ACT6.0[約束]03

ビオ:「うおー、飯くれ飯ぃー!」

補給部隊のおじさん:「おう、だったら身分証出しな」

ビオ:突き付けてやる。

リトナ:身分証くわえて、リュックから顔を出す。

アリア:……あたし、あるの?

GM:アリアはね、「レプス  小隊」ってなってる身分証に、手書きで「04」と書いてある。

キュア:偽物くさいな……。

補給部隊のおじさん:「運がよかったな、今回は補給の量を少し多くしてやるよ」

キュア:「なぜ?」

補給部隊のおじさん:「ここで戦闘があったんだが、そのとき<幸運の谷>から来た──」

ビオ:そんなの聞かずに、馬車から好きなだけ運び出そうとするぞ。

補給部隊のおじさん:「おいおいおいおい!」

ビオ:「ん?」

補給部隊のおじさん:「さすがにそんなには無理だ。……ホントは一週間分のところを、10日分やるよ」

アリア:「助かりました〜」

キュア:<幸運の谷>って……?

GM:えっと……(地図を描いて)ここが<虚ろの森>ね。そこから西に進んで、今いるのがこの平原。戦場跡。ここから道は3つに分かれていて……ひとつは南の方にのびる一番太い道。こっちへ行くと<連合国>との国境がある。もうひとつは北へのびる細い道。こっちへ行くと<氷の大河>がある。そして最後、西へ進むと渓谷があって、その先にあるのが<幸運の谷>だよ。その更に先には国境がある。

アリア:あたしたちの目的地は西。だから西へ進むべきね。

キュア:このまま西へ進むと……<幸運の谷>があるのか。

アリア:「西の方は、どうなってるんですか?」

補給部隊のおじさん:「ふむ……(地図を広げて)<幸運の谷>の先に、国境があるだろ? ここで戦闘があってな、国境軍を破った<連合国軍>が渓谷を越えてここまで攻めてきた。で、この平原で<帝国軍>と衝突。見事<帝国軍>が勝利を収めたってワケさ」

キュア:私たちを追い抜いていった<帝国軍>が?

GM:そう、ここで戦ったのだな。その<帝国軍>はここから南へ進んでいったらしいよ。

補給部隊のおじさん:「この食料は、<連合国>のヤツらが持ってたヤツだ。中身は質素だが、結構量があったんで助かったよ」

リトナ:じゃあモンプチスペシャルは……

GM:そんな高級品はないですなー。

リトナ:……大事に食べよう、モンプチスペシャル。

補給部隊のおじさん:「我々はこれから<幸運の谷>を越えて国境沿いに進むんだが、お前さんたちは?」

アリア:「西へいくんです。よかったら途中まで一緒にいきませんか?」

補給部隊のおじさん:「一緒に、と言っても……こっちは急いでいるしな」

リトナ:「馬車に乗せてよ」

補給部隊のおじさん:「さすがにそのトカゲを乗せるスペースは余っちゃいないよ(笑)」

ヴァンダイク:「残念だったな」

ビオ:「え? え?」

キュア:「……ビオさんおいてけぼり?」

リトナ:(キュアのリュックに入り、小声で)「防腐剤もらっておけ。あやしまれなくて済むから」

キュア:「……分かった」

GM:それから時々下品なギャグを飛ばさないとドモ・ルールらしくないぞ。

キュア:じゃあ、防腐剤ももらっておこう。

アリア:それにしても……いっぱいあるね、食料。

リトナ:遠征するつもりなら、これぐらい普通なんじゃない?

ヴァンダイク:うむ、<帝国>のかなり内部まで攻め込むつもりだったのだろうな。そして<虚ろの森>で巨人に襲われる、と。……大変だのう、なにせあの地下には80万匹もの巨人がおるから。

キュア:80万……。

ヴァンダイク:そう考えれば我々が相手にした8匹なんて、たったの10万分の1だ。

アリア:それは……ちょっと何だかなぁ(笑)。

GM:元からいっぱいあったというのもあるけど、おじさんの話だとどうやら<連合国軍>は<幸運の谷>で結構略奪してきたらしい。

補給部隊のおじさん:「滅多にお目にかかれない『ピース・オブ・ラック』もいくつか積んであったし、まあ間違いないだろうな」

キュア:ピースオブラック……?

GM:知りたかったら『心』で判定するのだ。

ヴァンダイク:(コロコロ)05で成功している。……というか、元文官として知らないとヤバイ気もする。

GM:05で成功なら問題なく分かるね。『ピース・オブ・ラック』──幸運のかけらというのは、<幸運の谷>の名前の由来にもなった石のことです。谷で採れる特別な石を特別な方法で精製すると……(手で10センチ四方の四角を作って)この位の、不思議な色をした板状の石になるのね。んで、これを願いを込めて割ると、“幸運が宿る”石──『ピース・オブ・ラック』ができる。

ヴァンダイク:──なのだよ。

GM:割れ方は様々だから、世界にひとつしかないカケラができるワケだね。ルール的に言うと、これを持ってると判定の失敗を成功に、あるいは大失敗を失敗にすることができる。

リトナ:一生に一回?

