ACT14.0[深淵]02

GM:ボルサオの所有する<プラント>での悪夢のような光景──メーヴェとオゥリンの血肉を使った食料の生産工場を目の当たりにしたレプス04小隊(特にビオ)は、大暴れした末、アリアが召喚した大鳥に乗って脱出した。

プレイヤーG:ふむふむそうだった──と思い出したフリをする。

GM:プレイヤーGの登場はもう少し後だから待っててね。──沙夜は気がゆるんだせいか、気絶してしまっている。

ビオ:大丈夫なのか? どっか打ったんじゃねえよな?

アリア:今は寝かせといてあげようよ。疲れてるだろうしさ。

GM:──で、今は鳥の上で空の旅人となったみなさん、これからどうしましょう?

アリア:沙夜を村に送り届けよう。

ドモ・ルール:ついでにお礼と称して食料ももらっていこう。

アリア:……このままこの鳥で西にいったらダメかなぁ? これに乗っていけばすぐだったのに、なんでわざわざ地上を歩いてたんだか。

リトナ:召喚に時間がかかるし、精神的疲労も大きいからなんじゃない?

アリア:それとも東にしか飛べない鳥だとか。

ヴァンダイク:あるいはただその場でじっとしてるだけの鳥で、実は自転を利用して移動している、のでは。

ドモ・ルール:タクシーみたいなもんで、たまたま飛んでたのを召喚した、とか。特別な場合なので、高くつく。

リトナ:召喚魔法ってお金払うの? 精神的疲労が大きくなるんじゃないの?(←お金は払いません、普通)

プレイヤーG:精神体力(消費量)2倍で800円!!!

リトナ:意味が分かりません。

ヴァンダイク:池袋の(風俗関係の)呼び込みのようだ……。

GM:では、途中飛ばして、<サエの村>に着いたことにしよう。

ビオ:やっと着いたか。

ヴァンダイク:そういえば……前にビオのことをキチン質と言ったが(ACT8.5参照)、それだとトカゲではなくカニになってしまうのだが。どうしたものだろう。

アリア:いいんじゃない? ビオってエビみたいでもあるし。カニもエビも一緒一緒。

ビオ:テメエら……。

GM:えーと……村の人たちは沙夜が戻ってきたのでとても喜んでいる。ボルサオの報復を恐れている人もいるけどね。

アリア:だいじょうぶ、これからやっつけにいくから。

キュア:沙夜をどこか休めるところに運んだ方がいいんじゃない?

アリア:そうだね。自分の部屋があるだろうから、そこに運んであげよう。

ビオ:GM、俺、村に着いたら食ったモン全部吐くぞ。オゥリンの肉とか『ラーヴ』(血)とか、とんでもねえ。

GM:分かった。

ドモ・ルール:ドモは別に、人の肉食ったって平気だがね。

リトナ:オレは毛づくろいして毛玉を吐いとこ。──ドモさん、いつ意識が戻ったの?(前回までドモ・ルールはNPC扱いだった)

GM:食料製造の現場を目の当たりにして、スティールがかくーんと気を失ったんだろう、きっと。

キュア:精神的にはすごくもろいのね(笑)。

アリア:あたしは、村の人たちと話をしてるね。

GM:ヴァンダイクは?

ヴァンダイク:ん? それはもちろん、こっそり隠し持ってきたモノが見つからんように……。

GM:『ラーヴ』を持ってきてたのか(笑)。

ヴァンダイク:いや、サンプルとして食料の方を。

GM:そっちか……。

ヴァンダイク:もちろん『ラーヴ』は『ラーヴ』で持ってきたが。

GM:(プレイヤーGに)──モヤシでいいんだよね?

プレイヤーG:おう。

GM:ではビオ。そうやってゲロゲロやってると……モヤシ炒めのいい匂いがしてくる。

ビオ:何だぁ!? それは…………スゲー微妙だぞ(笑)。

ドモ・ルール:食べないのか?

ビオ:いや、食うかも。口直しに。モヤシの方に、いってみるぞ。

アリア:あたしも。食欲はないけど……ちょっと、気になるから。
 

 村の中の、少し開けた場所。

 そこにある(違和感ありまくりの)簡易屋台(のようなもの)から、ジュウジュウといい音がしている。

 ほっかむりをした──ころころ太った──顔の大きな──肩にカラスを乗せた──男が、手際よくモヤシを炒めている。
 

ヴァンダイク:……オゥリン……か?

ビオ:んん……?(屋台を覗き込む)

プレイヤーG:「おっす、オラ農夫!」

ビオ:(ビクゥッとして)「うをぉぉう!? ……なんだオメエ?(ドキドキ)」

農夫:んっふっふっふっふ。

キュア:きこりの次は農夫か……。しかもモヤシ炒めを作りながらあえて農夫と主張するとは……。

農夫:「だって農夫だもん」

GM:名前はゴルディッシモさんです。

キュア:ゴルディッシモ……? すごい名前ね。

アリア:つーか、モヤシ、って……。

農夫(ゴルディッシモ):「──うちの畑で作ったモヤシはうまいぞ?」

キュア:「……モヤシって畑で作るんだっけ……?」

ゴルディッシモ:「そーゆー、ことじゃなぁぁぁいッ! ──食糧難だと聞いて、それでこそこそモヤシを作って、ひとりでこそこそ食べて、それでこんなに太ってしまって──」

リトナ:「……モヤシって太るんだ」

アリア:「どんだけ食べたらそんなに太るの……?(笑)」

ゴルディッシモ:「モッ……モヤシなめるなよッ!」
 

 一同大笑い。
 

ゴルディッシモ:「い、いらないんだったら、ボクが全部ひとりで食べちゃうぞ、と。君たちにはあげないよ?」

アリア:食べるところを見てみたい気はするんだけどぉー……。

ビオ:何と言うかその……微妙だ。

ドモ・ルール:そのモヤシ炒めは、胡麻油で炒めているのか?

