北キャンバス大陸バーミリオン帝国にある『結界』に閉ざされた街――半独立都市アーケインが、物語の舞台である。
酒場のバウンサーにして”流風闘<ルフト>”の使い手、ユリア=スート。
銃と回復魔法(M.D.S(Magic Delivery System))の名手、シュリ=W=ホーネット。
真紅の鎧に身を包んだ隠密用人型兵器レイチェル=ローゼンブラット。
シスター見習いのプロレスマニア、エミリー=リーディング。
それぞれが、それぞれの理由でこの街に住んでいる。
<アーケイン>は、元々『古の民(月蛇の民)』の住まう地であった。
23年前、この地へ(副)領主ゲイン=オルドレースたちが流れ着き、街を造ったのが始まりである。
15年前、ホフヌングに利用されていた『魔族ハーフ』と『月の船』から脱出してきた『月の民』が流れ着いた。
争うでもなく、協力するでもなく、4つの種族がそれぞれのエリアに住まい、帝国の援助を受け生活する奇妙な「半」独立都市――それがアーケインである。
アーケインの街の治安を守る自警団に、PC(プレイヤーキャラクター)たちは属している。
英雄の娘シア=ブランク、不良のカーキ、魔族ハーフのスリーアイ、領主の娘スノウ=オルドレース……その他のメンバーも多彩だ。
ある日、彼らはゴブリン退治を依頼される。
魔王の森の洞窟に住むゴブリンの正体――それは頭を五分刈りにした男たち『五分厘』であった。
■帰りくる者(ACT3.0)
老シスターシルヴァの教会(兼孤児院)で子供たち――ボッツ、ヤオ、キリーの3人が行方不明になる事件が起こった。
誘拐かと思われたが、真相は違っていた。
手柄を立てるために街を出ていた傭兵オーキッドが、旅の途中で知り合ったタン、ブルーとともに、故郷であるアーケインに帰ってきたのだ。
自警団に、3人の仲間が増えた。
そして……自警団のリーダー、ヴァイス=エルミュンゼンがアーケインに帰還した。
■収穫祭の夜(ACT5.0)
アーケインの街は、収穫祭の準備に追われていた。
そんな中、5年振りにこの街を訪れた男――ミナモト=フウゲツ。
彼はスノウの姉、ノエルの元恋人であった。
子供たちの劇――螺旋の王――の監督を引き受けたフウゲツは、指導にのめり込んでいく。
ヤグラの設置、収穫の手伝い、料理の用意……祭りの準備は進む。
そんな中、一行は街中にあるもうひとつの『結界』の存在を知るのだった。
祭りの夜。
恋人のアインと祭りを楽しんでいたユリアは、持つはずのない記憶の存在に戸惑う。
フウゲツはスノウと踊り、シュリはその場にいないヴァイスに憤りを覚える。
やがて祭りはクライマックスを迎え、『Harvest Rainの乙女』に選ばれたレイチェルが、光の雪を降らせる……
ヴァイスは、魔王の森の近くを歩いていた。
そしてそこで、銀髪の少女を目撃する……
−『アルカディア』編−
■滅びゆく世界(prologue)
赤の世界アルカディア。
これは、<帝国>の傭兵たちの物語である。
人型にもなれるアニマルタイプ(猫)のメーヴェ(魔族)、リトナ・A・I。
大型トカゲ人で、パワーファイターの、ビオ・サバール・ローレンラウシェン。
黒い翼を持つ元文官の、ヴァンダイク公爵(ラフロイグ・モートラック・フェルティマイア)。
生物に寄生し能力と身体を奪う指輪、ドモ・ルール。
4人は、<帝国>の96番目の姫フェルチアイアの私設傭兵団レプス隊の第04小隊に属している。
「それ」は、空から降りてきた。
<帝国>の西の砦で、<帝国>と<連合国>の傭兵たちが衝突していた。
そこへ突然襲い掛かる光の<種>と<職種>。そして無数の<羽>が空を覆う。
破壊と殺戮。
<光>が消えた後には、累々と横たわる死体が残った。
死体処理の最中、一行は高魔法力を内包した<光の玉>を手に入れる。
「……この星は、もうすぐ滅びるでしょう……」
間もなく滅ぶ星を救う手立てを求め……レプス隊は<真なるアルカディア(楽園)>を目指す。
■鉄格子の向こう(ACT2.0)
途中枯れた村に立ち寄ったレプス04小隊。
そこには、門の鉄格子を切る老人がいた。
息子がそこを通るのだと信じて、奇妙な、儀式にも似た作業を続ける老人。
鉄格子の向こう側に息子の骨を置くこと――それが老人にとっての<真なるアルカディア>への道だった。
作業を終え息を引き取った老人を見取り……一行は旅を再開した。
■召喚士の少女(ACT4.0)
ドモ・ルールの精神操作が解け、正気に戻った癒し手の女性(彼女は<帝国>の砦でドモの『身体』用に拉致された、<連合国軍>の傭兵である)。
彼女――キュア・アルトエッセン――は自分はドモではないと主張するが、誰も耳を貸さない。
