#2 『LONELYPHANTOM』 03


 西暦2000年10月07日(Sat.)
 2年A組08:50 a.m.

GM:さて土曜日である。今日は半ドン。んで、信也が学校に来ていない。

浩之介:サボったんだっけか。

進吾:「そーいやブクロとかに行くって言ってたな」

浩之介:ブクロ?

隆志:池袋のことだよ。片道4時間かかるというのに。

浩之介:え、ここってそんなに遠いの?

隆志:長野県じゃないの。

GM:ンなワケないだろーに(笑)。

 女子更衣室09:48 a.m.

GM:えーと、覗きの事件があったんだけど……(PCを見て)困ったな、女性キャラがひとりもいない。

涼:いいじゃないか減るもんじゃないし。な、水色。

GM:そーいやそんなことを言っていたな。……あれは勝負パンツだったのに。

金太郎:何のための勝負パンツなんだか。

涼:隣のヤツより速く走るためのものだろう。

金太郎:あ、そういう『勝負』なんや。脱ぐためのモノじゃないんやな。

隆志:ここはやはり、古代オリンピックにのっとって。

涼:全裸じゃねーか(笑)。

隆志:一番偉い人だけが頭に月桂冠をかぶれる。でもやっぱり下は全裸。

GM:小沢先生は、「心配だった……っタイ」とか言ってるらしいよ。

涼:はあ?

金太郎:不器用な人やのに。

隆志:「自分、不器用ですから」と言って、堂々と扉を開けて覗いたんだね、きっと。

GM:それで見つかってしまったのか(笑)。

浩之介:もしそうなら疑惑でも何でもない気が……。

GM:まあいいや。そういうことがあった、と。

 保健室11:20 a.m.

GM:てーことで、涼は倒れた女子生徒を保健室に連れていった。

涼:いきなりだな。

GM:同じこと繰り返してもしょーがないしね。

涼:確かに。なら今回は症状の説明はしない。

澪:「ん、ごくろーさま」

涼:「うーす」
 

 立て付けの悪い引き戸を開ける。と──どすん、と誰かにぶつかった。
 

GM:女子生徒がしりもちをついてる。

浩之介:不自然に足を開いて倒れて……いやいや、何でもないです。

GM:新崎織葉だよ。と言っても、たぶん君は知らないだろうけど。

涼:クラスメートじゃないよな?

GM:違うなぁ。話をしたことはないと思うよ。

涼:「大丈夫か?」

織葉:「は、はい……」

涼:手を取って、起こしてやろう。

GM:澪がそれを見てニヤニヤしてたりして。

涼:アイツはたぶん、見てもいないだろ。

浩之介:蹴りが飛んできたりはしないのか?

GM:それはないだろう……。

涼:(ぽん、と織葉の肩をたたいて)「気をつけてな」

織葉:「……ありがとう……」

 職員室01:29 p.m.

GM:隆志が職員室に行ってみると、モグラ先生が教材の入った段ボールを運んでいる。で、近くの電話が鳴るよ。

教師A:「すいません結城先生、電話出てもらえますか」

隆志:「分かりました。(受話器を取って)はい、千歳高校です」

平の親:「すいません、そちらでお世話になってる1年B組の平と申しますが……。あの……あの……うちの息子が昨日の夜から帰ってこないんです!」

隆志:「分かりました、今、担任を呼んできますので、少々お待ちください」

GM:その知らせを聞いて、職員室はちょっとした騒ぎになる。緊急の職員会議が開かれたりする。

涼:大変なことになった……のか?

 校舎裏01:47 p.m.

GM:そんなことは露知らず、チャーリーは二葉に校舎裏に連れていかれる。もちろん栞が待っているよ。

チャーリー:ビクゥゥゥッと、必要以上におびえてマース。

二葉:「かくかくしかじかというワケで、明日一日、付き合ってあげてくれないかなぁ?」

チャーリー:「………………(←いろいろと葛藤があったらしい)。…………OKデース」

隆志:『お持ち帰り』にしてしまえば大丈夫だ、きっと。

チャーリー:(栞に向かって)「それはもちろん、喜んで(愛想笑い)」

二葉:「じゃあどこにいくかふたりで決めてね」

浩之介:ラブホテル。

隆志:おうちでいちゃいちゃ。

チャーリー:(無視して)駅前に10時、でいいデスか?

浩之介:そこからせめて行き先を変えるとか、駅前で彼女の体を触るとか。

チャーリー:誰かコイツを殺してくだサーイ。

GM:ん、共に死ね。

チャーリー:Noぅぅぅ〜!

隆志:映画とか……。ポケモンとデジモンをハシゴするのはどうか?

GM:……なぜにその2つか。

チャーリー:一緒なのは集合場所だけデース。僕に考えがありマース!(自信満々の笑み)

 セ式茶道部室02:59 p.m.

GM:当然平くんは部活に来てないよ。

涼:行方不明だもんな。でもそんなことは知らないから、困ったヤツだと思っておこう。

GM:さて、みんなで茶を入れたり飲んだりしてるとだね……ひとりの男子部員が、お湯をこぼして腕をヤケドしてしまった。

男子部員:「イテテテテテ……」

涼:「大丈夫か? 初心者はよくやるんだ……」

GM:腕をつかむのだな? ではそこで『心』判定。プラス20の修正をあげよう。

涼:(コロコロ)修正なかったら失敗するとこだった。

男子部員:(涼に腕をつかまれて)「……あれ? 痛くない……」

涼:「痛みはないのか? でも一応、保健室に行った方がいいぞ」(そう言って、手を離す)

男子部員:「イテ、イッテテテ……!」

一同:……んん?

涼:(女子部員を呼んで)「すまんが、コイツ保健室まで連れていってやってくれ」

女子部員:「は、はい」

涼:「──みんな、大会が近い! はりきっていこう。……では、レベルごとに分かれて特訓だ」

隆志:シングルとダブルスの。

チャーリー:そんなのあるのデスか?

涼:あるよ、シングルとダブルス。

隆志:連携が大事なのだ。

涼:男女混合ダブルスしかないからな。男子校はダブルス出られないんだ。
 

 もちろん、全て嘘である。

 高校校舎屋上05:00 p.m.

GM:平くんは……来なかったよ。

隆志:ぬうう、姿を現さなかったか……。でもこれで妹に対する脅威が去ったから、よしとしておこう。

 梨畑家08:41 p.m.

涼:「そーいや今日、うちの部員来なかった? ヤケドしたヤツ」

澪:「来たわよ。普通のヤケドだったから、治療して包帯巻いといた。見た目ほど重症じゃなかったわよ」

涼:「そうか、ならいいんだ」

澪:「セ式茶道といえば……平くんて、部員じゃなかったっけ?」

涼:「そうだけど?」

澪:「あの子、昨日から家に帰ってないんだって。緊急の職員会議とかあって大変だったんだけど……何か知らない?」

涼:「コンサートのチケットがどうとか言ってたけどな……」

澪:「チケットか……ふーん……」

涼:「──さて、片付けぐらいは手伝ってやるか」

澪:「にへへ〜、ありがと〜」

浩之介:で、このあとベッドでの戦いに突入……あああ、ごめんなさーい!


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