GM:燃えさかる炎と吹きつける熱風。
   そしてガレキの中から姿を現す『魔獣』──黒にも銀にも見える皮膚、うごめく触手、赤く輝くいくつもの瞳 。
   ──その姿はあまりにも醜い。

クロヌシ:「あれが『魔獣』か……」

GM:そしてゆっくりと翼を広げる『魔獣』──黒く、美しい翼を。

ロゼ:「きゃああああああああ……!!!」

オペリオ:「♪おうわっ!(落っこちる)♪」

ラズリ:なに?  どうしたの!?

GM:突然苦しみだすロゼ。がたがたと震えてる。

ラズリ:え……なんで?

GM:前に言ったでしょ、ロゼは『精神体』だって。そしてこの『魔獣』が──

ラズリ:『本体』!

GM:そういうこと。

ラズリ:うっわー、どうすればいいのぉ!?

GM:んで、ばさっと宙に舞う『魔獣』ことロゼ。空中から攻撃してくる。よけないとダメージ大きいぞ。
 


クロヌシ:くそっ、もうほとんどヒットポイントが残ってない!

オペリオ:♪だからおれは普通の人間なんだってば〜!(笑)♪

ラズリ:このままじゃ全滅するだけだよぉ!

グレン:……仕方ねえな。魔族化するぜぇ!  おおおおおおおお……!!!
 


ラズリ:「グレン……その姿は……」

グレン:(ふっと笑って)「来れ破壊の精霊 天を裂き大地を砕け
             『爆霊招来(バリィ・IV・ネイン)』! 

GM:ウォォォンとロゼを襲う破壊音波。でもほとんどダメージをうけた様子はない。

グレン:「くそっ! これならどうだ!?
     冥界の王 大いなるソドムア 血の盟約に基づきその力を示せ
     『冥王重力波(モル・キル・マジン)』

GM:それもあまり効いてない。

グレン:「ちっ、魔族化してもダメか!?
     闇の中の闇の国
     永久の都アライアに住まいし竜王トゥーラヤに申し上げる
     白銀の月に満ちる円の刻印をもちて
     我に死と破壊の光 漆黒の超竜の力与え給え
     『超竜爆烈地獄(ゴーズ・イーラ)』!!!

GM:ちょっと効いたかな。──じゃ、こっちの番だな(にやり)。

グレン:いちおー、今のトコ最強の呪文だったんすけど……。

GM:んで、とどめって感じで降ってくる光弾の雨。

一同:うっわー!

ラグランジェ”全てを統べるもの<アルテージュ>”と”金色の混沌<ファルビスアル>”の御名の下に!
         増幅<メーレン> 『防護圏<シュルツェ>』! 

GM:間一髪、ラグランジェの張った『結界』が光弾をはじき返す。

ラズリ:アユモ君!

ラグランジェ:(二重の『結界』を張りながら)「みんな、早くこの中へ!」

GM:そして姿を現すオルディネール、ミュスカディの魔族様御一行。
 


オルディネール:(みんなを回復しながら)「遅かったようですね。ロゼはもう……」

ラグランジェ:「え?」

ミュスカディ:「そう……そういうことなの。──ラージェ、あんたの疑問、解けたわよ」

オルディネール:「ロゼを子供の姿にしたのは……彼女自身です」

ラグランジェ:「ロゼ……が……?」

オルディネール:「ロゼはあるとき知ってしまったんです──自分の本当の姿が、あの醜い怪物であることを。
         そして、その事実から逃げるために子供に戻った……。
         何も分からない子供になれば、忘れていられるから……」

ラグランジェ:「ロゼ……」

クロヌシ:「謎解きもいいが、この状況を何とかしてくれ!」

ミュスカディ:「それもそうね。(魔法銃を取り出して)ふっ!」(3連射)

