ACT14.0[深淵]03

 神殿内 沙夜の部屋──

GM:──沙夜を連れ帰ってきてくれたことで、神官たちはお礼を言ってくるよ。「お礼に、どうぞモヤシを召し上がってください」

ヴァンダイク:ふう、(沙夜を)「燃やしてくれ」と言われたのかと思ってビックリしたではないか(笑)。

ゴルディッシモ:なに、モヤシ!?

アリア:つーか、またモヤシなの……?

ドモ・ルール:いっそゴミ箱にぶちこんだらどうだ?

ゴルディッシモ:捨てるときは、『モヤシであるゴミ』と『モヤシでないゴミ』に分けてください。

アリア:こだわるねえ。

ゴルディッシモ:うーん……(しばしの沈黙の後、しみじみと)やっぱり、このキャラは、あんまりひっぱりたくないなぁ……。

一同:(大笑い)

ゴルディッシモ:君たちは食糧難食糧難と言うワリには、モヤシは食べないのだね。

リトナ:だから、食べないんだってば(猫だから)。野菜食べると、毛玉吐きたくなるんだよね。

アリア:分かりました。食べます。食べますってばモヤシ炒め。

ゴルディッシモ:そうか、食べるか(にやりと意味深に笑う)。口では「嫌だ嫌だ」と言いながらもホントは、ね。ね。

アリア:あうー……。

ビオ:沙夜が寝てる横で、みんなでモヤシ炒め食ってるのか?

リトナ:ねえねえ、肉とか魚とかってないの?

GM:干しモヤシとかなら。

リトナ:いや、『畑の肉』とかでなくて、普通の。

GM:じゃあ……適当に肉とか魚とかあげましょう。

ヴァンダイク:それとも、これを食うかね?(懐からブロック状の固形物を取り出す)

リトナ:<プラント>から持ってきたんだ(笑)。

GM:確認。結局、ゴルディッシモさん以外は沙夜の寝室にいるのかな?

ゴルディッシモ:ボクもいるぞ。モヤシ炒めを作るために。

神官:「皆さん、どんどん召し上がってくださいね。せっかく<賢者>様がお作りになったものなんですから」

ドモ・ルール:ケンジャサマ……?

ゴルディッシモ:(フッ、と意味深に笑う)

ビオ:で、沙夜はまだ目を覚まさねえのか?

GM:そろそろ起きるかな。

沙夜:(うっすらと目を開けて)「……モヤシくさい」

アリア:「あ、起きた? えへへ、連れ帰ってきちゃったよ、ははーん♪」

沙夜:「ははーん……?」

ビオ:「気にするな。時々壊れるだけだから」

リトナ:ビオさんの足元で、顔を洗って話を聞いておく。

ビオ:なら、足元のリトナを蹴飛ばそう。

リトナ:にゃう。

沙夜:にゃう。

アリア:にゃう。

ビオ:いや、にゃうじゃねえだろ。

沙夜:「……ここは?」

ビオ:「お前んちだよ」

沙夜:「そっか、火ぃ吹いて、暴れたんだっけ……」

ビオ:「覚えてるのか?」

沙夜:「ちょこっと、ね」

リトナ:ビオさん、火を吐いたんだ。

ビオ:おうよ。

リトナ:歌ったんだ。

ビオ:歌ってねーよ!

GM:歌ったんだよ、心の中で。

アリア:「えへ、助け出してきちゃった」

沙夜:「そう……なんだ……」

アリア:「ちなみに<プラント>も壊してきたんで。……大変なことになるかも」

ビオ:「沙夜、なんでお前があそこにいたんだ?」

アリア:「それは……村人の命を守る代わりに生け贄に、ってことでしょ?」

ヴァンダイク:牛に食われるのが大変名誉なことなのだよ。牛姫様に。

キュア:なんでそうなるのよ。

ヴァンダイク:『ミノタウロスの皿』を知らんのか?

ドモ・ルール:「まあ……お前さんが食われたからと言って、その後村人が無事である保障はないがね」

アリア:「まあね。約束が守られるようなかんじではなかったしね」

沙夜:「そう、なのかな……」

リトナ:でもちゃんと約束を守って村人を襲わないという可能性も捨て切れないよね?

アリア:余計なことゆーな。

ビオ:「どいつがそんなこと言ったんだよ?」

沙夜:「あの……ボルサオって人」

ビオ:「ああ、やっぱり」

アリア:殺っとく? 一本殺っとく?

ビオ:殺っとくか?

ドモ・ルール:だが……我々はあの男のアレを知らないんだよな。

GM:あの男のアレってなに?(笑)

ビオ:自己完結するなっていつも言ってるだろ?(笑)

ドモ・ルール:いや、何と言うか……ドモは別に、何をされたワケではないから。

ビオ:来たくないヤツは来なくていい。

ドモ・ルール:ここは感情論で動くべきなのかもしれんが、ドモとしてはどうもな。

GM:そういうことを言ってる時点で感情論ではない気もするが。

アリア:でも確かに、今ここで感情論で動いていいのかどうか、瀬戸際だと思うのよ。

ビオ:じゃあいこうか(あっさり)。

キュア:即決だよ……。

アリア:ごめん、話が高度すぎた?

