ラズリ:うん、あたしだけ。──オニキスの様子はどう?
GM:オニキスは……寝てる。夜だから。
ラズリ:(じーと見ながら) ──ずいぶんとリラックスしてるわね。
ティンベル:濡れたタオルを顔に乗せといたら?(笑)
フローラ:いや、ガーゼの方がいいわ、隙間ないから。
ラズリ:殺してどーするのよ(笑)。「──オニキス、起きてよ」
オニキス:「……んん? 飯の時間か?」
ラズリ:じーと見つめとく。反応が見てみたいから(笑)。
オニキス:(ぶっきらぼうに)「……なんだお前か。何の用だよ」
ラズリ:「そんな言い方ないでしょ? 心配になって見にきてあげたんだよ」
オニキス:「お前にはカンケーないだろ」
ラズリ:「ねえ……ホントにあなたが殺したの?」
オニキス:「殺ってねえって言っても信じねーだろ、誰もよ」
フローラ:アリバイとかをはっきりさせたらいいんじゃないの?
GM:いや、すでにそういう論理的なことが通用しなくなってる。
何とかしてオニキスを排除したがっているのだよ──特にマラカイトが。
ラズリ:ほとんど魔女狩りだね。
「──ホントにあなたじゃないのね?」
オニキス:「ああ、やってない。それはウソじゃねえ」
ラズリ:「分かった……」
GM:そのときコンコンコンとドアをノックする音がする。
ラズリ:「う、誰かな……。オニキス、ちょっと布団の中に隠れさせて(笑)」
GM「オニキス、誰かいるのかい?」──サードニクスの声だ。
ラズリ:兄様か。だったらドアを開けるよ。がちゃっと。
サードニクス:「ラズリ、やっぱりここにいたのか……」
ガルフ:寝室に襲いにいったらいなかったんで、もしやと思ったが……。
GM:んなワケあるかーい!(ツッコミ)
ラズリ:「ねえ兄様、何とかならないかな……。クソ親父はあの調子だし、あたしどうしたらいいのか分からなくて……」
サードニクス:「確かに『ホフヌング』の人たちは信用できない。
そりゃ神々の戦いで世界が滅びるのはゴメンだが……どうもね……」
ラズリ:「うんうん」
サードニクス:「とにかく、こっちは私たちにまかせてくれ。悪いようにはしないから。
──ラズリは、ラズリのやるべきことをやってくれ。君の役目は非常に重要だ」
ラズリ:「はい、分かりました……。姉さんを、よろしくお願いします」
サードニクス:「義姉ならちゃんと大事にしてるけど?」
ラズリ:「ちがうでしょ、それは!(ツッコミ)」──家族には容赦ないから、あたし。
フローラ:そんなんだからじいさんは死んじゃったのよ。
ラズリ:がーん、あたしのせいだったのかぁ(笑)。
オニキス:「バカ兄妹……。──あたしはもう寝る。話がすんだらさっさと出ていけよ」
ラズリ:「なんだかヒドイ言われよう……」
サードニクス:(苦笑して)「あ、それからこれ──お守りだ。私と、ライムから」
GM:そう言ってイヤリングを渡してくれる。意志の強さがプラス2されるアイテムだから、つけておくように。
ラズリ:「ありがとう兄様……。ラズリはがんばります」
GM:んで、外に出ると──
ガルフ:出発の用意をすませたオレたちが待っている。
GM:……そうなの?
ガルフ:そしてラズリの荷物を投げて渡して、「さ、行こうぜみんな!」(歯がキラーン)
GM:出発するの? 今、夜なんだけど……。
ガルフ:(聞いてない)さらにみんなで円陣を組んで気合を──
ラズリ:出発は、朝になってからにしよう。
ガルフ:……あらぁ?(笑)
GM:シャルトルーズの森の近く。前にオニキスに会った場所に着いた──が、周りは木がしげっているだけ。
村なんてどこにもないよ。
ラズリ:「あれ、ここで間違いないよね?」
フローラ:「さあ? ガルフかニーナが間違えたんじゃないの?」
ミュスカディ:「いらっしゃい。待ってたわ」
フローラ:ん? なんでここにこの人が?
