一真:「新崎のやるべきことって……これだったんだな」
織葉:「そうね……まだ、終わってないけど」
一真はふと、視線を横にやった。さっきまでゴキゲンだった二葉は……いつの間にか眠っていた。
柵にもたれたままほとんど立った状態で眠っているから、危なっかしくて仕方がない。
そっと支えてやりながら、今度は、織葉の方に目をやる。
織葉は……大事そうに『匣』をなでている。
一真:「『パンドラの匣』か……」
織葉:「見てて……ね」
そっと、『匣』を開ける。
やわらかな蒼い光が、ぼんやりともれる。
一真:「……?」
やがて、変化が訪れた。
地上から……もう随分と闇に包まれた、地上の明かりの透き間から──蒼い光が浮かび上がる。
そして、集う。
幾百幾千の光の粒が、『匣』の中へ集う。
二葉:「綺麗……」
いつの間に目覚めたんだろう。
二葉が空を見上げ、つぶやいた。
3人で、見つめる。『想い』が集うのを、ずっと……
澪:「朝だぞー、起きろー」
涼:「ぐお……」
澪:「今日から学校だぞー」
涼:「……今日、何日? 何曜日?」
澪:「10日、火曜日」
涼:「そうか。……朝飯は?」
澪:「もう作ったよ」
涼:「なあ」
澪:「ん?」
涼:「今日の晩飯当番、どっちだっけ?」
澪:「えーとね……」
涼:「たまには、ふたりで作るか」
澪:「……うん!」
涼:「おーし、それじゃ、とりあえず飯食うか。……ふぁ〜ああ」
澪:「……ん? ちょっと待ってよ、今日って涼の番よ、それじゃあ私がなんか損してない?」
涼:「何のことだ?」
澪:「ずるーい!」
そして、いつもと変わらない朝が始まる……
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