ACT12.0[供犠]02

GM:では、君たちは西南へ向かって歩いている。

アリア:飛んでよっかなー……。足動かさない方が疲れないかもしれないし。

キュア:飛ぶ方が体力使いそうだけど……?

アリア:んー……自分でもよく分からない理由だけど、ま、いっや。ふらふら飛んでこーっと。

リトナ:オレは移動中は原則としてリュックの中にいるから、全然疲れないや。

ビオ:ズリぃ……(笑)。

ヴァンダイク:ドモ・ルールは指輪だから腹は減らないだろうが……寄生されているスティールの方は腹が減っているのでは。──額の角がどんどん小さく。

キュア:ラクダのこぶじゃないんだから……。

ヴァンダイク:そういうキュアの角も、どんどん小さく。

キュア:だから、ラクダのこぶじゃないんだってば。

ビオ:「あちぃ……腹減ったぁ……」

アリア:「ノドがカラカラだよぉ……」
 

 ごきゅるるるるるるるるぅ……
 

リトナ:(リュックから顔を出して)「何か今スゴイ音がしたぞ。ビオさんのおなか?」

ビオ:「俺じゃねぇ。俺の腹の音は……あんなモンじゃねぇ」(いばりッ!)

アリア&キュア:「「………………」」

ラグランジェ:「ラフロイグさん、大丈夫ですか……?」

ヴァンダイク:「ふむ、軽いめまいがしただけだ。……こうやって肩を借りてるだけで、ワシは幸せ」

ラグランジェ:「……そうですか(引きつった笑み)」

アリア:(ああ……あたしはこんなところで、何をしてるんだろ……)
 

 始まりはいつだったのだろう。

 滅びゆくこの世界のことを知った時?

 その世界を救いたいと思った時?

 <真なるアルカディア>へいきたいと願った時?

 自ら旅立つことを決意した時なら……
 

アリア:(西の砦。……『光の羽』が襲ってきた時、かな……)
 

 <帝国>と<連合国>との、いつ終わるとも知れぬ戦争。

 <帝国軍>の砦が<連合国軍>に攻められたとき、『それ』は降臨した──無数の、光の『羽』と『種』

 今思うと……アレは<ヴリトラ>の力が暴走したものだったのではないだろうか。

 この星の<混沌>の力の、叫び。

 天から落ちてきた光の玉──<力の玉>──<竜玉>──<ヴリトラの卵>

 そして、<真なる楽園>への旅立ち。
 

アリア:(聞いた話だと……変な村で鉄格子切ったりしてたらしいし……)
 

 <虚ろの森>で、みんなと一緒にいく決意を固めた。

 フェルチアイアとしてではなく、アリアとしての──姉の『顔』を借りた偽りの姿ではなく、素顔のままでの──旅の始まり。

 そういえば、ラグランジェに命狙われたりしたっけ。あのとき襲ってきた本当の理由は、まだ聞いていない。
 

 <幸運の谷>では、ビーノという少年に出会った。

 分け合った『ピース・オブ・ラック』……「忘れるなよ」という少年の言葉。──大丈夫、ちゃんと覚えてる。
 

 国境の砦では、<連合国軍>に奇襲をかけたり、食料を奪ったりした。……あのときは、ホント楽しかったよなぁ……。

 スティールとの出会い。……キュアはお姫様だった。あたしと一緒。
 

 国境を越え、砂漠を越え……あたしたちは『オゥリン(人間)』の村にたどり着いた。

 『サエ』の村。沙枝はビオの命の恩人で……その孫娘である沙夜は行方不明。

 ビオの一族の<呪い>──『血』を欲し、そこから得られる『力』を欲する。心を犠牲にして。

 ビオは自らの<呪い>を解く手掛かりとして、そしてビオに『封呪』をしたまま行方不明となった沙枝を探して旅をしてたんだ。

 ビオにそんな過去があったなんて驚きだけど……誰にだって、過去はある。
 

 これまた後から聞いた話なのだけど、ビオの一族──『ラーヴ』によって暴走したトカゲの一族――と戦ったこともあったらしい。

 普通は精神を高ぶらせる効果ぐらいしかないはずの『ラーヴ』が、トカゲ族の能力を高め精神を破綻させるのは……想像でしかないけど、あたしは『免疫』のなさが原因ではないか、と思う。

 もともと、『ラーヴ』への抵抗力が低いトカゲ族。『ラーヴ』は彼らの体に過剰に反応し、身体能力のリミッターまで狂わせてしまう。

 そして、その過剰反応を極限まで高めてしまう『体質の異常変化』──それが、<呪い>の正体なのではないだろうか。
 

アリア:(ふふ、今日のあたしはちょっと賢いわね……。……それから、何があったんだっけ……)
 

 塩湖を越えようとしたあたしたちは……<ヴリトラ>の力を目の当たりにする。

 天が鳴き、地が割れた。すさまじい破壊力。

 西南に飛び去った<ヴリトラ>を追ったあたしたちは、『ボルサオ』の館にたどり着いた。
 

 全ての欲望を満たす館。華やかだけど腐敗したその空間は、とても居心地のいいものではなかった。

 あたしたちは謎の4人組『ノイジィ・フォー』に導かれて(その方法は納得いかなかったけど)ボルサオの館を脱出。

 そして今、あたしたちはボルサオの<プラント>を目指して……旅を続けている。
 

アリア:(いろいろ……あったんだなぁ……)

GM:──では誰かダイス1個振って。4で割って端数切り捨て。

アリア:(コロコロ)2、だから0。

GM:最低2日かかるから……ちょうど2日で到着したということだね。

アリア:8以上を振ってたら、4日間飲まず食わず……?

GM:2日間飲まず食わずだったから、全ての判定にマイナス10の修正ね。

一同:げげー!

キュア:まさかそれをさせるために、わざわざ飲まず食わずに……?

ビオ:(ハルバートを杖にしながら)恨むぜ〜、黒炎さんよぉ〜。

アリア:みんなで恨もうね〜。……こうやってパーティの結束が固まっていくんだね。

GM:黒炎にはそういう目的があったのか。

ビオ:イヤな方法だな。

アリア:最後の目的も決まったね。……最後は黒炎を倒す。

ヴァンダイク:……あの屋敷に入るまでは結束が固かった気もしないでもないが。

GM:ボルサオの屋敷にいってから、調子が狂っているのかな……?

ヴァンダイク:かもしれん。
 

 そんな一行の行く手に、巨大な建物が姿を現した。



PREVNEXT

MONDF目次

リプレイTOPへ