ラズリ:「そうよねぇ。実はすっごく気になってたの」
グレン:「なあ……、オレもついて行っていいか? もう一度フィーユに会いたいんだが」
ラズリ:「ついて来てくれる?」
カレン:「わたしも行きたい!」
グレン:(苦笑して)「言われなくても連れて行くよ。(ドスの効いた声で)お前をひとりにしとくと何するか分からんからな」
カレン:「ふーんだ。わたしはラズリおねーちゃんと行くの!」
ラズリ;「ふえ、いつの間に」
カレン:(潤んだ瞳で)「おねーさま、海底宮でのあの夜が忘れられないの……」
ラズリ:「ほほほほほ、あたしの勝ちね、グレン」
一同:(爆笑)
クロヌシ:ふっ……女に負けるとはな。
グレン:「………」
カレン:「なーんてウソぴょーん☆」
クロヌシ:「な、なんなんだー!(笑)」
グレン:「やはりオレが忘れられないようだな──って関係じゃないんだよな、オレたち(笑)」
カレン:「あ、あったりまえでしょ! ……何言ってんのよ」
フローラ:「アタシはここに残るわ。レミーラ、しばらくは絶対安静みたいだし」
オペリオ:「♪あの……おれは? なんか忘れられてそうなんだけど……♪」
GM:君は、5年前「失踪したオペラ歌手」ということでちょっと話題になったらしい。
すぐにすたれたけどね(笑)。で、ポームさんたちも別の街へ行ってしまったそうだ。
オペリオ:♪てことは……失業中?(笑)……実家に帰ろうかな♪
ラズリ:どこにあるの?(笑)(←なぜ笑う)
オペリオ:♪紫陽花通り──なーんてのはウ、ソ♪
グレン:分かった! オペラ時空だ!
クロヌシ:なんだそれはー!(笑)
オペリオ:♪(まじめな口調で)解説しよう。オペラ時空とは、全てのオペラパワーが
10倍になる特殊な空間のことだ(笑)♪
グレン:再びデビューしたらどうだ? 「帰ってきた男」として。
オペリオ:♪(小さな声で)──しばらくここで就職活動します♪
ティンベル:(新しい服に着替えながら)「クレリアが心配だから私もここに残る」
ラズリ:「……みんなの前で着替えないでよ」
GM:そこへアユモが入ってくる。
ラズリ:「アユモ君、今まで何してたの?」
アユモ:「オ、オルディを、見送ってたんです。シャルトルーズの森に行くって言うから」
ラズリ:「あら、行っちゃったの?」
クロヌシ:(アユモに向かって)「話がある。ついて来い」
アユモ:「……はい」
クロヌシ:「あまり人に聞かれたくない話なんでな。(タバコを取り出し、火をつけながら)お前……魔族だと言ったな」
アユモ:「え、ええ……」
クロヌシ:「『魔族の種』というのを、知っているか? ──体に埋め込まれると、魔族に変化してしまうという種を」
アユモ:「……『ザートゥ』のことですか? 話ぐらいは、聞いたことがありますけど」
クロヌシ:「どれくらい知っている?」
アユモ:「詳しいことは何も……。でも、調べることはできるかもしれません」
クロヌシ:「頼めるか? みんなには内緒で」
アユモ:「──誰か種を植えつけられた人がいるんですか?」
クロヌシ:「貴様には関係ない。余計なことは聞くな」
アユモ:「……分かりました」
ラズリ:(ドアをそーっと閉めながら)「見た? 部屋に連れ込んだよ。ね、ね」
カレン:「きゃー、かわいいー☆」
ラズリ:「まったく最近の男は……」
カレン:「きゃー、かわいいー☆」
ラズリ:「クロヌシさんもいい歳して……。三十代よ、三十代」
カレン:「不潔不潔不潔ぅ〜☆」
ラズリ:「妻も子供もいるってのにね」
カレン:「不潔不潔不潔ぅ〜☆」
ラズリ:「アユモ君もアユモ君よ。ぶ〜」(ふくれる)
カレン:「不潔不潔不潔ぅ〜☆」
アユモ:「ラーズリさん♪」
ラズリ:(すすすと離れて)「あたし男色家は嫌いなの。ごめんねぇ」
カレン:「きゃー、不潔不潔不潔ぅ〜☆」
オペリオ:「♪ふけケツふけケツふけケツ〜♪」
GM:ケツぐらい拭け〜!(笑)
クロヌシ:「………阿呆が」
アユモ:「しくしくしくしくしくしく……」
ラズリ:「アユモ君、冗談だからね、冗談。──今更だけど(笑)」
GM:ではラピスの森へ出発だ。
ラズリ:「えー、出発するのぉ?」
GM:しないのかぁ!?
ラズリ:いや、帰りたいのは山々なんだけど……みんなとお別れするの、イヤだな。
グレン:(クロヌシの方を見ながらしんみりと)お別れだからこそ、思い出を作るんだよ。
アユモ:「クロヌシさん、思い出をありがとう(笑)」
クロヌシ:(ぶちっ)「おーバカヤロー!」
GM:ラピスの森へ出発して、数日たったある日の夜のこと──
ラズリ:夜? どこかの宿屋に泊まってるの?
GM:そうだね。部屋割りは?
グレン:男女別々に決まってるだろ。──いつもは違うけど(笑)。
GM:了解した。んで、真夜中──ラズリ、枕元で人の気配がするよ。
ラズリ:え? ひょっとして襲撃ぃ? 薄目を開ける。誰かな?
GM:アユモだ。
ラズリ:アユモ君!? ちょっとどきどきぃ……。
アユモ:「ラズリさん、起きてますか?」
ラズリ:わー、今までにないシチュエーション。あのね……ち、小さくうなずく。
アユモ:「話があるんです。──外に、出ませんか?」
ラズリ:「え? ええ……」
GM:そのときカレンががばっと起き上がる(笑)。
ラズリ・アユモ:「「どうっひゃー!」」
カレン:「う……ん……なに、してんの?」
ラズリ:「あ、あはははは。子供はもう寝る時間ですよ〜」
カレン:「あ、そか。ん……ぱたん(寝た)。く〜」
ラズリ:どきどきどき。あー、びっくりした……。
GM:外は満天の星空。残念ながらこの世界に月はないけど。
ラズリ:満月でも出てたらロマンチックなのにね。
「(こほんと咳払いして)……で、話ってなに?」
アユモ:「えーと……だから……、は、話っていうのは……自分のことです」
ラズリ:「アユモ君の……こと?」
アユモ:「ラズリさんだけには、本当のことを話しておきたくて……」
ラズリ:「うん……?」
アユモ:「あのとき、ボクは自分のこと、魔族だって言いました──ロートさんやオルディが魔族だってのは本当です。
それは嘘じゃない。でも……でもボクは、魔族じゃ……ないんです。人間でもない。ハーフでもない。
……自分でも、自分が誰なのか、何なのか、分からないんです。
ボクはずっと魔界で育ったから……自分のこと魔族だって思いたかった、信じたかった。
だからあのときはあんな風に言ったけど……本当は正体不明の『物体』なんです──ボクは」
ラズリ:「──アユモ君。前にも言ったけど……、アユモ君はアユモ君だよ」
アユモ:(目をごしごしこすって)「話はそれだけです。……ずっとウソついてて、ゴメン」
ラズリ:「んーん。気にしてないよ」
アユモ:「──じゃ、おやすみなさい。(小声で)それから……ありがと」
ラズリ:「おやすみー。(しばらく星を見上げて)愛の告白じゃなかったのかぁ。……ちょっと残念」