡の──地下空間の中心にたどり着く。そこには、巨大なエレベーターがあるよ。

リトナ:お、まだ下にいけるんだ。

カラスィータ:『ここからが本番だ』
 

 エレベーターに乗り込む一行。エレベーターはかなりのスピードで下っていく。
 

キュア:遺跡なのに、まだ動くんだ……。

リトナ:『輝石』みたいな、半永久的なエネルギーを使ってるのかも。

キュア:これはプレイヤーとしての発言だけど……エレベーターがあるなんて、この星の文明レベルがよく分からなくなってきた。

GM:(意味深に笑う)
 

 エレベーターが行き着いたのは、更に巨大な地下空間だった。

 ドーム状の空間の天井はなぜか淡い光を放ち、上の地下空洞より明るいほどだ。
 

リトナ:光りゴケ……? ……光りゴケって、なんか、前に出てきたような……。

キュア:あ、私にも覚えがある。……なんだっけ?

リトナ:(しばらく考えて)……アレは光りゴケじゃなくて眠りゴケか(第一部参照)
 

 それは、見たこともない光景だった。

 表面が鏡に覆われた巨大な直方体の群れ。

 青くザラザラした表面の、直線的な道路。

 馬もついていない鉄の馬車。

 ──異文明の世界。
 

リトナ:(目をキラキラさせて)「うわぁー……懐かしいなぁ……」

アリア:(プレイヤーにとっての)現代都市……?

GM:それよりもうちょっと未来都市かな。どっちにしても、魔界の住人にとっては見たこともない世界だ。

リトナ:「何千年ぶりだろう……。ホント懐かしいな、ここ。ちょっと感動した」

キュア:ここにきて……リトナの謎が深まったんだけど。

リトナ:生まれた場所が……こういうところだったんだ……。──だから、ただの化け猫だと思ってもらっちゃ困る。

ビオ:いや、何年生きてても化け猫は化け猫だろ(笑)。

アリア:「あの……ピカピカした箱は何なの?」

リトナ:「あれは、中に人が住んでるんだ」

アリア:「あんなとこに?! ──ねえねえ、あの馬車は?」

リトナ:「あれはまだ動くのかな……? 動かし方は何となく覚えているんだけど」

アリア:「それで、さ……。リトナは、懐かしいんだ?」

リトナ:「うん。オレが生まれた頃って、あんなのばっかりだったから」

カラスィータ:『この星の、昔の姿を知るものがいるとは思わなんだ』

リトナ:「これだけのものが残ってるなんて、珍しいよね」

カラスィータ:『そうだな。……もう、ほとんどは風化してしまっているだろう』

アリア:「これが……アルカディアの昔の姿なんだね」

カラスィータ:『そう。今は楽園<アルカディア>と呼ばれているが、かつてこの星は<テラ>あるいは<ガイア>と呼ばれていたときもあった。……遠い、遠い昔の話だ』

リトナ:「あ、神社がある。いってみよっと」
 

 リトナは、てこてこと駆けていった。



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