MOND REPLAYV

ゼナ:「え……?」

シェオール:それは……ひょっとして懐かしい、鉄のような匂いがする?

GM:懐かしいかどうかは知らないけど、嗅ぎ慣れた匂いだね。倒れてる──斬られて死んでる──男は、ここの研究員みたい。

ゼナ:アトラクションにしては、ちょっとやりすぎですね……。

トパーズ:てゆーか、ホンモノの血?

GM:ホンモノみたいだ。少なくとも血ノリではない。

アルバス:で、その先に誰かいるのか?

GM:誰もいないよ。死体が転がってるだけ。……死んでからそんなに時間は経ってないみたいだけど。

ゼナ:「これは……上官に知らせにいった方がいいのかな? 上官っていうか、係員ですけど」

オードー:「お嬢さん方は後ろに下がるだ。死体なんて、あんま見るモンじゃねえ」

GM:ダイジョーブ、死体を定食屋の裏に捨てたことがある女だから(笑)。

リューセ:育った場所が育った場所ですから〜。

アルバス:関係ない関係ない。

サリース:フツウの環境で育ったでしょーが、アンタは。

GM:フツウのラブホテル、だけどね。
 

 とにかくこれは非常事態。吉田上官に知らせるため、最初の部屋に戻ることに。
 

トパーズ:「上官上官〜! カクカクシカジカで死体があったんですけど、これも余興ですか?」

GM/吉田上官:「何を言っている? 死体ぐらいでオタオタするな。お前たちは兵士だろうが!」

トパーズ:「そ、そうでありました」

ゼナ:「そーじゃなくて、冗談抜きで死んでるんですってば!」

アルバス:「いいから上官連れていけ!」

GM/吉田上官:「ええい、何をする! 離せ!」

オードー:??? 吉田さんは、死体があることを知っててわざと演技してるだか?

GM:演技には見えないねー。

オードー:なりきってるだか。役者だねェ……。

GM:さっきまでの『係員の吉田さん』とは明らかに雰囲気が違うよ。建物もアトラクション用のものには見えない。

ゼナ:「とにかく! 来てください!」
 

 いやがる吉田上官をひきずるようにして連れていく。
 

GM/吉田上官:(死体を見て)「これは……一撃だな。――どうやらターゲットはかなり腕がたつようだ」

シェオール:職員を殺して、外に逃げたか……?

GM:(ひょっとして状況を把握してない? 説明の仕方がまずかったかな……)もう一回言うよ。この研究所から逃げ出そうとしている実験サンプルがいる。そいつがここから逃げ出す前に捕まえてくれ、ということ。つまりまだこの研究所のどこかにいる。

シェオール:あ、そういうことか。

リューセ:うーん……そこそこ知性があるヤツなのかなァ……。

ゼナ:「死体……本物ですよ? ……ここ、遊園地ですよね?」

GM/吉田上官:「貴様、何を言っている?」

ゼナ:あれ……?

オードー:いいかげんおかしなことになってるって気づくべ。

ゼナ:あー…………ま、いっか(考えることを放棄)。

GM/吉田上官:「私はもとの部屋にいる。何かあったら報告してくれ」

一同:「りょーかい!」
 

 気を取りなおしてさらに奥を目指す一行。

 今度は慎重に、オードーが先頭になってドアを開ける。
 

GM:小さな研究室になっている。血を流してる職員がまたひとり。生きてはいるみたいだけど。

アルバス&ガンバ:「「ならトドメを」」
 

 すぱぱーん!!(リューセのツッコミ)
 

リューセ:治療するね。

GM/職員:「気をつけろ……ヤツは……強い……」

リューセ:「どんな外見?」

GM/職員:「外見は……普通の人間と変わらない……」

シェオール:「何体?」

GM/職員:「ひ、とり……」

オードー:「左手に大きな鍵爪がついてたりするだか?」

シェオール:「武器は?」

アルバス:「明日の天気は?」

GM:カンケーないだろ、天気は。あんまりしゃべらせると苦しそうだよ。

トパーズ:じゃ、この人はここにおいて……先にいこうか。

シェオール:だが……ターゲットはどういうつもりなんだ? 行動が読めん……。

GM:奥の通路を進むとT字路になってる。右にいくか左にいくか。

アルバス:二手に分かれないか? この人数はムダが多い。
 

 話し合った結果……
 

アルバス:リューセ・イリス・ユナ・トパーズ・マフィ・ゼナ・ガンバでどうだ?