ゴルディッシモ:この食糧難に、胡麻油なんてものがあるわけないだろう。この油は人間の──いやいやいや。

ドモ・ルール:おいおい。

ヴァンダイク:うーむ……。この男、本当に人間なのか?

GM:見た目だけなら、魔族かも。

ゴルディッシモ:「で、モヤシ炒め食うんか? 炒め過ぎるとうまくないぞ」

アリア:「た……食べたいです……」(だんだん声が小さくなる)

ゴルディッシモ:「ではそこに一列に並んで3回回ってワンと言え」

ビオ:「ざけんな(笑)」

アリア:「ビオビオ、3回回ってワンって言ったら食べ物だよ」

ビオ:「これは………………屈辱だ」

アリア:さすがのビオでもダメ?

リトナ:さービオさん、今こそ火を吐くときだ。歌え!(←ビオには歌うと火を吐けるという非公式裏設定がある)

ゴルディッシモ:「3回回ってワンがイヤなら、3回しゃがんでニャンニャンでもいいぞ」

リトナ:オレ、いつもしゃがんでるんだけど(猫だから)。

ゴルディッシモ:あ、本業の人は駄目です。

リトナ:本業って……(笑)。──てゆーか、モヤシは食べないと思うんだけど(猫だから)。

ゴルディッシモ:お前、モヤシなめんなよ。

リトナ:いや、なめてないです。

ゴルディッシモ:ならばワンワンでもニャンニャンでもいいから、さあ、やるのだ!

キュア:すごく偉そうだよね、農夫のワリに。

GM:あ、今すごく農夫を見下した発言が。

ゴルディッシモ:お前、農夫なめんなよ。君は『士農工商』という言葉を知らんのか!

アリア:それでもあたしたちは『士』だよね。

リトナ:キュアに至っては、それからすら外れているだろう。『華族』だから。『公家』だから。禁中並びに公家諸法度。──公家衆は学問をしておればいいのです!

ビオ:リトナは何を口走ってるんだ……?

リトナ:過去の記憶がちらほらと。

GM:で……みんな、モヤシは食べるの?

ドモ・ルール:食えるなら、食うぞ。

ゴルディッシモ:ならば3回回って「ワン・ターレン様万歳!」と叫ぶのだ。

GM:増えてる増えてる。

ヴァンダイク:ふむ……。だが三海回るには時間がかかるぞ。

アリア:それ、広すぎ。

GM:ふーむ……──モヤシは食べてもいいけど3回回るのはイヤだ、ってところで話が滞っているのだね。

ゴルディッシモ:お前たちは登っている山が低い! モヤシごときで──

GM:……ごとき?

ゴルディッシモ:ごときではなーい!

ビオ:自分で言うなよ。

ゴルディッシモ:モヤシなめんなよー!
 

 んで……
 

アリア:……もう、いい。なんか、飽きた。

リトナ:かなり飽きたね。

GM:あーあ(笑)。

アリア:あたし、あっちにいるから。ビオたちはここで食べてて。

ビオ:お、おう。

ゴルディッシモ:ボクも、モヤシの補充にいこう。地下のモヤシゾーンへ。

アリア:そんなのがあるんだ……。

ゴルディッシモ:あるともさ。しかも移動式。

GM:ドラえもんの道具で、なんかそんなのがあったような……。

ゴルディッシモ:ということで、カラスのカラスィータをここに残していくが、適当に食っててくれ。

ビオ:お、おう。(もそもそとモヤシ炒めを食べて)……なんだ、うめーじゃねえか。

キュア:相当な量を食べないと、ビオさんには足りないかもね。

ドモ・ルール:口直しだろ。

ビオ:とりあえず何か腹に入れておきてえ。

GM:ちょっと食べると、余計におなかがすくかもよ?

ゴルディッシモ:うあー、からみづらいー!

GM:うーむ……モヤシというのは微妙だったか……(笑)。

アリア:いや、がんばってるのはすごくよく分かるんだけど……。だってモヤシだよ?

ゴルディッシモ:モヤシなめんなよ。

リトナ:だから、猫は食べられないんだって。

ゴルディッシモ:……………………。

GM:どしたの?

ゴルディッシモ:いや……モヤシで農夫は完全に外したかんじだな、と。

GM:(大笑い)

ゴルディッシモ:今までいろいろやってきて、外しキャラがいなかったワケではないけれど……ここまで素で外したのは初めてだ。

アリア:ムチャがあったね。

リトナ:突拍子もなかったね。

ゴルディッシモ:食糧難だというからこうやってモヤシを作って……『モヤシなめんなよ』ということを、ボクは君たちに伝えたい(朗々と語る)。

GM:……しゃーない、モヤシはちょっと置いといて、沙夜たちの方に話を移すか。

ゴルディッシモ:(ごにょごにょ)そうするとモヤシの立場は。

GM:(ごにょごにょ)また、あとで接点が出るだろうから。

ゴルディッシモ:(ごにょごにょ)了解した。



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