GM:いや、一個につき一回。

リトナ:じゃあいっぱい持っておけばいいんだね。

GM:そうとも言えるけど……希少品なので、お目にかかれるだけでもそれこそ幸運だよ。

補給部隊のおじさん:「じゃ、我々はいくぜ。お前さんたちも、せいぜい死なないようにな」

アリア:「うん、ありがとう」
 

 西へと進む馬車を見送り……一行は、地図(おじさんからもらった)に目を落とした。
 

アリア:「いくつか別れ道があるけど……西にいくんだから関係ないよね」

ヴァンダイク:「そろそろ国境が近い。いよいよ敵国領土へ入っていくことになるな」

アリア:「渓谷を抜けて、<幸運の谷>へ、だね。……よし、いこう!」

GM:さて。君たちは渓谷へたどりついた。

リトナ:人ひとり通るのがやっと、とか?

GM:いや、そこまで狭くはないよ。馬三頭ぐらいは余裕で並んで歩ける。

キュア:それでも、こんなとこではスライサーは使うべきではないね。……<連合国軍>は、こんなところを通ってきたのか……。

リトナ:別に珍しいことじゃないでしょ?

アリア:どうでもいいんだけどね。あたし、飛べるし。

GM:ではここで視覚判定をするのだ。

リトナ&キュア:普通に成功。

GM:君たちが向かう方から、難民がゾロゾロドロドロと歩いてきている。

ヴァンダイク:さあ、ひとり何人殺さないといけないのかね?(←実は残忍)

アリア:どこにいくんだろ? ……こっちに向かってきてるの?

GM:そうだね。

リトナ:すれ違い始めてるんだ。てことはオレたちは一列に並んでいるんだね。

GM:崖っぷちの方に。

リトナ:普通逆でしょ?

キュア:リーダーらしき人に話を聞いてみよう。「どこへいくんだ?」

GM:いきなり話かけられて、向こうは警戒してるよ。<帝国軍>って見て分かる?

ヴァンダイク:分かるのではないか? <帝国>の顔しておるし。

リトナ:どんな顔……?

GM:まあ、何か印があるんだろうね。

ヴァンダイク:ビオのハルバートの反対側は<帝国>の旗になっておるのだろう?

ビオ:……いや、それはないと思うぞ。

アリア:だいじょーぶ、難民には手を出さないから安心してー。

GM:<帝国>の兵だと分かって、向こうは警戒を解くね。

難民のリーダー:「我々は<幸運の谷>から来たものです」

キュア:(小声で)「そうか、<幸運の谷>で略奪があったって言っていたな……」

リトナ:<幸運の谷>に砦とかあるの?

GM:砦はないよ。
 

 始まりは、国境での争いだった。

 そのせいで、<幸運の谷>に国境付近から難民が流れついたのだ。

 更に<連合国軍>が国境を越え侵略を開始し、<谷>は略奪のターゲットとなった。

 そこに大きな地震があり……<幸運の谷>はほぼ壊滅状態に陥った。
 

GM:どうしようもなくなった国境付近および<幸運の谷>の人々は、少しでも肥沃な土地を求めて流れてきているわけだ。

難民のリーダー:「我々はこれから南を目指して進むつもりです」

アリア:「南? 南の方はこれから戦場になるらしいからやめといた方がいいよー」

ヴァンダイク:それよりは東へいって、巨人の森の地下空洞に隠れて住むがいい。

GM:おいおい。

アリア:東にいくとそういう危険があることも伝えておくね。

リトナ:北の方はよく分からないけど、東の方はそんなかんじだから足元気をつけた方がいいよ。

キュア:北の方は<氷の大河>っていうぐらいだから、難民が進むべきではないだろうね。

リトナ:そうすると、やっぱ東かな?

GM:でも東の方もだんだん戦争が激化してきているからねぇ。

リトナ:そうするとどこにいっても一緒かぁ……。西にいっても補給部隊に追いつくわけないし。追いついたって足手まといになるだけだし。

アリア:やっぱ、東にいくのが一番自然、かな?

キュア:西に……蹂躙された土地の方に戻るのは、精神的にもつらいだろう。

リトナ:オレらが荒らした土地があるじゃん、あそこはダメなの?

GM:荒らした……? ……鉄格子切った村のこと?(笑)

リトナ:2週間も歩けば着くでしょう。

ヴァンダイク:途中食料を補給できる場所が一切ないがね。──とりあえず、がんばってくださいとしか言えないな。

リトナ:「よかったら食料分けてあげてください」っていう書状を渡してもいいし。

アリア:サインを入れてね。

リトナ:それは、書ける人が。

アリア:(うー……どうしようかな)

キュア:そういえば……このパーティのリーダーって誰?

ヴァンダイク:おらんよ。

キュア:アイタタタ……。

GM:仕切ってるのはアリアだけど。

アリア:何か妙に図々しいよね(笑)。

リトナ:最初から上官気分だよね。

ヴァンダイク:赤い服を着ているからしようがない。

キュア:赤い服……赤い角……そうか、そういうことか!(ガ〇ダムネタ)

ビオ:赤い角は俺だ。

GM:そしてキュアはただの角。

ビオ:はっはー、俺の勝ちぃ!(勝利の笑い) ほーれほーれ(角をフリフリ)。

キュア:くッ……!

アリア:うんうん、よしよし(なだめてる)。



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