ドモ・ルール:なぜ?
リトナ:歴史マニアだから。
国王:(アリアに)「それから──同盟については、お前の親父さんとちゃんと話し合うから安心しな」
アリア:「わかりました〜。……それとですね、実は西の方に用事があるので、国の中うろうろさせてほしいんですけど」
国王:「それは構わねーよ」
ビオ:「それからよ、ボルサオってヤツ知らねえっスか?」
国王:「ボルサオ……聞いたことはあるが、会ったことはねえな」
リトナ:「探してください」
アリア:経緯を説明するよ。
国王:(話を聞いて)「なるほどな……。分かった、調べさせよう。見つかったら教えてやるよ」
ビオ:「頼むっス」
アリア:「ありがと〜」
国王:「てーことだ。キュア、細かいことはお前に任す」
キュア:(ため息をついて)「……分かりました」 ──あ、それから角の話。
GM:成長期以外で大きくなることはないらしいよ。
リトナ:やっぱり成長期なんだ。まだまだ大きくなるんじゃない?
キュア:(胸を押さえて)これ以上大きくなったら困る……。
アリア:リトナは遺跡にいくんでしょ? あたしもいくね。
リトナ:胸の話題は軽く無視か(笑)。──遺跡はもちろんいくよ。ビオさんは?
ビオ:俺はいかねえ。
ドモ・ルール:特に興味なし。
キュア:私はいこうかな。……でも、ボルサオの手配が先か。
ヴァンダイク:ワシは知識を深めるためにいこう。それから、途中暗いところがあるだろうから、ラグランジェも連れていくぞ。
GM:んじゃ……リトナ・アリア・ヴァンダイクにラグランジェ、だね。それと、案内役のゴルディッシモ。
盆地の平野部に建物を作らないのは、岩盤が薄く、その下に巨大な地下空洞が広がっているからだという。
アリア:<虚ろの森>の地下空洞みたいなヤツかな……?
GM:あれよりもっと大きくて深い。
キュア:地下空洞多いよね、アルカディアって。
ヴァンダイク:ワシの昔の公国も、地下都市だったしの。
リトナ:早くいこうよー。
岩を削って造られた階段を降りていく。
岩盤に隙間があるらしく、白い光があちこちから地下空間を貫いている。
それでもその光は弱く、まばらで、闇に沈んだ場所も多かった。
アリア:暗いね……。
キュア:魔法の明かりをつけるから。
ゴルディッシモ:「──そして、<賢者>は、白く、細く、美しいモヤシしかお食べにならなかったのである」
一同:は?
ゴルディッシモ:前振り前振り。──ここからは、カラスの<賢者>様・カラスィータにバトンタッチ。
カラスのカラスィータ(GM):『ふむ……<真なるアルカディア>を目指す前に、この星の真の姿を知っておくのもいいだろう』
アリア:おー、しゃべったしゃべった。
ヴァンダイク:はて。カラスは鳥目なので、暗いところでは目が見えないのでは。
ゴルディッシモ:<賢者>は盲目なのだ。
キュア:じゃあ何も見えないんだ。
ゴルディッシモ:心の目で見ておられるのだ。
GM:勝手なエピソードを作らないように(笑)。
リトナ:奥に進んでみようよ。
アリア:そだね。
GM:建物がぽつんぽつんと残っているのが、魔法の明かりによって照らし出される。そんなに古い遺跡ではないね。ヴァンダイクの公国に、ちょっと雰囲気が似てるかもしれない。
ヴァンダイク:ふむ。
リトナ:(ここは……違うのかな)
GM:やがて遺跡の──地下空間の中心にたどり着く。そこには、巨大なエレベーターがあるよ。
リトナ:お、まだ下にいけるんだ。
カラスィータ:『ここからが本番だ』
エレベーターに乗り込む一行。エレベーターはかなりのスピードで下っていく。
キュア:遺跡なのに、まだ動くんだ……。
リトナ:『輝石』みたいな、半永久的なエネルギーを使ってるのかも。
キュア:これはプレイヤーとしての発言だけど……エレベーターがあるなんて、この星の文明レベルがよく分からなくなってきた。
GM:(意味深に笑う)
エレベーターが行き着いたのは、更に巨大な地下空間だった。
ドーム状の空間の天井はなぜか淡い光を放ち、上の地下空洞より明るいほどだ。
リトナ:光りゴケ……? ……光りゴケって、なんか、前に出てきたような……。
キュア:あ、私にも覚えがある。……なんだっけ?
リトナ:(しばらく考えて)……アレは光りゴケじゃなくて眠りゴケか(第一部参照)。
それは、見たこともない光景だった。
表面が鏡に覆われた巨大な直方体の群れ。
青くザラザラした表面の、直線的な道路。
馬もついていない鉄の馬車。
──異文明の世界。
リトナ:(目をキラキラさせて)「うわぁー……懐かしいなぁ……」
アリア:(プレイヤーにとっての)現代都市……?
GM:それよりもうちょっと未来都市かな。どっちにしても、魔界の住人にとっては見たこともない世界だ。
リトナ:「何千年ぶりだろう……。ホント懐かしいな、ここ。ちょっと感動した」
キュア:ここにきて……リトナの謎が深まったんだけど。
リトナ:生まれた場所が……こういうところだったんだ……。──だから、ただの化け猫だと思ってもらっちゃ困る。
ビオ:いや、何年生きてても化け猫は化け猫だろ(笑)。
アリア:「あの……ピカピカした箱は何なの?」
リトナ:「あれは、中に人が住んでるんだ」
アリア:「あんなとこに?! ──ねえねえ、あの馬車は?」
リトナ:「あれはまだ動くのかな……? 動かし方は何となく覚えているんだけど」
アリア:「それで、さ……。リトナは、懐かしいんだ?」
リトナ:「うん。オレが生まれた頃って、あんなのばっかりだったから」
カラスィータ:『この星の、昔の姿を知るものがいるとは思わなんだ』
リトナ:「これだけのものが残ってるなんて、珍しいよね」
カラスィータ:『そうだな。……もう、ほとんどは風化してしまっているだろう』
アリア:「これが……アルカディアの昔の姿なんだね」
カラスィータ:『そう。今は楽園<アルカディア>と呼ばれているが、かつてこの星は<テラ>あるいは<ガイア>と呼ばれていたときもあった。……遠い、遠い昔の話だ』
リトナ:「あ、神社がある。いってみよっと」
リトナは、てこてこと駆けていった。