OP.1[愛の温度]-Wish you were here- 02

 自警団の砦──

ユリア:「自警団、集合〜!」

一同:わらわらわら。

ユリア:「自警団、解散!」

一同:早ッ!

GM:では、主要メンバーは集合したってことで。

フウゲツ:「というわけで、自警団は仕事をおおせつかりました。これからそのメンバーをつのりたいと思います。というか、こちらで勝手に選ばせてもらいました」

シュリ:はい?

フウゲツ:「仕事というのは、外の街へのデリバリーサービスです。メンバーは……シュリ、ユリア、エミリー、レイチェル、そして俺の5人です。残りの人たちは、留守の間のこと頼みます。出かける人たちは、各自出発の準備をしてきてください。出発は急いでます。では解散」

レイチェル:「具体的にいつ集まれば?」

フウゲツ:「準備ができ次第ここに。急な話で申し訳ない」

レイチェル:猫探しはスリーアイに引き継ぎをしていこう。

GM:ミケが街の外に出ている可能性もあるけどね。──シュリ、今日はおとなしいね。

シュリ:(プレイヤーが)眠いだけ。

GM:ヴァイスがいなくなって寂しいのだね。

シュリ:まさにそのとおり(棒読み)。

GM:うわー誠意のかけらもないね。

フウゲツ:というワケでGM、精鋭5人を選りすぐりました。

GM:アインは自分もいきたいと言っているけど?

フウゲツ:じゃあ……連れていこう。

ユリア:役に立つかどうかは分からないれすが。

フウゲツ:では6人で出発だ。

シュリ:あ、エミリーもいくのね。

フウゲツ:彼女をひとりでアーケインにおいておくのは危険だ、というのが本音。手元で監視しておかないと。

シュリ:なるほど。

フウゲツ:いくぞ!

GM:どこへ?

フウゲツ:へ?

GM:いくのはいいけど……どこへ?

フウゲツ:………………。ゲインさんの家にいくぞ! 「自警団の精鋭6人、集めてきました!」

ゲイン:「ご苦労様。よろしく頼むよ」

フウゲツ:「して、我々の目的地は?」

ゲイン:「知っているかな? カゴルマという小さな街だよ」(第一部第一話参照)

ユリア:めちゃくちゃ遠いっス。

シュリ:近く、っていう話じゃなかったの?

GM:ちょっと国境を越えるぐらいだよ(笑)。

フウゲツ:あの……それならもっと、それなりの準備をしてからいった方がよいかも。

レイチェル:そんなに長い間街を空けていて大丈夫なのか。

GM:大丈夫だろう。

レイチェル:その根拠は何。

フウゲツ:優秀な人材を残して、問題がありそうなのを連れていくからだ。

シュリ:なんてことを。

フウゲツ:今すぐ出発と思っていたが……目的地が国境越えたとこなら、今日はゆっくり休んで、明日の朝出発だ。

一同:うぃーす。

ゲイン:頼んだよ。

 自警団 寮──

ユリア:カゴルマまでどれくらいかかるれすか? 地図を見るかぎりではかなり遠いれす。

GM:遠いねえ。ちゃんと計算してないから詳しいことは言えないけど……。(考えて)馬車で1週間とか2週間とか。

シュリ:1週間と2週間じゃずいぶん違うよ?

フウゲツ:往復で、移動だけで1ヶ月か。アーケインは大丈夫なのか?

GM:そのへんは心配しなくていいよ。

オーキッド:「それとよ……」

フウゲツ:「ん?」

オーキッド:ブルーのヤツが、いきたいらしいんだ」

フウゲツ:「ブルーが?」

シュリ:ブルー……って、誰?(笑)

ユリア:自閉症の人れすよ。

シュリ:ああ。なんかいた気がする。

オーキッド:「こいつが自分のやりたいこと言うのって珍しいからよ。足手まといかもしんねーけど、連れてってやってくれないか?」

ブルー:「カゴルマ……カゴルマ……いく……ドゥ……」(ブツブツ)

フウゲツ:「分かった」

レイチェル:きっと何かの伏線だ。

フウゲツ:よし、7人で出発だ!

GM:では出発の朝であります。──カゴルマの街は、第二部で大被害を受けたのだけど……15年が過ぎて、そこそこ復興してきている。

レイチェル:もう着いたのか。

GM:えー……途中はすっとばそー。特に事件もないし。というワケで──
 

 カゴルマの街──

GM:──なのであります。一度は地底に沈んだタカール修道院も復活している。

フウゲツ:懐かしいな。

ユリア:何れすか、それは。

GM:クレリアの実家。今ここに住んでいるのは、クレリアの妹であるリリアと、その娘であるメイリア

シュリ:つまりクレリアの姪ね。

GM:そう。だからメイリア。

レイチェル:安直だ。

GM:覚えやすいでしょ? ──さて、今回の依頼をゲインさんに持ちかけたのはリリア。リリアの母(つまりクレリアの母ナタリー)とゲインが古い知り合いなので。

ユリア:『ホフヌング』つながり。

GM:そういうこと。

リリア:「遠いところを、わざわざありがとうございます」

フウゲツ:「いやいや、我々が来たからにはもう安心だ」

シュリ:いやー、ゲインさんからは『近くの街』と聞いていたのですが、まさかここまで近いとは。

フウゲツ:「して、魔物はいずこへ?」

レイチェル:「悪はどこへ」

GM:(エミリーを指差して)お前だー!

