小鈴:わたしかな。
金太郎:わいがする。「えーと、あと、トムがおったな」とぅるるるる、とぅるるるる。
小鈴:とぅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる……。
金太郎:「なんや、出ぇへんわ」
トム:母親が出た。んで俺に繋いだ。
GM:細かいな。
トム:「……はい、トムです」
金太郎:「お、トム。わいや、金太郎や」
トム:「……なんでしょう。……──っていうか聞けよ! 小林が! 小林が!」
金太郎:「……んを。なんやなんや」
GM:クラスにいそうだよね、小林君。
金太郎:「……小林がどないした?」
トム:「違う、幸子だよ! 見てないんだ! 小林幸子!」
金太郎:「……ああッ! そうや、どないやったんや今年!」
トム:「どっちが勝ったんだ!? あああー気になる」
金太郎:「今年の紅白はどっちが勝ちやー!!! ──って今年のはまだ分からんやろー!」
GM:どっちだっけ、この年。
マコ:(調べて)赤。
トム:「──というわけなんだ。悲しいけど、これが戦争なのよね」
金太郎:「ああああ、とにかく、とむ、ああ、あ、あれや、あのー」と、混乱気味。幸子で。
トム:俺は落ち込んで無言。
金太郎:「じいちゃんビデオとっとるかな。あかん、使い方わからへんのや。くそー!」
トム:「うちは……裏番組しか……」(悔しさに肩を震わせる)
金太郎:「トム、誰か、美で劣ってるようなやつ知らんか!?」(←誤変換)
利迎院:誰を基準に(笑)。
小鈴:その誤字いただき。
金太郎:「ビデオとってる」や(笑)。
トム:「こ、小鈴だ! ヤツは確か美川憲一の大ファンだったはずだ!」
金太郎:「小鈴か!? そうか! ──って、美川ー!?」
小鈴:「な、なにっ?」(電話口隣で)
金太郎:「小鈴、今年の紅白ビデオにとってないか!?」
小鈴:「ああぁぁぁ、そう言えばっ、結果も知らないっ!」
トム:続々広がる紅白の波紋(笑)。
金太郎:「ああああ、あかんわトム! 小鈴もとってへんらしいで!」
トム:「終わりだ……ハルマゲドンだ……MMRも分からなかったノストラダムスの大予言はこれだったのか……」
小鈴:「でも大丈夫っ、予約録画を1年前から仕込んでたから、家に帰ればあるはずよっ」
金太郎:「ん、おっ、ナイスや小鈴! よっしゃ、トム、何とかなったで!」
トム:「な、なんだってー!?」(MMR風に)
利迎院:……兄の監視ビデオにすりかわってたり。
GM:母がかくし芸を上から録画してたり。
小鈴:「退院したら、ビデオ持ってくから鑑賞会しようねっ」
金太郎:「そうやな、よっしゃ、お騒がせ、トム。ほなー」──がちゃ、っと切る。
トム:そこで切るなー!
金太郎:「はー、よかった、これで何とかなるわ。小鈴さすがや」
小鈴:「まーかせてっ! じゃーみんなが集まるのを待ちましょうか」
金太郎:「…………」
小鈴:「──って金太郎っ! トム、呼んだ?」
金太郎:「そ、そうや、あかん忘れとった(汗)」──心地のよい呼び捨て感覚に、気づかない金太郎。
トム:……というわけで改めて呼ばれたことでいいのかな?
金太郎:それでいいやろ。
小鈴:いいやろ。
GM:あかんあかん、何いうとんねん。
金太郎:えー、どうせチャーリーやマコのときの繰り返しやし。
トム:もうネタ尽きたよー。
GM:冗談ですってば。てことでー全員集合ナリー。
マコ:全員いない。
利迎院:……微妙に呼ばれてない気がするんだが。
金太郎:病室に戻ればいるんやろ?
