ユリア:「自警団、集合〜!」
一同:わらわらわら。
ユリア:「自警団、解散!」
一同:早ッ!
GM:では、主要メンバーは集合したってことで。
フウゲツ:「というわけで、自警団は仕事をおおせつかりました。これからそのメンバーをつのりたいと思います。というか、こちらで勝手に選ばせてもらいました」
シュリ:はい?
フウゲツ:「仕事というのは、外の街へのデリバリーサービスです。メンバーは……シュリ、ユリア、エミリー、レイチェル、そして俺の5人です。残りの人たちは、留守の間のこと頼みます。出かける人たちは、各自出発の準備をしてきてください。出発は急いでます。では解散」
レイチェル:「具体的にいつ集まれば?」
フウゲツ:「準備ができ次第ここに。急な話で申し訳ない」
レイチェル:猫探しはスリーアイに引き継ぎをしていこう。
GM:ミケが街の外に出ている可能性もあるけどね。──シュリ、今日はおとなしいね。
シュリ:(プレイヤーが)眠いだけ。
GM:ヴァイスがいなくなって寂しいのだね。
シュリ:まさにそのとおり(棒読み)。
GM:うわー誠意のかけらもないね。
フウゲツ:というワケでGM、精鋭5人を選りすぐりました。
GM:アインは自分もいきたいと言っているけど?
フウゲツ:じゃあ……連れていこう。
ユリア:役に立つかどうかは分からないれすが。
フウゲツ:では6人で出発だ。
シュリ:あ、エミリーもいくのね。
フウゲツ:彼女をひとりでアーケインにおいておくのは危険だ、というのが本音。手元で監視しておかないと。
シュリ:なるほど。
フウゲツ:いくぞ!
GM:どこへ?
フウゲツ:へ?
GM:いくのはいいけど……どこへ?
フウゲツ:………………。ゲインさんの家にいくぞ! 「自警団の精鋭6人、集めてきました!」
ゲイン:「ご苦労様。よろしく頼むよ」
フウゲツ:「して、我々の目的地は?」
ゲイン:「知っているかな? カゴルマという小さな街だよ」(第一部第一話参照)
ユリア:めちゃくちゃ遠いっス。
シュリ:近く、っていう話じゃなかったの?
GM:ちょっと国境を越えるぐらいだよ(笑)。
フウゲツ:あの……それならもっと、それなりの準備をしてからいった方がよいかも。
レイチェル:そんなに長い間街を空けていて大丈夫なのか。
GM:大丈夫だろう。
レイチェル:その根拠は何。
フウゲツ:優秀な人材を残して、問題がありそうなのを連れていくからだ。
シュリ:なんてことを。
フウゲツ:今すぐ出発と思っていたが……目的地が国境越えたとこなら、今日はゆっくり休んで、明日の朝出発だ。
一同:うぃーす。
ゲイン:頼んだよ。
ユリア:カゴルマまでどれくらいかかるれすか? 地図を見るかぎりではかなり遠いれす。
GM:遠いねえ。ちゃんと計算してないから詳しいことは言えないけど……。(考えて)馬車で1週間とか2週間とか。
シュリ:1週間と2週間じゃずいぶん違うよ?
フウゲツ:往復で、移動だけで1ヶ月か。アーケインは大丈夫なのか?
GM:そのへんは心配しなくていいよ。
オーキッド:「それとよ……」
フウゲツ:「ん?」
オーキッド:「ブルーのヤツが、いきたいらしいんだ」
フウゲツ:「ブルーが?」
シュリ:ブルー……って、誰?(笑)
ユリア:自閉症の人れすよ。
シュリ:ああ。なんかいた気がする。
オーキッド:「こいつが自分のやりたいこと言うのって珍しいからよ。足手まといかもしんねーけど、連れてってやってくれないか?」
ブルー:「カゴルマ……カゴルマ……いく……ドゥ……」(ブツブツ)
フウゲツ:「分かった」
レイチェル:きっと何かの伏線だ。
フウゲツ:よし、7人で出発だ!
GM:では出発の朝であります。──カゴルマの街は、第二部で大被害を受けたのだけど……15年が過ぎて、そこそこ復興してきている。
レイチェル:もう着いたのか。
GM:えー……途中はすっとばそー。特に事件もないし。というワケで──
カゴルマの街──
GM:──なのであります。一度は地底に沈んだタカール修道院も復活している。
フウゲツ:懐かしいな。
ユリア:何れすか、それは。
GM:クレリアの実家。今ここに住んでいるのは、クレリアの妹であるリリアと、その娘であるメイリア。
シュリ:つまりクレリアの姪ね。
GM:そう。だからメイリア。
レイチェル:安直だ。
GM:覚えやすいでしょ? ──さて、今回の依頼をゲインさんに持ちかけたのはリリア。リリアの母(つまりクレリアの母ナタリー)とゲインが古い知り合いなので。
ユリア:『ホフヌング』つながり。
GM:そういうこと。
リリア:「遠いところを、わざわざありがとうございます」
フウゲツ:「いやいや、我々が来たからにはもう安心だ」
シュリ:いやー、ゲインさんからは『近くの街』と聞いていたのですが、まさかここまで近いとは。
フウゲツ:「して、魔物はいずこへ?」
レイチェル:「悪はどこへ」
GM:(エミリーを指差して)お前だー!
