オニキスがいるね。分かるよ。前に立っているのがガルフだね。それからフローラ。カレンに、土地神さんたち。
うん、分かるよ。あ、オニキスの傍にレミーラがいるね。
あたしの傍にいるあなたは……ああ分かった、ガトーさんの娘さん、ふーん、マフィっていうんだ。
よろしくお願いね。
──心を開いて。もっと、感じ取ってごらん。
父様がいるね。兄様と義姉さんとトパーズ。フィーユ様。ラピスの森のみんな。まだまだ分かるよ。カゴルマの人たち。
ストロンシャンの人たち。砂漠の民の人たち。たくさんの、命だね。
──強くイメージするんだ。大切な人たちのことを、強く強く思うんだ。
いつも思ってるよ。大好きな人たち。大切な人たち。
──今度は水面の底の方に──『扉』の奥の方に意識を向けて。
誰かいるね。『魔獣』とは違う、別の何か。あ、人じゃない。生き物でもない。とても大きな何か。なんだろうこれ。
まるで……そう、命そのものみたいな……。
──よく分かったね。『彼』は『紫の中空』、生きた空間だ。
生きてる、空間?
──そう。君たちの住む『青の世界』と、メーヴェたちが住む『赤の世界』。
そのはざまにある命を持つ空間、それが『紫の中空』……。
『彼』……怒ってるね。それにすごくかなしんでる。
──へえ、思った以上に君は優秀みたいだ。いい『魂鎮め』になるよ。
『たましずめ』?
──ああ。怒りとかなしみで傷ついた『彼』の心を祈りの力で癒す。
それが『命の祭り』の真の意味。
そっか……。そうだったんだね……。
──さあ、意識を集中して。心を開くんだ。少しずつ。少しずつ……。
ツェラー(青):「どうやら目覚めさせてしまったようですね。──あれは人の手にはおえぬモノなのに」
クロヌシ:(ツェラー(黒)たちをまとめて斬り捨てながら)「余裕だな。人の心配より自分の心配をした方がいいと思うが?」
ツェラー(青):「クックックッ、まったく楽しい人ですよ、あなたは。ずいぶんと調子がいいようじゃないですか、今日は」
クロヌシ:「? ──貴様、何を言っている?」
ツェラー(青):「『魔族の種』がいよいよ体をむしばみだしたということですよ。
時々いるんですよ、種と相性がよくて実力以上の力が出る人が。
──まあ最初のうちだけですけどね。結局は体がもたずに死んでしまう」
クロヌシ:「ふん──こんな種ごときに支配されるつもりはない。
ごたくはいいからそろそろ戦う準備をしたらどうだ? こいつらを倒したら次は貴様の番だぞ」
ツェラー(青):「強がりはおやめなさい。本当は恐れているのでしょう──死を」
クロヌシ:「恐れてなんかいないさ」
ツェラー(青):「クックックッ、まあいいでしょう。どちらにしろ、殺してあげますよ」
クロヌシ:「──やってみな」
ティンベル:「ミシェルはカプセルの中で眠っているんだね?」
GM:そうだね。何かよく分からん液体で満たされたカプセルの中で目を閉じている。
ティンベル:叩き割るよ。できる?
GM:君なら簡単にできるよ。どっと液体があふれ出て、ミシェルも外へ。ぐったりとしてる。
ティンベル:「ミシェル、ミシェル!」
GM:しばらく揺さぶってると目を覚ますよ。
ミシェル:「ウ……ア……ア……コ……ロス……コロス……殺す!」
ティンベル:「くっ、ミシェル!?」
GM:完全に意識が覚醒していないみたいだね。でも段々と目の焦点があってくる。
ティンベル:「ミシェル!」
ミシェル:「ね……えさん……。姉さん……」
ティンベル:「ミシェル……」
ミシェル:「姉さん……。………。………。……死んでちょうだい、姉さん」
ティンベル:「え?」
ミシェル:「姉さん、愛してるわ……。だから──死んでちょうだい」
ティンベル:「それは一体どういう……」
ミシェル:「私が愛した人はみんな死んでしまった。だから姉さん、一緒にみんなのところへ行こうよ」
ミシェル:「いろいろ考えたわ。ナタリーに地下に閉じ込められてから。──いいえ、姉さんに捨てられてから、ずっと」
ティンベル:「捨てた? 私、そんなつもりじゃ……」
ミシェル:(首を振って)「姉さんは力を求めた。力を選んだ。あたしじゃなかった。あたしは独りだった。
ずっと、独りぼっちだったのよ? 誰も、誰も愛してくれなかったんだよ?」
ティンベル:「ミシェル……」
ミシェル:「誰にも愛してもらえなかった。ナタリーにも勝てなかった。サイテーだわ。ほんと、サイテー……」
ティンベル:(一歩、近づく)
ミシェル:(目に涙を浮かべながら)「暗い地下室で、ギャリソンに持ってこさせた人の肉食べて、ずっと生きてた……。
