MOND REPLAYV

 エレベーターを降りたところは、エレベーターホールになっていた。
 

地下一階(上が北)

GM:地下2階に降りるための大型エレベーターが2つ、小型エレベーターが4つ。

サリース:エレベーターばっかりね……。

トパーズ:ここの扉を開けると十字路に……なってるね。地図どーりだわ。

サリース:どっちにいく?

トパーズ:やっぱり右から。
 

 右へ右へといった一行は、研究室<ラボ>にたどりついた。
 

マフィ:何の研究?

GM:生物、かな? 遺伝子がどうとか。

トパーズ:こっちのドアの奥には何があるのかな?
 

 がちゃ……
 

トパーズ:……子供の……部屋?

一同:え?
 

 そこは、白い部屋だった。必要最小限の家具と小さなベッド、そして白い熊のぬいぐるみ。
 

ゼナ:ここのカギ、中から開けられないようになってますね。

サリース:逃げられないようにしてあるのね……。

マフィ:壁にらくがきとかない? 「たすけて」とか。

GM:壁にらくがきはないけど、メモ帳か何かに名前が書いてある。

マフィ:なんて?
 

 たどたどしい字で────『リ  ル  ル』と。
 

ゼナ:り……るる?

サリース:そういうこと……か……。

トパーズ:え? じゃあここはリルルの部屋で、隣がラボで…………なんで?

マフィ:遺伝子を調べられてたんじゃない?

ゼナ:………………。

トパーズ:反対側の方、調べてみよっか。
 

 十字路を突っ切り、東側へ。
 

GM:同じように研究室になってて、奥に頑丈そうな扉がある。……鍵は開いてるかな。

ゼナ:外からこそっと覗いてみます。

GM:やっぱり白い簡素な部屋で、大人用のベッドが2つ見える。

サンダユウ:リルルの両親の部屋?

GM:そうみたいだね。机の上に小さい頃のリルルの写真がいっぱい飾ってある。

マフィ:両親の名前は?

GM:決めてなかったな。リルルパパとリルルママ。

マフィ:リルルから一文字ずつずらして……ラリリとルレレ。

ゼナ:ヤバイクスリやってそうですね(笑)。

GM:写真を見ると少しずつ成長していってる過程がよく分かる。

ゼナ:持っていこっと。……でもこれ、カメラ目線のがひとつもないですね。

サリース:てことは……盗撮されてた……?

ゼナ:そういえば……リルルは両親のこと何も知らないって言ってた……。
 

 それってつまり──同じ建物の中にいながら、一度も会うことができなかったってこと?
 

GM:更に、床に血の跡が。既に数カ月が過ぎてて、カラカラに乾いてるけどね。

サリース:ここで殺された……の……?

GM:そこまでは分からない。でも、かなりの出血量だったようだ。

ゼナ:………………。
 

 両親がいたこと。その両親が死んでしまってる可能性が高いこと。

 リルルに……なんて言えばいいんだろう……?
 

トパーズ:じゃあ研究室を出て……前にある扉を開けてみよう。

GM:そこは備品室。

トパーズ:じゃ、その奥の扉。

GM:広い研究室だね。大型のディスプレイとか立体映像とかいっぱいあって、中央部が一段高くなってる。んで、そこに人影のようなモノが見えた、気がした。

マフィ:(突然)オペリオォォォォォォ!!!

GM:ちがーう!(笑) ──トパーズには分かるかな? 亡霊というか精神体というか残留思念というか、そういったモノのようだ。

トパーズ:近づいていってみよう。はろーはろー!

GM:14歳ぐらいの男の子だね。とても質のいい服に身を包んでいる。

GM/少年の霊:『余はアステル……。そこにいるのはアヴァロンか……?』

トパーズ:(ぷるぷるぷるっと首を横に振る)

GM/アステル:『おのれ……卑しき妾の子が……』

トパーズ:「いや、だからあたしはアヴァロンじゃなくて……」

GM/アステル:『誇り高きヒーメルの血を汚す者め! 余の方が王にふさわしいこと、今度こそ分からせてくれるッ!』
 

 呪いの言葉を吐きながら、アステルがトパーズに襲いかかる!
 

トパーズ:「ちょっと待って、イヤァァァァァッッ!!」

サリース:あわててサポートに入るッ!

GM:じゃ、ここから戦闘だね。

サリース:……前線で戦えるのってあたしだけ?