一同:確かに(笑)。

ユリア:プレイヤーがいないからって好き放題(エミリーのプレイヤーは後から参加予定)

シュリ:間違いではないけどね。

リリア:「お聞きになっているとは思いますが……お願いしたいのは、街の人を襲っている魔物の退治です」

フウゲツ:「ふむ」

レイチェル:「襲っている……?」

リリア:「すでに5人の被害者が出ています。そのうちのひとりはアーケインの住人だった方です」

フウゲツ:「む。それはますますヒトゴトではなくなりました」

レイチェル:「ゲインさんからは行方不明事件だと聞いていたのですが。5人とも、死体が見つかっているのですか?」

リリア:「いえ、正確には死亡者が3名、行方不明者が2人です。先程言ったアーケインの方はまだ見つかっておりません」

シュリ:もうひとりは?

GM:もうひとりはカゴルマに昔から住んでた普通のおっさん。

レイチェル:「被害者の死因は分かりますか?」

リリア:「刀傷だった、と聞いていますが……。中には鋭い爪で引き裂かれたようなものもあったそうです」

レイチェル:「犯行時刻は」

リリア:「夜ではないかと思われます。ひとりで出歩いているところを襲われているようなので、確かなことは言えませんが」

シュリ:「……辻斬り?」

レイチェル:「被害者に何か共通点は?」

リリア:「ない、と思います。男女、老人子供、関係なく被害にあってるようなので」

フウゲツ:「子供もか……」

シュリ:「たった5人でそれだけバリエーションに富んでるのが逆に怪しいかも」

レイチェル:「目撃者はいなかったのですか」

リリア:「いるにはいるのですが……暗かったそうなので。覚えているのはギラリと光った剣と、黒いマントだったとか。黒ずくめの集団だったらしいです」

シュリ:「集団……? 複数犯なの?」

リリア:「そう聞いています。皆同じような格好だったと」(メイリアを見る)

メイリア:「ええ、黒いマントの集団だったそうです」

レイチェル:殺され方もバラバラ、と。

GM:そうだね。刀傷か爪による傷なんだけど、殺し方が……バッサリ殺してたりネチネチ切り刻んでたり、『統一性』がないかんじだ。

レイチェル:複数犯らしいので、それぞれで趣向が違うのかも。

シュリ:とすると愉快犯ってのが一番濃厚ね。(ぼそっと)……フォモ……?

フウゲツ:それなら仕方がない。さあ、帰るぞ(笑)。

シュリ:フォモは死ななきゃ治らない。

フウゲツ:フォモには勝てないな。
 

 未だ根強いクロヌシ=オオトモ=ラ=ソウリンホモ伝説。
 

レイチェル:それは違うぞ、違うんだ。

リリア:「私たちからお話しできるのはこれぐらいです。素人なので何をどうすればいいのかよくは分かりませんが、よろしくお願いいたします」

フウゲツ:「お任せください!」

リリア:「何か分からないことがありましたら、メイリアに聞いてください。──では、私は仕事がありますから」

GM:そう言って、リリアは教会の方にいく。

フウゲツ:「あの、我々はどこで寝泊りすれば?」

メイリア:「空き部屋がたくさんありますから、この教会を使ってください」

フウゲツ:へえ? リリアさんとメイリアしかいないのかな、ここ。

シュリ:実はものすごーく大きな教会なのかも。そして毎日スゴイ御馳走が!

フウゲツ:それは……仕事、長引かせるか(笑)。

GM:見た感じ普通の教会だよ。……地下に何があるかまでは分からないけど。

メイリア:「それと……」

フウゲツ:「はい」

メイリア:「お連れの方、大丈夫ですか? 顔が真っ青ですけど」

フウゲツ:(ブルーを見て)「げ。──おい、どうした、大丈夫なのか?」

ブルー:「おれ……オレ……俺は……」

メイリア:「あの、どこかで横になった方が……」

フウゲツ:「そうですね、すみませんが、部屋を借してください」

レイチェル:到着早々、どうしたというんだ……。

ユリア:彼は虚弱君なので。

フウゲツ:「事件は俺たちに任せて、ゆっくり休んでろ」

ブルー:「ああ……あああ……」



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