フローラ:「あ、アタシよりすごい」
 


ミュスカディ:「あちゃー、増幅した『雷撃<ドナー>』3連発でもダメかぁ。ゴメン、お手上げだわ」

ラグランジェ:「ボクは『結界』の維持で精一杯だし……」

オルディネール:「私には攻撃手段がありません」

フローラ:「役に立たないわねぇ〜」

オルディネール:「グレンさん──何かいい手はありませんか?」

グレン:「ねえよ!  ……いや、ないこともない、か」

ラズリ:「グレン……?」

GM:と──そこに姿に現すジャスティスレンジャー、ニーナ、そしてカレン。

ラズリ:「ガルフ!」

ジャスティスレンジャー:「ガルフじゃない!  今はジャスティスレンジャーなの!(笑)」

グレン:「……カレン、無事だったか」

カレン:「グレンんん……」(泣いてる)

グレン:(目を閉じて)「おい、オヤジ」(と言って胸のペンダントを握りしめる)

GM/ペンダント(父親):『なんだ、グレン。それが父親に対する言葉か?』

グレン:解くぜ……最後の封印……。

ペンダント(父親):(ふわっと宙に浮いて、巨大化する)『いいのか?』

グレン:「…………」

ペンダント(父親):『確かに封印を解けば、あの化け物に勝てるかもしれん。だが……お前の体もどうなるか分からんぞ。
            ──お前の心もな』

グレン:「…………」

オヤジ:『覚悟は……いいな……?』

グレン:「ああ……(カッと目を開いて)覚悟、完了!」
 


グレン:「ぐあ、ぐああああああああああ……!!!」

グレン:「まさかこんなところで思い出すとはな……。(フッと笑って)いくぞ」
 


グレン:気弾を連続発射だ!  ドラゴンボールみたいに(笑)。

GM:巻き起こる爆煙!  しかしその中からぶわっと飛び出し、グレンに向かって突撃じゃあ!

グレン:迎え撃つ!  ぐーでパンチだぁ!

GM:「彼女」の皮膚は毒まみれだぞ。触ると溶けるぞ(笑)。

グレン:苦痛をこらえて殴る。そしてゼロ距離で『冥界の炎(ホウ・トファー)』!  完全版だから魔族にも効くぞ!

GM:毒が焦げるという想像しがたい匂いが辺りに立ち込める。「ぎしゃああああ……!」と叫びながら爪で攻撃。

グレン:かわして上空に逃れる。
 

ラズリ:「グレンがおしてるわ!」

クロヌシ:「強い!  強すぎるぜ!」

ティンベル:「これが……魔族……」(震えている──獣のように本能的に脅えているのだ)

カレン:「グレン……」
 

グレン:よし!  今のでヒーローポイントがたまったぜ。
 


GM:だが君の攻撃もここまでだ。第3の目からビームスプレー掃射!

グレン:うを、それは食らってる。ちょっとぐらっときたかな。

GM:ではさらに、後ろからがぷっとかぶりついてやる!(がぱっと『ロゼ』の「口」が開く)

グレン:ぐわっ!

GM:翼を噛みちぎってやるぜ。けっけっけっ。
 

ラズリ:「ああ!  グレンがやられてる!」

フローラ:「まだよ!  グレンの力はまだまだこんなものじゃないはず!」

クロヌシ:「グレン!  お前の本当の力を見せてみろ!」

オペリオ:「♪……えーと、がんばれ〜(笑)♪」
 

グレン:食いつかれたまま、炎をまとうぞ。おおおおおおおおらっ!

GM:それはたまらん!  思わず口を離すぞ。
 

ラズリ:「グレンが燃えてる!」

クロヌシ:「熱い!  熱いぜ!」

オペリオ;「♪あちっ、あちちちちちっ!♪」(←なんか違うぞ、オペリオ)
 


フローラ:「そろそろ限界ね、ふたりとも……」

クロヌシ:「ああ……おそらく次が最後の一撃になるだろう」

ラズリ:「大丈夫、グレンはきっと勝つわ」

カレン:「グレン……死んじゃ……死んじゃイヤだからね!」
 

GM:さて……そろそろこっちは限界だ。──いくぞ!

