MOND REPLAYV

 レベル2から別のエレベーターで再びレベル3へ。どんどん進んでいって、そして……
 

GM:エレベーターを発見。といってもこのフロアには来てないみたいだけど。──盗賊の人、ちょっと『心』で判定してみて。

ユナ:盗賊の人っていた?

GM:サラが娼婦兼盗賊。サリースと同じ。

サラ:なんだろ? (ピンときて、地図を重ねる)やっぱりそうだわ。このエレベーター、さっきレベル1で動かなかったエレベーターだ。

オラクル:(無理矢理ドアを開けて覗き)確かに、上の方にエレベーターっぽいのが止まってるだ。

GM:(を、気づいたか)でも判定してもらうのはそれじゃない。サイコロ振ってみて。ドアを開けたから、修正はなしでいいや。

サラ:(コロコロ)成功してるけど?

GM:上の方……エレベーターの底辺りで、なんかカサカサいってるのが聞こえる。暗くてよく見えないけどね。

サラ:「……なんか、カサカサ言ってる」

アヴァロン:「気になるよね〜? 気になるよね〜? 気になるよね〜?」(みんなに聞いて回る)

サラ:「あの……王子、おっしゃりたいことがあるならハッキリおっしゃってください」

アヴァロン:「上に何がいるのかすごく気になる。で、誰が調べられるかな〜と思って」

ゲオルギウス:(うんうんとうなずいて)「ちゃんと調べないと、なんか気持ち悪いですよね」

サラ:「……それはなに? あたしに調べにいけってこと?」

タナトス:「あの……王子。魔法の明かりを撃てばいいんじゃないですか?」

アヴァロン:「あ、そうか。……誰か魔法使えるヤツは?」

一同:しーん……。

アヴァロン:なんだ、誰も使えないのか。

サラ:あ、こんな時こそ必殺技【こんなこともあろうかと】を使う。
 

 【こんなこともあろうかと】は、御都合主義を無理矢理起こす危険な技である。
 

サラ:「こんなこともあろうかと、『照明弾』を持ってきてましたッッ!」

アヴァロン:ここで「あたしがちょっと調べてきましょうか?」の一言でもあれば評価も上がるのになァ。──もういい、オレが撃つから弾よこせ。
 

 サラから照明弾を奪い取り、上に向かって撃つアヴァロン。

 エレベーターの底を閃光が覆い、モンスターの姿を浮かび上がらせる。
 

GM:モンスターが粘液か何かで巣食ってるみたいだね。

アヴァロン:何とかして倒したいな……。

サラ:さすがにタイマン勝負はムリだからね。

GM:モンスターはほとんど動かない。

オラクル:サナギか何かみたいだべな。なら火でもつければすぐ燃えちまうだ。

アヴァロン:さあここにライターがある。──がんばれ、サラ。

GM:オラクルが松明くわえてシャフトを登るという手もあるぞ。……どうせ滅びる身だろ?

オラクル:イーヤーだー。

サラ:このシャフト伝って、下に降りるってのはダメなの? 1階分ぐらいならみんな降りられない?

GM:それも手ではあるわな。……シャフトまでの距離が4メートルぐらいあるけどね。

サラ:2回目の【こんなこともあろうかと】を使って、縄バシゴを用意しよっかなー……。

GM:わざわざ城まで取りに戻るのね(笑)。

サラ:それじゃ必殺技の意味がないでしょ……。

アヴァロン:じゃあその間に魔法で燃やしてしまおう。オレ、魔法使えるし。

サラ:だったら照明弾のときから何とかしてよッ! 最初から王子が《照明》の魔法を使ってれば、こんなに苦労しなかったんですよ?

アヴァロン:メンドくさいじゃん。それにお前、オレの配下だろ?

サラ:くッ……。

GM:で? 縄バシゴを取りに戻るの? それとも火の魔法で燃やすの?

アヴァロン:あ、こうしよう。オレが魔法でモンスター燃やしておくから、その間に(どこかにある)エレベーターの電源入れてきてくれ。で、エレベーターに乗ってここまで降りてくる。

ゲオルギウス:をを、それはナイスアイデア。

サラ:……こ、こいつらはァ……。
 

 結局サラとオラクルが電源を入れにいき、一行は無事レベル4にたどり着いたのだった……
 

GM:地下4階。細い通路を南に向かって進んでいく。で、扉がひとつ。

アヴァロン:サラ、まかせた。

サラ:はいはい。ピ、ピ、ピ、と。

GM:ではちょっと進んで、また扉。

サラ:厳重ねー……。(コロコロ)開いてるわ。

GM:更に南に通路は続いてる。途中にカードリーダー付きの厳重なカギがかかった扉がひとつ。

サラ:(コロコロ)あ、全然ダメだ。

アヴァロン:しょーがない。通路を先に進もう。
 

 さらにいくつか扉をくぐりつつ、右にいったり左にいったり。
 

アールマティ地下 レベル4

サラ:いったいいくつ扉があるのよゥ……。

ゲオルギウス:特別厳重な扉がいくつかあるしな。……一体ここはどこなんだ?