ミュスカディ:(にっと笑って)「ちょっと待ってね、今封印を解くから」
クロヌシ:「隠れ里ってわけか……」
フローラ:「これだけの大きさのモノを封印するなんて……」
ミュスカディ:「ふふふ、これが『解放の封印士』の実力ってやつ?」
一同:なんだそのネーミングはぁ!?
GM:いや、この人ね、閉じてるものがあったら開けたくなって、開いてるものがあったら閉めたくなるという性格の人で……。
クロヌシ:……よく分からんが結構迷惑なんじゃないか、それ?(笑)
ミュスカディ:「ようこそ、アレグの村へ」
GM:中はいたって普通の村だ。ただ、時々明らかに「お前人間じゃないだろう〜!」てヤツが目に入る。
ラズリ:魔族ハーフの村なんでしょ? 魔族もいるの?
GM:魔族ハーフと言っても人間の姿をしたヤツばかりじゃない。遺伝の問題だからね。
ガルフ:人間化することができないのもいるしな──グレンとか(グレンはアイテムで人間の姿を保っていた)。
ミュスカディ:「見ての通りここは魔族ハーフたちの村。
その外見や特殊な力を持っていることで虐げられてきた者たちの唯一の安息の地なの。
──こっちよ。オルディたちが待ってるわ」
GM:君たちは小さな小屋に案内される。中にはオルディネールと──ラグランジェがいる。
ラグランジェはなんだかぼーとしてて無表情だね。
ガルフ:「どうしたんだ、アイツ?」
ラズリ:「多分ね、ロゼが死んじゃったからだと思う……」
オルディネール:「どうぞ、座ってください」
オルディネール:「さて、何から話しましょうか……」
クロヌシ:「何からと言われても困るな……。こっちも何から聞いたらいいかよく分からん(笑)」
オルディネール:「それでは最初からお話ししましょう──我々がなぜこちらの世界に来たのか」
ミュスカディ:「うーんとね、当初の予定では私とロートシルトは『人間界』の調査のために来たの。ある方の命令でね」
オルディネール:「私とロゼは、彼女の『本体』とラグランジェを探しに来たんです」
ティンベル:「どうやって? 人間界と魔界って簡単に行き来できるの?」
オルディネール:「いえ、お互いの世界を渡ることは決して容易ではありません」
ミュスカディ:「私たちは『扉』をくぐってきたの。
そう……今から25年前、イーゼリアとアルカディアをつなぐ『扉』が開いた。
そのときにね、スキを見てうりゃってね。──おかげで五体満足で来れたわ」
オルディネール:「ロゼは『本体』がこちらの世界にあった
──つまり『精神体』だったので、ある程度条件がそろえば比較的楽にふたつの世界の間を越えることができるんです。
私は……かなり無理をしたんで視力と脚を失いましたけどね……」
ラズリ:「じゃあ、ふたりは別々の目的で来たんだ」
ミュスカディ:「そうよ」
フローラ:「さっき『当初の目的』って言ったわよね。今は違うの?」
ミュスカディ:「ええ……。調査を続けるうちに、ロートはこっちの女にハマっちゃってね、だ〜いぶ前に別れたわ」
ラズリ:「ハマるなよ、頼むから……。(好奇心に目を輝かせて) でも別れたってのはどういう──」
ミュスカディ:(無視して)「私はひとりで調査を続けた。
そして、こちらの世界で魔族の血を引いた者たちが虐げられていることを知った……。
私はこの村を作り、魔族ハーフたちを集めた。……いつか彼らを魔界に連れていってあげたかったの。
方法はすぐに見つかった──何のことはない、私が通ってきた『扉』を使えばいいのよ」
オルディネール:「私も『扉』を使ってロゼの『本体』を運ぶつもりでした。……あんなことに、なってしまいましたけどね」
クロヌシ:「お前たちの話は分かった。そろそろ本題に入ってくれないか」
ミュスカディ:「もう入ってるわよ。『ホフヌング』とツェラーもまた、『扉』を開きたがっているのよ」
ラズリ:「え、そうなの!?」
フローラ:「ほう……なんでまた?」
オルディネール:「さあ……、目的は分かりませんが、『扉』を開こうとしているのは事実です」
フローラ:「開くと何か悪いことが起きるの?」
ガルフ:「それといって害はないはずだ。だが……今はやばい」
ラズリ:「どうして?」
ガルフ:「今、星界で界帝バンディークと女王ディルボア──光の神と闇の神が戦っている」