姉さん……。ずっと……」
ティンベル:「ミシェル……。私、ちゃんとあなたを愛してるよ……」
オペリオ:「♪この〜木何の木……マック鈴木♪」
ガルフ:うわー(笑) オペリオはここまで来てもキャラクターを変えるつもりはないみたいだな。──ま、それでいいんだけど。
フローラ:こっそり『魔力感知』していい? ナタリーが誰かに操られているのかどうか調べる。
GM:彼女は正気だね。自らの意志でこういうことをやっている。
フローラ:説得の余地なしか……。
ナタリー:「邪魔をしないでください。早くしないと世界が『闇』に覆われてしまう」
ガルフ:「そんなことにはならないさ。だからこんなことはやめろ。『魔界への扉』は人の手に余る代物だ。
そういうことは神様に任せておけばいい」
ナタリー:「人は、自分の力で自分を守るべきです。神など……信じません」
ガルフ:けっ、聖職者とは思えないセリフだな。
GM:てことでイニシアティブを振ろう。(コロコロ) こっちは5だよ。
ガルフ:……こっちは3だ。
GM:じゃあこっちからだね──と言ってもナタリーはただ微笑んでいるだけで何もしない。何も言わない。
『超魔獣』は何とか全身を『扉』から出そうともがいてるだけ。
ガルフ:で、こっちの番なのか? 仕方がないな。手荒なことはしたくなかったが、これも任務。
(斬馬刀を振り上げて) 攻撃させてもらう! 頭を狙って4回攻撃。(コロコロコロ〜)全部命中!
GM:(フッと笑って)ぐちゅっと頭に斬馬刀がめり込み、ナタリーは倒れる。
一同:……へ?
ガルフ:え、あれ、ちょっとまって、ナタリーって、そんなに弱かったの?
フローラ:オレも『火球』を頭に撃とうと思ってたんだが……。……で、死んだの?
GM:頭が半分吹き飛んでるからねぇ。普通死ぬでしょ。
フローラ:そりゃ死ぬわ(笑)。
ティンベル:てっきり自分の体も何らかの方法で強化してると思ってたのに……。
GM:この人はフツーの人間だったの。で、死んだ。
フローラ:……困った。ほんとーに困った……。
GM:では『命の祭り』の方だ。前にも言った通り、土地神にも下っ端ってのがいる。コロボックルとかがそうなんだけどね。
で、そういう力の弱い土地神たちから順に、すうっと『扉』に吸い込まれていく。
次々と光になって吸い込まれていく土地神たちはとてもきれいだ。
ラズリ:それって……死んじゃうの?
GM:命を『祭る』。文字通り自らの命を犠牲にするんだ。だから土地神たちが『儀式』を行うには相当の覚悟が必要なんだ。
ラズリ:うぅー。でもそれが土地神たちの役目なんだと思って何とか耐えよう。ごめんね。
GM:そうするとこんな会話が聞こえてくる。
「ママー、お祭りなのぉ?」
「そうよ。とっても楽しいお祭り」
「わーい、お祭り、お祭り」
「さあ、ママと一緒に行きましょう。怖くないからね」
そしてすーっと消えていく。
ラズリ:……今の聞いてすごくやりきれなくなっちゃったよう。でもやるしかないんだよね。祈る。ひたすら祈る。
あたしには、それしかできない。
クロヌシ:「うおおおおおおお……!」
ツェラー(青):「しゃああああああ……!」
ツェラー(青):「どうしました? 足がふらついてますよ」
クロヌシ:「ふん……、貴様こそ、自分の体がどうなったか気づいていないのか?」
クロヌシ:「終わりだ。次の一撃で、終わりにしてやる」
ツェラー(青):「あなただって全身傷だらけですよ。勝つのは──私です」
ミシェル:(ティンベルを振りほどきながら)「やめて、やめてよぉ!」
ティンベル:「ミシェル──信じて。力は、何も生み出さなかった。あなたと同じように、私にも、あなたしかいない……」
ミシェル:「だったら……全てに絶望したのなら……一緒に、死んでよ姉さん」
ティンベル:(首を横に振って)「ダメ……。死ぬのはダメよ。死ぬことは、一番悲しいことだから」
ミシェル:「セルケ アル クイレ (血そして生命)」
ティンベル:「ミシェル……?」
ミシェル:「セルケ アル クァルメ (生命そして死)」
ティンベル:「やめて……。その言葉は……」
ミシェル:「イルラ ナ ウームバル (すべては滅びる定め)」
ティンベル:「滅びの言葉……」
ミシェル:「ヴァラ オ メネル (天よりの力)
アント アマルソン アン コツモ (我らに大いなる滅びを与えよ)」
ティンベル:「ダメだ、力を制御しきれていない!」
ミシェル:「そうよ。だってあたしには使いこなせない力だもの。でも……確実にあたしと姉さんに死をもたらしてくれる」