ゼナ:銃で援護しますから。
 

 イニシアティブは、GMが取った。
 

GM:ではトパーズをかばったサリースに《赤い炎/1Lv》で攻撃!(コロコロ)36点のダメージ。

サリース:な、なんとか生きてる……。

GM:(1レベルでこの威力か……。魔法、強すぎたかな……)

マフィ:こっちの番だね。サリースに《完全燃焼》(バーサーク)を。

サリース:そんなことされたら死ぬゥ〜!

サンダユウ:攻撃いきまーす。(コロコロ)当たってる。

GM:ん、ダメージ全然食らってない。

ゼナ:やっぱりフツウの攻撃は効かない……?

GM:『森の巫女』であるトパーズは分かることにしよう。このアステル君はアンデッド扱いです。んで、アンデッド系のモンスターには、神聖魔法の《祝福》(武器強化)でプラスされたダメージボーナス分しか効かない。

トパーズ:てことは誰かの武器に《祝福》をかけないといけないのね……。サリース、回復とエンチャント、どっちがいい?

サリース:このままだと死にそうだけど……攻めないと勝てないし……。──あーあ、死んだかなァ、こりゃ。

マフィ:攻撃魔法も効かないの?

GM:神聖攻撃魔法なら効く。

ビッケ:とりあえず《退魔》(死人返し)を試すという手もあるが。魔法使い系だからHPは高くないだろうし。

トパーズ:何はともあれサンダユウを壁にしよう。

一同:108の機能のひとつ、ぬりかべ!

サンダユウ:ノォォーウ!

サリース:あたしはゼナのところまで下がる。

トパーズ:(いろいろ考えた結果)んじゃ、ゼナに《祝福/7Lv》を。これで35点のダメージが必ずいくから。

サリース:これで倒せなかったら……ヤバイわよ。

ゼナ:撃ちます!(コロコロ)当たりッ!

GM:ダメージ35点か。──おめでとう、倒したよ(笑)。
 

 実はHPは15点しかなかったのだな。
 

ビッケ:つまりどの魔法を使っても倒せてたワケだ。

GM:だね。ま、緊張感があってなかなか楽しかったよ。

サリース:回復して〜。

トパーズ:はいはーい。発動判定いきまーす。(コロコロ)100ゥ!?

一同:またかァー!

トパーズ:ごめんごめんごめん。──今度こそッ!(コロコロ)うん、成功。回復量は……(コロコロ)ごめん、最低値振っちゃった。

サリース:なんかもうどーでもよくなってきたなァ……。──2点ダメージ残っちゃった。

GM:と──ここでリルルが目を覚ますんだが。

ゼナ:「リルル、気がついた? ダイジョーブ?」

リルル:「ゼナ……」

サンダユウ:ここじゃなんだし、姫の部屋まで戻るか。

サリース:ええェ〜。記憶のエグイとこ、思い出させそうじゃない?

トパーズ:でもいつかは向き合わないといけないことよ。

ゼナ:今じゃなくてもいいでしょ?

マフィ:でもどうせ傷つくなら早く傷ついて、癒す時間が長い方がいいと思う。

リルル:「ここ……ひょっとして……」

ゼナ:気づいちゃったならしようがないか……。でも、あの部屋には連れていきたくないな……。

マフィ:じゃ、ここで話を聞きましょ。
 

 しばらくの沈黙のあと……リルルは、ぽつりぽつりと話し始めた。
 

リルル:「ここは……『ヒーメルの純血種培養所』です」

サリース:「純血種……?」

リルル:(こくりとうなずいて)「4000年前、アヴァロン王子と『アポリオン』の間で王位を巡る争いが起こりました。第3王子アステルを立てた元宰相派が『アポリオン』を名乗ったのです」

GM:アステルはアヴァロンのイトコかハトコだったんだろうね。

マフィ:アヴァロンは何番目なの?

GM:アヴァロンは第1王位継承者だよ。

マフィ:ナマイキ〜。

リルル:「『アポリオン』は、王位は純血たる者にこそふさわしいと主張しました」

ゼナ:「アヴァロン王子は妾の子供らしい、って話だったもんね」

リルル:「もっとも、アヴァロン王子は王になるつもりはなかったらしいですけど。……結局新たなる王が決まらぬまま国は滅び、ほとんどの『ヒーメル』が死に絶えました」

サリース:「『疫風』ってヤツ?」

リルル:「おそらく……。──『アポリオン』の目的は王の座から『種の保存』に変わり、以後数千年もの間純血種を紡ぎ続けました。純血であること……『王にふさわしい』とは名ばかりの、生と死の日々……」

ゼナ:「………………」

リルル:「ゼナ……純血種は身体が弱くて、寿命もせいぜい30歳前後なの……。だからジャッハはあたしのために……」

サンダユウ:「『大いなる遺産』を、手に入れようとしていた……」



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