シェオール:……女子供だけ集めてどーする……。偏りすぎだ。

GM:じゃあ一番戦闘能力が高いオードーとシェオールが、ジャンケンで交互にメンバーを選んでいこう。

シェオール:能力考えて選べよ。

GM:人間的な『扱いやすさ』もね。
 

 んで……
 オードー組がリューセ・イリス・ゼナを、
 シェオール組がユナ・トパーズ・マフィ・アルバス・ガンバを連れていくことになった。
 

シェオール:アルバスとガンバがこっちか……。

オードー:おらたちが右、シェオールたちが左に行くだ。

魔法化学研究所見取り図:2
 

 まずはオードー組──
 

オードー:警戒しながら進むだ。

GM:しばらく通路を進むと広い研究所に出る。どうやらここがメインみたいだね。でっかい試験管みたいなモノや奇妙な機械、魔法陣があったりもするのかな? いかにもここで生き物の研究してましたってかんじ。んで、周りには研究員や警備員の死体がゴロゴロと。

ゼナ:「ここから逃げ出したみたいですね……」

オードー:「てことはこっちはハズレだべな」

リューセ:「アルバスたちのところにいこうか」
 

 で、問題の(?)シェオール組──
 

GM:長い廊下をずんずん進む。

シェオール:(ここ……見覚えがある……?)

GM:で、突き当たりのドアをバーンと開けると──
 

 まさに、研究員が斬り殺される瞬間だった。

 血が織り成す赤いカーテンの向こうに見えたのは──
 

GM:一番最初に目につくのは、大きくキズになっててつぶれている右目かな。で、長いおさげ。

一同:長いおさげ?!!

GM:で、手に持ってるのはライトセーバー。

シェオール:なんだと……。

トパーズ:シェオールって、そういう人だったのね……。

シェオール:これは……GMとしては戦ってるうちにどっちが本物か分からなくなって、両方始末させるつもりとか……。

GM:それは深読みしすぎ。警備兵用のヘルメットかぶってるから、区別はつくはずだよ。

リューセ:私たちは何ターンでそこにたどり着くかなァ〜? (コロコロ)10ターン後とかって出たよ。

シェオール:それじゃ戦闘終わってるって。──……どうする? 自分(シェオール)が相手だと回避率も高いから命中率66%しかないぞ……。全力で防御すれば回避率が100%越えるからこっちが死ぬことはないだろうけど、俺以外のヤツが相手になるとも思えないしな……。しょーがない、フツウに攻撃する。

GM:(こっちのシェオールはまだレベルが低いけどね)
 

 てなワケで、シェオールVSシェオールの闘いが始まった。
 

シェオール:(コロコロ)当たってる。

GM:ダメージいただきます、と。

アルバス:とりあえず魔法銃に弾をこめる。

ユナ:杖を地面に立てます。

シェオール:……で?

ユナ:さあ。

シェオール:「さあ」って……そんなガンバみたいな……。

ユナ:にゃ。この杖をブースターにして王子が魔法を撃つだろうと思ったのに、何もしてくれなかったから。だから杖を立てただけ。

マフィ:人間の姿に戻って『火球』撃つねー。

シェオール:ちょっと待て。それじゃ俺が巻き込まれる。

マフィ:「アルバスにいちゃん、どっちに撃ったらいいと思う?」

アルバス:「どっちでもいいんじゃないか?」

GM:ガンバにも聞いてみよう。

マフィ:「撃っちゃっていいよね?」

ガンバ:「あ〜ん、やっちゃえばァ?」

マフィ:「それじゃ、いっきまーす!」

シェオール:やめろォー!!
 

 トルネード投法で(普通に)『火球』を投げるマフィ。見事に偽(?)シェオールに命中する。
 

GM:(なんだかんだでムチャはしないんだよね……)んじゃ、こっちの攻撃ね。シェオールに斬りかかる。(コロコロ)外れた。

シェオール:外れた!?(意外そう)

GM:レベルが低いんだってば。

シェオール:レベル低いくせにそれだけダメージ食らっても立ってるのか? スゴイな……。

GM:(そうでもないぞ……。フラフラだし)
 

 んで、トパーズの魔法攻撃で倒れる偽シェオール。
 

ユナ:さ、それじゃもう一匹を倒しましょうか。

シェオール:……それは俺のことか?

オードー:戦闘終わったみてェだし、おらたちも駆けつけたことにするだ。

リューセ:アルバスだいじょうぶー?

アルバス:どうということはない。……何もしなかったけど。

GM:と――空間にノイズが混じり、ザザザザザ……と辺りの風景がかすむ。

一同:おう?
 

 そして……ノイズが収まると、もとの研究所に――アトラクションとして造られた研究所に戻ってきていた。



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