女性の声:「あの〜」
リューセ&オードー:振りかえる。
GM:そうすると、黒髪を腰まで伸ばした若い女性が立っている。
黒髪の女性:「すみません、そこのちっちゃい金髪くんに、本を取られちゃったんですけど……」
リューセ:「ちっちゃい金髪? ガンバのこと?」
ガンバ:それを聞いて、ワサワサと髪が黒く変化する。
GM:そういうことはやめろ(笑)。
サリース:「キレイなお姉さん、そんなことよりあたしとお茶しません?」
GM:――というサリースをあっさり無視してアルバスを見ると、「きゃ――! 王子ィー☆」と言って抱きついてくる。
アルバス:「またか……」
オードー:ひょっとしてアルバスの方が記憶おかしかったりしてな。
ガンバ:『記憶封印』されてるのは間違いないだわさ。
サリース:(ぼそっと)「アルバスって年上からロリまでOK……? ……負けた……」
アルバス:抱きついてくるんだな? ソデをまくって、カウンターでアックスボンバー。あるいは相手の勢いを利用して後方に投げる。
一同:なにィ!?
アルバス:(コロコロ)判定は余裕で成功している。
ぽぉ――ん! ……どんがらがっしゃーん!!!
リューセ:ここ……本とかいっぱいあってヤバイんじゃ……。
GM:テーブルとかがある方に飛んでいったことにしよう。……かわいそうに。
黒髪の女性:「何するんですかァ王子。それに……女の子5人も連れて……」
サリース:えーと、あたし、リューセ、リルルにユナ……あとは……
ゼナ:……きっとボクです……。
サリース:よくあることよくあること。――そういえばゼナツーは?
ゼナ:エスペルプレーナに監禁してます。
黒髪の女性:「王子……? 一体どうしてしまったんです? わたしです、ヒイラギです」
サリース:「だからァ……なんでこんなヤツが王子なのよ」
黒髪の女性(ヒイラギ):「何言ってんです、この方はアールマティ王国の第1王位継承者アル王子ですよ?」
アルバス:「ある街のある王子?」
エノク:「………………」
サリース:「アールマティ……先生が前に言ってたような……」
リューセ:「あのこいつは……アルバスと言って……」
ヒイラギ:「アルバス=ファルバティスでしょ? で、アル王子。父親の名はフレイヴスで、母の名はニーヴェ」
リューセ:「アルバス、封印された記憶ってひょっとして……王子?」
アルバス:「そげんこつ言われても知らんばい。あげんこつもこげんこつも分からんもんは分からんち言いようやないかい」
リューセ:「あげんこつ言うて、分からんこつ言うっちゃって覚えとろうもんね、そげんこつは」
アルバス:「忘れようことだってあろうもん。ほーんに何ゆうても分からんもんねェ、こんしは」
リューセ:「わからんちんはあんたやらい」
オードー:そこ、博多弁はやめるだ(笑)。
ゼナ:(暗ーい声で)「記憶にないって……言ってます」
リューセ:「ゼナ……暗い……」
ゼナ:(思いっきり暗い声で)「そんなことないです……。ボク……元気ですよ……」
リューセ:「か、かなりキテるかも……」
ヒイラギ:「それじゃ、改めて自己紹介します。わたしの名はヒイラギ。4000年ほど前アールマティの王家に仕えていて、今は中央図書館で情報管理の仕事をしてます」
オードー:「4000年……」
サリース:「さらっとそういうこと言わないでほしい……。……美人だからそんなことどーでもいいけど」
アルバス:「賞味期限切れてるな」
リューセ:「あなたは……『BOOK』なんですか?」
ヒイラギ:「いいえ。わたしは……情報管理用の立体映像プログラムです」
ゼナ&エノク:「「り、立体映像……」」(目がキラキラ)
アルバス:「じゃあ殴っても大丈夫だな!」(笑顔)
オードー:「殴るなァー!」
サリース:「わーい、触れるんだァー!」(笑顔)
リューセ:「ヘンなとこ触るなァー!」
ヒイラギ:(サリースを見て)「サラ!? あなたなんでこんなとこに!」(←今までアルバス以外眼中になかったらしい)
アルバス:「皿? じゃあ割れるんだァー! ぱりーーん!」(←割れません)
ヒイラギ:「あなた娼婦のサラじゃないの? ……あ、サラは4000年前に死んだんだっけ」
サリース:「……話が見えてこない……。――あたしはサリースであってサラじゃないやい!」
ヒイラギ:「似てるんだけどなァ……。――って、よく見たらユナもいるじゃない」
ユナ:「にゃにゃーん♪ 今、記憶が混乱しててよく分からない」
ヒイラギ:「………………。他人の空似ばっかり……?」
アルバス:(突然)Jビーーフ!!!