グレン:「おうよ! 食らえ、究極魔法!
     我が左手に破壊の五芒 我が右手に守護の六芒
     六芒よ天に還れ 我、欲するは破壊の炎
     『封神赤熱炎殺陣(ガー・ダー・ラー)』!!! 
 


グレン:そのまま『魔獣』もろとも地面に突っ込む!

ラズリカレン:「「グレェェェェェン!」 」
 


グレン:衝撃、爆発、炎上──その威力はラグランジェの『結界』を突き破るほどである。

ラグランジェ:(額から血が一筋つうっと流れる)「ロ……ゼ……」

グレン:そして炎の中から姿を現す人間の姿のグレン(←なんかもう自分に酔ってる)

ラズリ:「グレン!」

カレン:「グレェェェン……」(泣きながら走りよる)

グレン:(それをばっと手で制して)「来るな、カレン!」

カレン:「え……?」

グレン:「オレはもう、お前のそばにいることはできない……」

カレン:「なに……言ってるの? あなた……そこにいるじゃない!」

グレン:(ふっと笑って)「カレン……すまなかった……」
 


カレン:「へ……グレ……ン……?」

ラズリ:「そんな……グレン……」(涙声)

カレン:「い……やだよ……。いやよ、いや……。いやああああああああああああ!!!」

GM:叫ぶと同時にカレンの体が輝いたかと思うと、ふっと消える。

ラズリ:「え……カレンちゃん……?  なに?  何が起こったの……?」

「ねえ……あたし……森に行きたい……」

 それが、ロゼの最期の願いだった。『本体』が消滅した今、『精神体』は消えるしかない。

 ラグランジェはロゼを抱いて、奇跡的に焼け残った南東の森へ歩きだした。

 オルディネールも、ミュスカディも、見守ることしかできない。

 ふたりは心の中で、ロゼに別れを告げた。

 夜の闇が、森の中にも訪れていた。さっきまでの戦いが嘘のように、森の中は静まり返っている。
 炎の熱気も、ここまでは届かないようだ。

「森って、懐かしい感じがする……」

 何度か深呼吸してから、ロゼはラグランジェの顔を見上げた。

「ラグランジェ……やっと……やっと会えた……」

 青い瞳に、涙が浮かぶ。

「もっと……早く会えてたらよかったのに……。やっと……会えたのに……」

「ロゼ……」

「えへへ、あたしね、化け物だったの……。目を背けたくなるような……醜い化け物……」

「ロゼ、もういい。もういいよ……」

 ロゼの体が消えていく。少しずつ、少しずつ──

「ラズリって人と、なかよくね。おじゃまむしは、消えるから……」

「ロゼ……ごめん……」

 消えていく。少しずつ、少しずつ──

「あたし……消えちゃうんだね……」

「ごめんねロゼ……。守るって決めたのに……。絶対守るって、決めたばかりだったのに……」

 消えていく。少しずつ、少しずつ、少しずつ──

「このまま……抱いててくれる?」

 大粒の涙が、ぽろりとこぼれた。

 消えていく。少しずつ、少しずつ、少し──

「いやだ!  消えたくない!  死にたくないよぉ!  ラグランジェ、あたしを抱きとめ──」

 …………。

 全てを言えないまま、ロゼは消えた……。

「ロゼ!  ロゼ!  ロゼ!  ロゼ!  ロゼぇ!!!」

 宙を──虚空を──抱きしめる。

「ロゼぇぇぇぇぇぇぇ……!!!」

 絶叫。

 そして──

 ラグランジェの中で、何かが壊れた──

ラズリ:「なんか……やりきれないね……。グレンが死んじゃって……ロゼも死んじゃって……。カレンちゃんは消えちゃうし……」

クロヌシ:「無力だな、俺たち……」
 


ナタリー(通信機):「どうですか、そちらの状況は?『魔獣』はどうなりました?」

ラズリ:(力無く)「街は、壊滅しました。『魔獣』は──」
 

To be continued...



リプレイ第二部目次