視界の端を走り抜ける青と白。
そして、浮遊感──
その日、僕は初めて空を飛んだ。
気分は最高だった。
それが、『破滅』への第一歩であることを知るよしもなく……
吹き荒れる風、風、風……
彼女は『拒絶』した。
ゆえに。
一番愛しい人の刃が、自分の腹部を貫いていく。
荒い、彼の呼吸と、自分の呼吸。
そして、自分の体の、どこにあったのかと思うほどの、大量の、赤い……
「おう……じ……」
かすんでいく視界。愛しい人の顔……
一瞬見えたその光景に愕然としながら、ユナはアトラクションを終えた。
そしてリューセは……
どこまでも続く草原。背中に、樹の感触。遊んでいる子供たち。
大きな大きな夕日が、ゆっくりと沈んでいく。全てを、赤と金に染めていく。
一際強い光に目を細め、ふと視線を上げると……少年が立っていた。年は5、6歳に見える。
「おい」
「うん?」
「お前、ひとりか?」
「うん」
「みんなと、遊ばないのか?」
「私、みんなと違うから……」
「オレには一緒に見えるぞ」
「思い出、ないんだ……。家族、いないし。友達と遊んだことないし」
「ふーん。大変だな」
「だから、いいんだ……」
「何がいいんだよ」
「あなたには、関係ないでしょ?」
「そういう言い方はないだろ?」
視線と視線がぶつかりあう。
「……動くなよ」
少年が、近づいてくる。
──来ちゃダメだよ
GM:――というところで仮装の館は終了だよ。
一同:はあ。
ゼナ:何がどうなってんだか……。
リューセ:ほえ〜。
ユナ:(今のなに……? 昔の……記憶……?)
オードー:「それじゃ、次いくだ」
トパーズ:「剣と魔法のアトラクションだね」
GM:んじゃ、ぱぱっと移動して……剣と魔法のアトラクション『ハート オブ ソード』へようこそ。ここはいろんなシチュエーションで斬ったり撃ったりが体験できるとこです。んで、ミッションをクリアすればOK。
アルバス:変なヘルメットに光線銃を撃ったりする、アレか?
GM:まあ、そんなもんだ。今回君たちのために用意されたのは、『とある研究所の警備兵』というシチュエーション。剣で斬るタイプか銃(あるいは魔法)を撃つタイプか好きな方を選んでいいよ。
アルバス:ずいぶんと地味なシチュエーションだな……。こっちで選べないのか?
GM:コンピューターが一番ふさわしいモノ──体験してもらいたいモノを選んでくれるらしいよ。──んじゃ、着替えて着替えて。
リューセ:警備兵〜♪
GM:ヘルメットもかぶってね。……ヘルメットというかマスクというか。
トパーズ:これじゃ顔見えないよ?
GM:(そのためのマスクだもん)んじゃ、アトラクション用の建物――研究所の兵士控え室のセット――に入って……しばらくして、上官役の係員がやってくる。……名前決めてなかったな。
アルバス:吉田。
・吉田……アルバスのプレイヤーが飼っていた猫の名前
ガンバ:吉田ウォーマシンがいいだわさ。
GM:そりゃ吉田戦車だ(笑)。
アルバス:ならタンク吉田。
ゼナ:ダンプ松本みたい(笑)。
GM:……じゃあ吉田上官ね。
GM/吉田上官:「魔法科学研究所へようこそ。私が上官の吉田だ。君たちにはこの研究所の警備を──」
フィィーオン! フィィーオン! フィィーオン!
GM:鳴り響くサイレンと点滅する赤ランプ。明らかに緊急事態だね。
GM/吉田上官:(内線の電話を取って)「何事だ? ──なんだとォ! ふむ……ふむ……そうか、了解した」
ユナ:「にゃ、大変なことになってるみたい」
トパーズ:「結構演出凝ってるね」
シェオール:「──で、何が起こったんだ?」
GM:研究所の実験サンプルが逃げ出したらしい。そいつを捕らえることが君たちの任務。
シェオール:「殺っていいのか?」
GM/吉田上官:「なるべく殺さず捕らえてこい。私の首がかかっている」
アルバス:「……捕らえてこい? お前の首がかかってるならお前がやればいいだろう」
オードー:……言うと思っただ……。
GM/吉田上官:「貴様! 上官を侮辱するつもりかッ!」
と怒鳴りつつ、目では『お客さんすいません』と訴えてたりする(笑)。
ユナ:「まあまあ王子、大っぴらに殺戮ができると思えば……」
アルバス:「だからオレは王子じゃないって」
GM:……てゆーか殺さないでよ、なるべく……。
リューセ:「では、いきましょゥ〜」(目の前の扉に手をかける)
一行は扉をくぐる。それが、時を越える扉と知らずに……
GM:扉を開けると廊下になってる。廊下が右にのびてて、ドアがたくさんあるよ。んで、正面に大きな扉がある。
トパーズ:突き当たりからどんどん開けていこー! まずはここ!
GM:職員の個室だね。
トパーズ:じゃ、その隣。
GM:そこも個室。
リューセ:ん〜……ここはなに?
GM:備品なんかを入れておく倉庫。
リューセ:私たちが勝手に手をつけちゃいけないんだよね?
ゼナ:アトラクションのモノですから。後で怒られちゃいますよ。
アルバス:隣の部屋は何だ?
GM:食堂。
ガンバ:(イスに座って)「この店で一番うまいものを持ってきてくれたまえ」
アルバス:で、皿をけなすんだな。
もちろん食事が出てくるワケもなく、一行は食堂の外へ。
トパーズ:んじゃ、大きな扉にいってみる。
GM:鍵がかかってるよ。
トパーズ:なら細い通路に入って……。この扉は?
GM:守衛室だね。
ゼナ:鍵を探しましょう。
GM:なら鍵が見つかる。誰が持つ?
シェオール:ガンバ。
GM:はい、ガンバ、あ〜ん……。
ガンバ:(パクッと鍵を食べる)
ゼナ:あああッ!
ガンバ:で、右手をシャカシャカ振ると、巨大な鍵になるだわさ。そして古墳に向かってダイブ!((C)キ○肉マン)
トパーズ:ガンバから鍵を取り上げて、大きな扉のとこにいこう。
GM:それで扉が開いた。ちょっと広い空間になってて、左右に大きな棚がある。正面に頑丈そうな扉。部屋の奥、右に通路が続いてる。
シェオール:棚の中身は?
GM:いろんな薬品。
ガンバ:とりあえず片っ端から飲んでみるだわさ。
一同:ヤメロー!!
ガンバ:大きくなったり小さくなったり。
シェオール:薬本来の効果に関係なく、な(笑)。
オードー:(奥の通路をのぞいてみて)突き当たりに扉があるだ。
GM:扉を開けるの、誰?
シェオール:トパーズかリューセじゃないか? 俺はつまらなそうに一番後ろにいる。アトラクションだと思っているから。
リューセ:私が開けようか? ……でもちょっとドキドキするなァ。
ゼナ:じゃ、ボクが開けます。
何気ない気持ちで扉を引く。
ドシャ……
何かが倒れるような音と共に、ゼナに赤い液体が飛び散った。