MOND REPLAYV


chapter18

[さよならの向こう側]

アドラメルク編:2


さようなら
あなたの事
忘れない

 ゴウゴウと耳元で風が鳴る。

 視界の端を走り抜ける青と白。

 そして、浮遊感──

 その日、僕は初めて空を飛んだ。

 気分は最高だった。

 それが、『破滅』への第一歩であることを知るよしもなく……
 

 吹き荒れる風、風、風……

 彼女は『拒絶』した。

 ゆえに。

 一番愛しい人の刃が、自分の腹部を貫いていく。

 荒い、彼の呼吸と、自分の呼吸。

 そして、自分の体の、どこにあったのかと思うほどの、大量の、赤い……

「おう……じ……」

 かすんでいく視界。愛しい人の顔……
 

 一瞬見えたその光景に愕然としながら、ユナはアトラクションを終えた。

 そしてリューセは……
 

 どこまでも続く草原。背中に、樹の感触。遊んでいる子供たち。

 大きな大きな夕日が、ゆっくりと沈んでいく。全てを、赤と金に染めていく。

 一際強い光に目を細め、ふと視線を上げると……少年が立っていた。年は5、6歳に見える。

「おい」

「うん?」

「お前、ひとりか?」

「うん」

「みんなと、遊ばないのか?」

「私、みんなと違うから……」

「オレには一緒に見えるぞ」

「思い出、ないんだ……。家族、いないし。友達と遊んだことないし」

「ふーん。大変だな」

「だから、いいんだ……」

「何がいいんだよ」

「あなたには、関係ないでしょ?」

「そういう言い方はないだろ?」

 視線と視線がぶつかりあう。

「……動くなよ」

 少年が、近づいてくる。
 

 ──来ちゃダメだよ

GM:――というところで仮装の館は終了だよ。

一同:はあ。

ゼナ:何がどうなってんだか……。

リューセ:ほえ〜。

ユナ:(今のなに……? 昔の……記憶……?)

オードー:「それじゃ、次いくだ」

トパーズ:「剣と魔法のアトラクションだね」

GM:んじゃ、ぱぱっと移動して……剣と魔法のアトラクション『ハート オブ ソード』へようこそ。ここはいろんなシチュエーションで斬ったり撃ったりが体験できるとこです。んで、ミッションをクリアすればOK。

アルバス:変なヘルメットに光線銃を撃ったりする、アレか?

GM:まあ、そんなもんだ。今回君たちのために用意されたのは、『とある研究所の警備兵』というシチュエーション。剣で斬るタイプか銃(あるいは魔法)を撃つタイプか好きな方を選んでいいよ。

アルバス:ずいぶんと地味なシチュエーションだな……。こっちで選べないのか?

GM:コンピューターが一番ふさわしいモノ──体験してもらいたいモノを選んでくれるらしいよ。──んじゃ、着替えて着替えて。

リューセ:警備兵〜♪

GM:ヘルメットもかぶってね。……ヘルメットというかマスクというか。

トパーズ:これじゃ顔見えないよ?

GM:(そのためのマスクだもん)んじゃ、アトラクション用の建物――研究所の兵士控え室のセット――に入って……しばらくして、上官役の係員がやってくる。……名前決めてなかったな。

アルバス:吉田。
 

吉田……アルバスのプレイヤーが飼っていた猫の名前
 

ガンバ:吉田ウォーマシンがいいだわさ。

GM:そりゃ吉田戦車だ(笑)。

アルバス:ならタンク吉田。

ゼナ:ダンプ松本みたい(笑)。

GM:……じゃあ吉田上官ね。

GM/吉田上官:「魔法科学研究所へようこそ。私が上官の吉田だ。君たちにはこの研究所の警備を──」
 

  フィィーオン! フィィーオン! フィィーオン!
 

GM:鳴り響くサイレンと点滅する赤ランプ。明らかに緊急事態だね。

GM/吉田上官:(内線の電話を取って)「何事だ? ──なんだとォ! ふむ……ふむ……そうか、了解した」

ユナ:「にゃ、大変なことになってるみたい」

トパーズ:「結構演出凝ってるね」

シェオール:「──で、何が起こったんだ?」

GM:研究所の実験サンプルが逃げ出したらしい。そいつを捕らえることが君たちの任務。

シェオール:「殺っていいのか?」

GM/吉田上官:「なるべく殺さず捕らえてこい。私の首がかかっている」

アルバス:「……捕らえてこい? お前の首がかかってるならお前がやればいいだろう」

オードー:……言うと思っただ……。

GM/吉田上官:「貴様! 上官を侮辱するつもりかッ!」
 

 と怒鳴りつつ、目では『お客さんすいません』と訴えてたりする(笑)。
 

ユナ:「まあまあ王子、大っぴらに殺戮ができると思えば……」

アルバス:「だからオレは王子じゃないって」

GM:……てゆーか殺さないでよ、なるべく……。

リューセ:「では、いきましょゥ〜」(目の前の扉に手をかける)
 

 一行は扉をくぐる。それが、時を越える扉と知らずに……

GM:扉を開けると廊下になってる。廊下が右にのびてて、ドアがたくさんあるよ。んで、正面に大きな扉がある。

魔法化学研究所見取り図:1

トパーズ:突き当たりからどんどん開けていこー! まずはここ!

GM:職員の個室だね。

トパーズ:じゃ、その隣。

GM:そこも個室。

リューセ:ん〜……ここはなに?

GM:備品なんかを入れておく倉庫。

リューセ:私たちが勝手に手をつけちゃいけないんだよね?

ゼナ:アトラクションのモノですから。後で怒られちゃいますよ。

アルバス:隣の部屋は何だ?

GM:食堂。

ガンバ:(イスに座って)「この店で一番うまいものを持ってきてくれたまえ」

アルバス:で、皿をけなすんだな。
 

 もちろん食事が出てくるワケもなく、一行は食堂の外へ。
 

トパーズ:んじゃ、大きな扉にいってみる。

GM:鍵がかかってるよ。

トパーズ:なら細い通路に入って……。この扉は?

GM:守衛室だね。

ゼナ:鍵を探しましょう。

GM:なら鍵が見つかる。誰が持つ?

シェオール:ガンバ。

GM:はい、ガンバ、あ〜ん……。

ガンバ:(パクッと鍵を食べる)

ゼナ:あああッ!

ガンバ:で、右手をシャカシャカ振ると、巨大な鍵になるだわさ。そして古墳に向かってダイブ!((C)キ○肉マン)

トパーズ:ガンバから鍵を取り上げて、大きな扉のとこにいこう。

GM:それで扉が開いた。ちょっと広い空間になってて、左右に大きな棚がある。正面に頑丈そうな扉。部屋の奥、右に通路が続いてる。

シェオール:棚の中身は?

GM:いろんな薬品。

ガンバ:とりあえず片っ端から飲んでみるだわさ。

一同:ヤメロー!!

ガンバ:大きくなったり小さくなったり。

シェオール:薬本来の効果に関係なく、な(笑)。

オードー:(奥の通路をのぞいてみて)突き当たりに扉があるだ。

GM:扉を開けるの、誰?

シェオール:トパーズかリューセじゃないか? 俺はつまらなそうに一番後ろにいる。アトラクションだと思っているから。

リューセ:私が開けようか? ……でもちょっとドキドキするなァ。

ゼナ:じゃ、ボクが開けます。
 

 何気ない気持ちで扉を引く。
 

   ドシャ……
 

 何かが倒れるような音と共に、ゼナに赤い液体が飛び散った。



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