#3 『LUNATICPANDORA』 06


 西暦2000年10月09日(Mon.)
 土屋邸11:05 a.m

GM:おめでとう。やっと、10月9日を迎えることができたよ。

涼:やっと来たか、体育の日が。『時を繰り返して』いたのは、誰のせいだったんだ?

GM:さあねえ(ニヤリ)。でも偶然伏線が張れたから、よく思い出せば分かると思うよ。

涼:………………。──ああ、そういうことか、なるほどね。

GM:分かった?

涼:分かった。……でも、あの伏線張れなかったら、どうするつもりだったんだ?

GM:どうするつもりだったんだろうね(笑)。

金太郎:何の話や?

GM:偶然ってコワイね、って話。──さて、どうするのかな?

隆志:もう一度、金太郎の能力で敵の姿を確認しておくべきだろう。

金太郎:わいもそう思って枕元にスケッチブック置いといたんやけど……失敗してもうたんや。

隆志:なら仕方がない。……もう一度眠ってもらうことにしよう。

金太郎:ちょっ待てぇ、その手の中のゴッツイ壷は何やぁ! ぎぃやあああぁぁぁ……!
 

 ……暗転。
 

GM:加藤チャゲは……カトちゃんみたいに髪の薄い、チョビ髭のおじさんが、CHAGEみたいなサングラスと帽子をかぶっている、といった外見をしている。

隆志:(金太郎の描いた絵を見て)サングラスにチョビ髭、帽子らしきもの……加藤チャゲだと断定してよさそうだな。

涼:もうちょっと絵心のある奴がこの能力だったらよかったのにな。

隆志:では、コンサート会場に行くとするか。

金太郎:一真たちは来てないんか?

GM:彼らは直接コンサート会場に行くらしいから。

チャーリー:チケットが、4枚しか手に入らなかったデスしね。

GM:いつ、どうやって加藤チャゲと接触するつもりなの?

涼:コンサートが始まる前か……いっそのこと、打ち上げパーティを狙うか。

GM:それじゃあ、コンサートにいく意味がないじゃん。

涼:それはほれ……単に俺がいきたかっただけだから。

GM:平にはあれほどいくなと言っておきながら(笑)。

チャーリー:「それじゃ、出発デース。セバスチャン、車を用意してくだサーイ!」

 コンサート会場02:00 p.m.

涼:『核』っていうぐらいだから、相当大きな『石』なのか? それこそ、ステージの後ろにドーンと置かれているような。

GM:そんなに大きくはないよ。せいぜい、握りこぶしぐらいかな。

涼:てことは……加藤チャゲが肌身離さず持ってる可能性が高いな。

隆志:出来る限り、情報を集めよう。『石』のこととか、今夜の打ち上げの会場の場所とか。

涼:そんなの、教えてくれるか?

隆志:私と金太郎の能力を駆使してみよう。自らの能力に気づいたことで、より『力』が強くなったりはしないの?

GM:するねぇ。例えば君は、もうちょっと長い時間の『過去』を聞けたりする。

隆志:それでスタッフたちの立ち話を『聞いたり』して……偶然打ち上げの話を聞けるものなのかな?

GM:んー……まあ、聞けたことにしよう。金太郎が『敵の居場所』を描いたことにしてもいいし、チャーリーがスタッフをなだめながら(不信感を『取り除き』ながら)聞き出したことにしてもいいし。

涼:適当だな。

GM:まあまあ。チャーリーが金の力を駆使して調べ上げるよりはいいっしょ?

涼:ちゅーか、設営スタッフのフリをして「今日の打ち上げ、何時からでしたっけ?」と話を振るのが一番早いんじゃないか?

GM:……それじゃミもフタもないじゃん。

涼:まあいい、俺はコンサートを純粋に楽しむことにしよう。

 コンサート会場近辺19:43 p.m.