一同:確かに(笑)。
ユリア:プレイヤーがいないからって好き放題(エミリーのプレイヤーは後から参加予定)。
シュリ:間違いではないけどね。
リリア:「お聞きになっているとは思いますが……お願いしたいのは、街の人を襲っている魔物の退治です」
フウゲツ:「ふむ」
レイチェル:「襲っている……?」
リリア:「すでに5人の被害者が出ています。そのうちのひとりはアーケインの住人だった方です」
フウゲツ:「む。それはますますヒトゴトではなくなりました」
レイチェル:「ゲインさんからは行方不明事件だと聞いていたのですが。5人とも、死体が見つかっているのですか?」
リリア:「いえ、正確には死亡者が3名、行方不明者が2人です。先程言ったアーケインの方はまだ見つかっておりません」
シュリ:もうひとりは?
GM:もうひとりはカゴルマに昔から住んでた普通のおっさん。
レイチェル:「被害者の死因は分かりますか?」
リリア:「刀傷だった、と聞いていますが……。中には鋭い爪で引き裂かれたようなものもあったそうです」
レイチェル:「犯行時刻は」
リリア:「夜ではないかと思われます。ひとりで出歩いているところを襲われているようなので、確かなことは言えませんが」
シュリ:「……辻斬り?」
レイチェル:「被害者に何か共通点は?」
リリア:「ない、と思います。男女、老人子供、関係なく被害にあってるようなので」
フウゲツ:「子供もか……」
シュリ:「たった5人でそれだけバリエーションに富んでるのが逆に怪しいかも」
レイチェル:「目撃者はいなかったのですか」
リリア:「いるにはいるのですが……暗かったそうなので。覚えているのはギラリと光った剣と、黒いマントだったとか。黒ずくめの集団だったらしいです」
シュリ:「集団……? 複数犯なの?」
リリア:「そう聞いています。皆同じような格好だったと」(メイリアを見る)
メイリア:「ええ、黒いマントの集団だったそうです」
レイチェル:殺され方もバラバラ、と。
GM:そうだね。刀傷か爪による傷なんだけど、殺し方が……バッサリ殺してたりネチネチ切り刻んでたり、『統一性』がないかんじだ。
レイチェル:複数犯らしいので、それぞれで趣向が違うのかも。
シュリ:とすると愉快犯ってのが一番濃厚ね。(ぼそっと)……フォモ……?
フウゲツ:それなら仕方がない。さあ、帰るぞ(笑)。
シュリ:フォモは死ななきゃ治らない。
フウゲツ:フォモには勝てないな。
未だ根強いクロヌシ=オオトモ=ラ=ソウリンホモ伝説。
レイチェル:それは違うぞ、違うんだ。
リリア:「私たちからお話しできるのはこれぐらいです。素人なので何をどうすればいいのかよくは分かりませんが、よろしくお願いいたします」
フウゲツ:「お任せください!」
リリア:「何か分からないことがありましたら、メイリアに聞いてください。──では、私は仕事がありますから」
GM:そう言って、リリアは教会の方にいく。
フウゲツ:「あの、我々はどこで寝泊りすれば?」
メイリア:「空き部屋がたくさんありますから、この教会を使ってください」
フウゲツ:へえ? リリアさんとメイリアしかいないのかな、ここ。
シュリ:実はものすごーく大きな教会なのかも。そして毎日スゴイ御馳走が!
フウゲツ:それは……仕事、長引かせるか(笑)。
GM:見た感じ普通の教会だよ。……地下に何があるかまでは分からないけど。
メイリア:「それと……」
フウゲツ:「はい」
メイリア:「お連れの方、大丈夫ですか? 顔が真っ青ですけど」
フウゲツ:(ブルーを見て)「げ。──おい、どうした、大丈夫なのか?」
ブルー:「おれ……オレ……俺は……」
メイリア:「あの、どこかで横になった方が……」
フウゲツ:「そうですね、すみませんが、部屋を借してください」
レイチェル:到着早々、どうしたというんだ……。
ユリア:彼は虚弱君なので。
フウゲツ:「事件は俺たちに任せて、ゆっくり休んでろ」
ブルー:「ああ……あああ……」