<虚ろの森>に足を踏み入れたレプス04小隊は、”一つ目の巨人”に捕われたフェルチアイア姫を助けた。
姫はレプス隊隊長・黒炎とともにここまで来たらしい。
一行は、森の中の隠れ家に向かうことに。
夜。
見張りをしていたリトナは、泉で水浴びをする銀髪の少女と遭遇する。彼女はリトナのことを知っているようだった。
翌日。
一行はアリア・ミリアル・エルズミーアと名乗る少女と出会った。
彼女は召喚士であり……昨晩の銀髪の少女であった。
黒炎に同行するようにと言われたというアリアの言葉に疑問を感じながらも、一行は行動を共にすることに。
巨人の追跡をかわし<虚ろの森>を後にしたレプス04小隊は、野営の準備をしていた。
そこに、暗殺者の魔の手が迫る――
『F』の裏側
星から星へと旅をして……というヤツですね。
ところがほとんどのプレイヤーが宇宙行きを拒んだので(笑)、第四部はゼロから練り直しということになりました。
第三部がロードムービー……「街から街を渡り歩いて旅をする」という形を取っているのは、実は「ジョジョの奇妙な冒険」の第三部を(すこーしだけ)意識してのことでした。
「先へ先へ進む」「出逢いと別れの繰り返し」というのが裏コンセプトのひとつにありまして。
で、第四部となったときに「それなら今回は1つの街で話を紡ぐしかないでしょう(笑)」と思い……そこがスタートとなりました。
街の人たちとの交流をじっくり描いてみたい、と思ったのです。
それがイーゼリア編――『青編』のはじまりです。
■はじまりは「ナウシカ」
第四部を行うことが決定したとき、そろそろ学生時代の時間も残り少ないので「次のMONDでひと区切りつけよう」と思いました。
ホントは三部で終わりってのがキリがよくてよかったんですけどね。
四部で終わりってのは何だかしっくりこなかったので、無理矢理『F』にしてしまいました。
で、最後なら魔界の話をやっておきたいよなー、と。
原作版の方の「風の谷のナウシカ」って結構ドロドロした話なんです。
んで、7巻(最終巻)の表紙を見たときに「いい絵だなー」と思って。魔界編のイメージってこんなかなーと。
血と泥にまみれた、死に満ちた世界。
そういう泥臭い、息のつまりそうな緊迫感・閉塞感のある世界での戦争を描きたいな、と思いました。
それがアルカディア編――『赤編』のはじまりです。
■「赤」と「青」
今回の物語は、別世界での全く関係ないふたつの物語が同時進行していくスタイルを取っています。
これは第三部での「2つのパーティで物語を紡ぐ」というヤツの延長にあるものであり、『新しいスタイル』への挑戦でもあります。
やりたいことが二つあったから、というのも大きいですけど。
最後だからやりたいこと全部やろう、ってことです。
■アーケインの街で
青編は『半独立都市アーケイン』の中だけで物語が進んでいきます。
ACT1.0、ACT3.0はプレイヤーが全員そろわなかったので、それなら逆にプレ版みたいなかんじで、女性キャラだけでやってみようという考えがありました。
街の人たちの紹介、ぐらいのつもりで簡単なシナリオをこなしてもらおうかと。
……その結果が『五分厘』だったワケですが(笑)。
「戦いのない日常の描写」――それが青編のイメージとして定着したようで、続くACT5.0もやっぱり平和です。
恋のバトルすら、ありません。
このまま平和にストーリーが終わってしまえば、それはそれで『新しいスタイル』ですし前代未聞ではありますが……さてさてどうなっていくことやら。
キャラが出そろったところで、物語の序盤は終わりとなります。
■<帝国>にて
赤編は第三部に似たシチュエーション――<楽園>を求めての旅、ということになります。
戦争をしている世界。終わりが近づく世界での、変えられない現実。あるいは救いようのない現実を描いていけたらいいなぁと思ってます。
キャラクターたちも傭兵ってことでなかなかドライですし、青編とは正反対の、(いろんな意味で)ブラックな物語です。
プロローグは……全てのはじまり。伏線はりまくってます。
ACT2.0は、GMの夢が元になってます(またです)。鉄格子を切って「息子が通る」夢を見たんですよ、マジで。
そしてACT4.0でキャラクターが全員集合。
物語は中盤へと移っていきます。
■終局への物語
『F』はMONDリプレイの最終シリーズになる予定です。
できれば全てのキャラに決着をつけたいと思ってます。
ですから、(救われてなかったのが多かった)第二部キャラが続々出てきたりするので、そのへんもどうぞお楽しみに。