GM:一真・二葉・織葉が待ってるぞ(笑)。

涼:「いやー、素晴らしいコンサートだった」

一真:「……平に言い付けてやる」

隆志:では、打ち上げ会場に先回りすることにしよう。

チャーリー:OK、リムジンでGOデース!

金太郎:……目立つやろ、それは。

 洋風居酒屋21:19 p.m.

GM:そーいや隆志以外は未成年だな。

浩之介:わし、そこにいないし。

涼:私服着てれば、分からないだろ。

GM:でもアルコールはダメ……──あ、二葉はビールが好きなんだった(笑)。

涼:まあ適当に飲み食いしていよう。──それより、加藤チャゲはいるのか?

GM:いるよ。他のお客さんも気づいたららしく、チラチラ見てるね。

涼:他の客がアショカを見てる中で、俺らだけチャゲを見てる、と(笑)。

隆志:バランスがいいね。
 

 打ち上げはどんどん盛り上がり……ついに、酔った加藤チャゲが服を脱ぎ始めた。
 

涼:あーらら……。

チャーリー:で……『石』はどこにあるデスか?

金太郎:わいは、チャゲのカバンがあやしいと思う。

涼:俺は……あの帽子があやしいな。あれだけ脱いでも、帽子を取らないのが不自然だ。

隆志:単にハゲを隠すためでは?(笑)

GM:やがて……チャゲがトイレに立つよ。フラフラと、歩いていく。

涼:いこう。

チャーリー:僕もいきマース。

GM:織葉も……って、男子トイレじゃん。

涼:トイレのすぐ外で待っててもらおう。

二葉:「おるひゃ〜、ぐわんばってね〜」(酔ってる)

一真:「新崎、気をつけてな」

織葉:「……はい」

金太郎:わいは、カバンを探りにいくで〜! 酔ったフリして、近づいていく。

GM:では、トイレの方だ。加藤チャゲの後を追って中に入ると……姿が見えない。

涼:大きい方か。よし、不意打ちだ。

チャーリー:……涼、その手の中にあるビール瓶は何デスか?

涼:凶器だ。
 

 しばしの、静寂。

 そして、水の流れる音とドアの開く気配──
 

涼:おりゃ。(ビール瓶を振り下ろす)
 

 ごすぅぅッッ!
 

GM:倒れる加藤チャゲ。帽子が取れ……そこには光り輝くハゲ頭が。

チャーリー:これが『核』!

涼:(淡々と)帽子の中の方だろ。

GM:そ。帽子の中に、握りこぶしぐらいの、青い、ぼんやりと光を放つ『石』がある。手に取るなら、『心』判定ね。

涼:『核』なんだろ? 判定するまでもなく失敗したことにしよう。

GM:ほう。

涼:今一番したいこと──事件が解決したので、タバコで一服。

GM:なら、タバコをまとめて口にくわえて、火をつけた(笑)。

涼:……倒れるな、それは。
 

 再び、静寂。

 ほとんど全裸で倒れている加藤チャゲと、タバコをくわえたままひっくりかえっている涼。
 

チャーリー:……それじゃ、僕は……帰りマース……。

一真:「どこへいく、どこへ」

チャーリー:「か、一真……? こ、これは、その……」

一真:「涼のヤツ、なにやってんだか……。……こいつを、新崎に渡せばいいんだな?」
 

 一真は『石』を手に取り……平然とトイレの外へ出ていった。
 

GM:では金太郎の方に話を移そう。

金太郎:フフフ、接近して、こっそりカバンをあさるで。今度はもろた! もろたで〜!

GM:んじゃ、『技』判定するよーに。

金太郎:『技』技能は高いからバッチリ──失敗しとるぅぅ〜!(叫)

GM:(マヂですかい)

スタッフ:「コイツ! 加藤さんのサイフ盗もうとしてるッ!」

金太郎:「違うッ! 違うんや〜!」

GM:(あ〜あ……)
 

 この物語は、ここで終わる。

 涼と金太郎が何とか無事だったことだけ、付け加えておこう。


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