GM:そのため、光と闇のパワーバランスが非常に不安定なのだ。
そんな状態で次元を歪めちゃうと、とんでもないことになる可能性がある。
ミュスカディ:「確かに私たちも『扉』を開きたいと思っていた。でも……今はまだ、その時ではないわ」
クロヌシ:「……つまり俺たちに『扉』解放を阻止してほしい──てことか?」
オルディネール:「ええ。……それにこのことはあなた方にも無関係ではないんです」
ラズリ:「どういうこと?」
オルディネール:「『扉』を開くには『鍵』が必要らしいです。それから土地神たちの力も。
詳しいことは土地神に聞けば分かるんでしょうが、彼らなかなかそのことを話そうとしないんですよ」
一同:「『鍵』?」
オルディネール:「ええ、『鍵』です」
ラズリ:「……なんかイヤな予感がするぅ」
オルディネール:「何をもって鍵とするのかは分かりませんが、『ホフヌング』やツェラーの行動から察するに──
おそらく『十六夜』と、ルルーさんなのではないかと……」
ラズリ:「やっぱり〜! イヤな予感的中〜!」
ガルフ:「俺だって暇だったから一緒に旅してたワケじゃないんだぞ(第一部の時の話)。一応ラズリを守るという使命があったんだ」
ラズリ:「あ、そうなんだ」
クロヌシ:「『十六夜』にラズリか──確かに無関係ではないな」
フローラ:「じゃあレミーラが狙われているワケは? あの子は一体何なの?」
オルディネール:「そこまではちょっと……。
ニーナに『ホフヌング』に潜り込んで調べてもらっていたんですが、そこまでは分かりませんでした」
ラズリ:「あ、ガルフたちってスパイだったんだ」
ガルフ:「今頃気づいたのか? オレがあんな組織のメンバーなワケないだろ?」
GM:「他に聞きたいことある?」
ティンベル:「『裏の賢者』はどうなったの?」
ミュスカディ:「裏けん?ああ、あれはウソよ──というか『ホフヌング』内の裏切り者たちをそう呼んでたみたい。
あなたたちに敵だと思わせるためにね。初めから存在しなかったのよ、『裏の賢者』なんて。
今頃残党たちは『ホフヌング』の連中によって皆殺しにされてるでしょうね」
フローラ:「アンタとカスタの関係は?」
ミュスカディ:「カスタ?ああ、あの子は私のコピーよ。
情報収集のためにストロンシャンに住まわせてるの。あの子には、悪いことしたわ……」
ラズリ:「悪いこと……?」
ミュスカディ:「知らなかった? あの子、離婚させられたのよ」
一同:「なにー!?」
フローラ:「さんざん苦労したのに……なんで?」
ミュスカディ:「あたしの『コピー』だったから──子供産めない体なの。それで相手の男が愛想尽かしちゃってね……」
ガルフ:案外たいしたことない男だったんだな、あいつ。
ラズリ:ひどーい! 今度会ったらぎたぎたにしてやろっと!
GM:他に聞きたいことは?
ラズリ:「あの……アユモ君のこと、聞いていいですか?」
ミュスカディ:「ラージェのことね……。(ふっと息をついて)この子は……魔族でも人間でもない。
だからってワケじゃないけど──赤い『ラーヴ』を持ってるわ」
オルディネール:「『ラーヴ』というのは『血』のことです。私たち魔族には、血が流れていません」
ガルフ:あ、魔族って血がないんだ……。
ミュスカディ:「それから……この子の『心』はとてももろい……。今まで何度も壊れては癒され──を繰り返してきたわ」
オルディネール:「そしてあるとき限界を越えてしまった……。
──あれはちょうどミューズが旅立った頃でしたか……25年前ですね。
魔界の戦争で『人間』が使われるようになったんです。兵士として、食料として、そして何より、精神を興奮させる
『薬』として。
『ラーヴ』は我々にとって非常に甘美で、危険なものであることが分かったんです。
それから『血』の奪い合いが始まり……たくさんの人間が殺されました。
それを見て、ラグランジェの心は……砕けてしまった……」
ラズリ:「…………」
オルディネール:「手首を何度も切って、血を流しながら泣くんですよ……「どうしてボクの体から血がでるの?」って……。
……そこで姫はラグランジェを人間界に逃がしました──『追放』という形で」