アヴァロン:そもそも何しに来たんだっけ?

サラ:『輝光石』を探しにきたんですッ!

アールマティ地下 レベル3(その2)
 

 更にエレベーターに乗ったり動く歩道を進んだりして……
 

GM:ついに巨大な『輝石』を発見した。

アヴァロン:やったか!

ユナ:にゅ? 今『輝石』って言わなかった?

GM:そ。これは普通の『輝石』だよ。エネルギーチューブとかが複雑にからみあって、奥の方に続いてる。マジックユーザーは奥の方からものすごい量のマナエネルギーを感じ取れる。

アヴァロン:そうか、『輝光石』はこの奥だな。

GM:そういうこと。
 

 疲れた体を引きずるようにして、一行は『輝光石』の間にたどり着いた。
 

アヴァロン:「これが『輝光石』……デカイ……」

ゲオルギウス:「純度、輝き、エネルギー量……全てがケタ違いだ……」

オラクル:「これを削って持って帰ればいいだな。──さ、おらのこの斧で!!」
 

 オラクルの斧でガリガリと削り取り、一行はなんとか『輝光石』を手に入れた。

 残された時間は……もうほとんどない……

 『輝光石』からの『アムリタ』の精製。

 『メフィストフェレス融合法』による子供たちの──生命力の融合。

 ヒュプノスとそのスタッフたちは、素晴らしいスピードでこれらをこなしていった。

 かわいらしい子供の姿をした『融合体』は『CavaLiberta Reliquia』(虚ろにて解放されし愛児たち)と名付けられ、経過は良好だった。

 科学者たちは『アムリタ』の力に感嘆し、早くも大人たちを『融合』する案が持ち上がったらしい。
 

 一方、ダイモンも『融合法』に目をつけ、民衆に『生命力を付与』する治療を施すことによってさらに支持を集めていった。

 今日も、目に見えない『風』が吹いている。
 

アヴァロン:「ユナ……ユナはどうして『C.L.R』に融合してもらわないの?」

ユナ:「にゅ?」

アヴァロン:「君の身体もずいぶんと『風』に蝕まれているはずだ。早くしないと……」

ユナ:「ヤだよゥ、みんなと『ひとつ』になるなんて」

アヴァロン:「そんなワガママ言ってる場合じゃないだろ?」

ユナ:「でも……」

アヴァロン:「『でも』じゃない。消えるんだぞ? 死ぬんだぞ? このまま『風』が止まなければ……いつかサラもオラクルも死んでしまう。アイツらは『融合』なんかしてもらえない」

ユナ:「……オトナだから?」

アヴァロン:「“身分の低い”大人だからだ。こういうの好きじゃないけど……ユナは大司祭様の身内だし……」

ユナ:「ヤだよゥ」

アヴァロン:「ユナ……」
 

 「ずっと王子のそばにいたいから……」と、彼女は言った。大人びた表情で。泣きそうな表情で。

 夜になると、少し『風』が弱まる。そう思うのは……僕の気のせいだろうか。
 

ヒイラギ:「王子……ちょっといいですか?」

アヴァロン:「ああ。……どうかした?」

ヒイラギ:「先程、サラが来たんですけど……」

アヴァロン:「僕のとこにも来たよ」

ヒイラギ:「様子、ヘンじゃありませんでした?」

アヴァロン:「アイツはいつもヘンだ」

ヒイラギ:「いや、そうではなくて……」

アヴァロン:「いつも通りだったよ…………不自然なぐらい」

ヒイラギ:「え?」

アヴァロン:「……ネコみたいなヤツだな……」
 

 小雨がパラつく晩、サラはひっそりと姿を消した。ひとり、死に場所を求めて……

GM:オラクルはどうするの?

オラクル:おらもひっそりと姿を消すだろうね。

GM:でもその前に自分の存在した証を、とか思ったりして。

ソフィアのプレイヤー:アールマティで一番高い木を切り倒すのね(笑)。

オラクル:じゃあ城の裏にあるでっかい木に斧をザクッと刺して、どこかに旅立つだ。

GM:斧が墓標代わりってワケだ。
 

 そして、時は流れる──



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