GM:じゃ、金の字、あとは頼んだ。
金太郎:へ。そんなんありかいな。
GM:全員金太郎の病室に集まったってことで。
利迎院:ということはワシもいるのか。
金太郎:金太郎的には、利迎院はまだイッちゃってる人やねんな。
利迎院:で、全員病室に来たのか。
小鈴:がやがや。
マコ:ぷじゅるぷじゅる。
金太郎:何しとる(笑)。
利迎院:(病室の窓から外を見て)(察するに今我々のいるところが本城だろう……。……しかし……この建築様式は初めて見る……)
金太郎:「篠原はん(利迎院のこと)、夕べまでの記憶あります?」
利迎院:「いや、ないな」
GM:夕べまでの記憶はあるよ、その聞き方だと。
小鈴:だね。夕べがいつかというのが問題。
利迎院:記憶はあるつもりだが、どうやってここに来たのかの記憶がない、が正解だな。
金太郎:(皆に経緯を説明して)「──と、こういうわけや。どうも、あの別荘にいた全員、12月30日以降の記憶がない」
マコ:誰かあると言って困らせるんだ。
利迎院:「そう言われてもな……ワシにはそれが何日前なのかすら分からんのだが(苦笑)」
小鈴:「今日は1月3日だよ〜」
金太郎:「自分とわいらが会うたのが、12月29日。計算合わへんやろ?」
利迎院:「年が明けておったのか。それはめでたいな。……して、今年は何年なのだ?」
マコ:皇紀でいうと。
小鈴:「そもそも、なんでわたしたちここに運ばれてるのかもさっぱりで」
利迎院:さっぱりびっくりのレベルは君らの数百倍なんだが(笑)。
小鈴:なるほど。
金太郎:「で、ここに12月30日からの新聞がある」
利迎院:「は? しんぶん?」
小鈴:「新聞だよー、ほらほら」
GM:でも正月ってことは──
マコ:元旦のはぶあつい。
金太郎:新聞はあるやろ。
GM:どうなんだっけ、元旦にまとめてだっけ。
小鈴:うん。
GM:テレビ欄が3日ぐらいまでついてた気がするから。
マコ:2日は休み。
GM:3日発行の新聞ってあるんかな?
金太郎:どうやろ?
小鈴:1日と3日があるんだよ。
GM:じゃー、それで。すごいぞ、21世紀新聞だ!
小鈴:「ほら、ね、お坊さん、日付が1月3日でしょー?」
金太郎:「なんか、この中から関係ありそうな記事を探すんや。看護婦さんの話やと、落雷とかそういう感じの事故が関係あるらしい」
小鈴:「そいえばそうだね。12月30日の新聞に載ってるかなぁ」
金太郎:「わいらが運ばれて来たんが元旦らしいから、特に今日の新聞を念入りにな」
マコ:恐怖新聞なら用意した。読むと100日寿命が減るから注意。
利迎院:(小鈴に)「この日付という部分は……左から右に読むのかな?」
小鈴:「う……うん、そうだけど……?」
金太郎:「うわー、なんやホンマにタイムスリップでもして来たようやなぁ」
小鈴:お坊さんはきっと、古語とかのお勉強をたくさんしてるのねと納得。
利迎院:「と、するとだ。十三年、一月、三日、となるわけだな?」
マコ:皇紀だと2661年。
小鈴:「その通りです。わたしたちが別荘にいったのは、12月29日だから、しばらく時間が経っちゃってるね」
利迎院:「ふむ。…………この『平成』というのは元号だとして……あとの『みず』は何をさしておるのですかな?」
小鈴:「えっと……水曜日って意味だよ」
金太郎:「今日は自分に水難の相が出とるから気い付けー、というこっちゃ」
利迎院:「なるほど。一種の卦のようなものか」
マコ:七曜の概念は平安時代からあるような。
利迎院:それを日にあてる発想はなかったんでは?
小鈴:「お坊さんは、ほんとに記憶喪失かも。色々わかんないことが他にもありそう」
金太郎:「んー、記憶喪失いうか、なんや、違う記憶入っとるようやけどなぁ」
小鈴:「きっとショックとか何かで混乱してるのよ(こそこそ)」
金太郎:「混乱は29日のときからやったけどなぁ(こそこそ)」
小鈴:「そうなんだ、うーーん(こそこそ)」
金太郎:「なんやろなー、うーーん(こそこそ)」
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