ACT12.0[供犠]01

 その男は、紫煙をくゆらせながら、レプス04小隊に鋭い目付きを向けた。

 ゆっくりと、タバコの煙を吐き出す。そして、言った。
 

黒炎:「いつまで待たせるつもりだ……阿呆が」



リトナ:いや、オレらも待ちました……。

アリア:しかも後ろから吹き矢で攻撃されました……。

GM:にゃはは、ちゃんと信用して待ってるかどうか、試してみたのだ。たまにはこう、じーっと待つだけというのもしんどくていいかな、と。

アリア:信用はしてたけど……心配だったってのもあるの〜。

GM:ほうほう。

リトナ:つーか、退屈だった。

GM:ふむ──そしてついにこのときが来てしまったんだな。

一同:???

GM:黒炎、ヴァンダイク、ラグランジェ──漢と、男と、オトコの、愛のバトルが。

ヴァンダイク:をを、そういうことか。

アリア:……まあ、ホモはホモどーしガンバって。

ビオ:黒炎はホモではない〜!

ラグランジェ:ボクだって〜!

ヴァンダイク:仕方ないではないか。『MONDF』のFは『フォモ』のFなのだから。

リトナ:『フォモ』って何だよ(笑)。

ヴァンダイク:フォモセンサーに反応が。

GM:えー……話を続けよう。

黒炎:「元気そうだな……──アリア」

アリア:「元気ですよ、黒炎──隊長」

ビオ:なんか、微妙な間があったな。

アリア:ほほほ(←フェルチアイア姫であることはみんなには秘密)。

ヴェルティナ:「隊長〜、この子ら、ちゃんと待ってなかったんですよー」

黒炎:「ああ……まあ、そうだろうな」

アリア:「あのー……お知り合いですか?」

黒炎:(タバコを吹かして)「……そうか、お前たちは初対面か」

アリア:「会ったことないでーす」

ビオ:「一度もねえよ」

リトナ:「一度くらいはあるかもしれないけど……覚えてないや」

黒炎:「──噂ぐらいは聞いたことがあるだろう。コイツらが『ノイジィ・フォー』こと……『レプス01小隊』だ」

キュア:「ああ、彼女たちが01小隊……」

リトナ:「そうだったんだ……。ついにオレたちよりランクが上の連中が」

ヴァンダイク:うーむ……金髪と銀髪の小さいの(セーヴルとヴィラージュ)がいるのが、信用ならないのだが。

GM:それは第三部の蟲の幻影に捕らわれているからでは。

ビオ:みんな女なのか?

GM:ヴェルティナは明らかに女性だね。セーヴルとヴィラージュは一見線の細い美少年だけど、どっちかよく分からない。ミネルヴォワは……オカマ。

ビオ:オカマか。

GM:そのへんは、黒炎の趣味ということで。

ビオ:やめてくれ〜!

ヴァンダイク:青の世界にいるフ○ーラとは同一人物?

リトナ:ドイツ人、ブツ?

キュア:……ブツは仏の方?

リトナ:(じとーっとキュアを見ている)

キュア:……あう。

GM:

リトナ:いや、自分で振ったネタのくせに、キュアを「何言ってんだこの人」って目で見てただけ。

GM:何てこと(笑)。……フ○ーラとは関係ないはずです。外見がどことなく似てるのも、気のせいだと信じたい。

ビオ:何かあいまいだな、おい。

GM:んで、ヴェルティナは黒炎にいろいろと報告している。ヴァンダイクが言ってたように、何かしらの任務でボルサオの屋敷に侵入していたようだ。
 

 しばらくして報告が終わり……ヴェルティナが──『ノイジィ・フォー』がアリアたちの方へ近づいてきた。
 

ヴェルティナ:「私たちはこれから別の任務があるから、ここでお別れね」

アリア:「ぶー。ご不満だよぉ」(←屋敷内でのことを根に持ってるらしい)

ヴェルティナ:「ごめんねー? でも、たまには人を信用しないとね」

アリア:「ぷぅー、してたもん!」

ヴェルティナ:「うんうん、分かってるから。……あんまりふくれてると、カワイイお顔が台なしよ?」

キュア:お姉さん、そういう趣味の人ですか?