ビオ:そこまでバカか、俺は。

ヴァンダイク:我々の部隊だけで動いていいものだろうか。確かにアレは潰しておくべき施設かもしれんが。

リトナ:オレたちが知らなければいい。

一同:……アルバス?(笑)

リトナ:西にいく途中たまたま邪魔なものがあって、交渉に失敗してたまたま潰しただけ、ってことにする。

キュア:なるほどね。

ビオ:死んでしまえば『死人に口無し』だしな。

リトナ:そうそう。後からそれが誰だったか知って、怒られたら怒られたでいいじゃん。

ドモ・ルール:黒炎さんも、最初から潰させるつもりで我々を向かわせたんじゃないのか?

ビオ:真相は分かんねえけどな。

ドモ・ルール:食料を置いていかせたのも、そこで食料を奪わせるためなんじゃないのか?

ビオ:単なる嫌がらせなんだよ(笑)。

アリア:サドっ気全開で。……サドでホモのくせに。

GM:ホモをバカにするなー!

ビオ:そういう話じゃねえだろ(笑)。

GM:ホモをなめんなよ。

ヴァンダイク:いや、むしろなめろ。
 

 一同、大爆笑。
 

アリア:(笑い過ぎて)おなかいたい〜!

ドモ・ルール:しかしよ、あの御仁がそういう低次元な嫌がらせをするかね?

アリア:たぶんね、黒炎が言いたかったのは、あたしたちの世界が何で成り立っているかを突き詰めていけば──

ゴルディッシモ:モヤシ。

ビオ:いいこと言った!

アリア:……じゃあ、<真なるアルカディア>はモヤシ工場だったってことで。

リトナ:いいのか、そんなオチで。

ドモ・ルール:オゥリンの肉とかはよ、これまで食ってたモノの中にも混ざっていたのか?

アリア:<帝国>の支給品なら、大丈夫だと思う。でも、途中で敵から奪ったりしてたから……。

ドモ・ルール:でもよ、ちゃんと血を抜いてあれば、肉を食っても凶暴化しないだろ?

GM:確かにそうかもしれない。でもオゥリンの肉を食べる方が血をすするより禁忌だと思うよ。

ドモ・ルール:確認しておきたいんだが……メーヴェがオゥリンを低く見てるからといって、『食料』だとは考えてないんだろ?

GM:普通は考えない。でも、考えてる人もいるだろう。……てゆーか、いる(ヴァンダイクを見る)。

ヴァンダイク:食料というか、家畜というか。

GM:実際、ヴァンダイクは一度そういう案を<帝国>で出してるしね。

ヴァンダイク:そのときは「死んだ兵士の肉も食料に回さないと足りない」と主張して、狂人扱いされて追放されたのだから。

ビオ:そりゃ追放されるわな。……よくここにいるなぁ(笑)。

ヴァンダイク:その前に、敵を倒すために自分の<公国>ごと地下に沈めておるし。だから、爵位を剥奪されたのだけど。

GM:好き放題やってるなぁ……。

ドモ・ルール:で、話を肉に戻すと……だな。

リトナ:人間がクジラの肉を食べてるのに近いのかもね。

ヴァンダイク:あるいはイルカとか。普段食べる機会はないが、食べてる人もいる、という。

ビオ:大事なのは人それぞれの価値観であって、一般的な価値観はあまり関係ないと思うぞ。──ドモはよ、『宿主』が何食っても関係ないのか?

GM:ドモ・ルール自身には何も影響ないだろうね。

リトナ:車にガソリンを入れる感覚なんだよ。ガソリンによって車に影響は出るけど、ドライバーに直接影響はない。

GM:話を戻そう。──ビオがオゥリン擁護派だから話が片寄ってるけど、ボルサオが作っていた食料にメーヴェの肉が混ざっていたことも忘れてはいけない。さっきの例え話でいくと、人間が人間とクジラのミンチを食べてるようなもんだ。

キュア:そっか……。そっちのことをすっかり忘れていたわね。

ドモ・ルール:その点では、確かに問題かもな。──ヴァンさんはどう思うんだ?

ヴァンダイク:価値観や倫理観はともかくとして、ボルサオの存在は<帝国>にとって脅威なので潰すのには何も依存はない。ただ……別部隊──01小隊などの邪魔にならないかが心配だ。

アリア:それは……いってみてから考えたらいいと思うよ。まだあの人たちいるかもしれないし。

リトナ:んー……(ノビをして)、ここにいるのに飽きてきたから、そろそろどっかいきたいな、というのが本音。久しぶりに攻城戦をやりたいな、と。

GM:左様であるか。

リトナ:今オレの頭の中には燃え上がる本能寺の絵が。あー、うずうずしてきた!

キュア:モノノフねえ……。



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