一同:は……???
アルバス:いや、あんまりオージーオージーって言うから、オレは国産だよ、って。
リューセ:アルバス壊れちゃった……。
サリース:あんまり王子王子って言うから……。
アルバス:「オレは王子じゃない。人違いだ。(欽ちゃんのマネをして)ズぁンネンだったねぇ〜」
ぴし……(一同硬直)
リューセ:き、欽ちゃんって……。今のでアルバスのイメージ大きく変わったんだけど……。
ガンバ:そういえばタモリはどうなったんだわさ?
GM:エスペルプレーナにいるよ(笑)。きっと加藤チャゲと一緒にゼナツーを監視してるんだな。
ゼナ:ちょっと心配かも……。
ヒイラギ:「そっか……。わたしの記憶違いなのかなァ……」
ゼナ:「そのアル王子って人が、4000年も若い姿のままなんて、考えられませんしね」
アルバス:「分かった、百歩譲ってオレがアル王子だとしよう。……だから?」
ヒイラギ:「いえ……ただ、懐かしいなって……」
アルバス:(投げやりに)「ああ、懐かしいね」
サリース:「ウソつき」
ヒイラギ:「ところで……こんなところで何を?」
リューセ:「そういえば……私たちゼナを治す方法探しにきたんだっけ……」
ヒイラギ:「何か情報が必要なら……うちの図書館に来ませんか? わたし、中央図書館『永劫回帰』で働いているんです」
アルバス:英語を書いて??
GM:永劫回帰だってば。
中央図書館『永劫回帰』――
GM:街の中心にそびえる一際高い塔のような建物。コンピューター管理されていて、ここにない本はないと言われている。もちろん『BOOK』の管理もしている。
ガンバ:では、昭和47年日本こんにゃく新聞社刊の『全国こんにゃく農家一覧』を。
アルバス:オレ、『鹿児島弁辞典』ね。
GM:さすがにそんなモンは置いてないってば。『イシュタルのおいしい店』とかならあるだろうけど。
サリース:『弁天』載ってるかなァ……。
オードー:「さ、そんなことより手がかりを探すだ」
ヒイラギ:「特別閲覧室まで開放しますから、思う存分調べてください」
GM:それじゃーねー、『心』の『能動』値マイナス50で判定するのだー。
オードー&アルバス:ムリ。
ガンバ:クリティカルを振れば大丈夫だわさ。
ゼナ:ファンブルしたらどうなるんだろう?
GM:きっとえっちぃ本を探し出したりするんだろうね。
サリース:で、そういう本を読んでるところをリルルに見つかる、と。
ゼナ:……気をつけよう。
GM:ヒイラギは自分の部屋に帰っていく。リルルとエノク先生は一緒に調べてくれるだろうけど、頭数には数えないでね。
サリース:NPCに頼るなってことね。
GM:そゆこと。――さ、サイコロ振って振って。
リューセ:「さ、ガンバるぞォ〜」
資料あさりの開始である――
マフィ:「ねー、まだ着かないのォ?」
トパーズ:「んー、もちょっとかかると思うよ」
マフィ:「タイクツー! エスペルプレーナに乗せてもらえばよかったなァ……」
トパーズ:「もう、どこにエスペルプレーナがいるのよ」
マフィ:「さっき追い越されたよ」
トパーズ:「なんですとー?」
シェオール:「VLSと一般船じゃ勝負にならんさ」
マフィ:「いいなー。わたしもブイエルエスほしいなー。アルバス兄ちゃんくれないかなァー」
ゴーヴァ:『………………。どうやらゼナたちもヴィゾフニルに向かってるようだな』
シェオール:(予感……。ゼナに何かあったのか……?)
ゴーヴァ:『ヴィゾフニルは久しぶりだ』
トパーズ:「ゴーヴァ、行ったことあるの?」
ゴーヴァ:『トールの海から引き上げられたおれは、ヴィゾフニルの研究所で修理されたんだ』
トパーズ:「そっか……。じゃああるイミ里帰りだね」
ゴーヴァ:『そうとも言えるかな』
そんな『アイオーン』の様子を離れたところで見ながら、ニーヴェはひとり微笑んだ。
ニーヴェ:「『こっち』に来るのは久しぶりだわ……。ヴィゾフニル――ヒイラギがいるところね」
クリシュナ:「ひいらぎ?」
ニーヴェ:「ええ。前にお世話になったの。あなたも会ったことがあるはずよ」
クリシュナ:「ひいらぎ……覚えてる……」
ニーヴェ:「そう……よかった……。――あ、見えてきたわ」
地平線の遥か向こうにボンヤリと塔のようなものが見える。
ヴィゾフニル中央図書館『永劫回帰』――ゼナたちがそこにいることを、彼らはまだ知らない……