ヴァンダイク:実は一見して分かるオカマ(ミネルヴォワ)と一見して分からないオカマ(ヴェルティナ)だったりしてな。

キュア:そうすると……このお姉さんも実はオトコ?!

GM:可能性は否定できないな。

アリア:……否定してよ。

ヴァンダイク:まあ、夢だよ、夢。

リトナ:……夢?(笑) 誰の、何の夢……?

ヴァンダイク:さあ。

GM:そんなワケで、レプス01小隊の面々は去っていくよ。

ヴァンダイク:レプス隊全員が<真なるアルカディア>へ向かっているわけではないようだな……。

黒炎:(2本目のタバコに火をつけながら)「──お前たち、まだ戦う余力は残っているか?」

アリア:「まだまだ元気ですけど……?」

黒炎:「ならいいことを教えてやろう。──ここから更に西南に向かったところに、通称<プラント>と呼ばれる場所がある。<プラント>はボルサオが統括している工場であり──武器や防具、食料の製造から魔法の儀式まで……何でもやっている」

キュア:「魔法の儀式……ってのが、気になるな」

リトナ:魔法銃の弾丸造りじゃないの?

黒炎:「光の竜──『ヴリトラ』が飛び去った方角も西南。そして……黒巫女の娘も、<プラント>にいる」

ビオ:「黒巫女って沙夜のことか!? ……なぜ、そんなことが分かる?」

黒炎:「ヴェルティナからの情報だ。十中八九間違いないが……信じるかどうかはお前の勝手だ」

ビオ:「くっ……あのアマぁ……」

キュア:(小声で)「黒巫女と魔法の儀式とやらが、関係ある……?」

黒炎:(ふーっと煙を吐き出す)「──さて、どうする?」

ビオ:「いくぜ!」

リトナ:「いきまっしょい」

アリア:「いきます!」

黒炎:「いいだろう……。──ならば、ここに食料を全て置いていけ」

リトナ:「断る」(即答)

アリア:「……なぜ?」

黒炎:「少しぐらい腹が減っている方が、やる気も出るだろう」

ヴァンダイク:「ここからどれほど距離があるかも分からぬのに」

黒炎:「2、3日もあれば着く」

キュア:「2、3日もあるのに食料を置いていけって……」

リトナ:「そうしなくちゃいけない意味が分かりません」

アリア:「それは……向こうで、奪えということですか?」

黒炎:「もう一度だけ言う──食料を全て置いていけ」

ビオ:「置いていくぐらいなら、全部ここで食ってやるッッ!」

キュア:「飲まず食わずで2、3日って……」

アリア:「せめて片道分の食料ぐらい……」

ヴァンダイク:「『ヴリトラ』が『プラント』を焼き払っている可能性も……」

黒炎:「ゴチャゴチャうるせぇ。──俺の言うことを、聞くのか? 聞かないのか?」

アリア:「……分かりました、置いていきます。……ぶー」(←メチャメチャふくれてる)

一同:「ブーブーブー」(←ブーイング)

ビオ:「がつがつがつ」(←食べてる)

ヴァンダイク:「向こうに着くまでの間に、どんどん士気が下がるのでは」

アリア:「やる気出ないよ〜」

キュア:「一体何がさせたいんだ……?」

黒炎:「──さっさといけ!」

一同:「は〜〜〜〜い」
 

 不本意ながらも、食料を全て置いて西南へ歩き始めるレプス04小隊。

 遠ざかっていく彼らを見送り──黒炎は、タバコを足元に投げ捨てた。無造作に転がる食料が、少しずつ炎に包まれていく。
 

黒炎:「──この世界の真の姿を、その目で確かめてこい」

GM:では、西南へ向かうということでよろしいのだね?

リトナ:仕方ないじゃん。猫であるオレは自分で食料を運べないんだから、置いていくと言われたらそれに従うしかない。

キュア:人型になって運べば?

リトナ:それは猫としてのプライドが許さない。

キュア:………………。

アリア:でもさ、あの扱いはないよね〜。……ちょっとメモっとこ。

GM:父上(帝国皇帝)にチクっちゃうメモ?

アリア:そうそう。



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